その他(アンソロジー等)
茶色のタイトルをクリックすると、感想へ飛びます♪

イギリスのアンソロジー
 イギリス恐怖小説傑作選ちくま文庫
 怪談の悦び創元推理文庫
 怪奇礼讃創元推理文庫
 笑いの遊歩道 イギリス・ユーモア文学傑作選白水Uブックス
 英国鉄道文学傑作選ちくま文庫
 イギリス怪奇傑作集福武文庫
 猫は跳ぶ−イギリス怪奇傑作集福武文庫
 英国短篇小説の愉しみ 1 看板描きと水晶の魚筑摩書房
 英国短篇小説の愉しみ 2 小さな吹雪の国の冒険筑摩書房
 英国短篇小説の愉しみ 3 輝く草地筑摩書房
英・米のアンソロジー
 どこにもない国 現代アメリカ幻想小説集松柏社
 憑かれた鏡 エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談河出書房新社
 恐怖の愉しみ 上創元推理文庫
 恐怖の愉しみ 下創元推理文庫
 ロアルド・ダールの幽霊物語 (英米、他)ハヤカワ文庫
 魔法のお店 (英米、他)奇想天外社
 淑やかな悪夢 −英米女流怪談集−東京創元社
 猫文学大全 (英米、他)河出文庫
 マリナー氏ご紹介/トッパー氏の冒険筑摩書房
 怪奇小説傑作集 1創元推理文庫
 怪奇小説傑作集 2創元推理文庫
 怪奇小説傑作集 3創元推理文庫
 怪奇小説の世紀 第1巻 夢魔の家 (英米、他)国書刊行会
 怪奇小説の世紀 第2巻 がらんどうの男 (英米、他)国書刊行会
 怪奇小説の世紀 第3巻 夜の怪 (英米、他)国書刊行会
 世界ショートショート傑作選1講談社文庫
 世界ショートショート傑作選2講談社文庫
 世界ショートショート傑作選3 (英米、他)講談社文庫
 クレージー・ユーモア 海外SF傑作選講談社文庫
 幻想と怪奇1 英米怪談集ハヤカワポケミス
 幻想と怪奇2 英米怪談集ハヤカワポケミス
その他の国のアンソロジー
 謎の物語 (英米・日本、他)筑摩書房
 ウィーン世紀末文学選 (オーストリア)岩波文庫
 フランス短篇傑作集岩波文庫
 怪奇小説傑作集 4 (フランス)創元推理文庫




「どこにもない国」 柴田元幸 編訳(松柏社 2006.6.15)
 アメリカの作家を中心に集めた、現代の幻想小説の短編集。9編収録。
 収録作品…
  「地下堂の査察」エリック・マコーマック「“Do You Love Me?”」ピーター・ケアリー
  「どこへ行くの、どこ行ってたの?」ジョイス・キャロル・オーツ「失われた物語たちの墓」ウィリエム・T・ヴォルマン
  「見えないショッピング・モール」ケン・カルファス、   「魔法」レベッカ・ブラウン「雪人間」スティーヴン・ミルハウザー
  「下層土」ニコルソン・ベイカー「ザ・ホルトラク」ケリー・リンク


 タイトルどおり、どこかにありそうでどこにもない、不思議な場所を描いた作品が多いですね。 現代の幻想小説…ここに収録されているような感じの作品のが好きかと問われると ちょい微妙なんですが、それなりに楽しめました。一番好きなのが唯一既読の 「雪人間」、それから「見えないショッピング・モール」、あとは「魔法」、 「ザ・ホルトラク」とかです。手元にもう本がなくて あらすじを正確に書けないので書きませんが(^_^;)、どこにもないとはいえ それほど突拍子なくはない話(?)の方が好きなのです…。
 まぁ個人的にこういう作品はまとめて読むより、 あちこちでちょこちょこ不意に遭遇する方が良い感じですね(あくまで個人的にはですが(^_^;))。 なんとなく身の置き所のない不安や不吉な感じの漂う不思議な 場所をさまよってみたい方は、本当に楽しめると思います。



「イギリス恐怖小説傑作選」 南條竹則 編訳(ちくま文庫 2005.11.10)
 イギリスの作家による恐怖小説短篇。14編収録。
 収録作品…
  「林檎の谷」ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「目隠し遊び」H・R・ウェイクフィールド
  「小さな幽霊」ヒュー・ウォルポール「蜂の巣箱」アーサー・キラ=クーチ
  「ブリケット窪地」エイミアス・ノースコット「不案内な幽霊」H・G・ウェルズ
  「人殺しのヴァイオリン」「地より出でたる」アーサー・マッケン「断章」ジョージ・ゴードン・バイロン
  「ヘンリとロウィーナの物語」M・P・シール「見た男」エクス=プライヴェート・エクス
  「窃盗の意図をもって」アルジャノン・ブラックウッド「罌粟の香り」マージョリー・ボウエン
  「闇の桂冠」フランシス・トムスン


 イギリスの、どっちかといったら古めの作家の恐怖短篇。 恐怖というか、不思議で奇妙な怖い話といった感じ。そういうのが好きだったら、楽しめる本です。 古い小説は、恐怖にも人間臭さというかなんというか、温かみがありますね。
 作品はどれも素晴らしいのに、訳者の個人的な感想まで作品の冒頭で読まされるってのが 毎度のことながら興醒め。こういうのって、何も先入観を持たずに読むからこそ、楽しくもあり 恐怖でもあると思うんですけど……私はね(寂笑)
 以下に、少しですがお気に入りの作品の感想を♪

「目隠し遊び」 H・R・ウェイクフィールド
 ローン屋敷と呼ばれる古い屋敷を格安で購入したコート氏は、夕暮れ迫る中一人で屋敷を訪れた。 だが、中に入ったコート氏を待っていたものは…。
 ホントに短いお話で、なにがどうというわけでもないのに、背筋を冷たいものが走るような恐怖ですね…。

「小さな幽霊」 ヒュー・ウォルポール
 親友を失った喪失感から立ち直れずにいた私は、ある時招かれたボールドウィン夫妻の屋敷で 奇妙な体験をする。自分が泊まった部屋に何か奇妙な親近感を覚えと同時に、何か自分以外のものが いるような気がしたのだった…。
 ちょと長めのお話。幽霊でも、こういうお話ならいいですね。慰めが必要な者同士のささやかな交感。 ちょとじーんとくるラストです。

「見た男」 エクス=プライヴェート・エクス
 私はここ数年ふつりと見かけなくなってしまったサイモン・クラッチレーという男のいわくありげな 隠居のことが気になり、事情を知る友人に話を聞くことにした。 聞けば数年前、フランスでの出来事が彼に打撃を与えたらしいのだが…。
 彼の見たものとは…? ありがちかもしれませんが、はっきり語ってないところが逆に怖いですね…。
 ところで作者はまたの名を(?)A・M・バレイジ。かなり私好みな作家なんですが、やっぱ一般的には マイナーすぎですね…(^_^;)

「罌粟(けし)の香り」 マージョリー・ボウエン
 かつて一族が暮らしていた古い家を受け継いだメイトランドは、その家に泊まってみることにした。 だがその家はなにか、いわくのあるらしい雰囲気があった…。
 眠気を、そして何か別のものを誘うかのようなけし畑…。メイトランドの 意識を淡々と追うだけの展開が、幻想的で怖いですね…。



「怪談の悦び」 H・R・ウェイクフィールド他/南條竹則 編訳(創元推理文庫 1992.10.30)
 英国の正統派怪談のアンソロジー。13編収録。
 収録作品…
  「ダンカスターの十七番ホール」H・R・ウェイクフィールド「魔性の夫」エリザベス・ボウエン
  「棺桶屋」リチャード・ミドルトン「青の無言劇」アーサー・キラ=クーチ
  「深き淵より」ロジャー・ペイター「天国」メイ・シンクレア「ゼリューシャ」M・P・シール
  「ウルヴァーデン城」グラント・アレン「マダム・ジャンの商売」ヴィンセント・オサリヴァン
  「なくした部屋」フィッツ=ジェイムズ・オブライエン「羊飼いの息子」リチャード・ミドルトン
  「「彼等」」ラドヤード・キップリング「中国魔術」アルジャノン・ブラックウッド


 怪談つっても怪奇小説と変わりないですが…(違いなぞ誰が知る(^_^;))。好きな 人間にはたまらないような、英国風の古い奇妙なお話ばかりです。とはいえ、私好みのお話は少なかったですが…。
 しっかしこのタイトル(^_^;) さらに常々作品の冒頭になぞ解説つけんでいーわいと思ってるところ、 その上編者の個人的な思い入れたっぷりの昔話。こんな風に頻々と繰り返されると、あんまり気分のいいものじゃないですね。 …ってまあ、うだうだ文句つけてみたところでこの本は絶版です。
 「棺桶屋」、「羊飼いの息子」だけ既読。以下にお気に入りの感想を。

「ダンカスターの十七番ホール」 H・R・ウェイクフィールド
 田舎の村ダンカスターにあるゴルフ場の17番ホールには、何か不吉な空気が漂っていた。 特に難しいホールでもないのに、打数をオーバーする者が続出。支配人バクスター氏が 17番ホールの使用中止を考え始めた矢先、事件は起こった…。
 ゴルフ場作る前には、地元の噂を聞いといた方が身のためってことですね〜(^_^;) まあ、確かに ありがちな話ではありますが…。

「天国」 メイ・シンクレア
 母の意向にそわないという理由だけで、好きだった女性と結婚しなかったセッションズ氏。 彼は死んでから、天国に来たことは来たのだが…。
 やな天国(-_-) というかまあ、生きてた時次第なんですね。セッションズ氏みたいな人じゃ、 最後に辿り着いた天国もやっぱりどこか不安な気がするんですが…(^_^;)

「「彼等」」 ラドヤード・キップリング
 まだ珍しい自動車で旅をしていたわたしは、州を超えて見知らぬ森へ迷い込んでしまった。 そこにはとても美しい屋敷と庭があり、盲目の婦人が住んでいた。そして彼女の周りにはいつも、 たくさんの子供の気配があった…。
 中編です。美しくて、とても切ないお話です。いつも庭に見え隠れするのに、近寄ってこない子供たち…。 "わたし"がどんな境遇なのかは作中には書いてないのですが、それでもあの結末ですべてが分かりますね。 これがいちばん好きな作品です。



「憑かれた鏡」エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談 E・ゴーリー編 (河出書房新社 2006.8.30)
 アメリカの画家エドワード・ゴーリーが厳選した、英米の12の怪談。
 収録作品…
  「空家」A・ブラックウッド「八月の炎暑」W・F・ハーヴィ
  「信号手」ディケンズ「豪州からの客」L・P・ハートリー
  「十三本目の木」R・H・モールデン「死体泥棒」R・L・スティーヴンスン
  「大理石の体」E・ネズビット「判事の家」B・ストーカー
  「亡霊の影」T・フッド「猿の手」W・W・ジェイコブズ
  「夢の女」W・コリンズ「古代文字の秘法」M・R・ジェイムズ


 もともと挿絵画家だったゴーリーが、自ら挿絵はもちろん編集も手がけた短編集です。 けっこう日本でも知られた作家ばかり(と思うのは自分だけか…)を集めた怪談(怪奇小説、奇妙な話、幽霊話…そんな類)ばかりで、 どんな好みの人も楽しめそうな、レベルの高いお話ばかりの本ですね。 各編にゴーリーの扉絵がついていて、これも好きな人間にはたまらないところですけれど。 個人的に「八月の炎暑」「信号手」「死体泥棒」「猿の手」「夢の女」「古代文字の秘法」が既読で、 それ以外のお気に入りの感想を以下に。

「空家」
 かつてそこで恐ろしい殺人事件が起こった家は、借り手もないままずっと空き家となっていた。 物好きなジュリア叔母はその家の鍵を手に入れ、ちょうど彼女の元へ週末を過ごしに来た ショートハウスを連れ、その空き家で一晩過ごすという計画を立てた…。
 いい年して何をやっているのだかという感じの二人ですが、イギリスでは普通なのでしょうか(^_^;)  禍々しい空気がどろどろと渦巻く空家。何か出そうで出てこない、この空気がいいですね。 かえって出てしまった後が意外とあっさりな気がするのが不思議かも…(^_^;)

「大理石の体」
 私は新妻のローラを連れ、閑静な田舎の古い家に引っ越した。その家の近くの教会には 大理石でできた二人の騎士の彫像があったが、そこには家の過去にまつわる恐ろしい言い伝えがあった…。
 タイトルの「体」っていう字がもっと古い字なんですが出ません(爆) ひやっとした大理石の体を思うと、 背筋が寒くなるようなお話。大理石だからいいんだろうなぁこれ…。

「判事の家」
 卒業試験のための勉強に集中すべく田舎の一軒家を借りたマルコムソンは、そこがかつて 厳しい判決を言い渡すことで知られた判事の家だったときかされる。やがてそこに住み始めた彼は、 夜中になるとおびただしい数の鼠に悩まされるようになる…。
 「鼠」って漢字で書かれてるとなんか怖いです(笑) 何故鼠なのかが分からないんですけど、 こんな家にはあまり住みたくないですな。でも医者があんなこと吹き込まなかったら、実はあんな事件も 起こらなかったのかもと思うと、そっちの方が怖いかも(^_^;)



「恐怖の愉しみ」上 レ・ファニュ 他/平井呈一 編訳(創元推理文庫 1985.5.3)
 英米の怪奇小説の傑作集。上巻には十二編収録。
 収録作品…
  「ミセス・ヴィールの幽霊」ダニエル・デフォー「消えちゃった」A・E・コッパード
  「希望荘」メイ・シンクレア「防人」H・R・ウエイクフィールド
  「チャールズ・リンクワースの懺悔」E・F・ベンスン「ブライトン街道で」リチャード・ミドルトン
  「見えない眼」エルクマン・シャトリアン「象牙の骨牌」A・M・バレイジ
  「クロウル奥方の幽霊」レ・ファニュ「ラント夫人」ヒュー・ウォルポール
  「慎重な夫婦」ソープ・マックラスキー「手招く美女」オリヴァー・オニオンズ


