どこでも通信(イリジウム衛星携帯電話の破綻)
- (1)報道 2000.8.23
- イリジウム社は合計66機の衛星を地上約780kmの軌道に周回させることにより携帯電話の通話エリアを世界中に広げるという衛星携帯電話サービスを1998年11月1日から開始した。しかし、衛星の故障と、それに伴うサービス開始時期の延期や、加入者数の伸び率が当初の予想に反して伸び悩んだことなどによりサービス開始から1年を経たずして米国での会社更生法に相当する連邦破産法の申請を1999年8月に申請し破綻た。
1999年8月に破産した衛星携帯電話事業イリジウムの通信衛星の管理を行っている米モトローラは2000年8月23日、地球周回軌道上にある合計66個のイリジウム衛星の廃棄を行うことを発表した。モトローラによるイリジウム衛星廃棄の決定はイリジウム破産後、イリジウムの資産の買い手が現れなかったことを受けてのもので、ニューヨーク破産管財裁判所は3月の段階で既にモトローラが維持しているイリジウム衛星の廃棄を認めてる決定を行っていた。
モトローラでは衛星の管理費用として月額100万ドル(約1億円)の経費がかかっているとしており、すぐにでも廃棄に取り掛かりたい意向だが、今のところ、モトローラではいつ衛星の廃棄を開始するのかについては明らかにしていない。
衛星の破棄は地上の指令センターから衛星の軌道を修正し、大気圏への再突入を行わせる模様だが、軌道の変更をかけても直ぐには落下しないことから66個の衛星が全て落下するには数ヶ月要する見込み。
- (2)感想
- 一台の携帯通話機を持ち運べば地球上のどこからでも(極地でも、ジャングルでも)地球上のどこへでも通話できるという画期的な試みだったが、一般の携帯電話(通話範囲は人口の多い場所に限られる)にくらべて装置が大きかった。社会生活の上では、人間が僻地から通信する機会が少ないということで、衛星の維持管理をまかなえるだけの資金を集めることができなかった。技術の発達も社会的有用性やそれ以外の技術水準に制約を受けていることの好例。
国境が無く、自家用飛行車で簡単・短時間に世界のどこへでも移動できるような社会だったらその有用性ははるかに大きかっただろう。早すぎた技術ということで、時代が移れば当然成功するに違いない。(2000.8.27)
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国際宇宙ステーション(写真提供:NASA)