暫定版

巻  数


台     詞

「本気

1
2

男は自己を失う事によって花を咲かせる、
悲しい生き物です。・・・動植物の世界におい
てもオスは、メスと子孫が生き残るために命
をささげる、そんな例も枚挙を問いません。
自分の心とは反対に、人情より義理をとる・・・。
あってはならない戦争という暴挙の中でさえ
男は義理をとるのです。

3
4
5

 いろんな青春があっていい。学問をつみ重
ね、選ばれた人になってゆく青春。そしてま
た趣味に走る青春・・・。
 時には極道の道にゆく青春だって、あって
いいのです。”青春”っていう言葉と同じ意味
を持つ言葉をひとつ選ぶとしたら、私は”真摯”
という言葉を選びます。真摯、つまり本気!
 青春の次に来る季節を教えましょう。朱夏
−あかい夏−といいます。

6
7

 裏の世界で生きる人達を賛美する気持ちな
ど毛頭ありません。ただ誰でも、男の胸の中
任侠の気持ち、巣食ってると思っています。
 愛国、憂国の情などという言葉さえ、苦笑
される今の世の中、男気だけは、ひっそりと
爪といでおきたいと願っています。

8
9

−失うものが失くなった時、男は強くなれる−。
 それはうそです。そんな事で”死”まで突っ
走るのは単なる自暴自棄、愚かな行為でし
かありません。男はてめえの背中に、かくし
て守る物があるから強くなれるのです。
 −強い男は、背中で守る物のため、自分を
失ってゆきます。
 何かにほれた男は、いつの世でもマゾヒス
トです。

10
11

 この世には種々の悪が存在します。どれも
が人の欲、自分さえよければという欲が、引
き起こしているような気がします。
 でも真の欲は、一生・一度をどう美しく生
きるかという事。富でもなければ、虚名でも
ないのです。
 汚れなく生きる事に、誰もが憧れている
のですから

12
13

恋に流す涙
恋水といいます
恋が水になって
流れてしまって
人は過去を忘れるのでしょうか
泣いて 泣いて
泣きつくして
もう流す涙さえ
なくなってしまって
空っぽになって
もう生きる事さえ
わからなくなる
だからでしょうか
ナキガラという
言葉があります。

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15

希望とは、希な望みと書きます。
未来とは、未だ来らずと書きます。
夢さえも、やがて一瞬(ひととき)の男気に
生きたいと思います。
希望も未来も夢も、不確かなものだとしたら、
せめて、ひとつの形容詞を冠にしましょう。
色あせぬ希望。色あせぬ未来。色あせぬ夢。
また、くたびれるくらい待っても
色あせぬ青春を・・・。

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17
18

 人それぞれ、美学を持っています。
いや、人間の行動、想い、すべてが美しい事
のように思うのです。前に出る事も、後ろに
引く事も、みんな美しい行為、想いなのです。
 行為、想いと書きました。このふたつが
相反する場合も、もちろん数多くあります。
 君は、行為の美学をとるか?
 想いの美学をとるか?

19
20

 人にとって、自由を失う時が一番の苦しみ
という意味なのでしょう。罪を犯した人々の
自由を奪うため、獄につなぎます。
 つらい何年かを過したはずなのに、懲りな
い人々は、又、罪を犯します。
 肉体の自由を奪う事には耐えられるという
意味なのでしょうか。法を越える喜びが肉体
の自由を越えるのか。悪の細胞は滅びないも
のなのか、憂いながらも・・・。
 決して想いの自由を奪われてはなりません。

21

 人は永遠に愚かなのでしょうか?
また戦争をひき起こしました。
 自分だけにかかわる事なら、自分
だけが卑められ、辱められるなら、
引く事も可能なのでしょうが、守る
もののため、戦いを起こします。
 きっとそれを大義と呼ぶのでしょ
う。
 大義は人間のつくった一番愚かな
ものなのでしょうか?