 どれもちょっと怖くて不思議な物語♪ 幽霊話が多いですね。このアンソロジーは、翻訳家の故平井呈一氏の手になるもの。翻訳がちょと独特なので、 好き嫌いがあるかもしれませんね。私は…他のことはともかく、英語の方言を日本の方言(大阪弁とか)に 置き換えるのだけはどうか勘弁してほしいです(爆) あと例によって、各作品の前に作品についての 解説があります。そ〜ゆ〜の読む前にやられると引くので後で読もうと思って飛ばすともう、 戻ってまで読む気が起きない…のは私だけか(^_^;)
 ま、どちらにしてもこのアンソロジー、上下とも残念ながら絶版…だと思います。上下対になってる ひらいたかこさんの表紙がとても素敵。もちろん、怪奇小説なりに…ですが(笑)
 さて、以下にお気に入りの感想を♪ 「ブライトン街道で」(リチャード・ミドルトン)は 既読、「クロウル奥方の幽霊」(レ・ファニュ)は以前の感想をどうぞ♪  この本でこの作品を読むのは、ちと方言がキツイかもしれません(^_^;) 
 下巻に続きます。

「希望荘」 メイ・シンクレア
 結婚したばかりの私のために夫が用意してくれたのは、希望荘という名の別荘だった。 だがその家で、彼の前の妻が結婚当夜に不可解な死を遂げていたことを知った私は、 徐々に不安になり始める…。
 幽霊よりもっと怖いもの。皮肉な名前の別荘ですね。この後どうなったんだか気になります…(^_^;)

「防人」 H・R・ウエイクフィールド
 ブリントンは友人のランダーに、誰も住みつく者がないという幽霊屋敷の話を聞く。興味を覚えたブリントンは、 その屋敷を案内してもらうことにしたのだが…。
 短いし、よくある話なんですが…。幽霊だったのでしょうか? 薄気味の悪い話です(-_-;)

「象牙の骨牌」 A・M・バレイジ
 サットウェル卿のお屋敷の女中頭だった母は、ある日幼いわたしを屋敷へ連れて行ったことがあった。 屋敷には"開けずの部屋"になっている場所があり、そのドアにはいつも鍵がかかっていたのだが…。
 放蕩者と吝嗇家を交互に輩出するサットウェル家。わたしが開けずの部屋に誘い込まれた後の展開が、 ユーモアがあってなかなか良いです♪ A・M・バレイジの作品はどれも気に入ってますが、 これも雰囲気のあるいいお話でした(^_^)

「ラント夫人」 ヒュー・ウォルポール
 「きみは幽霊というものを信じますか?」…売れない小説家のランシマンにそう問い掛けた私は、 彼が経験した奇妙な体験を聞くことになる。それは彼がある日、無名の作家ラントの家に招かれた時の 話だった…。
 まるで穴ぐらのような不気味な家で、何かを恐れているラント。そしてちょうど1年前に死んだという ラント夫人。よく知らない人の家には、招かれてもほいほい行っちゃいかんということですかね(^_^;)  真相は分かっても、なんとなく釈然としない気持ちの悪さが残るお話です。

「慎重な夫婦」 ソープ・マックラスキー
 真夜中の豪雨で車が駄目になってしまったマーヴィンは、田舎道に明かりのついた一軒家を見つける。 そこには若い夫婦がいたが、何か彼を家に入れるのを妙にためらっているような感じがあった…。
 一歩間違うとばかばかしいんですけど、やっぱこういうの好きですね♪ 幽霊にお説教するマーヴィンが なかなかよいです。結局なるようになったけど、妙に暖かい気持ちになれるラスト(^_^)



「恐怖の愉しみ」下 デ・ラ・メア 他/平井呈一 編訳(創元推理文庫 1985.5.31)
 英米の怪奇小説の傑作集。下巻には十二編収録。
 収録作品…
  「失踪」ウォルター・デ・ラ・メア「色絵の皿」マージョリ・ボウエン「壁画のなかの顔」アーノルド・スミス
  「一対の手―ある老嬢の怪談―」アーサー・キラ=クーチ「徴税所」W・W・ジェイコブズ
  「角店」シンシア・アスキス「誰が呼んだ?」ジェイムズ・レイヴァー「二人提督」ジョン・メカトーフ
  「シャーロットの鏡」ロバート・H・ベンスン「ジャーミン街奇譚」A・J・アラン
  「幽霊駅馬車」アメリア・B・エドワーズ「南西の部屋」メアリ・E・ウィルキンズ=フリーマン


 下巻も幽霊話が目白押し♪ とはいえ、幽霊話だけ続くとちと飽きてくるのですが…(^_^;) ま、これも上巻ともども 絶版だと思います。
 下巻の収録作品には私好みの話(?)がちと少なかったです。でも以下に お気に入りの感想を。「角店」(シンシア・アスキス)は以前の感想をどうぞ。

「色絵の皿」 マージョリ・ボウエン
 ダービー焼のコレクションにたった一枚だけ足りなかった皿を求め、マーサは変わり者のお婆さんが住むという 屋敷に向かった。そこは幽霊が出るとも噂されており、マーサはそちらにも興味があったのだが…。
 そこまでしてコレクションを完成させたいかどうか(^_^;) かといって返すのももったいないような(爆)

「一対の手―ある老嬢の怪談―」 アーサー・キラ=クーチ
 エミリーおばさんは貧乏だった頃、家賃が安いのでいわく付きの家を借りて住むことにした。 そこに住むものは必ずミセス・カーキークを奉公人として雇わなければならないという条件が付いていた。 優秀な奉公人であるミセス・カーキークと、初めは上手くやっていたエミリーだったが…。
 なんだかいじらしい幽霊。ちょとほろりとさせられるいいお話です(T_T)

「徴税所」W・W・ジェイコブズ
 住む者に必ず死人が出るという屋敷に、4人の男たちが肝試しに向かった。初めは強がっていた 彼らだったが……。
 忍び寄る不安と狂気。4人に一体何が起きたのか、ホントに幽霊だったのかどうか…。イヤ〜な 気持ちの悪さの残るお話です(^_^;)

「幽霊駅馬車」 アメリア・B・エドワーズ
 雪の夜に道に迷ってしまったわたしは、世に背を向けた老哲学者の家へと辿り付いた。 そこで遠からずやってくるという駅馬車を教えてもらい、乗り込んだ私だったが…。
 気持ち悪い〜(ToT) わざと教えられたんでしょか。幽霊駅馬車って、見る人がいなくても 通ってるのかな…?(^_^;)



「怪奇礼賛」 E・F・ベンスン 他/中野善生、吉村満美子 訳(創元推理文庫 2004.7.30)
 19世紀末〜20世紀半ばにかけての、英国の怪奇小説のアンソロジー。22編収録。
 収録作品…
  「塔」マーガニタ・ラスキ(1915-1988)
  「失われた子供たちの谷」ウィリアム・ホープ・ホジスン(1877-1918)
  「よそ者」ヒュー・マクダーミッド(1892-1978)「跫音」E・F・ベンスン(1867-1940)
  「ばあやの話」H・R・ウェイクフィールド(1888-1964)「祖父さんの家で」ダイラン・トマス(1914-1953)
  「メアリー・アンセル」マーティン・アームストロング(1882-1974)
  「「悪魔の館」奇譚」ローザ・マルホランド(1841-1921)「谷間の幽霊」ロード・ダンセイニ(1878-1957)
  「囁く者」アルジャナン・ブラックウッド(1869-1951)「地獄への旅」ジェイムズ・ホッグ(1711-1834)
  「二時半ちょうどに」マージョリー・ボウエン(1886-1952)
  「今日と明日のはざまで」A・M・バレイジ(1889-1956)
  「髪」A・J・アラン(1883-1940)「溺れた婦人」エイドリアン・アリントン(1895-1958)
  「「ジョン・グラドウィンが言うには」」オリヴァ―・オニオンズ(1873-1961)
  「死は素敵な別れ」S・ベアリング=グールド(1834-1924)
  「昔馴染みの島」メアリ・エリザベス・ブラッドン(1835-1925)
  「オリヴァー・カーマイクル氏」エイミアス・ノースコート(1864-1932)
  「死は共に在り」メアリ・コルモンダリー(1859-1925)「ある幽霊の回顧録」G・W・ストーニア(1903-?)
  「のど斬り農場」J・D・ベリスフォード(1873-1947)


 ど〜でもいいけど、なんつーかすごい…タイトルですね(^_^;) でもすべて新訳、ほとんどが本邦初訳 という、素晴らしい(笑)英国怪奇短編集なのです♪ ここに収録されてる半分以上の作家の作品を一度は 読んでるかな〜(既読作品なし)、という程度の私の感想ですが、作品選びにかなり 凝ってる(苦労してる?)アンソロジーではないかと。
 とはいえ収録作品は、怪奇好きでもそうでなくても楽しめるような、わりと幅の広い"怪奇"かな。 ま、なんだかんだ言っても楽しければそれでいいわけで♪ これあとがきがなくて、 代わりに各編の冒頭に解説がついてますが、これ全部飛ばして後でまとめて読んだ方が、 純粋に本編を楽しめるかも…。マニアでなければ(^_^;)
 お気に入りの感想を以下に♪

「失われた子供たちの谷」 ウィリアム・ホープ・ホジスン
 もうすぐ4歳になる息子を亡くし、墓前で悲しみにくれる夫婦。そこへ見知らぬ男がやってきて、 祈りを捧げ始める。彼は自分も昔小さな娘を亡くしたといい、ある不思議な話を始めた…。
 死んだ子供たちが集まる光の谷。永遠の夏のようなところ…。静かな余韻の残る、美しくも切ないお話です。

「跫音」 E・F・ベンスン
 エジプトに住む頑なな商人ジョン・クレスウェルは、買い取った屋敷に住む老女を無理に立ち退かせた。 彼女の呪いの言葉を聞き流した彼だったが、ある日クラブからの帰り道、誰かが自分をつけてくるような 足音を聞く。最初は気にしなかった彼も、それがだんだん耳についてきて……。
 怖い話…なんですけど、たぶん日本人だったら笑ってしまいますね(^_^;) 外国にもあるんですねぇ…。

「メアリー・アンセル」 マーティン・アームストロング
 金獅子亭の女主人メアリーは、ある心の秘密を抱えていた。それはかつて結婚を誓った男との思い出で、 彼女はいつも記憶の中で彼と共に時を過ごしているのだった。そんな彼女の願いとは…。
 こんな女心も、怪奇といえば怪奇ですかね(苦笑) 切ないお話です。誰にも認められない願望も、 ひょっとしたら化けて出るものなのかもしれませんね……。

「囁く者」 アルジャナン・ブラックウッド
 作家であるジョーンズは感受性が強く、何もない部屋でないと仕事が出来なかった。ある時 従兄弟の家の屋根裏を借りて、そこで仕事をしようとする彼を奇妙な現象が襲った……。
 短いお話なんですけど、いいですね。誰かの思想を、精神を注ぎ込まれた本たち。 ま…読みもしない本をたくさんためちゃいかんということですね(笑)

「今日と明日のはざまで」 A・M・バレイジ
 チャールズ・トリマーはロンドン・ロードで新聞や煙草を売る小さな店を経営していた。ある日彼は 物乞いにやってきた親子に施しを与えるが、そのお礼として奇妙なものをもらう。それは今日と明日のはざまの時間。 もうすぐ午前零時になろうとする瞬間に、彼は奇妙な体験をすることになる…。
 こういうのいいですね(^_^) なかなかやりきれないお話ではありますが……。彼の目にするさまざまな時間が なんだかとても素敵です。

「溺れた婦人」 エイドリアン・アリントン
 引退しようと別荘を手に入れたわたしは、その家の井戸で溺れた婦人の幽霊を目にすることになる。だが誰に聞いても 幽霊が出るなどという噂のない家だった。嫌気がさしたわたしは、別荘を売りに出すのだが…。
 幽霊、だったんでしょうか? というか、確かにわたしの最後の疑問は謎ですね……。

「「ジョン・グラドウィンが言うには」」 オリヴァ―・オニオンズ
 対向車との衝突を避けようとして生垣に突っ込んだジョン・グラドウィンは、動かなくなった車を乗り捨てて 村への近道を歩き始めた。そんな彼の行く先に見えたのは荒れ果てた教会。そこで彼は鳴る筈のない鐘の音を きき、さらに懐かしい声が自分の名を呼ぶのを聞いた…。
 彼の過ごした人生の縮図。遠からずやってくる彼を呼ぶ声だったのでしょうか…。心あたたまる…けど、切ないお話です。

「死は共に在り」 メアリ・コルモンダリー
 後にわたしの義理の兄となる建築家の男は、いつも幅広の古風な襟の服を着ていた。いつものように その訳を尋ねた私に、ある日彼が教えてくれた恐ろしい理由とは……。
 壮絶なお話です(-_-) なんか犬がかわいそうな気もしますが……(^_^;)

「のど斬り農場」 J・D・ベリスフォード
 田舎で休暇を過ごそうと、とある農場へやってきたわたしだったが、そこが何故か「のど斬り農場」と 呼ばれていると聞いてぞっとする。お世辞にも待遇がいいとはいえない陰気な農場に愛想を尽かし始めた私。 だが、彼はその他にも漠とした不安を覚え始めていた…。
 まさかね(笑) ま、そうじゃなかったとしても、あまり長居はしたくない農場ですね(^_^;)



「ロアルド・ダールの幽霊物語」 ロアルド・ダール編(ハヤカワ文庫 1988.12.15)
 ロアルド・ダールが選んだゴースト・ストーリーのアンソロジー。14編収録。
 収録作品…
  「W・S」L・P・ハートリー「ハリー」ローズマリー・ティンパリ―「街角の店」シンシア・アスキス
  「地下鉄にて」E・F・ベンスン「クリスマスの出会い」ローズマリー・ティンパリ―
  「エリアスとドラウグ」ヨナス・リー「遊び相手」A・M・バレイジ
  「鳴りひびく鐘の町」ロバート・エイクマン「電話」メアリ・トリーゴールド
  「手の幽霊」J・シェリダン・レ・ファニュ「落ち葉を掃く人」Ex-プライベート・X
  「あとにならないと」イーディス・ワートン「ブライトン街道にて」リチャード・ミドルトン
  「上段寝台」F・マリオン・クロフォード


 ダールが米国の「ゴーストタイム」というTV番組の企画のために、700篇あまりの短編の中から 選んだという14編。結局このお話はなかったことになったらしいですが(^_^;) 大変な話ですね〜。 そんなわけで、集められているのは実際に幽霊の出てくるお話ばかり。イギリスの作家が多いです。
 既読作品が5作あります。以前の感想があるのは「街角の店」(「角の骨董店」)、 「エリアスとドラウグ」(「漁師とドラウグ」)、 「あとにならないと」(「あとになって」)、「上段寝台」
 しかし純然たる(?)ゴースト・ストーリーばかりで、もちろんそういうテーマで集められた話 なんだと分かってはいても、ちと暗い気持ちになりましたね…(^_^;)  以下に、上記以外のお気に入りの感想を♪

