読書して考えよう 分野別

アメリカのあゆみ

2006-1-22 「イヌイット―「極北の狩猟民」のいま」岸上伸啓(中公新書)
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 文化人類学的見地からみた、現在のイヌイットの生活状態。スノーモービルをあやつり、ライフルでアザラシを狩るひとびとが果たしてイヌイットの名に値するのかといった疑問を持ちつつ読んだ。
 良く言えば文化的適応、悪く言えば伝統破壊。ひとは誰でも自分の好むように生きられるとはいえ、また産業汚染で否応無く世界のほかの部分と関わらざるを得ないとはいえ、厳しい自然とだけ向き合って生きる生き方がこの世から消えていくのはいくらか寂しく思う。
 自分の属する文化の側から、別の文化の変遷を見ることで、自分のありように対する反省材料にもなる。

2005-12-26 「マッカーシズム」リチャード・H・ロービア(岩波文庫)
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 1950年から1953年にかけて、アメリカ合衆国内で共産主義者に対するすさまじいほどの追求が行われた。その中心にいたのが上院議員のマッカーシー。彼は何をし、何をもたらしたのか。
 この本は、マッカーシーの動機や、信条、政治姿勢をジャーナリストの立場から報告するもので、そのときアメリカ合衆国社会に何が起きていたかについての情報は乏しい。書かれた時が1959年だから、その時期の読者は社会に何が起きていたのかはよく知っていたのだろうと思う。
 自分が期待した内容とは異なっていたが、アメリカ合衆国的民主主義の弱みと、結果的に時間はかかったものの自浄力を発揮する基本的な強みを語る意味で、また州選出の上院議員というものがどのような存在であるのかを示す意味で、民主主義がどう機能するかの具体事例を知ることができたのは良かった。

2004-9-23 (木)「不思議の国アメリカ―別世界としての50州」松尾弌之(講談社学術文庫)

 アメリカ合衆国は州の連邦であるが、州と連邦政府の関連について私はあまり実感できなくて、しかしそれがわからないということは、アメリカ合衆国をうまく理解できていないということになる。
 本書は、州ごとに異なる”アメリカ”意識を解説し、連邦との関係を解き明かす。
 20世紀になって、連邦政府の権力が大きくなってきたのはなぜか、そして、アメリカの活力と州/連邦はどうかかわっているかという著者の意見にはなるほどと思わせられた。
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2004-9-17 (金)「太平洋戦争」児島襄(中公新書)

 太平洋戦争の開始から終了までの戦闘・戦略を日本・連合国両方の側を並行的に記述して、その実像を描き出そうという著作。
 確かに、ある作戦が、状況に対する誤解におおきくもとづいていたとき、その結果がどう現れたかを見ていくことは、戦闘を考える上で、結果だけにもとづいた一方的な反省よりも意味があるようだ。
 それにしても、勝利のために数万人の犠牲を予測する作戦を遂行する立場、命令する立場というのは、私の日常から想像するのはなかなかに難しいが、まさにそうしたことが実際に行われたということに衝撃を覚えずにはいられない。この時期、さらに中国方面やヨーロッパにおいて、同じような戦闘が行われていたということを考えると、まさに想像を絶した状況と言える。
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2004-1-18 (日)「パイオニア・ウーマン 女たちの西部開拓史」ジョアナ・ストラットン(講談社学術文庫)

 1854年5月、「カンザス・ネブラスカ法案」が可決されると、人々はそれまで誰も手をつけていなかった”最後の開拓地”にぞくぞくと向かった。ということで、副題からもわかるように西部開拓の時代における家族経営の実態。

 西カンザスは真っ平らな地形で、石材や木材はもちろん、横穴式家屋にするような丘や渓谷もなかった。人々が住んだのは、レンガ状にした芝土の家だった。などという話で、すでに私の想像を絶した世界が始まっている。

 大量の女性開拓者の手記は、著者の曾祖母が集めたものでその数は800通におよぶ。著者が言うように、それらの手記は開拓時代を生き抜いた白人入植者の女性たちの手になるもので、開拓地で失敗した人たちの声は含まれていない。また、出版を念頭に置いて書かれているため、実際よりもロマンチックな内容になっていると思われる。
 それにしても、初期の入植から、南北戦争、カウ・ボーイの時代を経て女性参政権に至る開拓地の歴史をまのあたりに見るような内容にはついひきこまれてしまう。

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