22

本気が映画になりました。
東映作品です。
読者の情熱が、出版社の情熱が、
映画関係者の情熱が、ひとつの
潮になりました。
 是非、観てください。
きっとそこには、本気を通して
知り合った、ぼくと読者達との
潮騒が聞こえると思います。

23

 これで23巻になります。
 よくぞ描いてきたという思いと
一緒に、まだまだ描ききれない思
いが、重なります。
 人を愛する事が、つらい事であ
るはずはないのに、時として、悲
しみはつきまといます。
 でも・・・。
愛する事が生む悲しみなら、悲し
みもまたいい・・・。

24




      合掌・・・。



25

 人が学ばなければいけない事は
いくつもあるのだけれど、
 時には、一番美しい思い出や、
一番大切な人を、憎む事を学ぼう
とする事。
 それを別れといいます。

26
27

 組織とは、個人の足りない力を
補いあい、それ以上の力を求める
事です。人は一人では弱い事の証
明ではありますが、すべての生物、
群れあう事でその種が存在します。
 動植物が単体では、命と呼ばな
いとしたら、人もまた、単体では
成り立ちません。
 地球上の人間、すべてが手をと
りあえば、それは大きな命。

28

 久美子の病気を白血病とは一度も書きませ
んでした。この物語を描きはじめた時は、不
治の病と言われていたからです。
 でも、今、骨髄移植という治療法も生まれ
患者が救われるようになりました。
 そして、より多くの患者が救われるよう、
骨髄バンクが設立されました。異色の前提と
なる提供者と患者のHLA(白血球の形)が
適合しなくてはならないからです。提供者が
5万人になれば、8割の患者に適合者がみつ
かるのです。

29

 不治とされた病が不治でなくなった感動は、
患者さん、その親族以外、我々にとっても大
きな喜びです。
 今、始まったばかりの日本における白血病、
骨髄バンクが欧米のような実績をつくってい
く事、心待ちにしています。
 一人でも多くの骨髄提供者を、電話番号は
03(3355)5041「骨髄移植推進財団」

30

 人は一瞬のまばたきの時の中、
生きて死にます。この一瞬の生を
大切に生きる人もいます。
 自然のすべても一瞬の生を生き
ます。
 人とひとつだけちがう、事はつ
まらなく生きる自然はないという
事。

31

 飛行機事故も、飢餓で亡くなってく子供た
ちの事も、どこやらの地震で亡くなった人々
の事も、自分から遠い命の事と冷静にニュー
スを見ます。
 この冷たくて静かだという言葉に、せつな
さを感じます。
 自分のみじかな命の事なら、人は熱く動く
のに……
 遠い命にも熱動したい。

32

 失われてゆくものに、人は拍手をためらい
ます。
失われてゆく自然
失われてゆく生命
失われてゆく若さにも
…でも、立原は失われてゆく時間に拍手を贈
ります。
 努力した時間なら、過ぎてゆく時間、すべ
て美しく、恋(いと)しいのです。

33

 青春(青い春)の次に来る言葉は
朱夏・朱い夏と以前書きました。
次に来る季節は、もちろん秋。
白秋といいます。
 『本気!』の物語も白秋に足を踏
み入れたように感じています。
 白秋の次に来る冬。
冬は何色なんでしょう?

34

『本気!』を見て骨髄バンクに登
録した読者がいます。それだけで
も、この漫画が存在した意味があ
ったと感動しています。
 全世界、移植の事故は(それも
麻酔による)たった二例、恐れる
事は何もありません。
 立原あゆみもバンクに参加しま
す。同志よ。心やさしき人よ奮え。

35

 天体望遠鏡を買いました。小学生の頃みた
土星の輪、またみました。変わらず土星の輪
がありました。肉眼で土星の輪をみる事、お
すすめします。たしかにあるんです。とうに
知ってる事なのに、どうしようもなく感動し
ます。知識として知っていても実感のないも
の、他にもたくさんあると気付きました、人
の心だって、まだまだ……。

36

 心とは、コロコロ変わるからココロと言う
と、昔聞きました。
 ローリングストーンって知ってるね。”転
がる石に苔つかず”。コロコロ転がる石は、苔
がつかず、いつもきれいだって意味だと考え
たら、心変わりする事も、きれいな事かもし
れないね。

37

 人が平和を願うのは、先に未来があるから
です。命が命を受け継いでいく事へのあこが
れ……。
 人としての種が存続していくため平和を望
んでいます。
 レッドデータの動物たちは、どのように滅
んでいったのか、そんな事が頭をよぎります。
 あれだけ賛否大騒ぎしたPKOさえ、記憶
から薄れています。
 人類が、また一歩レッドデータに近づきま
す。

