読後感想
『韓国 歌の旅』
この本を手にしたのが9月。以来,秋の夜長に楽しむお気に入りの1冊と1枚(CD)に
なりました。
「アリラン」を聴けば心が安らぎ,「故郷の春」や「先駆者」は私を優しい気持ちにして
くれます。「ノドゥル川辺」の軽快さからは,元気をもらったような気分。(歌詞は悲しい
のですが…。)
また,日本でも人気のある「黄色いシャツ」や「愛しています」は,聴いているとついつ
い一緒に口ずさんでしまいます。「朝露」は,聴きごたえのある1曲です。
CDを聴いた最初の印象が「何だか懐かしい感じ」で,聴けば聴くほど「懐かしさ」が
増します。歌手の姜春美さんの澄んだ歌声がとても心地よく,なおさらそう感じさせる
のかもしれません。そして,改めて韓国語・朝鮮語の美しい音の響きに心が打たれま
す。趣味の域ですが,韓国語・朝鮮語を勉強しているのは,この響きの美しさに魅かれ
たためかな,と再認識する次第です。
これらの歌の成り立ちや背景をわかりやすく解説してくれている本書を読むと,韓国
の歴史と文化,さらに日本の関わりを知ることができました。分断の悲しさ,統一への願
いなど著者の率直な気持ちが込められたこの本は,隣国の思いの切実さと深さを教え
てくれました。それゆえ,多くの人に読んでもらいたい1冊だと私は思います。
本の構成については,楽譜と歌詞・訳詞(「黄色いシャツ」では原文に忠実な訳も記
載)や,関連年表・地図までが掲載され,とても行き届いていて,よかったと思います。
また,前田青孝さんが描かれた,表紙の「むくげ」,裏表紙の「唐辛子」,扉の「コスモ
ス」の絵が素敵です。優しさの中に凛とした強さのようなものが伺えて,私が抱く韓国・
朝鮮のイメージと重なりました。
このような素晴らしい本に出会えたことを本当に嬉しく思っています。前田先生,本
当にありがとうございました。
<和歌山県 木村> 2003,11,3