『韓国史のなかの100人』

金素天著 前田真彦訳

明石書店 2002年7月31日発行 2,500円       読者の声 090521

日本の中学校などの総合的な学習でも取り上げられているこの本ですが,

出版元には品切れで,重版の予定はないとのことです(残念です)。

アマゾンでは古本として12,800円で出ています(081231現在)。

私もアマゾンに出品しました。

私の自宅の本がなくなってしまうと,もう手に入れられない本になってしまいます。

少しでも興味のある方は,買ってください。

訳者あとがきより

私は民族学校に勤めています。かねてから中学生が楽しく読める韓国の歴史の本がほしいと思っていました。特に人物史のような歴史上の人物に親しみが持てる読み物を探していました。いろいろ類書を比較してみましたが、この本『歴史のなかの韓国人100』(原題直訳)がもっとも読みやすく、分量、内容ともに中学生にふさわしいと感じました。それに古代や近代に偏らず中世にも力が注がれている点、政治史に偏らず文化史で活躍した人物も積極的に取り上げられているのもいいと感じました。

私が中学校3年生の担任をしているときに、学級通信『ムジゲ』(韓国語で「虹」という意味です。夢のかけ橋になってほしいという願いをこめてつけた名前です)に訳出して連載しました。生徒の前で読み上げるという形で進めましたので、途中から「だ、である」調を「です、ます」調にかえました。できるだけわかりやすく、中学生に語りかける感じにしたかったのです。受け持ちの生徒たちが卒業するまでに100章まで紹介できればよかったのですが、30章までが精一杯で、残りは私の宿題という形になりました。生徒たちに約束した宿題を仕上げることができてほっとしています。

2001年の3月末に著者金素天先生をソウルに訪ねました。

そのときにこちらからお願いした点です。

  1. 原著の「だ、である」調を「です、ます」調に替えること。
  2. 号を省略すること。原著では雅号が併記されていますが、煩雑をさけるため、省略すること。ただし、李退渓と李栗谷は号の方がなじんでいますのでそちらを使っています。
  3. 年号を西暦に統一すること。(○○王○年)という表記をすべて省略すること。
  4. 地名や役職名など日本の中学生に煩雑と思われるものは適度に省略すること。
  5. 巻末に略年表をつけること。

 以上の点を快諾してくださいました。

 金素天先生にはあらかじめこの本を翻訳出版したい旨お伝えし、許可を得ていましたが、ソウルでお会いした時には、赤で訂正や差し替えの表現が書き込まれた付箋が一杯ついている本をくださいました。作家魂に触れた思いがしました。その本は私の宝物になっています。そして日本語で翻訳され、若い人に読まれるようになることを喜んでおられました。

 この本が韓国の歴史に関心をもつきっかけになれば幸いです。


読者の声(ご本人の了解を得て紹介します。ご感想、ご意見いただければうれしいです)

<博多のYさん> 2002,8,16

百済と新羅が争った結果、多くの百済人が日本に渡ってきて、

この人たちが日本の古代文化発展に大きく貢献している

この本には日本に渡来してきた百済の人達が、国を離れるまで付き合っていたであろう

人物も登場してくる。

国を離れる時の別れの情景や、人々の心の内などを自分勝手に想像したりして、

この本を読んでいると古代へのロマンが広がってくる。

又、この本には神話の時代から近代までの、題名のとおり100人の英雄、偉人が紹介されているが、

私が知っていたのは、世宗大王、李舜臣、李退渓、安重根などの、ほんの数人だけであった。

韓国史上の私が知らなかった他の多くの人達の活躍、武伝、英知などを楽しく読むことができた。

どの人達にも共通しているのは、民族のため、国のために自分の生涯をささげて

偉大な業績を残しているということである。

韓国の歴史がより一層、身近に感じることができるとともに、

私たちの国、日本の歴史についても改めて、振り返ってみたくなるような本であった。


<桃谷高校 船越先生> 2002,8,29

この本の特色は“人物が生きていることである”。
事典や教科書でも歴史上の人物の事跡については知ることができる。
しかし、この本では豊富な逸話が紹介されているので、生き生きとした人物像が読み手に伝わってくる。
隣国の歴史を理解するためには欠かせない本の一つだろう。


<広島 リョム ファソンさん> 2002,9,04  <韓国史のなかの100人>を読んで

私は十五年の長きにわたって日本の高校生に<朝鮮語>を授業してきました。ハン
グルの学習を通して我が民族を理解してもらいたい、正しく朝鮮・韓国を知っても
らいたいとの気持ちでした。ハングル、朝鮮の民話、朝鮮の歌など自分のできる事
はなんでもしてきました。高校生の皆さんは真剣に勉強してくれました。アリラン
を学園祭で歌ってもくれました。本当に楽しくやりがいの有るしごとでした。