38

 何年か前、佐渡を旅しました。かつて流刑
の島であった事が、一番の興味でした。ここ
から脱け出られた人は、どのくらいいるのだ
ろうかと日本海を見つめました。小舟での脱
出は、それはつらい道のりだったろうと……。
 流人たちの刑罰。今の法なら、まったくの
無実だった事も数少なくないはずです。今の
法も、やがての無実を多く裁いているかもし
れません。

39

 夢がいつかさめるものなら、悲しい現実派は
眠れば消えるのかもしれません。
 何度もの眠りの中、少しずつ忘れてゆきま
す。そして、想い出になります。

40

 青い春、朱い夏、白い秋。3つの季節の色
紹介しました。次に来る冬。冬の色は黒です。
黒、そのままつかわず黙冬といいます。黙る
冬です。死を意味するのでしょうか。
 この言葉、お伝えするという事は「本気!」
の終結も近いという事でしょうか。

41

 辛いという字は
もうちょっとがんばれば
幸せって字になると
教えられました。
しばし感動……気がつかなかったね。
忙しいという字は
心を失うと書くね。
立原は忙しいです。
(注:本文中「心」はりっしんべんでした。)

42

 満天の星空という言葉があります。
常識として、空をみあげて、
全部の星、数えられないなんて思います。
でも、肉眼で、みえる星たちは約3千個。
それじゃ、数えられるじゃん。
満天の星が、数えられる時間が
自分たちにあるとしたら、
一生の間、何か意味ある事
できるような気がします。

43

 ゆうべ見たテレビの中で、アマゾンの漁師
の言葉、深く感じました。
”夢は?”の問いかけに
”漁をして、命を奪ってきた自分に幸せなど
こない。”
”このまま、漁を続け、ここで死んでゆく。”
 人は生きる事で罪を重ねているのでしょう
か。

44

 水に毎と書いて海。水と音をしめす毎とを
あわせて深い水をあらわすと。聞きました毎
は、草の芽と母(子を産みふやす)、草がさか
んにふえる事、次々とふえていく意もありま
す。海の毎は、次々と生まれる潮騒をさして
いるようにも思えます。水に毎で海。
 なのに、人に毎をつけると、侮るになりま
す。
 なんか悲しいね。

45

 傷ついた人が、あてのない旅をゆくとした
ら多くの場合、北をめざします。
北帰行。(立原は少なくともそうです。)
 何故なのかな。温度が下がる方へ行く事で
心の冷たさが薄まるのか。極に近い方へ引か
れるのか。
 だとしたら、地球の反対に住む傷追い人は
南帰行するのでしょうか。

46

 立原もひどいいじめられっ子でした。小学校4回・中
学校2回の転校のせいか、立原の性格のせいなのか。友
人をこわいと思う気持ちからか、未だ何人かの親友しか
おりません。
 立原は死を選びませんでした。「いつか!」という言葉
を胸の中で唱えながら大人になりました。いじめた友人
のフルネームを今でもいえます。
 でも、ひとつだけ違った事は「いつか、しかえしを……」
が「いつか、本当の友人に……」に変わっています。
 もうひとつ、「たくさんの友人を持ってるという人は、
ひとりもいないのと同じだ!」。えらーい人の言葉です。

47

 森を取材中、雪の道を見つけました。それ
は、ふいに冷たい風と共に、はるか前方から
やってきました。何かがやってくる。目をこ
らす私の眼前に雪の粒が、ふいにあらわれた
のです。
 雪にも道がある。それは、新しいおどろき
でした。
 すべての物に道がある。もう一度くりかえ
す日々です。

48

 カバーの風景は
 もうありません。
 渚橋のモデル船橋も
 十年のうち変わりました。

49

 マジの語源は真面目からきたのでしょう。
真の面と目。”マジ”という若者言葉が流行っ
た頃、多くの場合、疑問符をつけてつかわれ
ていました。”マジィ?”本当のことなのか?
うそだろうというように。立原はその疑問符
を感嘆符に変えました。!(ビックリマーク)
です。真の目と面、それに気持ちを加えまし
た。そこで、ぶちあたった文字が本気でした。
今やマジという言葉、多くの人が本気と書き
ます。立原が作った、たったひとつのもの
……そう記しておきます。