「クリスマスの出会い」 ローズマリー・ティンパリ―
 未だかつて一人きりでクリスマスを過ごしたことのなかった私は、初めて一人でクリスマスを 過ごすことになった。だが突然、自分の部屋と勘違いしたという若者が入ってくる。作家だという若者と、 私はしばし話をするが…。
 ホントに短いけど、いいお話です(^_^) 同じぞくっとする幽霊話でも、こういうのが好きです。 作者はもう一つ「ハリー」という短編も収録されていますが、そちらはホントにぞっとするお話。

「遊び相手」 A・M・バレイジ
 歴史学者のエバ―トンは、死んだ友人の8歳の娘モニカを引き取って育てることにした。 モニカはおとなしい娘だったが、ある時田舎の館に引っ越してからは人が変わったように明るくなった。 どうも彼女は、想像上の友人を作り出して一緒に遊んでいるらしいのだが…。
 子供だけに見える幽霊、というお話はけっこうあるんですが、このお話の幽霊は心あたたまる幽霊。 ぎこちなかったエバートンとモニカを近づけ、エバートン自身もこの体験によって変わっていきます。 ラストが素敵(^_^)収録作品の中では、このお話が一番好きです。
 そういえば、「落ち葉を掃く人」の変な名前の作者もバレイジのペンネームなのだとか。 どっちも好きなんですが、どちらかといえばこっち♪

「鳴りひびく鐘の町」 ロバート・エイクマン
 新婚旅行でホリヘイブンの町に泊まることになったバンステッド夫妻は、町の教会という教会が鐘を 鳴らし続けているのをみて驚く。だが町の人間は誰もその理由を教えてくれず、いつまでも止まない 鐘の音にうんざりし始める夫妻。だがそこには恐ろしい理由があった…。
 せっかくの新婚旅行も台無しの、死人も目を覚ますような鐘の音。しかしこの比喩どおりの 出来事が…。しかしこの出来事がなかったとしても、この二人の将来はちと不安だったかも…(^_^;)



「魔法のお店」 荒俣宏 編 (奇想天外社 1979.11.10)
 海外ファンタジー作品の、不思議なお店を描いたアンソロジー。11篇収録。
 収録作品…
 「われらの町で」R・A・ラファティ、「奇妙な店」ウォルター・デ・ラ・メア(英)
 「おもちゃ」ハーヴィ・ジェイコブズ(米)「マルツェラン氏の店」ヤン・ヴァイス(チェコ)
 「魔法の店」H・G・ウェルズ(英)「ピフィングカップ」A・E・コッパード(英)
 「角の骨董店」シンシア・アスキス(英)「支那のふしぎな薬種店」フランク・オーエン(米)
 「小鬼の市」クリスティーナ・ロゼッティ(英)「瓶の中の船」P・スカイラー・ミラー(米)
 「ショトルボップ」シオドア・スタージョン(米)


 この本は不思議なお店を描いたファンタジーのアンソロジー。描くものが変われば、怪奇も ファンタジー…というか、紙一重かな(^_^;) 作者だけ見ると、怪奇小説作家が多い気が…。どれも 素敵(で、ちょい奇妙)なお話ばかり。手狭な店いっぱいにぎっしりと詰め込まれたいわくありげな 品々って、考えただけでわくわくしてしまいます♪ よくこれだけの作品を集めたな〜と感心しきり。 その上、まりのるうにい氏の表紙がすっごく素敵です(*^^*)(実は それに惹かれて買った…)
 この本は例によって…絶版です(x_x)。ちくま文庫版(内容が少々違うようですが)も あるんですが、こちらもたぶん絶版(-_-) 以下にお気に入りの感想を♪ 

「奇妙な店」ウォルター・デ・ラ・メア
 道を尋ねようと小さな店に入った客は、店主から不思議な箱を見せられる。店主に言われてそれに耳を当てた客は、中から様々な音が聞こえてくるのに驚く。そこは、小さくてささやかな音を売る店だった…。
 かすかな音に呼び覚まされる記憶…。茶匙から滴るミルクの音、サクラ草が花びらを開く音…。ホントにこんな音を好きなだけ聞けたらいいでしょうね。とても素敵なお話です(T_T)

「おもちゃ」ハーヴィー・ジェイコブズ
 ふと目にとまったトラックのおもちゃ。骨董屋のショーウィンドウに並べられたそれは、ハリーが二十年も前に使ったおもちゃだった。懐かしさのあまり店に入ると、そこには彼がかつて使ったおもちゃがすべて並べられれていた……。
 そんなお店に入って、しかもどれか一つしか買っちゃいけないと言われたら、誰だって泣き出したくなりますね(T_T) とても短いですが、とてもいいお話(T_T)

「魔法の店」H・G・ウェルズ
 わたしは何度か見かけたことのある店に、手品のタネを買ってやろうと息子のジップを連れて入った。 出てきた店員は、本当にタネも仕掛けもないような魔法を二人の目の前で繰り広げ始めたが…。
 これだけ既読です。魅了されると同時に、引き返せない怖さを持っているような魔法の店。ちょこっと覗いて見たい気がします。

「角の骨董店」シンシア・アスキス
 友人への贈り物を探しに骨董屋へ足を運んだ私は、店の暖かい雰囲気が気に入り、 数日後再びそこを訪れた。だが2回目は打って変わって寒々しい雰囲気で、出てきた店員もまったく違っていた。 不審の念に駆られながら奇妙な蛙の置物を一つ買うが、後々それは大変な価値のあるものだと分かる…。
 中編です。モノより人(…というか人の行為)にいわくのある、不思議なストーリー。純粋で素敵な お話…ですが、やっぱりこのオチが決め手(^_^;)

「支那のふしぎな薬種店」フランク・オーエン
 若くして人生の快楽を味わい尽くしたパンタンは、杭州にあるという「創業千年を誇る薬種の店」を 訪れた。不老不死の薬さえ発明したという店主のジェンフー博士は、そんな彼に石化した美しい少女を見せる…。
 中国名の漢字が変換できません(^_^;) いかにもあやしい中国ならではという感じのお話。 薬草の香りさえ漂ってくるようなこの雰囲気がすごくいいです。

「ショトルボップ」シオドア・スタージョン
 恋人に婚約破棄されて落ちこんでいたぼくは、目についた様々な瓶を売る店に入った。どんな望みでも 叶えるものが入っているという瓶に半信半疑のぼくだったが、渡された一つの瓶を持ち帰る。 中身を飲み干したぼくの目に飛び込んできたのは、幽霊たちがひしめく世界だった…。
 変なタイトルですが、「ボトルショップ」のアナグラムなんですね。瓶の中身を飲み干した後に見える 幽霊の世界が気味悪いけど惹かれます。妖しい美しさというか…。そしてなんとも 皮肉な(妥当な?)結末。いいですね〜。



「笑いの遊歩道 イギリス・ユーモア文学傑作選」澤村灌・高儀進 編 (白水Uブックス 90.3.5)
イギリスの “ユーモア”文学を集めたアンソロジー。収録作品以下。
C・ディケンズ「ミンズ氏といとこ」/アントニー・トロロプ「パナマへの船旅」/サキ「お茶」
P・G・ウッドハウス「ちょっとした芸術」/J・B・モートン「ボールトン・ウィンフィーヴァーズの生活」
ロバート・グレイヴズ「土を土に」/イーブリン・ウォー「勝ったものがみな貰う」/H・E・ベイツ「歌う猫」
フラン・オブライエン「ジョン・ダフィーの弟」/ドリス・レッシング「歓び」/キングズリー・エイミス「道義心」
ジョン・ウェイン「文学・哲学・討論愛好会でのスピーチ」


→ひとくちにユーモアといっても、本当にさまざまですね。こういうのをたまに読むと、ストレスが たまらなくていいです(笑)。手放しで面白おかしいナンセンスなのから、皮肉なのやブラック・ユーモア… 書き出すときりがないので、好きな作品を以下に。

「ミンズ氏といとこ」 ディケンズ
独身の中年男ミンズ氏は、几帳面で交際嫌いで、ちょっとばかり堅苦しいことで有名。でも彼との交際が 息子のために有利と考えたミンズ氏のいとこが、彼を夕食に招いたから大変…。
 何も考えなくても、おかしくて仕方ないです。ディケンズのこういう作品は大好き♪

「お茶」 サキ
いつかは自分も結婚すると信じて疑わなかったジェイムズ・カシャット=プリンクリー氏だったが、 34歳まで自分の人生観にぴったりの女性を見つけることができずにいた。彼は紅茶を飲むとき、女性に 砂糖やらミルクやらクリームやらについて、くどくど聞かれるのだけはまっぴらなのだ。やがてそんな彼も、 ジョーアンと婚約までこぎつけるが…。
→皮肉な結末に、しょうがないよね(笑)、という感じのさびしい笑みを浮かべてしまうのは私だけかな。 サキの作品は、最後の一行を読むまで本当に分かりません。でも、これは以前読んだことがあるので…。

「ちょっとした芸術」 P・G・ウッドハウス
ウスターが熱を上げているペンドルベリー嬢が、こともあろうに彼の家の前で恋敵のピムを車で 轢いてしまった。ピムはウスターの家に担ぎ込まれ、絶対安静の宣告を受けて彼の家に居座ってしまう。 その上ペンドルベリー嬢を気遣ったピムが、自分はウスターに轢かれたことにしてくれと彼に頼み込む。 お人よしのウスターはそれを承知してしまうが、やがて思いもよらない騒ぎに…。
→ウスターが笑わせてくれます。お人よし過ぎるせいでひどい目にあってばかりで、普通なら暗いラストに なってしまいそう。でも彼の底抜けの明るさがそれを救っています。

「土を土に」 ロバート・グレイヴズ
ポテトを栽培するための土作りに情熱を燃やすヘッジ夫妻。彼らは物資の不足しがちな戦時下に、土を 肥やすために必死で有機物をかき集める。枯れた草花、古着、猫の死体…拾えるものは何でも拾い、 いつしかポテトの栽培もそっちのけで二人は土作りに没頭していく…。
→いいです……。怖くて(笑) あんまり言うとまずいので言いませんが。

「歌う猫」 H・E・ベイツ
ウィットモアが昼寝から目覚めると、飼い猫のスージーが歌っていた。シューベルトの「鱒」の一節を。 びっくりした彼は恋人のミス・ベインズに電話をかけるが、彼女はぜんぜん信じてくれない…。
→歌うわけないでしょぉ〜猫が〜、とか言ってると、人生どれだけ損をするか、というお話。………たぶん。

「文学・哲学・討論愛好会でのスピーチ」 ジョン・ウェイン
討論愛好会での“私”のスピーチ。ある日突然至福とも言える眠りを体験した彼は、以来眠ることが 趣味になってしまった。さまざまな眠りを体験している彼の、究極の願いとは……。
→この“私”の願いは、誰もが一度は考えるのではないでしょうか。特に、大人になってから……。



「英国鉄道文学傑作選」 小池滋 編 (ちくま文庫 2000.5.10)
鉄道を生み出した国、イギリスの作家による鉄道と人々の関わりを描いた作品集。
収録作家
エッセイ…C・ダイメント(1914‐71)、C・H・エリス(1909‐ )
短編…C・ディケンズ(1812‐70)、D・H・ロレンス(1885‐1930)、ジョン・ウェイン(1925‐94)、
J・バーンズ(1946‐ )
詩…W・ワーズワース(1770‐1850)、T・ハーディ(1840‐1928)、R・L・スティーヴンソン(1850‐94)、
R・ブルック(1887‐1915)、R・オールディントン(1892‐1962)、E・トマス(1878‐1917)、
J・デイヴィッドソン(1857‐1909)、K・タイナン(1861‐1931)、T・S・エリオット(1888‐1965)
W・H・オーデン(1907‐73)、S・スペンダー(1909‐95)、P・ラーキン(1922−85)


→世界初の旅客列車「ロケット号」が、1830年にイギリスのマンチェスターとリヴァプールの間を 時速47キロで走ったというのは、今これを読んだ方なら誰でもご存知だと思います(笑)。世界初の 鉄道を生み出した国は、世界で初めて鉄道文学を生み出した国でもあるのですね♪ 鉄道文学っていっても、 特にそんなカテゴリーがあるわけじゃないと思うんですが、この本は有名な作家の作品の中から、鉄道に 関わりの深いものを集めたものです。蒸気機関車からユーロスターまで、いろんな鉄道の車窓からの風景、 車内の出来事など楽しめます。私は特に鉄道が好きなわけでもないんですけど、この本を読むと、電車で 旅をしてみたくなりますね〜。何度も乗った懐かしい電車のことを思い出してみたり。
とにかくいっぱい収録されてるので、ひとつひとつの感想は書きません。でも、やっぱり一番好きなのは、 この中で唯一読んだことのあるディケンズの短編、「信号手」です。ぞっとします。あと「汽車ごっこ」 (ダイメント)もほのぼのしていて良いですし、「乗車券を拝見」(ロレンス)も面白いです。 「おやすみ、かわいいデイジー」(ジョン・ウェイン)も、分かってるけどだまされたい、感動的なお話。 でも一番想像力をかき立てられるのは、詩のような気がします。ハーディの「グレイト・ウェスタン鉄道の夜汽車」、 良いです〜。「鉄道猫スキンブルシャンクス」(エリオット)も面白いですし…と書いていくともうきりがないので この辺で(^_^;)。この本を持って、イギリスを電車(できれば汽車の方が良いですが)で旅することができたら、 最高ですね(T_T)



「イギリス怪奇傑作集」 W・W・ジェイコブズ 他/橋本槙矩,宮尾洋史 共訳(福武文庫 91.12.10)
 英国の19世紀初頭〜20世紀半ばの怪奇小説のアンソロジー。8編収録
 収録作品…「園芸上手」R・C・クック(生没年不詳)、
   「黒い沼地のブラウニー」ジェイムズ・ホッグ(1770-1835)、
   「ハンサムなレディ」A・E・コパード(1878-1957)、
   「モロウビー・ジュークスの不思議な旅」ラディヤード・キプリング(1865-1936)、
   「毒瓶」L・P・ハートリイ(1895-1972)、「ラズベリージャム」アンガス・ウィルソン、
   「スミー」A・M・バレイジ(1889-1956)、「人殺し」W・W・ジェイコブズ(1963-1943)


 やっぱり英国の怪奇小説は素晴らしいですね〜(ToT) 怪奇小説、といっても そこにはかなりの濃淡(?)があります。誰が読んでも怪奇なものから、人によっては 純文学に分類するようなものまで。この本はまさにそのグラデーションの小見本という感じ。 この本は絶版(また…(-_-;))ですが、収録されている 作家の作品は他のアンソロジー等で読めます。作者名の表記がいろいろ ですけど、全て本の表記の通り。以下にお気に入りの感想を♪ 

