デューンへの道 公家アトレイデ

 「デューンへの道 公家アトレイデ」ブライアン・ハーバート&ケヴィン・J・アンダースン ハヤカワSF文庫<SF1397>、<SF1400>、<SF1402> 2002.4〜6 原作1999


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 フランク・ハーバートの死亡によって中断したデューンが、息子のブライアン・ハーバートとケヴィン・J・アンダースンによって再開。
 別の人間によって書き継がれるシリーズが、果たしてオリジナルを辱めないだけの内容を持つのかどうかがまず心配なところ。某シリーズの続編が、単なる懐古趣味だけで成立していたことに軽い幻滅を覚えたこともあるし(面白く無かったとまでは言わないが)。
 ともあれ、このデューンについて言うならば単独作品としての独自性を確保していると思う。シリーズ再開に当たっては、あらたな作者がシリーズを引き継げるだけ深くオリジナルを理解していることを示す必要があるから、今回の作品がかなりオリジナルと重複するのはまあ許す。それがデューン世界のわかりやすい解説にもなっている点も評価できる。その中にはお楽しみもあって、例えば悪役ウラディミール・ハルコンネンが肉体派の男性美の体現として登場するとか。たしか40年後のオリジナル世界ではぶよぶよに太っていたはずなんだけどとか思っていると、実はこんなことがあってとか。ベネ・ゲセリットの魔女の能力が垣間見れたり。
 作品の独自性は、レト・アトレイデが自分の主義を通しながら、ランドスラード内で自己を確立していくなんてところに良く現れている。
 フランク・ハーバートの難解ながら濃密で引きつける力を持った語り口は再現されていない。デューンといえばあの語り方まで期待してしまうのは、まあ無い物ねだりだ。

 これに続く2作品で、オリジナル世界の謎解きがあるはずだが、ジェシカがベネ・ゲセリットの指示に逆らって男の子を産むことになる経緯と、アトレイデ家がカラダンを捨ててアラキスを領土に持つようになる経緯に特に興味がある。
 今後ぜひ、すでに企画されている作品群を通じてシリーズのあらたな著者としての独自性を確立すると共に、フランク・ハーバートの資料を引き継いだ「砂漠の大聖堂」の続編によってデューン世界を(たぶんひとまず)完結させるまでに至ってもらいたい。


 初稿:2002.7.6

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