(1998年9月)

30(火)  生物の化石がほとんど見つかっていない先カンブリア代後半の約10億年前に、複雑な組織を持つ多細胞動物が存在していたことを示す化石が初めてインドで発見され、独チュービンゲン大などの研究グループが発表した。研究の詳細は10月2日付の米科学誌サイエンスに掲載される。
 多細胞動物の存在を示す化石はこれまで、生物の爆発的な進化が起きる古生代カンブリア紀(5億4000万年前―5億年前)の直前である、5億8000万年前のものが最古だった。DNA(デオキシリボ核酸)の解析などから多細胞動物の出現は10億年くらい前と推定されていたが、今回の化石はこれを裏付けるものとなる。

29(火)  2万光年の彼方にある「磁石星」が発した強力なガンマ線の波が8月27日に地球を直撃し、太平洋上空の大気をイオン化させていたことを米航空宇宙局(NASA)が発表した。深宇宙の天文現象が地球環境に目立った影響を及ぼしたのが確認されたのは初めて。
 この磁石星は、ワシ座の方向にある「SGR1900+14」。直径約20キロと小さく超高密度で、質量は太陽以上と考えられる。地球の磁場の800兆倍という磁場を持ち、時々爆発的なガンマ線放出を起こしている。
 磁石星から2万年かけて太陽系に到着したガンマ線が観測されたのは、米太平洋夏時間8月27日午前3時22分(日本時間27日午後7時22分)から約5分間。地球を周回中の日本のX線観測衛星「あすか」や、木星に近い軌道を回る米国の「ユリシーズ」など七つの衛星がこれを検知し、うち二つ衛星の安全装置が働いた。直撃を受けたのは地球の夜の部分で、当時、日本から米国にかけてが夜だった。
 このガンマ線直撃で、大気上層にある原子から電子がたたき出されるイオン化現象が起きた。地上まで届いた放射線量は歯科で使うX線量よりはるかに微弱で、人体に影響はなかった。研究者は「今回のガンマ線放出エネルギーは、太陽の300年分のエネルギー放出に相当する」と分析している。
 表面が固い鉄の層で覆われた磁石星は、強力な磁場を持つ中性子星と考えられ、これまで四つが確認されている。中性子星は、星の一生の最期に起きる超新星爆発で生じる。

29(火)  「アンタークティカ・ニュージーランド」が発表した暫定衛星解析データによると、南極上空のオゾンホールの面積は先週、これまでの最高記録だった1996年の数値を約5%上回る2700万平方キロメートルに達した。
 オゾンホールは今年、8月下旬から9月上旬にかけて急速な広がりを見せ、現在は96年同期の記録より20−25%大きいままの状態を長く保っているという。

28(月)  米大リーグ、ナ・リーグのワイルドカードで同率となったカブスとジャイアンツのプレーオフで、カブスのサミー・ソーサ外野手は4打数2安打だがホームランはなく、今季の本塁打数は66本に終わった。
 この結果、今季のホームラン王は、大リーグ新記録となる70号を放ったカージナルスのマーク・マグワイア一塁手に決まった。

27(日)  米大リーグのシーズン最多本塁打記録を伸ばしていたカージナルスのマーク・マグワイア一塁手が、今季最終戦であるエクスポズ戦で2本のホームランを放ち、最終的に今季の本塁打数を70本とした。
 ライバルのサミー・ソーサ(カブス)は、あと一試合を残して、本塁打数は66本。今季のホームラン王とシーズン最多本塁打記録は、マグワイアが獲得することがほぼ確実となった。

25(金)  米ロス・アラモス国立研究所は太陽系外を航行している「パイオニア10/11」探査機と、太陽を周回する極軌道にある「ユリシーズ」太陽探査機の軌道に、未知の力が影響を与えている可能性が強いと発表した。論文は「フィジカル・ニューズレター」で受理されており、近日中に掲載される。発表によれば各探査機の軌道がそれぞれ計算と微妙にずれていることが、1980年頃から継続的に観測されており、既知の全ての物理現象を考慮に入れても、なお太陽方向に地球の表面重力の100億分の1の加速度がかかっている。
 この観測が意味するものは、相対性理論では説明できない重力の高次項が存在し、超相対論を構築する必要が出てくる可能性である。今のところはただの計測ミスの可能性もある。しかしこれほど長期間に渡ってデータが取得されており、しかも十分に検討されているところからすると、科学史的発見に結びつく可能性は否定できない。

16(水)  宇宙開発事業団は赤道直下の太平洋上にあるキリバス共和国のクリスマス島に、日本版スペースシャトルとして開発を進めている「HOPE−X」の着陸場を整備することで、同国政府とほぼ合意した。事業団が海外に本格的な実験場を設置するのは初めてで、契約に向け詰めの協議を進めている。