「園芸上手」 R・C・クック
 一人暮らしのボウエン夫人は、園芸上手を自負していた。彼女が庭に植えたものは何でも根付き、 ぐんぐん育っていくのだった。彼女はある日冗談に、乾ききった薪を1本植えてみるのだが…。
 怖いです(T_T) 園芸上手を自賛するちょと鼻持ちならないボウエン夫人。植物だけならまだしも、 やがて埋めた自分の髪の毛が繁茂し、捨てた骨からうさぎが生え、さらに……(T_T)
 ちなみに作者は、日本ではミステリ作家としての方が有名なレオ・ブルースの本名。ミステリの作風を知っていると、 意外で面白いかも…。

「黒い沼地のブラウニー」 ジェイムズ・ホッグ
 領主スプロッツ家の奥方レディ・フィルホープは、わがままで残忍なことで知られていた。 気に入らない奉公人を殺してしまったりしていたのだが、ある時領主が雇ったメロダッハという 奉公人を深く憎むようになる。だが、メロダッハの方も一筋縄ではいかない男だった…。
 人は深く愛した人間と同様、深く憎んだ人間からも離れられなくなってしまうのですね(T_T)  恐ろしい物語です……(>_<)

「モロウビー・ジュークスの不思議な旅」 ラディヤード・キプリング
 インドで暮らしていたジュークスは、ある日砂漠でふとしたことから奇妙な場所に迷い込んでしまう。 そこは死にかけて再び息を吹き返した人間たちが捨てられる場所で、川や流砂に取り巻かれ 決して抜け出ることのできない、生者とも死者ともつかない者たちの村だった…。
 インドの奇妙な場所の異様な雰囲気がいいですね〜。妙にスリルのある話でした。

「毒瓶」 L・P・ハートリイ
 昆虫採集が趣味のリンタルは、友人のロロ・ヴァーデューに招かれ、彼の兄ランドルフの 城で休暇を過ごすことにした。古くて堅固な城には、少々変わり者と噂されるランドルフがおり、 リンタルの持つ昆虫を殺す毒瓶に興味を持っていた…。
 この古城の雰囲気がなかなかいいです。ちょとミステリっぽいですね♪ ハートリイの作品は今まで何度かアンソロジーで目にしてますけど、けっこう好みの作家かも(^_^)

「スミー」 A・M・バレイジ
 招かれた家で暗闇で行われる「スミー」というかくれんぼに似たゲームをしたジャクソンたちは、 奇妙な空気を感じていた。暗闇に何故かいないはずの十三人目の人間の気配がするのだったが…。
 「スミー」というゲームは初めて聞きましたけど、面白そうです(*^^*) 落ちは読めたけど、それでも 最後の一文にぞっとしてしまうお話。怪談ぽいですね。



「猫は跳ぶ−イギリス怪奇傑作集」 エリザベス・ボウエン 他/橋本槙矩 訳(福武文庫 1990.7.13)
 英国の18〜20世紀の怪奇小説のアンソロジー。9編収録
   収録作品…「革の漏斗」コナン・ドイル(1859-1930)、
   「故エルヴィシャム氏の物語」H・G・ウェルズ(1866-1946)、
   「ある古衣の物語」ヘンリー・ジェイムズ(1843-1916)、
   「猫は跳ぶ」エリザベス・ボウエン(1899-1973)、
   「二人の魔女の宿」ジョゼフ・コンラッド(1857-1924)、
   「マダム・クロウルの幽霊」J・S・レ・ファニュ(1814-73)、
   「蝿」アントニー・ベルコー(生没年不詳)、「不吉な渡し舟」ジョン・ゴルト(1779-1839)、
   「月に撃たれて」バーナード・ケイペス(?-1916)


 英国の怪奇小説、ですが、これまたバラエティに富んでいるというか、一口に怪奇と いっても様々です。怪奇現象、幽霊譚、ミステリやSFっぽい話まで…。同じ福武文庫に もうひとつ『イギリス怪奇傑作集』がありますが、 どちらかといえばそちらの方が好みの作品が多いかな。ま、どちらも絶版ですが…(-_-;)  以下にお気に入りの作品を♪

「革の漏斗」コナン・ドイル
 パリに住む心霊術研究家の友人の家を訪れたわたしは、革でできた古い漏斗を見せられる。 品物を枕元に置いて眠るとそれについての夢を見ると言われたわたしは、その漏斗を 枕元に置いて眠りに就くが…。
 既読作品ですが、一言感想を。ドイルの怪奇小説は(も)けっこう好きです♪ 残酷な話…ですが、 あの辺で止めてるあたりが上品というか…(^_^;) 

「故エルヴィシャム氏の物語」H・G・ウェルズ
 イーデンことぼくは、ロンドンに住む医学生で、叔父の遺産をもらい何不自由ない暮らしをしていた。 だがある日、エルヴィシャムと名乗る老人に出会ったことで人生が狂ってしまう…。
 これも既読ですが、すっぱり忘れてました(-_-;) 怪奇というかSFというか。 怪しい老人が若いイーデンにたくらんだ、恐ろしい計画。でも、因果応報というか… 世の中そんなに甘くないようで(^_^;)

「二人の魔女の宿」ジョゼフ・コンラッド
 私が発見したとある文書には、イベリア半島戦争当時の出来事が綴られていた。それはスペインでの こと、偵察に向ったトム・コービンが戻らないのを心配したバーンが経験した、とある宿での恐ろしい 一夜の物語だった…。
 これを読むとウィルキー・コリンズの某作品を思い出しますが、そこはコンラッド(?)  未開の地の何かを奥に秘めたような怪しい空気が、また別の恐ろしさを醸し出してます(-_-;)

「マダム・クロウルの幽霊」J・S・レ・ファニュ
 13歳になったばかりのわたしは、叔母の薦めでアップルウェイル邸の93歳の老婦人マダム・クロウルの 世話をすることになった。高齢のために別の世界で生きているようなマダム・クロウルには、過去に なにか秘密があるらしかった。マダム・クロウルの死後、私はそれを知ることになる…。
 こんな秘密を抱えて93まで生きるというのは恐ろしいですね〜(-_-;) 生前どんなに口を噤んでいても、 こんな風にすべてが明らかになってしまうなんてちょと皮肉。

「月に撃たれて」バーナード・ケイペス
 旅先で行き暮れてしまったわたしは、行き会ったマダム・バルビェールとその息子カミーユの家に 宿を借りることにした。息子はある満月の晩に山にある滝へ出かけてから様子がおかしくなっており、 その原因を突き止めるべく私は母子のそばで生活することにした……。
 これもちょとSFっぽい、奇妙な物語です。このタイトルがいいですね(^_^) そんな滝が あるんだったら見てみたいです。



「<英国短篇小説の愉しみ 1>「看板描きと水晶の魚」 西崎憲 編 (筑摩書房 98.12.10)
19世紀から20世紀のイギリスの作家による、短篇小説のアンソロジー。9編収録。
収録作品…「豚の島の女王」ジェラルド・カーシュ(1909‐1968)、
「看板描きと水晶の魚」マージョリー・ボウエン(1886‐1952)、
「羊歯」W・F・ハーヴィー(1885‐1937)、「鏡の中の貴婦人――映像」ヴァージニア・ウルフ(1882‐1941)、
「告知」ニュージェント・バーカー(1888‐1955)、「詠別」J・ゴールズワージー(1867‐1933)、
「八人の見えない日本人」グレアム・グリーン(1904‐1991)、
「花よりもはかなく」ロバート・エイクマン(1914‐1981)、「リーゼンベルク」F・M・フォード(1873-1939)


→イギリスの小説(ってまとめるのも無理があるけど(^_^;))は好きです。知らない作家ばっかりですけど、 とても楽しい短編集です♪ みんなすごくいいんですけど(-_-;)、以下に特にお気に入りなど。

「看板描きと水晶の魚」 マージョリー・ボウエン
貧しい看板描きルシアスの元に、ジェイムズ卿が看板を描いて欲しいと訪れる。彼が目を留めたのは、 看板に描かれた白い魚。看板描きが持っている“水晶の魚”の絵だった…。
→不思議なお話なんですけど、妙に心ひかれます。水晶の魚って何〜(^_^;)と最初は思うんですが、 赤い糸みたいなものなのかな?(謎) 

「鏡の中の貴婦人――映像」 ヴァージニア・ウルフ
あらすじも何もないんですが(^_^;)、「人は、室内に鏡をかけておいたままにしてはいけない。」と いう出だしと最後の一文がとても心に残ります。……確かに、いけないかも……。

「告知」 ニュージェント・バーカー
暑い八月の午後、男は図書館を訪れる。製本されたタイムズ紙を取り出した男は、あるページを開いた。 それは五十年前、彼が生まれた日の告知のページだった…。
→衝撃的な結末も、短篇だから、いいんですよね。この余韻が…。こういうのも好き。

「詠別」 J・ゴールズワージー
小作人のハード夫人が重い病気で臥せっていることを、私たちは長い間知らなかった。私たちは彼女を 見舞い、夫のハードを元気付けるが…。
→静かではかない感じのいい物語なんですけど、やっぱりハード夫妻と“私たち”の立場は全然 違うんですよね。この一文が(T_T)

「辛苦をなめ、ぼんやりとした顔のしわ一つ一つから、震え、すがりつくような魂が覗き、
絶えずこう問いかけているようだった。『これは現実ですか』と。」

「八人の見えない日本人」 グレアム・グリーン
八人の日本人紳士が夕食を食べている向こう側で、一組のカップルが結婚の話をしている。どうやら 小説家らしい娘の話に、同業者の私は耳を傾ける…。
→私たちの言葉は「奇妙な国語」かぁ〜(^_^;)。うまくいかないと思います、この二人(T_T)  「見えない」って、そういう意味だったんですね。

「花よりもはかなく」 ロバート・エイクマン
結婚を控えたネスタとカーティス。それほど美人でないネスタに、“容姿について何か手を打つよう” カーティスは働きかけるが…。
→夫に、マニキュアなんてまともな女のすることじゃない、なんて言われた時、マニキュアを したい妻は一体どうすれば?というお話…じゃ、ないですね(^_^;) 二人は、何を どこまで共有することができるんでしょね。でも、なんだかんだ言ってもネスタの変化は怖いよ…(T_T)

「リーゼンベルク」 F・M・フォード
ドイツの小さな温泉療養所に、フィリップの母は入れられていた。そして、彼の 恋人アネッテの父親も。ある日フィリップはアネッテにプロポーズするが、彼女の答えは否定的な ものだった。彼女の様子がおかしいことに気付いたフィリップは、ある日彼女の跡を追って禁断の谷に入り込む…。
→そういう話だったのか〜。でも、いいです。衛生顧問官の、説明のつかないものに対する 姿勢が好きです(笑) しかもそれをちゃっかり利用してるあたりもいいですね〜。でもまあ、 そんなものかな……(^_^;)



「<英国短篇小説の愉しみ 2> 小さな吹雪の国の冒険」 西崎憲 編 (筑摩書房 99.2.10)
17世紀から20世紀にかけての、英国作家による短篇小説のアンソロジー。13編収録。
収録作品…「小さな吹雪の国の冒険」 F・アンスティー(1856−1934)
「パール・ボタンはどんなふうにさらわれたか」 キャサリン・マンスフィールド(1888−1923)
「怒りの歩道――悪夢」 G・K・チェスタトン(1874−1936)
「アセム――東方の物語」 O・ゴールドスミス(1730−1774)
「ピム氏と聖なるパン」 T・F・ポウイス(1875−1953)、「決して」 H・E・ベイツ(1905−1974)
「神の眼」 ロレンス・ハウスマン(1865−1959)、「悪魔法王」 R・ガーネット (1835−1906)
「輝く顔の人」ジョーゼフ・ダウスン(?-?)、「皇子の見た幻」 ジョーゼフ・アディスン(1672-1719)
「羊飼いとその恋人」 エリザベス・グージ(1900-1984)
「プロメテウスを発見せること」 マックス・ビアボーム(1872-1956)
「聖エウダエモンとオレンジの樹」 ヴァ―ノン・リー(1856-1935)


→1に引き続き、英国の短篇小説は本当に楽しいです♪ 2は、ファンタジーっぽいのが多いですね。 以下にお気に入りなど。

「小さな吹雪の国の冒険」 F・アンスティー
弁護士の“私”は、名付け子へのクリスマスプレゼントを買おうと、おもちゃ屋の店先で立ち止まる。 ふと目にとまったのは、ガラス球の中で吹雪の起こる玩具。中には、城の門の前で風船を持って佇む人形が。 その玩具を夢中になって見ていた“私”がふと気付くと、目の前に大きな城の門とがあり、手には 風船を持っていた。小さな吹雪の国での、“私”の冒険が始まる…。
→ファンタジーの世界でも、妙に現実的な弁護士の“私”が笑えます♪ こういう、片足だけ 地に付いてる感じのお話(?)は大好きです(^_^;)

「怒りの歩道――悪夢」 G・K・チェスタトン
ロンドンの安食堂で、私の前に奇妙なそぶりの男が座る。彼はあらゆる“物”に対して、 多大な敬意を払っているかのように振舞っているのだ。声をかけた私に、彼は不思議な物語を語り始めた…。
→見慣れてその存在すら気付かなくなってしまったものから、手痛い報復を受けるというお話。 ほんとに短いお話ですけど、すごくよいです。

「決して」 H・E・ベイツ
田舎でのこんな退屈な生活は我慢できない…。そう思いつづけた娘は、ついにロンドンへ 出て行く決心をする。誰にも告げずに。だが、彼女の行く手を阻むものは…。
→「いつかきっと」と思いつづけてる限りは、何もできないのでしょうね〜。『決して(Never)』と いうタイトルも、皮肉な感じです。

「羊飼いとその恋人」 エリザベス・グージ
五十五年間、家族や兄弟の世話をしつづけたミス・ギレスピー。そんな生活から やっと解放された彼女は、自由気ままな旅に出る。ある骨董店で足を止めた彼女は、 羊飼いとその恋人の陶製の人形に心を奪われる。だがそれを買ってからの彼女の突飛な行動は、 彼女自身にも理解できないものだった…。
→コッツウォルズの美しい風景が見えるよう(*^^*) いいですね♪ 最後の一行を読むと、すべて納得できます。



