(5)組立
さあ組立だ。組立場所として一部屋を空けてある。夜はここに布団を敷いて寝なくちゃいけないから半日で組み上げる決意。まずはケースを梱包から出す。箱の印刷を見ると縦置きでも横置きでも使えるみたいだ。5インチベイはなるほど三段重ねで正方形をしているから組み込み方向を変えることができるのだな。しばし箱を縦にしたり横にしたりして迷ったが、当初計画通り縦型に決定。
マザーボードを取り出す。こいつをケースに取り付けるわけだ。取り付け方は、なるほどボードの穴に対応した場所にちゃんとねじ止めできるようにケースの側にも穴があいているぞ。別々に買ってきた部品でもちゃんとこうやって整合しているのなら、これは安心だ。
マザーボードのねじ止めはきわめて順調。この調子なら大丈夫そうだと安心感がわいてくる。
次は、CPUをマザーボードに取り付ける。その前にCeleron400をアダプタに取り付ける。剣山みたいにたくさん足のついたやつを、アダプタの穴に合わせて差し込んで、レバーを倒して固定。以前のマシンでCPUアクセラレーターを取り付けたことがあるけどそれと同じ。続いて冷却ファンを取り付けと…。ふんふん、このファンから出ているコードをマザーボード側のコネクタに差し込むのだな。部品が対応していることを知るのは、心強い。
何かファンの金具が扱いづらいが、たぶんこの穴をここに引っかけてこっち側に引っ張って止めるんだろうな。説明書に説明書きを探すが無い。まあまず間違いあるまい。よいしょ、ううバネが利いて取り付けづらい。ほりゃ。この、よい。
なんとか自分の爪を痛めずにはめ込み成功。少し汗が浮いてくる。汗をボードに落っことしたんではしゃれにならない。タオルで首筋をぬぐう。ディップスイッチをCeleron400のパターンに合わせる。説明は英語だがまあたぶんこうだ。アダプタをマザーボードに差し込む。
よしよし、こんどはビデオボードだな。マザーボードのここに差し込んで、外部コネクタがケースの後ろ側に出るようにしてねじ止めするのか。良くできているなあ。ねじ止めは確実にしなくちゃね。ケースの後ろの穴押さえはドライバをねじ込んで外す。これはケースの説明書に絵が描いてあるからその通り。
後ろ側をねじ止め。ねじが、へんだ、なんか甘いぞ。ケースの説明書きを見るとどうやらねじが何種類かあって、そいつをあちこちで使い分けることになっているらしい。よく見るとねじの頭が平たいのとかが混じっている。それらがごちゃごちゃに一つの袋に入っている。
うーむ、どれがどれなんだ。説明書きを見てもねじの見分け方がわからない。どうやら数で合わせていくしか方法はないようだ。袋から全部のねじを出して、分類にかかる。
分類終了。ボードを固定するねじが判明して、ボードを固定。今度はしっかりと止まる。
音源ボードも同様の方法で固定。
さて、今度はCD−ROMドライブと、ハードディスクとFDドライブだ。ディップスイッチを気にしつつ英語の説明がよくわからないところはまあたぶんこのままでいいやということにする。
電源ケーブルはケース内部に出ている。これを束ねている輪ゴムを外してぞろぞろと引っ張り回す。このコネクタがFDでこっちがハードディスクだな。形が決まっているから間違うことはないが、どうやら予備のコネクタがたくさんついているようだ。どのコネクタを使えば良いのかは、どこにも書いてない。たぶんどれでも良いのだろうと思って、適当に当てはめる。
ケーブルやコネクタが余るから、一気にケース内が混乱してくる。データケーブルをはめる。ありゃ、FDDのドライブにケーブルをはめる方向がわからないぞ。この切れ込みがこうなっているからたぶんこっちなんだろうけど、どっちむきでもはまるなあ。やはり説明書には何も書いていない。こうなれば自分の判断を信じるしかない。
ドライブをそれぞれ5インチベイと、3.5インチベイにねじ止めする。こういうのは、以前のマシンでCD−ROMドライブを取り付けたことがあるのでそれと同じだ。今回はねじの選択に困らなかった。
えーと、電源はどうなっているんだ。ケースの電源部から来るケーブルをマザーボードにつなぐ。あれ、まだ余っているケーブルがあるぞ。ケースの電源スイッチから延びている細いやつ。先が平べったいコネクタになっている。そういうのが何本かある。
うーん、こいつはどこにつなぐんだろう。電源を入れたことを何かの形でマシンに伝えなきゃいけないわけだから、その信号はマザーボードが受けることになるのだろうなあ。マザーボードの地図を取り出すと、POWERとかRESETとかHD/LEDとかRESETとか書いてある場所が見つかった。ははあ、ここに差すのだな。だけどどっち向きにすればいいんだろう。特にヒントがない。たぶんどっちでも良さそうだが、とりあえずコネクタに書かれているLEDとかの文字が表に出るようにつなぐ。