15(火)  米航空宇宙局(NASA)の木星探査機「ガリレオ」の撮影画像から、木星の周りに見つかった細い輪は木星の4個の小衛星にいん石が衝突してできたことが分かったと米コーネル大の天文チームが発表した。
 コーネル大によると、木星の近くを周回し、直径10〜200キロと小さいアマルティア、テーベ、アドラスティア、メティスの四つの衛星の撮影画像を分析した結果、いん石の衝突でできた赤黒色のクレーターが存在することが分かった。一方の各リングも、クレーターに似た赤黒色の非常に細かい微粒子からなっていた。

12(土)  不振が続くメッツ・野茂英雄投手(30)が事実上の戦力外通告を受けた。野茂は14日のアストロズ戦に先発予定だったがはく奪され、代役に吉井理人投手(33)が指名された。首脳陣との相互不信は修復不能の域に達しており、契約が切れる今オフ解雇が濃厚になった。

10(木)  ロシアはバイコヌール宇宙基地から2段式の「ゼニット2」ロケットで米グローバルスター社の低軌道通信衛星群システムの「グローバルスター」衛星12機を打ち上げたが、打ち上げ後272秒で誘導システムが誤動作、第1段エンジンを停止してロケットはペイロードごと地表に落下。打ち上げは失敗

9(水)  米大リーグのシーズン最多本塁打記録でロジャー・マリス(ヤンキース)が1961年に作った61本と並んでいたカージナルスのマーク・マグワイア一塁手(34)は、ブッシュ・スタジアムで行われたカブス戦の四回に62号本塁打を放ち37年ぶりに新記録を樹立した。

9(水)  米大リーグ、メッツの野茂英雄投手は当地で行われたフィリーズ戦に先発し、2回3分の2を投げ、6安打7失点で12敗目(6勝)を喫した。

8(火)  敬老の日(15日)を前に厚生省は1998年の「全国高齢者名簿(長寿番付)」を発表した。それによると、100歳以上のお年寄りが昨年より1667人増え、初めて1万人を上回り1万158人となった。前年を上回るのは28年連続で、35年で66・4倍になった。
 調査は今月末までに100歳以上になるお年寄りを、今月1日付で集計した。女性が8346人と全体の82・2%、男性は1812人。
 長寿日本一は、1884年(明治17年)5月11日生まれで114歳の東京都江東区、松永タセさん。男性の最高齢は全体で5位の111歳、茨城県金砂郷町、石崎伝蔵さん。

5(土)  埼玉医科大(埼玉県毛呂山町)は、自分の肉体的性別に強い違和感を持つ性同一性障害の30代の女性患者に対する性転換手術を、11日に実施することを決めた。正当な医療行為として実施される性転換手術は、国内では初めてとなる。
 手術は、同大総合医療センター(同県川越市)で、主治医の原科孝雄教授らの執刀で2回に分けて行われる。11日の最初の手術では、卵巣を摘出するなど、女性としての生理的機能を取り除くことを中心に行い、半年ほどの間を置いて、患者自身の腕の皮膚などを移植して男性器を形成する。

5(土)  朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が人工衛星を打ち上げたと発表したことについて、科技庁は米航空宇宙局(NASA)から得た情報として「衛星の存在を示すデータは確認されていない」と発表した。
 科技庁によると、朝鮮中央通信が伝えた発射角度、ブースターロケットの落下地点などのデータは矛盾しており、さらに公表データの不足で衛星の軌道を計算できないという。衛星が発信しているとされる電波も受信しにくい周波数(27MHz)のため、衛星の存在は裏付けられないとする一方、「完全に否定するのも相当困難」としている。

4(金)  朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の朝鮮中央放送が「31日、3段式ロケットによって人工衛星の打ち上げに成功した」と報じた
 朝鮮中央放送によると、衛星は先月31日午後0時7分、北朝鮮・咸鏡北道花台郡舞水端里の発射場から打ち上げられ、1段目は北緯40度51分、東経139度40分の日本海上に、2段目は北緯40度13分、東経149度7分の太平洋上にそれぞれ落下。第3段と衛星部分は発射から4分53秒後に近地点218・82キロ、遠地点6978・2キロのだ円軌道に乗り、「金日成将軍の歌」「金正日将軍の歌」を放送しながら、軌道上を回っているとのこと。

3(木)  1月の打ち上げ以来月面に関するデータを送り続けている米航空宇宙局(NASA)の無人月面探査機「ルナー・プロスペクター」が、月の南北両極で計約60億トンの氷を発見していたと学会誌「サイエンス」で報告された。氷は月を通過するすい星や流星の尾からもたらされたものと見られる。

1998  8月  7月  6月  5月


 初稿:1998.5.27 改訂:1998.5.28〜

 ホーム