「<英国短篇小説の楽しみ 3> 輝く草地」 西崎憲 編 (筑摩書房 99.4.10)
19世紀から20世紀にかけての、英国作家による短篇小説のアンソロジー。10編収録。
収録作品… 「輝く草地」 アンナ・カヴァン (1901-68)
 「殺人大将」 チャールズ・ディケンズ (1912-70)、 「コティヨン」 L・P・ハートリー(1895-1972)
 「最後の笑い」 D・H・ロレンス (1885-1930)、 「スフィンクスの館」 ダンセイニ卿 (1878-1957)
 「写真」 ナイジェル・ニール (1922-)
 「ドンファンの生涯における一挿話」 V・S・プリチェット (1900-97)
 「ママが救けに」 アンガス・ウィルスン (1913-91)、「ユグナンの妻」 M・P・シール (1865-1947)
 「世界河」 A・キラ‐クーチ (1863-1944)


→2に引き続き、英国の、ちょっと不思議な味の作品の多い短編集。幻想的というか、怖いの ばっかりです(T_T) 下にお気に入りの感想など。「短篇小説とは何か?」というあとがきも、 けっこうためになりますね〜。

「殺人大将」 ディケンズ
幼い日、乳母に聞かされた物語の主人公の名は“殺人大将”。結婚するたびに花嫁を食べてしまう、 恐ろしい人物の物語とは…。
これ、読んだことあるのですけど、どこで読んだか思い出せない(T_T) でも、以前読んだ訳の方が よかったな〜(^_^;) ディケンズの短編は大好きです♪

「コティヨン」 L・P・ハートリー
恋人だったハリーと別れたマリオンは、友人の催す仮面舞踏会に招かれた。会場には 78人の客が来ることになっていたが、なぜか一人多い。客たちの中に混じっていた、 異様な仮面をつけた男の意外な正体…。
→怖いです(T_T) 結末はなんとなく見えてたけど、それでも怖い。冬の怪談という感じ。

「写真」 ナイジェル・ニール
病に臥せった幼いレイモンドの最後の思い出を残そうと、母親と姉は彼を写真館へ連れてゆく。 悲しみに包まれる周囲の大人たちを待っていたものは……。
→ばかばかしいといっていいような話なんですけど、これも怖い。写真の中からレイモンドに 語りかける男の子。彼の繰り返す狂気に満ちた言葉がとても怖いです。結局レイモンドは どうなっちゃったのかな……。

「ユグナンの妻」 M・P・シール
長い間音信不通だった私の友人ユグナンは、ギリシアのデロス島を訪れてほしいと手紙をよこす。 その文面から友人の精神状態を危ぶんだ私は、デロス島へ向かった。すっかり様子の変わってしまった ユグナンは、私に妻の絵を見せる。美しくも忌まわしいその絵は、ギリシアの怪物を描いたものだった…。
→ユグナンは発狂してしまったのか、それとも本当に怪物に魅せられてしまったのかな〜。 迷宮のような古代ギリシア様式の館の中を、“彼女”の元へ迷わずたどり着くための赤い糸……。 赤い糸、というところがなんとも不気味です。

「世界河」 A・キラ‐クーチ
戦争に行った兄のハリーが惨い亡くなり方をしたことを知り、私は神を疑い始めていた。 そんなある月の夜、私は誰かに呼ばれて窓辺に行ってみた。そこには生前と同じように、乗馬服を 着て馬に乗ったハリーの姿が。幻覚でも幽霊でもかまわないと、喜んで彼に従った私が見たものとは…。
→ちょっと感傷的なんですけど、なかなかいいお話です(T_T)  世界のあらゆる岸辺を洗う、神の涙の河、 オーケアノス。キリスト教徒ではないので、本当にそうだと信じることができればいいのに、 という程度で終わっちゃうのが残念ですけども(^_^;) 「神によって浄められない苦痛は地上にはない」、という ハリーの言葉を…。


「淑やかな悪夢 −英米女流怪談集− シンシア・アスキス 他
                  /倉坂鬼一郎、南條竹則、西崎憲 訳 (東京創元社 2000.10.30)
 英米の女性作家による、怪奇小説の短編集。12編収録。
 収録作品……
  「追われる女」シンシア・アスキス(1887-1960)、
  「空地」メアリ・E・ウィルキンズ−フリーマン(1852-1930)、
  「告解室にて」アメリア・B・エドワーズ(1831-92)、
  「黄色い壁紙」シャーロット・パーキンズ・ギルマン(1860-1935)、
  「名誉の幽霊」パメラ・ハンスフォード・ジョンソン(1912-81)、
  「証拠の性質」メイ・シンクレア(1863-1946)
  「蛇岩」ディルク夫人(1840-1904)、「冷たい抱擁」メアリ・E・ブラッドン(1835-1915)、
  「荒地道の事件」E&H・ヘロン(1876-1922)、「故障」マージョリー・ボウエン(1886-1952)、
  「郊外の妖精物語」キャサリン・マンスフィールド(1888-1923)、
  「宿無しサンディ」リデル夫人(1832-1906)


 英米の女流作家による、恐怖の(?)短編集です。お国柄か、イギリスの方が多いかな。 読んだことのある作家がちらほらいます。
 とにかく怖いです〜(ToT) 副題にありますが、怪奇小説というよりやはり怪談。想像力に訴えかける 恐怖のお話ばかり。怖い、怖いけど、やっぱり好き(^_^;) 狂気、幽霊、理不尽な出来事…。一口に 恐怖といっても、いろんな種類の恐怖があります。どれも独特の世界だけど、怖いのは一緒ですね。女流、 というところが実は一番怖いのかも(^_^;)  もぉぉ全部が秀逸の短編集なのですべてご紹介したいのですが、きりがないので、 以下に特にお気に入りの短編をご紹介♪

「追われる女」 シンシア・アスキス
 誰かに追われているという妄想に取り付かれたミード夫人は、医者の勧めで有名な精神分析医の もとを訪れる。やがて彼女の口からは、驚くべき話が……。
 訳もわからず追われる恐怖……。ストーカーよりタチが悪い(>_<) 怖いけど、日本人は 「のっぺらぼう」の話を思い出して笑ってしまうかも……(爆)

「黄色い壁紙」 シャーロット・パーキンズ・ギルマン
 体の弱いわたしは、夫のジョンと赤ん坊と共に、田舎の屋敷を借りて夏の休暇を過ごし始めた。 だがわたしは、寝室の黄色い壁紙が気に入らない。色も、不吉な模様も。壁紙の事がどうしても頭から 離れない……。
 怖いです(ToT) 怖いのは狂気そのものではなく、狂気がするりと忍び込むその瞬間。 怖いけど、うまいですね〜(ToT)

「名誉の幽霊」 パメラ・ハンスフォード・ジョンソン
 パンクリス夫妻の家を訪れたロバートソンは、この家に幽霊が出ると聞かされてぎょっとする。 何の害もないし、決して顔を見せないというジェレマイアの幽霊を家族のように思っている夫妻に あきれるロバートソン。だがその夜、彼の元にもジェレマイアの幽霊が…。
 いくらおなじみになっても幽霊は幽霊……(^_^;) 楽しいけど、やっぱり最後にぞっとするお話。

「証拠の性質」 メイ・シンクレア
 「あなたに不釣合いな女との再婚は許さない」と言い残し、マーストンの最初の妻ロザモンドは死んだ。 だが、そんな約束を忘れて美しいだけのポーリーンと再婚したマーストンは、ロザモンドの幽霊に悩まされ 始める…。
 ロザモンドが邪魔をするので、どうしてもポーリーンと夜を過ごすことができないマーストン(^_^;)  おかしくも哀しい、大人のお話(笑)です。き、気になるオチが……(爆)

「故障」 マージョリー・ボウエン
 クリスマス・イヴの夜、友人の元へ向かっていたマードックは、鉄道の故障で知らない村に取り 残されてしまった。歩くうちに、「願望荘」と書かれた一軒の宿屋を見つける。それはイヴの夜に この宿で夜を過ごすと願いがかなうという言い伝えのある宿だった。泊まることにしたマードックは、 待ち人が来ないという奇妙な女性に出会う……。
 ぞっとするけど、素敵なお話です(*^^*) 一番ホッとするお話かな……(^_^;)

「郊外の妖精物語」 キャサリン・マンスフィールド
 B氏とB夫人は、息子のBと共に朝食をとっていた。その朝は妙に庭のすずめが鳴き騒いでいた……。
 のんきに夕食に使う肉のことについて話し合っているB夫妻。でも、その間にも悲劇の予兆が……。 不吉な雰囲気が一瞬にして現実になる恐怖です(T_T) 短いお話ですが、こういうのは好き…。



「怪奇小説傑作集 1」 ブラックウッド 他/平井呈一 訳(創元推理文庫 1969.2.21)
 英米の古今の怪奇小説傑作集。9編収録。
 収録作品……
  「幽霊屋敷」ブルワー・リットン(英 1803-73)
  「エドマンド・オーム卿」ヘンリー・ジェイムズ(米 1843-1916)
  「ポインター氏の日録」M・R・ジェイムズ(英 1862-1936)「猿の手」W・W・ジェイコブズ(英)
  「パンの大神」アーサー・マッケン(英 1863-1947)「いも虫」E・F・ベンスン(英)
  「秘書奇譚」アルジャーノン・ブラックウッド(英 1869-1953)、「炎天」W・F・ハーヴィー(1885-1937)
  「緑茶」J・S・レ・ファニュ(英 1814-73)


 1巻は短編というにはちょと長めの作品が多いですね。他の巻は短い作品が多いだけに、 ちと冗長な印象があったんですが…先に読めばよかったかな(-_-;)
怪奇といいますけど、その内容は色々です。怪奇現象、幽霊、遺物にまつわる話、奇妙な生物…。 次に何が出てくるか分からない怖さがありますね。そういうのが好きなら楽しいです(^_^) 以下に お気に入りの短編を♪

「エドマンド・オーム卿」 ヘンリー・ジェイムズ
 以前からシャーロット・マーデン嬢にひかれていた私は、彼女と親しくなるにつれいつもそのそばに 見慣れぬ男性が付きまとうように現れることに気付いた。シャーロットの母親はその正体を 知っているらしいのだが、私になかなか打ち明けようとはしなかった…。
 いつも出てくる幽霊に慣れるってのは、どんな気分なんでしょ(^_^;) 面白いですけど、やっぱり どことなく不気味なお話ですね。

「ポインター氏の日録」 M・R・ジェイムズ
 ロンドンの古本市でデントン氏が手に入れた古い日録には、古い布地が一枚挟まっていた。 ちょうど新居のカーテンの布を決めかねていたデントン氏は、それと同じものを工場で 作ってもらうことにした。だが出来上がったカーテンには、どことなく不吉な気配があった……。
 要するに、買った本はすぐ読もう、ということですね(笑)

「猿の手」 W・W・ジェイコブズ
 インド帰りの友人から願い事を三つかなえてくれるという"猿の手"をもらったホワイト氏は、 さっそく「二百ポンドほしい」と願う。だが、その願い事は恐ろしい形でかなえられる……。
 まぁそんなことだろうと思ってましたが(^_^;) 二番目の願いは一体どんな形で かなえられたんだろうかと思うと、ちょとぞっとしますね(x_x)

「パンの大神」 アーサー・マッケン
 脳手術によって人は"パンの大神を見る"ことができるようになるというドクター・レイモンドは、 幼い頃から育ててやった少女メリーを実験台にする。だが実験は失敗し、その後あちこちで 奇妙な少女の話が聞かれるようになる……。
 なんかも〜尋常じゃないですね(x_x) 一体彼女の周りで何が起こってるのか、はっきり分からない ところが不気味です。結局レイモンドが一番悪いのに、まるで他人事みたいな…(^_^;)  パンの大神を見ると一体どうなっちゃうんでしょ。というか、パンの大神ってなんだ?(-_-;) 

「いも虫」 E・F・ベンスン
 イタリアのカスカナ荘に招かれたぼくは、夜中に奇妙な夢を見た。それは、別荘の使われていない 部屋のベッドに、おびただしい数の奇妙ないも虫が這っているというものだった。だが翌朝、 カスカナ荘に住んでいる画家がそのいも虫を1匹捕まえて僕に見せたのだった……。
 いも虫の描写がリアルで嫌なことこの上ないですね(^_^;) ダメな人はダメでしょうね。でも いも虫だけで終わってないところがいいです。だからって別にそんな気持ち悪いいも虫で なくてもいいと思うんですけど(-_-;)

「炎天」 W・F・ハーヴィー
 絵描きの私はふと画想が浮かび、判決を下される罪人の絵を書き上げた。そこで外出した私は、 通りかかった見知らぬ石工の家にふと足を向ける。そこで作業をしていたのはなんと、たった今自分が 描き上げた絵の罪人そっくりの男だった…。
 そんなばかな〜と思うけど、なんかこういう奇妙なお話は好きです。最後まで語ってない ところがいいですね♪

「緑茶」 J・S・レ・ファニュ
 ドイツ人医師のヘッセリウスは、牧師のジェニングズ師の様子がおかしいとの噂を聞き、 彼に会いに出かけた。なかなか自分の病気について語ろうとはしないジェニングズ師がやっと 話し始めたのは、いつも見えるという奇妙な幻覚のことだった。
 なんで「緑茶」なんていうタイトルなんだと思ったら、そんなことって…(^_^;)



「怪奇小説傑作集 2」 ジョン・コリアー 他/宇野利泰 中村能 訳(創元推理文庫 1969.3.5)
 19〜20世紀前半にかけての英米の怪奇短編集。14篇収録。
 収録作品……
 「ポドロ島」L・P・ハートリイ(英 1895-?)「みどりの想い」ジョン・コリアー(英 1901-59)
 「帰ってきたソフィ・メイスン」E・M・デラフィールド(英 1890-1943)「船を見ぬ島」L・E・スミス(英 1902-45)
 「泣き叫ぶどくろ」F・M・クロフォード(米 1854-1909)「スレドニ・バシュタール」サキ(英 1870-1916)
 「人狼」フレデリック・マリヤット(英 1792-1848)「テーブルを前にした死骸」S・H・アダムズ(米 1871-1958)
 「恋がたき」ベン・ヘクト(米 1894-1964)、「住宅問題」ヘンリイ・カットナー(米 1914-54)、
 「卵形の水晶球」H・G・ウェルズ(英 1866-1946)、「人間嫌い」J・D・ベレスフォード(英 1873-1947)、
 「チェリアピン」S・ローマー(英 1883-1959)、「こびとの呪」E・L・ホワイト(米 1866-1934)


 怪奇小説、いいですね〜♪ 一口に怪奇といっても、その内容はさまざま、そしてお国柄の違いも 歴然です。こんなちょっと不思議で不気味なストーリーは大好きです。どれも面白いけど、 以下に特にお気に入りの感想など♪(それでもほぼ全部か(^_^;)) 既読の「スレドニ・バシュタール」(サキ)と「卵形の水晶球」(ウェルズ)は、 好きなんですが感想は抜かします(^_^;)