50

 長い時間、自分の夢をおしゃべりしてたような
気がします。
 長い時間、読者の夢を聞いていたような気もし
ています。まだまだ語り足りないのですが、次の
夢のため「本気!」完です。
 この作品を通じてトモダチになった、決して顔
を見る事もない読者にまた逢いたい思いで一杯で
す。ね、必ず再会しましょう。待ち合わせじゃな
く運命みたいに出逢えたらいいね。

いつか
どこかで
偶然に……。

番外編1

 子供の頃、風のはじまりはどこにあるのか
疑問でした。どこかで何かが最初の空気を動
かします。それがドミノ倒しのように伝わっ
てゆくのかな、なんて思っていました。
 誰かが美しい行動をすれば、それが美しい
風になる。
 何か一歩はじめたいですね。

番外編2

 この物語を通じて、数多くの人たちが、ド
ナー登録をしてくれました。現実に、骨髄提
供に致った人たちもいます。数々の尊い想い
に立ちあえた事、立原にとっても宝物です。
 もう一度、大きな声で、胸の中で反照しよ
う。
−−私たちは、尊い因子を持って産まれた尊
い命だ−−と。

番外編3
SOS

 雪を待ち望んだ事ありませんか。
朝、ふいに見る雪にうれしい気分になった
事ありませんか。
 アイスバーンで転ぶかもしれないのに、
雪かきで無駄な労働を強いられるかもしれ
ないのに、雪どけ道が冷たいのに・・・・・・。
 今でも、雪を望んでいる自分がいたら、
あなたは、まだ少年です。

「本気II」

1

 自分なりにけじめをつけて終わった物語が
熱い声援でスタートします。まちがいに気の
ついていない国の、まちがいだらけの物語に
なるのかもしれません。
 どうせ、まちがうのなら熱い想いだけは、
胸にしまって・・・・・・・・・。

2

 本気という文字の成り立ちを調べてみます。
「本」は木の下部に印をつけて、木の根もとを
示した字です。広く物事の「もと」に使います。
「気」は米と水蒸気とを合わせて、米をたく時
に立ち上がる湯気、転じて、目に見えない動
きをさします。
 もとの、見えない動き、本気。

3

 ”腹ふくるるわざ”
満腹が不快だとしたら、今の幸福は不快なの
でしょうか。
空腹は食物をおいしくさせます。
心のさみしさは人の想いをより深く感じさせ
ます。
 ・・・だとしたら・・・・・・
心が少しだけ飢えていた方がいい?
少しだけ不幸の方がいい?

4

 若者の辞書から”青春”という文字が消え
た。そんな事を言う人達がいます。
 そんなもの最初からありませんでした。夕
日に向かって走る事にしたって、雪の日に裸
足で、恋人のもとに行く事だって、昔からみ
んなごっこだったのです。
 I am a Boy. 最初に習うセンテンス。こ
れも存在しない言葉です。”ぼくは少年です”
そんな事言う少年に、あった事ありません。
 青春とは、その青を通りすぎた人たちが、は
じめて口にする言葉です。

5

 人を殺める事や、欺く事が、人のとる行動
でない事くらい、法できめられなくともわか
っています。
 歴史上、一度もと言ったのは、他の決め事
です。すべての決め事、その法を操る人のた
めにつくられて。きたのです。”弱者=愚か”と
いう図式は、今も続いています。
 君の周囲でさがしてごらん。すべてです。

「本気サンダーナ」

1

 自分の空想したキャラクターたちが、こん
な形で生きのび、新しい動きをするとは、思
いませんでした。作者はキャラクターたちの
想いのまま筆を進めるしかありません。
 本気に問いかけたい事は、今ひとつ。
”正義と戦い、どちらかを選ぶとしたら、
君はどちらを選ぶのか?”

2

 今!"海"という名の焼酎にはまっています。
"涙は一番小さな海だ"なんて事言った人も
いましたが、地球の3分の2は海とか。
 地球上最大の海に思いはせ、人の争いなど
なんとちっぽけな事と、きれいな海を飲む毎日で
す。

以下続刊