平成11年度 修士論文 研究課題「生理情報を利用したマルチモーダル交渉支援システムの研究」

概要

本研究では、コンピュータネットワークを利用した人間同士の交渉において、利用者(ユーザ)の意思決定についての助言を与えて、交渉の早期締結、およびユーザの満足のいく交渉内容(提案)を導き出くことを支援することを目的としている。従来の支援システムでは、ゲーム理論のような数理的手法にのみ基いて判断している。しかし、これは適切でない場合がある。なぜなら、人間同士の対話である交渉において重要な心理的要素が考慮されていないためである。そこで、本研究では、従来の手法に加え、ユーザの心理状態を推測し、心理状態や相手の友好関係を考慮した助言をするシステムを考える。そのため、ユーザの心理状態を定量的、客観的に表しやすい脈拍、発汗などの生理情報を一つの指標として用いた交渉支援システムの構築を目指す。

特色

従来のシステムは、数理的手法によって最適手段を選択するものであった。本研究では、この問題解決に心理状態を導入し、これと従来の数理的手法の「両方」を用いて最適手段を選択するという特色がある。
また、利用者の心理的状態を捉えるために発汗量や脈拍数などの生理指標を用いていることも従来と異なる。画像や音声などのインタフェースから心理状態を捉える研究が各方面でなされているが、生理指標が心理的状態を反映しやすいものと考えている。さらに、生理指標から意思決定をするシステムの事例は少ない。
一般的には生理指標から心理状態を推測するのは困難であるが、「交渉」という範囲に限定すると、生理指標を従来以上に有効活用できる可能性がある。