黒い海岸の女王

 「黒い海岸の女王」ロバート・E・ハワード 創元推理文庫<F ハ-1-11> 2006.10
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 新訂版コナン全集全6巻のうちの第1巻。コナン作品のうち、ハワードの原典に忠実に コナンの活躍の時系列で並べる。梗概や断片、関連する手紙などを資料集として含む。
 コナンの活躍のうち、盗賊や海賊などをして主にひとり働きをしながらハイボリア世界を遍歴した頃の話。東京創元社のホームページに中村融による刊行のことばがあり、コナンものの日本での過去の出版事情についても書かれている。

こんなことを考えた:
 コナンというと私には過去に日本で出版された作品のカバー絵の印象が強い。鎧兜に身を固めた筋肉男が槍を構え馬に乗って疾駆するという、単なる戦闘活劇のように考えていた。シュワルツェネッガー主演の映画の印象がさらに重なる。それに、シリーズものは最初から、しかもオリジナル作品があるのならそこから手をつけないと、味わいが出ないと思っていたから、最初から手を出そうとは思わなかった。
 あれからかなりの時間が経って、ファンタジー作品に対する私の取り組みもいくらか変わっていて、それほどまでに人気があって、しかも原典回帰であるならと考えて手をつけた。
 アトランティス大陸没後から、現在の陸地が形成されるまでの間にあったハイボリア時代とか、コナンの戦う相手が別の世界からの漂着者であったりとか、けっこうSF的な想像力を刺激する。コナンの強さの秘密が、死を恐れぬ大胆不敵さと割り切った考え方というパターンの強さはヒーローとしての存在にふさわしい。
 進化に関する怪しげな著者の理解についてはついていけないところがあるが、それは一種のご愛嬌として済ませることができる。敵の持つ妖しい不気味さの記述もまた読んで楽しい。

おすすめ度:★★★★
 殺人と筋肉男と妖しい存在に反射的拒否反応を起こさないでいられるなら、お決まりの、それでいて意表をつく展開が気に入るだろう。ファファード&マウザーの雰囲気に共通するところを感じる。


 初稿:2007.1.13

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