視覚障害者の職業について
日本では、視覚障害者の職業としてマッサージや鍼灸が保護され、盲学校の専攻科などで教育されてきました。しかしながら、現在マッサージの職といっても整体、カイロプラクティック、リフレクソロジーなどの無資格治療家が職域を圧迫するなど、楽観的な状況ではありません。鍼灸にいたっては新設校ラッシュですでに「視覚障害者の職」ではなくなりつつあります。
ここでは視覚障害者の職について述べたいと思います。
マッサージ
これは国家資格を取得しなければ仕事ができません。学校に3年間通い、卒業時に国家試験を受けます。学校の授業としては西洋医学、東洋医学両方を学び、マッサージの実技なども学びます。国家試験自体はペーパーのみですが、西洋医学一般から東洋医学の専門分野にいたるまで広範囲の科目が出題されるので、資格を取得するのもそうたやすくはありません。盲学校等では卒業しても免許が取れない学生が急増して問題となっています。
資格をクリアし、いざ社会に出ようとしてもそこには壁が存在します。まず、視覚障害者を雇いたくないという病院や治療院の存在です。これは資格があり、技術があっても「差別」によってある程度就職口には制限を受けます。では開業を…と考えたところで、こちらにも問題はあります。資金調達うんぬんの難しさは勿論ですが、ざる法による無資格業者の氾濫です。「マッサージ」という言葉を使わなければ累次の行為を行ってもほとんど罰せられないという現状から、整体、カイロプラクティック、リフレクソロジー、エステ等々、やっていることはほとんどマッサージ師のそれとは変わらないのに看板を変えるといいことになってしまう。また、マッサージ」」と看板をかけていても助手扱いで雇用し、無資格のままマッサージを行わせている治療院や病院が多く存在します。これらの現状は、視覚障害者を単に排除するだけでなく、マッサージという技術の安全性や信頼性を揺るがすような深刻な問題です。
上にも書いたように、正規のルートでマッサージ師になった人は3年もの時間を使って医学知識を勉強します。これによって例えばマッサージをしてはいけないケースなども心得ているし、医療事故についても心得ています。しかし、無資格の健常者治療家はこれらを体系的に学ぶことはなく、国家資格のようなボーダーラインもなにもありません。技術がうまくて治せる人も中にはいるでしょうが、「資格」という品質保証のない危険な治療ということはいえると思います。また、彼らは法律による規制をまったく受けないので、広告、宣伝にも制限を受けません。このことによって過剰広告や事実とは異なった治療効果をうたう広告なども可能なわけです。これによって広告制限のある有資格マッサージの広告などは埋もれてしまって危険性の高い各種療法に患者が飛びつくことになるわけです。
その他の仕事
理学療法士
視覚障害があっても理学療法士になることは可能です。…というよりも欠格事項の改正によって医師にもなれることになっています。
医師については最近のことなので、ほとんどその事例はないのですが、理学療法士に関してはいくつかの盲学校で理学療法科が設けられているくらいで、視覚障害理学療法士は存在します。しかし、ここにも矛盾はあります。私は強度の弱視ですが、高校生の頃、進路相談等で理学療法士を希望したことがあります。そのときは盲学校高等部の進路指導担当者は視力を理由に反対しました。実際に2校ほど進学したい理学療法学科に相談に行ったこともありましたが、そこでも視力を理由に反対されました。…ということは、理学療法士というのは視覚障害者の職とはいえないということです。ごく軽い程度の視覚障害者しかいけない学科、それが盲学校の中に存在するのです。それは理学療法という仕事の難しさや実習の苦労などはあるでしょう。しかし、露骨に視力を理由に進学に制限があるのでは何のための盲学校化はわかりませんね。
企業で働く
法律によって障害者を雇用しなければならないことになっています。視覚障害も勿論この対象です。しかし、「差別」は存在します。
視覚障害者は昔こそ事務作業やいろいろな場面で制限を受けることは多かったことでしょう。現在は弱視者は拡大読書機やルーペの進歩、また、全盲でも、PC操作は音声ソフトやピンディスプレイ、点字プリンタやスキャナ等の技術の進歩でだいぶできることは増えてきていると思います。
しかしながら、正社員として、健常者と変わらない条件で働いている障害者など聞いたことがありません。一部の軽度な弱視者ならそういうケースもあるのかもしれませんが、ほとんどのケースで契約社員扱い、1年更新、という雇用形態が多いようです。給与面でも明らかに他の健常者と差をつけるケースが多いようです。知人によれば、結婚している男性はまず採用されないとか。
また、特別子会社という制度を使って障害者を雇用し、給与も低い水準に抑えているケースも多いようです。