「ポドロ島」 L・P・ハートリイ
 ポドロ島へ行ってみたいという友人の妻アンジェラに付き添って、僕は先導のマリオと舟で島へ出かけた。 島で飢えた猫を見つけたアンジェラは、食べ物をやろうとむきになるのだが…。
 島に棲む怪しい生き物……食べ物を与える側と、与えられる側。何が起こったのか、はっきり 分からないところが怖すぎ(T_T) アンジェラの執念(?)も怖い…。

「みどりの想い」 ジョン・コリアー
 マナリング氏が見つけた新種の不思議な蘭は、奇妙な性質を持っていた。その蘭が来てから、 マナリング氏の従妹ジェインの飼っている猫が消え、ジェイン本人も消えてしまったのだ。 彼らの身に起こったことを、マナリング氏はやがて身をもって知ることに…。
 最初は不気味な中にもちょっと滑稽な感じで展開していたのに、ラストで恐ろしいことが。 ちょっと冗長な気がするのも、このラストのためだと思えば……(ToT)

「帰ってきたソフィ・メイスン」 E・M・デラフィールド
 幽霊を見た事があるが、怖くはなかった…。フェンウィックは、あるフランスの田舎町で起こった事件の思い出を語り始める。それは恋に破れたソフィ・メイスンというイギリス女の哀しい物語だった…。
 自分を殺した犯人の前に姿をあらわした幽霊。でも……。確かに怖い話ですね。幽霊より怖いもの。誰もが感じていることを、感じない恐ろしさ…。厳密には怪奇小説じゃないのかもしれないけど、 ぞっとするお話です。こういうのは好きですね〜。

「船を見ぬ島」 L・E・スミス
 アフリカ西海岸沖でヨットが難破して一人助かったパターソンは、ある島に流れ着いた。数人の島民たちはみなさまざまな時代と場所からの遭難者で、しかもこの島からは決して逃れる事ができないのだった。死ぬことさえないという彼らの話に、初めは疑いを抱いていたパターソンだったが…。
 永遠に島から逃れられない恐怖……怖いですね(T_T) 怪奇小説というか、ちょっとSFっぽいというか。永遠につづく楽園は、地獄に他ならないということでしょうか…。皮肉ですね。

「泣き叫ぶどくろ」 F・M・クロフォード
   幽霊が出るという家に住む老人は、その原因と思われる頭蓋骨の奇妙な話について語り始めた。それは彼の従弟夫婦に、どうやったら殺人と分からずに人を殺せるかという話をしたことから始まっていた…。
 ちょっと長めのお話なんですが、いいですね〜。まさに「戸棚の中の骸骨」とうまく付き合っているかのように見える老人だったのですが…。実話に基づいた話だというけど、ホントかな〜(^_^;)

「人狼」 フレデリック・マリヤット
 自分を裏切った妻とその不倫相手を殺し、トランシルヴァニアに逃げてきた男とその3人の子供。ある日森の中で暮らす一家の元へ、一人の男が娘をつれてやってきた。娘に心を奪われ、やがて結婚した男。 だが娘が夜な夜な出かけるのを見た子供たちは…。
 このお話は、人狼が主題の小説としては最も古く、オーソドックスなものなのだそうです。やっぱりこういうお話は、古い時代のものの方がリアルというか…いいですね〜♪

「テーブルを前にした死骸」 S・H・アダムズ
 山上で吹雪に遭って道に迷い、山小屋にたどり着いた二人。捜索隊が彼らを発見した時は、二人はテーブルに向かい合ったまま死んでいた。二人に何があったのか…。
 恐ろしくもちょっとミステリちっくな1篇ですね。魅力的な謎ではありますが、不気味ですぅ〜(T_T)。説明と、それに納得するということは、また別のことで…。

「人間嫌い」 J・D・ベレスフォード
 孤島にたった一人で住んでいる男を訪ねたわたしは、彼から不思議な話を聞かされた。彼はある角度から人間を見ると、その本性が醜い姿となってはっきりと見えてしまうというのだ。そのために彼は人を避けて暮らしているというのだが…。
 だって、まともに見える人なんているんでしょうかね?(^_^;) 見てほしくないし、自分で見るのはもっと嫌ですね〜(^_^;)

「こびとの呪」 E・L・ホワイト
 アフリカの奥地を探検していたトウオンブリーは、旧友のストーンが窮地に陥っているという知らせを受け、助けに向かった。ストーンは体中を奇妙なできものに覆われており、苦しんでいるのだったが…。
 怖すぎ!(ToT) 想像すると、体中がムズムズしてきます……(T_T)



「怪奇小説傑作集 3」 ラヴクラフト 他/橋本福夫 大西尹明(創元推理文庫 1983.11.18)
  19〜20世紀前半にかけての英米の怪奇短編集。10篇収録。
 収録作品……
 「ラパチーニの娘」ナサニエル・ホーソーン(米 1804-64)「信号手」ディケンズ(英 1812-70)
 「あとになって」イーディス・ワートン(米 1862-1937)
 「あれは何だったか?」フィッツジェイムズ・オブライエン(米 1828-62)
 「イムレイの帰還」キップリング(英 1865-1936)「アダムとイヴ」A・E・コッパード(英 1878-1957)
 「夢の中の女」ウィルキー・コリンズ(英 1824-89)「ダンウィッチの怪」ラヴクラフト(米 1890-1937)
 「怪物」A・ビアース(米 1842-1913?)「シートンのおばさん」ウォルター・デ・ラ・メア(英 1873-1956)


 3巻もいい感じですね〜♪ やっぱり古い怪奇小説っていいです(^_^) ちょこちょこと既読の短編がありますが、まぁ忘れていたのでいいです(^_^;) この巻は長めのお話が多いですね。以下にお気に入りの短編の感想を♪

「ラパチーニの娘」 ナサニエル・ホーソーン
 ジョヴァンニ青年が借りた下宿の隣には、見事な庭園をもつ教授の家があった。いかがわしい研究をしているというその教授の娘ベアトリーチェに惹かれていくジョヴァンニ。だか、彼女には恐るべき秘密があった…。
 うう、そんな馬鹿な(^_^;) 恐ろしすぎるけど、妙に心惹かれるお話です。結末は読めてしまったけど…。これ、翻訳がちと古すぎるような気が。いくら激昂したからってジョヴァンニ青年、自分のこと「わし」はないんじゃないかなぁ(-_-)

「あとになって」 イーディス・ワートン
 英国の古い邸宅に憧れ、ドーセットシアに移住したボイン夫妻。その館には幽霊が出るだが、それは「あとになって」初めてそれと分かるのだという。やがてそんなことも忘れてしまった夫妻だったが…。
 館に出る幽霊なのか、館に住む者に訪れる災いなのか…。何が起こっているのか分からない不安と焦燥感がありますね。舞台はイギリスだけど、やっぱりアメリカの作家だな〜と分かる作品ですね〜。

「あれは何だったか?」 フィッツジェイムズ・オブライエン
 幽霊が出るというニューヨークの古い邸宅を下宿にしていたハリイは、時折友人のハモンドとアヘン煙草を楽しんでいた。いつものようにアヘン煙草を吸ったハリイは床に就いたが、突然ベッドに落ちて来た何者かに襲われた。格闘の末、捕まえたものの正体とは…。
 何だったんでしょうかね。イヤですねぇ〜(^_^;) 幽霊よりしっかりした(?)存在なだけに、始末におえないというか…。不気味なお話です。

「イムレイの帰還」 R・キップリング
 インドのイギリス軍駐屯地で、イムレイという男が行方不明になった。イムレイが昔住んでいた家に住む友人ストリックランドを訪れたぼくは、その家に妙な気配を感じていた。彼の犬チーチャンズも奇妙な行動をとっているのを見て、ぼくは家を出て行こうとするのだが…。
 怪奇というか、ちょとミステリっぽくもありますね。いいですね〜。植民地のお話って、一種独特の雰囲気があって好きです(^_^) 何が起こっても不思議でないような空気とか…。

「アダムとイヴ」 A・E・コッパード
 とある日の午後、コドリングは自分が奇妙なことになっているのに気付いた。妻が自分の存在を全く無視して別の男と親しくし、おまけに園丁にも全く存在を無視されてしまうのだ。わけが分からないまま、なんとか気付いてもらおうとむなしい努力を続ける彼だったが…。
 ほ〜、ちょっと奇妙だけど、なんだかホッとするお話ですね。彼が見たのは未来なのかなぁ。心温まるラストがいいです(^_^)

「夢のなかの女」 ウィルキー・コリンズ
 隣町への診察の帰り、ある宿屋で足止めを食ってしまった私は、そこの馬丁について奇妙な話を聞く。昼間から寝て夢にうなされているその馬丁は、過去にある恐ろしい出来事を経験しているのだった…。
 これは既読なんですが、やっぱり奇妙なお話ですね。結局、夢のなかの女からは死ぬまで逃れられないんでしょうか。イヤですね〜。なんだか早死にしそう(^_^;)

「ダンウィッチの怪」 ラヴクラフト
 ニュー・イングランドのさびれた村ダンウィッチには、奇妙な出来事が起こりつつあった。毎夜のように起こる山鳴りと、村に漂う異臭、泣き叫ぶ夜鷹の群れ…。以前から妙な噂のあったウィルバー・ウェイトリーのおぞましい死。異変を察知したアーミティッジ博士は、異形のものに立ち向かうべくダンウィッチを訪れる…。
 怖い、というより不気味です〜(ToT) 闇の中でとぐろを巻く、異世界からやってきた異形のもの。なんでそんなもの育てるんだようぅっ(ToT) このおどろおどろしさが妙にリアルで、こういうお話にともすればつきものの陳腐さを感じさせません。怪奇といってもラヴクラフトのストーリーはほんとに傑出してるというか、異質というか…怖いです(T_T)

「怪物」 A・ビアース
 不可解な状況で死んだモーガンの死体を調べる検死官たち…。そこへ故人の友人のウィリアムが現れ、生前モーガンが恐れていたものについて語った。一笑に付す検死官だったが、モーガンの日記にはさらに恐ろしい事が書かれていた…。
 ありふれたお話かな〜と思ってたら、なんだかこのオチが好きですね。ありそうで怖い…。

「シートンのおばさん」 ウォルター・デ・ラ・メア
 学生時代、特に親しい友人でもなかったシートンのおばさんの家に招かれたウィザーズ。おばさんを恐れるシートンに、奇妙なものを感じていたウィザーズだったが…。
 何が起きるというわけではないんですよね…。おばさんだって一見普通の人だし。でも裏にきっと何かある、と思わせつづけるこの不穏な空気がなかなかいい感じです。



「怪奇小説の世紀」第1巻 夢魔の家 西崎憲 編(国書刊行会 1992.12.25)
 近代怪奇小説の先駆者J・S・レ・ファニュの登場から「最後の怪奇小説家」 H・R・ウエイクフィールドの怪奇小説絶筆の辞までの、約1世紀にわたる怪奇小説の黄金期 に書かれた、怪奇短篇の傑作アンソロジー。第1巻。12編収録。

収録作品…
   「火宅」ヴィンセント・オサリヴァン(英 1868-1940)
   「岩のひきだし」ヨナス・リー(ノルウェー 1833-1908)
   「旅行時計」W・F・ハーヴィー(英 1885-1937)
   「夢魔の家」エドワード・ルーカス・ホワイト(米 1866-1934)
   「花嫁」M・P・シール(英 1865-1947)「違う駅」A・M・バレイジ(英 1889-1856)
   「人形」ヴァーノン・リー(英 1856-1935)
   「フローレンス・フラナリー」マージョリー・ボウエン(英 1886-1952)
   「湿ったシーツ」H・R・ウエイクフィールド(英 1888-1964)
   「戦利品」A・N・L・マンビー(英 1913-1974)
   「アルフレッド・ワダムの絞首刑」E・F・ベンスン(英 1867-1940)
   「陽気なる魂」エリザベス・ボウエン(英 1899-1973)
   


 面白かったです〜♪(*^^*) このアンソロジーに収録されているのは、怪奇小説の黄金期と呼ばれる 約1世紀の間に書かれた英米中心の作品。やっぱり怪奇小説はいいですね〜。3巻まであるので楽しみ(^_^)  3分の2以上は、『英国短篇小説の愉しみ』等で既読の作家ばかりです。 ハードカバーで1巻に至っては品切れで、怪奇小説好きでもなきゃまず手にしない本かと 思いますが(^_^;)、以下にお気に入りの感想など。そして第2巻に続きます。

「岩のひきだし」ヨナス・リー
 町の商店に奉公していた美しい若者は、町の女たちの羨望の的だった。ある日若者は 船で海へ出た折、岩壁に奇妙な引出しを見つける。その美しい装身具や農具の入った引出しは、地下の 住人たちのものだった。以来、若者は奇妙な女の幻覚に悩まされるようになる…。
 この世ならぬものに魅入られた悲劇というか、優柔不断の悲劇というか…(^_^;) 恐ろしい話です。

「夢魔の家」エドワード・ルーカス・ホワイト
 車で一人旅していた私は、奇妙な一軒家を目にする。そばに石灰岩の塊があるのだが、角を曲がるたびに その位置が変わるように見えるのだ。動転した私は大木に車をぶつけてしまい、その廃屋のような 一軒家に救いを求めることに。住んでいたのは兎唇の少年で、案内された家は 幽霊が出るという話だった…。
 読んでる間は、気持ち悪い家…というくらいなんですが、最後の1行ですっかり明らかに。短い話で なんとなくオチは読めますが、この奇妙な雰囲気がよいです。

「花嫁」M・P・シール
 とある商会に奉公していたウォルターは、アニーという女性と知り合い婚約する。やがて 彼女の家に間借りするようになったウォルターは、アニーの妹ラケルと出会う。ラケルは ウォルターに恋するようになり、ウォルターも彼女を憎からず思うようになってしまう。姉妹に 曖昧な態度を続け、どうしようもなくなった彼は、二人と結婚の約束をしてしまうが…。
 なぁんて優柔不断な男なんでしょ。ホントしょ〜もないですねぇ。きっと お墓の中でもまだ悩みつづけてるんでしょね(^_^;) 怪奇というか、なんというかです(笑)

「違う駅」A・M・バレイジ
 「そこはレディングとプリマスの間のどこかでした」旅先で同席した英国人が私に語り始めたのは、 駅名の分からない、美しく心安らぐ不思議な駅の話だった…。
 分かりきってはいるけど、ついに駅の名前が明かされないところがいいですね(^_^) 怪奇というより 幻想的。こういうのは好きです。ちょと素敵なお話(……か?(^_^;))