ありゃ、POWERはコネクタの側とボードの側で端子の数が合わない。しかたがないからここは適当に一番端に寄せてつなぐ。
組立完了。まあとりあえず。まだ、内臓をさらけて横たわっているがここは電源を入れる手だろう。電源ケーブルをコンセントに差し込み、おっとCRTもつないで。
ふるえそうになる手で、電源スイッチを押す。かちとスイッチが押し込まれる音がして、何も起こらない。脱力感が走る。胃のあたりが重くなって血液がからだを巡るのが意識される。
そりゃ、最初からまともに動くことは期待していませんでしたよ。だけど、全然動かないんでは現象を見て手直しをすることもできない。ここで失敗ということになれば、なんにも成果なしで終わりということじゃないかあ。
(6)作動
「もしもし、さっき部品を買っていったものですけど、組み立てても電源が入らないんですけど。」ここはひとつパソコンショップに助けを求めることにする。
「はあ、電源が入らない。ファンも動かないんでしょうか。」
「そうです、ファンも動きません。」
「うーむ。」
「あのですね、ひとつ気になることがあるんですけど、電源スイッチのケーブルのつなぎ場所がよくわからないんです。コネクタの数よりもピンの数が多くて、これは何番目のピンにつなぐのが正しいんでしょうか。」
「はい、どこにつなぎましたか。」ボード地図のここだと言うと向こうも同じものを見たようだ。
「あー、それはいろいろつないでやってみるしかありませんねえ。」おいおい、俺が買ったのはショップのおすすめ品だぞ。たくさんさばいていてもその返事かよ。
と思ったものの、とりあえずそれで試行錯誤をやってみる気になって、ひとまず電話を切った。
コネクタ側の端子は2つ、ボード側の端子は4つだ。順番に試していっても片側3回、裏表合わせても6回の試行で終わるわけだ。
100Vのコンセントを外して、コネクタを付け替える。100Vのコンセントを入れて、スイッチオン。何も起きない。
ふたたびコンセントを抜いて、コネクタを付け替えて、コンセントを入れて、スイッチオン。ウーンという音とともにファンが回り始めた。
やったね。これで成果ゼロというのだけはまぬがれた。
電源は入った。とりあえず異臭とか、煙とかもないのでまずはめでたい。しかし、CRTには何も映らない。電源スイッチを押しても電源が切れない。100Vコンセントを抜いて、電源を落とす。
おかしい。もういちどコンセントをつないでスイッチオン。
ファンが回ってLEDランプが点灯する。それだけ。ここはひとつOSのインストール手順を踏むんでみよう。システムフロッピーをFDドライブに差し込む。
うんうんとFDドライブがうなる。動いている様子。だが、それだけ。
もうだいたい辛抱は品切れだ。再びパソコンショップに電話する。持ってくれば見てくれるということだ。組立にいまいち自信がないこともあって、最終点検をしてもらう意味でもここはいちどショップに運ぶ手だろう。とりあえずケースを閉じて、ちらばった空き箱と梱包材を一カ所にまとめる。
ケースを持ち上げようとしたとき、RAMがまだ箱に入ったまま取り付けられていない状態なことに気づいた。RAMを取り付けていないせいだろうか。うーん、だけどこいつは拡張RAMのはずで、だから取り付けなくても動くだろうと思って最後にしていたものだ。すでにケースは閉じてしまったし、もういちどケースを開けてテストするのも手間がかかる。そのままケースと一緒にショップへ持っていくことにした。
「お客さん、RAMが入っていなくちゃ動きませんよ。」え、そうなの。ほんと? RAMを持ってきて良かった。組み込んでもらう。
「ボードの差し方が甘いですね。」うーむ、はい差しなおしてください。
「あのー、FDDのコネクタの差し方がわからなかったんですが、これでいいんでしょうか。」
「逆です。電源に近い方に1番のケーブルが来るようにします。これは、どの機器でも同じです。」うおっと、少なくともこれでショップへ持ち込んだ甲斐があったわけだ。店員さんに総点検してもらって、おかげで一層安心感がつのる。電源を入れるとBIOSの画面がショップのCRTに映し出される。
これで、組立はおしまい。動作確認できた愛機を抱えて、自宅へと戻る。
あとはOSの組み込みだが、システムフロッピーを差し込むと、リードエラーだ。うお、ケーブル逆状態で読ませたのが悪かったのか。だが、CD−ROMからの直接インストールに成功したので、もういちどショップへ往復する必要はなかった。
このシステムフロッピーは、何日か経ったあとでショップで取り替えてもらった。いやー、つきあってくれた店員さん、どうもありがとうございました。
(1999.5.31)