宇宙太陽光発電衛星

(1)実用化検討
 宇宙空間で太陽光を電気に変換し、地上に送電する宇宙太陽発電システムの実用化を目指した調査計画が2000年8月8日、宇宙開発委員会計画調整部会で承認された。通産省が来年度から2年間、コストや技術的課題などを検討する。宇宙太陽発電システムは過去にも研究されたが、二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンなエネルギー源として期待が高まり、半導体技術も進歩したことから、通産省では実現の可能性が高まったとしている。
 米国では1960年代に提案され、70年代にNASA(米航空宇宙局)が検討したが、費用がかかり過ぎるため断念した。日本では91〜93年に通産省の外郭団体、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)が調査研究し、太陽電池のコストが低下し、発電システムを安価に宇宙空間に運べるようになる20〜30年後に実現可能との結果をまとめた。
 しかし、その後、地球温暖化問題への対処が切実な社会問題として浮上した。NEDOの調査以降、携帯電話の急速な小型化にみられるように半導体技術が進歩し、宇宙から地上へ送電する技術的可能性が広がったため、通産省では、宇宙太陽発電システムの実用化に着手する必要性があると判断した。
 計画では来年度から2年間、学識経験者や関連業界の専門家を集めた委員会を開催し、開発費を予測したうえで発電コストの目標値を設定する。二酸化炭素削減効果、宇宙からの受電技術など技術面の検討も加え、実用化に向けた発電モデルづくりを目指す。

(2)基本概念
 地球の衛星軌道上に太陽電池パネルを並べた巨大な衛星を打ち上げ、そこで太陽電池を使って電力を作り、大気中の水分などに吸収されにくいマイクロ波で地上に送る。これは宇宙太陽発電衛星(SPS)と呼ばれ、1968年に米国のグレイザー博士が提唱した。
 SPSは、天候にも左右されず同じ面積で地球上の10倍の太陽光が利用できるうえ、地球温暖化につながるCO2も排出しない。クリーンで事実上無尽蔵のエネルギーとして期待できる。
 SPS研究に関するホームページ

(3)感想
 マイクロ波によるエネルギー伝送、というのがなじみがないだけにぴんとこない。通信回線としてのマイクロ波利用はわかるが、似たような仕組みで実用的なエネルギーを送るためには、もっと強烈なマイクロ波を利用する必要があるのではなかろうか。そうなると、マイクロ波は電子レンジでも利用されていることから類推して、殺人光線並の強力な放射を必要とするのではないかと、つい妄想が働く。
 だがしかし、マイクロ波が空気中の水分に吸収されにくいということは、水との相互作用が少ないということであって、程度問題ではあっても通信路を横断した鳥がヤキトリ化してばたばたと落ちてくるほどの強烈さは無いのかもしれない。
 実際、すぐに指摘できるほど有害な作用が無くても十分なエネルギーを伝送できることは、上のSPS研究に関するホームページの記事を見る限り実証済みのようだ。
 ただ、無害であることの証明はなかなかに難しい。

 SPSの課題はこの他に衛星の打ち上げと制御、太陽光発電に関する技術があるが、いずれも既知の理論で対応できることからあとは技術的な問題の解決と費用対効果にもとづく商業性の有無にかかってくる。安全快適な仕組みとしてのSPSに期待したい。


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国際宇宙ステーション(写真提供:NASA)