「フローレンス・フラナリー」マージョリー・ボウエン
 1週間前に結婚した地方の資産家シュートとフローレンス・フラナリーは、既にお互いへの愛が 冷めかかっていた。手入れの行き届かない屋敷に嫌気が差したフローレンス・フラナリーだったが、 古いベッドに自分と同名の女性の生年が刻まれているのを見てびっくりする。300年前、その女性に 起った出来事を聞いた彼女は、神経を病み始める…。
 忍び寄る狂気の原因が怖いですね。逃れられない運命というか……。 すぱっと終わってるせいで、余計に恐怖の余韻を引きずりますね。魚怖い…(T_T)

「アルフレッド・ワダムの絞首刑」E・F・ベンスン
 交霊術で死者の魂との交信を図ろうとする私を諌め、デニス神父が以前起った殺人事件について 語り始める。真犯人の懺悔を聞きながらも、無実の人間を死なせてしまった彼自身の物語だった…。
 一体何が悪魔の所業なんだか分からなくなりますねぇ…。しかしこれじゃデニス神父も早死にしそう(^_^;)



「怪奇小説の世紀」第2巻 がらんどうの男 西崎憲 編(国書刊行会 1993.2.25)
近代怪奇小説の先駆者J・S・レ・ファニュの登場から「最後の怪奇小説家」H・R・ウエイクフィールドの 怪奇小説絶筆の辞までの、約1世紀にわたる怪奇小説の黄金期に書かれた、怪奇短篇の傑作 アンソロジー。第2巻。12編収録。
収録作品…
  「がらんどうの男」トマス・バーク(英 1886-1945)
  「茶色い手」アーサー・コナン・ドイル(英 1859-1930)
  「ボルドー行きの乗合馬車」ハリファックス卿(1839-1934)
  「妖精にさらわれた子供」J・S・レ・ファニュ(アイルランド 1814-1873)
  「チャレルの谷」H・R・ウエイクフィールド(英 1888-1964)「遭難」アン・ブリッジ(1891?-1874)
  「時計」ニール・ミラー・ガン(英 1891-1973)「死神の霊廟」レディ・ディルク(英 1840-1904)
  「エニスモア氏の最期」J・H・リドル夫人(英 1832-1906)
  「閉ざされた部屋」E・F・ベンスン(英 1867-1940)
  「ウェッソー」ニュージェント・バーカー(英 1888-1955)「事故」オリヴァー・オニオンズ(1873-1961)


 ホント〜に怪奇小説といっても様々ですよね〜。この本読んでて改めてそう思いました。やっぱり 面白いです(^_^) 以下にお気に入りの感想を♪ 第3巻へ続きます。

「がらんどうの男」トマス・バーク
 食堂を営む"名なし"という男の元へ、奇妙な男が訪れた。それは"名なし"が15年前に殺したはずの ゴパックという男だった。秘術によって蘇らされ、死ぬこともできずにさまようゴパックは食堂に 居ついてしまい、いつしか客足も遠のくようになってしまう…。。
何よりも消し去りたい過去に取り付かれつづけるというのは、こういうことなのかな。罪にこんなはっきりした形で 付きまとわれると分かってたら、みんな最後のところで踏みとどまるかも(^_^;)

「茶色い手」アーサー・コナン・ドイル
 インド帰りの伯父に館へ招かれた私は、彼の口から奇妙な話を聞く。臓器や人体の標本をコレクションしていた伯父は、 奇妙な霊に取りつかれてしまったというのだ。そこで私は、その霊が出るという部屋で一夜を明かすことにした…。
 思えばドイルも怪奇小説をいっぱい書いてるんですよね〜。これは不気味だけどちょっとおかしいお話。  いいのか他人の手で!(^_^;)

「ボルドー行きの乗合馬車」ハリファックス卿
 妻を亡くし悲嘆に暮れていた紳士が道を歩いていると、三人の男が近寄ってきて頼み事をされた。 一人の婦人にあることを尋ねて欲しいという頼みだったのだが、そうしたばかりにひどい目に合うことに…。
 怪奇というか不条理というか。ひどすぎますね〜(笑) でもこの不条理さが面白い♪

「遭難」アン・ブリッジ
 スイスのツェルマットへ登山に来ていた精神科医のアラード博士は、知り合いになった二人の子供を気にかけていた。 彼らの元にたびたび怪しい手紙が舞い込み、しかもそれは、死んだはずの登山家からのものだった。何度も 一緒に登山をしようと誘う怪しい手紙から逃れるように、三人は別の町へ向おうとするのだが…。
 山そのものが未知の、恐怖の存在なんですよねぇ〜(T_T) 二人を誘うものはなんだったのか…。 冷ややかな山の空気に背中を撫でられるような、ぞくりとくるお話です。

「閉ざされた部屋」E・F・ベンスン
 ヒュー・リスターは亡くなった叔父の財産を相続すべく、妻ヴァイオレットと一緒に古い屋敷を訪れた。 以前は二人の叔父が住んでいたその屋敷では、一人の叔父が謎の失踪をし、もう一人は奇妙な最期を 遂げていたのだった。屋敷の中に妙な気配を感じつづけるヴァイオレットだったが…。
 バレバレですが、この雰囲気がとてもいいです(^_^) でもたとえすべてが解決しても、 この家に住むのはなんかイヤ…(^_^;)

「ウェッソー」ニュージェント・バーカー
 ウェッソーと呼ばれていた老人は、館の中に奇妙な気配を感じていた。騒々しい幽霊たちの気配。 誰かに助けを求めようにも、誰も彼に取り合ってくれない…。
 落ちはなんとなく分かったんですが、それでもなるほど〜と感心なお話。怪奇は怪奇ですが、 見せ方が逆転するだけでこんなに新鮮なんですね〜。

「事故」オリヴァー・オニオンズ
 画家として名を成したロマリン氏は、かつて友人だった男が落ちぶれていると聞き、 援助しようと以前住んでいた町へやってきた。彼とは、一人の女をめぐって 殴りあったことさえあったのだが…。
 事故…不思議な事故です。結局ロマリン氏の選択は正しかったのかな。ぞっとするような結末の 余韻が後をひく、不思議なお話です。怪奇…じゃないかも。



「怪奇小説の世紀」第3巻 夜の怪 西崎憲 編(国書刊行会 1993.6.15)
 近代怪奇小説の先駆者J・S・レ・ファニュの登場から「最後の怪奇小説家」H・R・ウエイク フィールドの怪奇小説絶筆の辞までの、約1世紀にわたる怪奇小説の黄金期に書かれた、 怪奇短篇の傑作アンソロジー。第3巻。10編収録。
  収録作品…
  「ターンヘルム」ヒュー・ウォルポール(英 1884-1941)「足跡」A・M・バレイジ(英 1889-1956)
  「秋のクリケット」ダンセイニ卿(アイルランド 1878-1957)「死霊の山」匿名氏
  「イノウズラッド夫人」R・マレー・ギルクリスト(英 1868-1917)
  「夜の怪」L・P・ハートリー(英 1895-1972)「列車」ロバート・エイクマン(英 1914-1981)
  「日時計」R・H・マールデン(英 1879-1951)「砂歩き」ファーガス・ヒューム(英 1859-1932)
  「失われた船」W・W・ジェイコブズ(英 1863-1943)


 第3巻も面白かったです(^_^) これで終りなのが惜しいくらい。イギリスの作家ばかりですが、 やはり怪奇小説といえばイギリスなんでしょうね。ちょっと奇妙な話から幽霊譚まで、ホントに 色々です。以下にお気に入りの感想を♪

「ターンヘルム」ヒュー・ウォルポール
 父と母がインドにいる間、私は親戚の間をたらい回しにされていた。ある時、 シースケールに住む二人の伯父のもとに預けられた私は、伯父の一人から奇妙な話を 聞かされる…。
 かぶった者を望む動物に変えてくれるという帽子、"ターンヘルム"。 手に入れてもそんな動物にはなりたくないですね〜(-_-)

「秋のクリケット」ダンセイニ卿
 車で小旅行に出かけた私は、通りかかった誰もいないクリケット場を一人ぽつんと見つめている 老人に出会った。話を聞くと、どうやら彼にはクリケットの試合が見えているらしいのだが…。
 なんか「フィールド・オブ・ドリームズ」みたいな、ちょっと素敵なお話です(^_^)  老人が誰より満足しているのならいいのかも…。

「列車」ロバート・エイクマン
 田舎町をリュックサック一つで旅していたマーガレットとミミは、道に迷ってしまい、 地元の人が"静かの谷"と呼んでいる場所に入り込んでしまう。やがて一軒の屋敷を見つけた二人は、 そこに泊めてもらうことになるが…。
 中編といっていいくらいの長さですが、わりと現代に近い(1951年)作品なせいか読みやすい上、 古いのとは明らかに怖さの質が違います(T_T) オチは読めたんだけど、それでも怖い。

「砂歩き」ファーガス・ヒューム
 商用のためガーソルムという田舎町を訪れた私は、ジャージル夫人の家に下宿することになる。 夫人は2年前、宿を貸したアンバーという男に娘を連れ去られており、たった一人で暮らして いたのだった。夫人の家を紹介した男は、"砂歩き"に気を付けるよう私に忠告する…。
 救いのない話ですね…。"砂歩き"という名前がいかにもでとても怖いです(T_T)

「失われた船」W・W・ジェイコブズ
 小さな港町テトビーで建造された帆船"テトビーの誇り"号が航海に乗り出して数年、 誰もがその帰りを待ちわびていたが、ついに船は帰ってこなかった。それから何十年も月日が流れ、 誰もが船のことを忘れかけたその頃、乗組員の一人がひょっこり帰ってきたのだが…。
 ホントに短いお話。いいですね、こういうお話は好きです(^_^;) 全然帰ってこないより なお悪い気もしますが……(爆)



「猫文学大全」 柳瀬尚紀 訳・編 (河出文庫 1990.2.2)
  19世紀後半から20世紀にかけて猫について描かれた短篇小説、詩などを集めたアンソロジー。
  収録作品…
  「子猫」オグデン・ナッシュ(米 1902-71)/「ネコ君の職探し」テッド・ヒューズ(英 1930-98)
  「猫の教訓」オールダス・ハックスレー(英 1894-1963)
  「ウェブスターの物語」P・G・ウッドハウス(英 1881-1975)
  「矮小なる獅子、或は猫」ウィリアム・サーモン/「白猫」W・W・ジェイコブス(英 1863-1943)
  「動物園にて」マーク・トウェイン(米 1835-1910)/「嫉妬ぶかい猫」ジャイルズ・ゴードン(英 1940-)
  「ひとり歩く猫」ラドヤード・キプリング(英(インド生)1865-1936)
  「そこで何してきたの?」ハーヴィー・ジェイコブス(米 1930-)/「トバモリー」サキ(英 1870-1916)
  「まずいと思ったら毛づくろい」ポール・ギャリコ(米 1898-1976)/「猫の占星術」アン・カーラー
  「猫とバイオリン」ロイ・フラー(英 1912-91)/「自由への道」ジャン=ポール・サルトル(仏 1905-1980)
  「アミの猫」稲川方人(1949-)


 猫、というテーマで英米+αの作家の作品を集めてみるのも面白いものですね(^_^) 作家の国と 生まれた年などは私が調べたものですので、分からない作家は抜けてます。間違っていたらご一報を(^_^;) 
 この本には小説だけじゃなくて、猫を題材にした絵画や彫刻や本物の写真まで収録されています。猫好きには たまらない本だと思います(^_^;) この本のすごいところは、猫でなければ成り立たない作品ばかり だということでしょうね。猫好きでなくてもわりと楽しそうな顔ぶれの作家ばかりですので 一読に値するかとは思うのですが、この本は現在絶版です(^_^;)
 以下に、好きな短篇のご紹介を♪

「ウェブスターの物語」 P・G・ウッドハウス
 「猫は犬とは違いますな!」…酒場「釣人の宿」でそんな風にして始まった猫のあら探し談議。 皆口々に猫の気に入らないところを話し始める。そして、マリナー氏の語り出した恐るべき話とは……。
 英国ユーモア小説作家ウッドハウスの“マリナー氏もの”(物語の設定についてはこちらをご覧下さい) です♪ お金持ちの叔父から猫の世話を任されたマリナー氏の従弟エドワードの息子ランスロット。 いわゆる放蕩息子だった彼がその猫にじっと見つめられた途端、心ならずも真面目な青年に早変わり(^_^;) 確かに 猫の視線には何かをせずにいられないようなものがありますが、このおかしさといったら…(^_^;)
 これが読みたくてこの本を買ったんですが(爆)、やっぱりこれが一番よかったです(ToT)

「白猫」 W・W・ジェイコブス
 とある酒場に雨宿りに入った旅人は、そこにいた老人からある猫の話を聞かされる。それは 片目が黄色、片目が青い白猫で、クラークという老人のペットだった。金持ちだったクラーク老人は 死ぬ時にその白猫が死ぬまで面倒を見るという条件付で、ジョージという老人に財産を残す。だか 納得のいかないクラーク老人の甥は、白猫を殺してしまおうと画策するが……。
 よくある話ですが、途中で白猫が行方不明になってしまう辺りから話がこじれてきます(^_^;)  猫も自分のおかれてる立場がよく分かってないし(当然ですが)、妙におかしくていいです♪

「そこで何してきたの?」 ハーヴィー・ジェイコブス
 家族に隠れてアイリーンと不倫していたマーヴィン・カートンだったが、唯一の悩みは彼女の飼っている白猫の毛が 体中にくっつくことだった。家に帰って体についた猫の毛を集め、いつも同じ場所へ隠していたマーヴィンだったが、 ある日その場所に一匹の小さな子猫が入り込んでいた。その猫は家で飼われることになったが……。
 なんて変な話(^_^;) 奇妙な物語なんですが、妙にかわいいというか、不気味というか…(^_^;)

「トバモリー」 サキ
 レディ・ブレムレーの催したハウスパーティで、アピン氏が大変なことを表明した。なんとトバモリーという猫に 人間の言葉を話す事ができるようにしたというのだ。疑う人々だったが、やってきたトバモリーが普通に話し始めるのを見て 大騒ぎ。彼は自分があちこちで見聞きしたことを遠慮なく話し始めたのだ…。
 これだけ既読ですが、面白いので♪ どこにでも入り込める猫が勝手に見聞きしたことを話し始めたら そりゃあ人間も心穏やかではないというお話(^_^;) この短篇はサキの“クローヴィスもの”のひとつです。 いたずら好きなクローヴィスがひと騒動起こすシリーズですが、このお話ではおとなしいです(^_^;)