ですがいつも私の心の奥底で我が民族の<すばらしさ>をもっともっと知って欲しいと
の気持ちが授業をすればするほど大きくなっていくのでした。互いの素晴らしさを
知ってこそ互いを尊重し、愛することができると思います。

私が日本の小学校に通 いながら<暗い>生活を送っているとき、
近所の1世のハラボジがいつも私のとこ ろにこられ
<わしらの民族にはこんなに偉い人がおったんよ。誇りにおもわんなー >
といっては<イスンシンチャングン、ムニッチョム>などの話しをしてくれるの でした。
私はそのとき自分の体に流れる<民族の血>を感じ朝鮮人としての素朴な
誇りを感じた事を今でもはっきり覚えています。

その国の素晴らしさ、その民族の素晴らしさは自然の美しさ、経済の発展状況
だけをみて言うのではないと思います。まさしく人の素晴らしさです。

こんなことを思っているところにこの本と出会 いました。
これなら在日朝鮮人3・4世にも民族の誇りを感じ取ってくれるはずだ、
日本の学生達にもコリアの真の晴らしさを理解してくれるはずだと確信しまし た。
それに内容が簡潔でわかりやすく中・高生にはうってつけの教材になると思います。
この本を活用することによって<朝鮮語>授業の内容をより充実していこうと心を新たにしています。

コーマッスムニダ  広島  リョム ファソン


<家本芳郎先生のホームページから>

★枕上の本「韓国史のなかの100人」(金著・前田訳「明石書店」2500円+税)★
 韓国の先史時代から今日まで100人の人物を選んで、そのエピソードを紹
介した本。壬辰の乱や伊藤暗殺などの話も出てくるが、その登場人物が韓国に
おいて、どのように評価されているかも知ることができる。韓国は近くて遠い
国で、読んでいて、知らないことのあまりに多いことに忸怩たる思いにかられ
た。この本は大阪高生研の井沼淳一郎先生からいただいた本だが、読み耽けっ
て朝を迎えてしまった。中・高校生を含めて、広く薦めたい本である。
 

<韓国史の中の100人>の感想文    by せつぞう 2009,4,12

外国語を学ぶ上でその国の歴史を知るべきであるとわかっていながらも 学生時代に暗記で苦労した記憶が蘇り、敬遠しがちになってしまうものです。

手に取ってはみるものの、難しい表現や年号の羅列に読む気が失せてしまい、 読みやすく、親しみを感じながら読める歴史書はないものか・・・と思っていたところ、この本の存在を知りました。 

建国神話から近代史までの偉人たちが100人紹介されています。 さまざまな分野で活躍した偉人たちのエピソードを楽しみながら、歴史を学ぶことができます。又、中学生向けということもあってわかりやすく、「です・ます調」の親しみやすい文体になっています。もちろん、大人が読んでも韓国の歴史の世界を楽しく堪能できます。

一番後ろに年表がついているので、エピソードを読みながら年表をめくってみると、 どの時代に活躍した人物なのか、自分の中で整理されていくと思います。 

又、多くの英雄たちがドラマ化されていますが、この本の中にもドラマ化された英雄たちが登場しています。もちろんドラマはフィクションも含まれていますが、それぞれ どのように描かれているのか、比べながら読んでいくのも面白いと思います。

 

『韓国史のなかの100人』は手元に置いて一生使える本です。辞書みたいに,そこに立ち戻って,韓国史を作った人物の全貌を知ることができます。

         by パラム  090517

 

100人のうち学校の授業に出てきていまだに覚えているのは李舜臣のみでした。
日本人にはあまりない愛国心や、中国の誰々と並び評される、という風に他国の偉人がものさしになるところが日本の歴史の本では見られない相違点で印象に残りました。
また、実績だけでなく、その精神のあり方に偉人としての重きを置いているところも日本との違いというより日本人に足りないところかと思いました。
これを日本の子供たちが読めるようになると良いなと思いました。
 

表題からはもっと分厚い本を想像していたのですが、各個人の生涯を短く簡潔に分かりやすく書かれてあったので、飽きることなく楽しく最後まで読み進めることができました。
韓国の歴史の本というと、日本人がひどい事をした記録という勝手なイメージがあり、韓国が好きで学びたいと思っている者にとっては、少し敬遠したい気持ちもありました。
実際そういう部分もありましたが、韓国を知る上では欠かすことのできないことなので韓国側からの歴史的事実が分かって勉強になりました。

最後まで読んでみて、正直一番印象に残ったのは、金素天さんの前書きでした。
これから大人になる中学生なら違うかもしれませんが、私にも小さな子供がおりますので、子供たちのことを考えて読んでしまったからです。
子供たちの将来のためにこのような本を書かれた金素天さんも間違いなく偉人で、
101人目になるのではないかと思いました。

   by Kさん   090521