「まずいと思ったら毛づくろい」 ポール・ギャリコ
 ある日突然白猫に変身してしまったピーター少年は、猫としての作法をジェニイという雌猫に教わることになる。 他の猫たちにいじめられてひどい目に合ったピーターに、ジェニイが教えた猫のやり方とは……。
 読まれた方はお気付きだと思いますが、これはギャリコの『ジェニイ』から1章を抜粋したものです。本当に猫を愛して いなければ書けない文章ですね〜。いいですね〜(^_^;)

「猫とバイオリン」 ロイ・フラー
 屋敷にネズミが出て困ったヒュー・ギルドは、1匹の黒猫を飼うことにした。彼女の名前はボルデロ。だが、 ヒューの妻は猫が嫌いだった。猫を捨てたがっていた妻だったが、ある日彼女は階段から落ちた怪我がもとで 死んでしまった。猫につまづいて階段から落ちたと言っていた妻だったが…。
 この微妙なラストがいいですね〜。ミステリには猫が似合いますね〜。



「マリナー氏ご紹介/トッパー氏の冒険」 P・G・ウッドハウス/ソーン・スミス 井上一夫 訳
 (筑摩書房 世界ユーモア文庫 S53.3.20)
 イギリスのユーモア小説家P・G・ウッドハウス(1881−1975)とアメリカの小説家ソーン・スミス(1892−1934)の ユーモア小説。
収録作品……
 『マリナー氏ご紹介』(1927) ウッドハウス
  「ウィリアムの話」、「厳格主義者の肖像」、「名探偵マリナー」、「ある写真屋のロマンス」、
  「スープの中のストリキニーネ」、「忍冬が宿」、「ささやかな人生」
 『トッパー氏の冒険』(1926) ソーン・スミス


 ユーモア小説、いいですね、大好きです〜(*^^*) 思想やら心理やら、余計なこと(^_^;)は一切必要ない、 ただもう楽しむための小説♪ ウッドハウスの短編を以前読んで、最高におかしかったので、 今回のこれです。イギリスとアメリカの有名なユーモア小説なんですが、やっぱりイギリスの方が 好きですね〜(まぁウッドハウスはアメリカに帰化しているけど…) しかし、犬が全て「ワン公」と訳されてるのが変だぞ(笑) 以下にお気に入りの感想など。 個人的に、収録されてる順番が逆だったらいいのにと思いました(^_^;) その方が、後でつらくないですね(笑)
「マリナー氏」ものは、ウッドハウスの数あるシリーズものの一つ。釣魚亭という酒場の片隅に陣取った マリナー氏が、一族の男たちのロマンスを語ります。馬鹿馬鹿しくも面白すぎ(^_^) 人情やペーソス なんかはかけらもなくて、からっと明るいユーモアが特徴です。中から面白かったのを♪
 ウッドハウスは一度読むと中毒になるといいます。私も手遅れらしいです(^_^;) でも、日本では あんまり翻訳されてないですね(T_T) 古いミステリのアンソロジーなんかには収録されてるのを 時々目にしますが。……ミステリ…?(-_-;)

「名探偵マリナー」 
マリナー氏の甥のエィドリアン・マリナーは、以前探偵をしていた。彼は依頼人の娘に恋を してしまったのだが、彼女の父親が結婚を許してくれなくて…。
→彼は悩みすぎて消化不良になり、医者から「笑え」と忠告を受けて5ギニー取られます。でも、 あんまり笑ったことのない彼の笑顔は、見る者の心の奥にあるやましい気持ちを掻き立てるような、 不気味な笑顔で…。彼が微笑むたび、駆け寄ってきてなんとか彼を買収しようとする、 後ろ暗いところのある人たち(笑) イヤですねぇ、そんな風に笑われたら私だって…(笑) これは好きな作品ですね〜。

「スープの中のストリキニーネ」 
マリナー氏の甥のシリル・マリナーは探偵小説が何よりも大好きだった。ある日同じ趣味の アメリアと出会い恋に落ちるが、彼女の母が結婚を許してくれない。彼はなんとか彼女の母親に近付いて、 結婚を承諾させようと試みるが……。
→セイヤーズに会ったことがあるとアメリアを口説く(?)あたりが(笑) でも、 「スープの中のストリキニーネ」(なんてタイトルだ(^_^;))という読みかけの推理小説を汽車の中に 忘れてきた辺りから、話がこじれてきて…。でもマリナー氏、本置き忘れて犯人が気になって眠れないという人に 犯人を教えてあげちゃうかな。それでその人もホッとしちゃうかな?(-_-;) その辺が大いに疑問です(^_^;)

「忍冬が宿」 
マリナー氏のまた従弟、推理小説家ジェームズ・ロッドマンの叔母さんは、べたべたと甘ったるい ロマンス小説の売れっ子作家だった。彼女の遺言で彼女のこれまた甘ったるい家に仕方なく住む事に なったジェームズ。だが、その家に住み始めてから、彼の周りではおかしな事が起こり始める……。
→独身主義者のジェームズに次々と襲い掛かる、ロマンスの危機。甘ったるい家と、甘ったるい少女と、 甘ったるい口説き文句。うわぁ、呪いだぁ。サイテーの呪い。もっとやれ♪ という感じですね〜(笑)  しかし、そんな彼の最大の危機を救ったのは……。これも大好き(*^^*) 

「ささやかな人生」 
マリナー氏の兄のウィルフレッドは、恋した女性に自分の会社で作っている日焼けクリームを プレゼントした。だが数日後、彼女の後見人ジャスパー・フフィンチ・フファロウミヤ卿がやってきて、 彼女からの絶縁状を手渡す。彼女に一体何が起こったのか? 彼は謎を解くため、使用人として ジャスパー卿の家に潜入する…。
→なんかこの後ホームズものの「ブナ屋敷」を思わせるようなストーリー展開が(*^^*) サウナに 閉じ込められて死にそうなフファロウミヤ卿が爆笑もの♪ 変な名前だし(笑)

「トッパー氏の冒険」 ソーン・スミス
口うるさい奥さんと、猫のスカラップスと一緒に普通に真面目に暮らしてきた、銀行員の コスモ・トッパー氏。ある日彼は、衝動的に車を一台買ってしまう。それは近所で樫の木にぶつかって死んだ、 遊び好きだった若いカービー夫妻が乗っていた車だった。その車を手に入れてから、彼の生活が変わり始める。 何より、カービー夫妻の幽霊につきまとわれるはめになってしまったのだ…!
→こちらは禁酒法時代のアメリカ。もうやめて、と思うくらいトッパー氏たちはお酒ばっかり 飲んでる(^_^;) そういう時代(?)だったのか…。これも楽しい作品ですね(*^^*) なんといっても 猫のスカラップスがよい味出してます。4年間飼ってる猫の謎のような視線に初めて気付いて、 彼は今までの生活に疑問を抱いたのかも。そして派手な車を買い、彼は二人の幽霊にとりつかれるはめに。 自堕落な夫婦、ジョージ・カービーとマリオン・カービーです。彼らは姿を消したまま物を動かしたり 飲んだり食べたり…なんで幽霊が(爆) トッパー氏の行くところはいつも大騒ぎ♪ 恐怖と混乱を 巻き散らすトッパー氏。おまけに生身の彼が、騒ぎの後始末をさせられます…。このドタバタな 感じがいいですね(*^^*) 幽霊っていうより透明人間ぽいけど。やがて、トッパー氏はマリオンを 好きになってしまうのですが、どうも私はいまいち彼女が好きになれなくて(^_^;) こういう お話だったら、下手に人間なんて書いてない方がいいかも。それにもうちょっと全体的に まとまってるといいのに…とか、けっこう文句がありますね(^_^;) しかし、最後の最後で彼女が急に あんなコトを言い出すなんてずるい(^_^;) 彼女に変えられてしまったトッパー氏ですけど、霊たちが いなくなっても彼はあのままなんだろうな。ほのぼのとしたラスト(*^^*) 続編もあるそうですが…(^_^;)



「世界ショートショート傑作選1」 各務三郎 編 (講談社文庫 S53.11.15)
 古今東西、様々なジャンルのショートショート作品のアンソロジー。42篇収録。
収録作品……

クライム&ミステリー
 「走れ、ウィリー」ヘンリー・スレッサー
 「失礼、番号ちがい――ではありません」チャールズ・アインスタイン
 「五人目の客」G・G・フィックリング、「とんだ災難」ジェームズ・M・アルマン、
 「チェックメイト」サミュエル・W・テーラー
 「死刑囚監房」ウィリアム・P・マッギヴァーン、「危険な曲がり角」ジム・ボズワース
 「心あたたまる記事」M・C・ブラックマン、「名人気質」ロン・スティーヴンス
 「拝啓 ケスター様」ギルバート・ラルストン、「宇宙探偵小説作法」H・F・エリス
 「ミニー伯母さんと事後従犯者」サミュエル・ポプキンス・アダムス
 「ツグミの巣」ヒュ―・H・ケーヴ、「黒板に百回」シド・ホフ
 「では、ここで懐かしい原型を……」ロバート・シェクリイ、「特別サービス」エド・レイシイ

怪奇&幻想
 「嵐の中のジェレミイ」ナイジェル・ニール、「浮遊術」ジョゼフ・ペイン・ブレナン
 「夢の家」アンドレ・モロア、「二〇〇〇年」ロバート・アバーナシイ
 「深夜特急」アルフレッド・ノイズ、「ふるさと遠く」ウォルター・S・テヴィス
 「ルーシーがいるから」ロバート・ブロック、「一ドル九十八セント」アーサー・ポージス
 「遅すぎた来訪」ジョン・コリア、「ふだんの一日」ウィリアム・F・ノーラン
 「選択」W・ヒルトン‐ヤング、「ヒューマニスト」ロマン・ギャリ
 「金色の霧」ピーター・カーター、「メリー・クリスマス」L・P・ハートリイ

コント
 「人生の楽しみ」オルガ・ロズマニス、「蛇踊り」コーリー・フォード
 「昨日は美しかった」ロアルド・ダール、「ゲームは公平に」テリー・サザーン
 「脚光」バッド・シュールバーグ、「赤色の悪夢」フレドリック・ブラウン
 「オスカー賞の夜」ジョン・マクレーン、「時間厳守」ジョン・オハラ
 「ヒーロー退場」ジェラルド・ミゲット、「虹ます」ショーン・オフェイラン
 「わかれ」レイ・ブラッドベリ、「ライター」マッキンレイ・カンター


 収録作品を書くだけで疲れました(^_^;) でも、この豪華なラインナップはぜひお見せしたくて♪ (というか、書いとかないと自分が忘れる(-_-;))
 ショートショートなので誰の作品ということはあまり関係ないかもしれませんが、こういう アンソロジーでしか読めない作品というのもあるので嬉しいです(^_^) これだけ入っていても、全然多いと感じないのも ショートショートのいいところかも(本も300ページありませんし(^_^;))。ジャンルも多岐にわたっていて、こうして 分類されてはいるけど、便宜上のものでしかない感じ。作家の国や時代が書かれてないので分かりませんが、知ってる 作家に限っていえば、19後半〜20世紀後半の、英米中心の作家というところでしょか。といっても、 知ってる作家は10人くらいしかいませんが(^_^;)  どれも楽しい作品ばかり♪ ちょこちょこ読むにはとてもいい本です。1作品が10ページにも満たないので、 ひとつひとつあらすじと感想は書きませんが、特にお気に入りは…「死刑囚監房」、「ミニー伯母さんと事後従犯者」、 「特別サービス」、「浮遊術」、「夢の家」、「ルーシーがいるから」、「一ドル九十八セント」、 「ヒューマニスト」、「蛇踊り」、「ゲームは公平に」、「ライター」……などです。 好きなのはどれも怪奇的かつ皮肉な話ばかりです(^_^;) 2に続きます↓



「世界ショートショート傑作選2」 各務三郎 編 (講談社文庫 S54.4.15)
 古今東西、様々なジャンルのショートショート作品のアンソロジー。37篇収録。
   収録作品……
クライム&ミステリー
 「鋼鉄の爪」マッキンレイ・カンター、「案山子」ポール・ジョーンズ、
 「時限爆弾」スティーヴン・マーロウ、「ジョークスター」ロバート・アーサー、
 「仕事の鬼」アラン・V・エルストン、「ブラック・マックス」オクテイヴァス・R・コーエン、
 「町を求む」フレドリック・ブラウン、「正義の警笛」エド・レイシー、
 「怪人ルペスキュ氏」H・H・ホームズ、「ジェリー・マロイの供述」アントニー・バウチャー、
 「ブラウン夫婦に浴槽はない」マーゴット・ベネット、「隣りの人」ポーリン・C・スミス、
 「目撃者」アーウィン・ショウ

怪奇&幻想
 「この子ひとり」ロアルド・ダール、「ある日、地球に……」アーサー・フェルド、
 「夢売ります」ロバート・シェクリイ、「素晴らしい監獄」ロレンス・ブロック、
 「わが亡きあとに……」アヴラム・デイヴィッドスン、「巨匠」ハーバート・ゴールドストーン、
 「ペギーとピーターの月旅行」ドン・ホワイト、「誰かが呼んでいる」ウィルスン・タッカー、
 「再臨」ロバート・ブロック、「ダンシング・パートナー」ジェローム・K・ジェローム、
 「ライラックの茂み」オーガスト・ダーレス

コント
 「ワラと地下牢」ジャン・ルシュパン、「女か、それともトラか」フランク・R・ストットン、
 「証言」ポール・ギャリコ、「街路」アラン・シーガー、「愛の証明」ウルフ・マンコウィッツ、
 「家計簿の恋」マックス・フィッシャー/アレックス・フィッシャー、
 「兎とカメに関する驚くべき真相」ロード・ダンセイニ、
 「危うし、ランス・オニール!」スコット・メレディス、「はまり役」リチャード・コーネル、
 「億万長者になる法」スティーヴン・リーコック、「それいけ、ドジャース」ウィル・スタントン、
 「帰郷」フレデリック・ネベル、「わかれ」イアン・S・トムスン、


 やっぱりショートショートは面白いです〜(^_^) ショートショート、といっても何をそう呼ぶかは意見の 分かれるところかと思うのですが、楽しければいいでしょ〜♪ 「世界ショートショート傑作選1」に 引き続き、とても中身の濃いラインナップ。外れも全然ないし、ちょっとづつ楽しむには最高の本(^_^) こういう本でなければなかなか 読めない作品ばかりだと思います。フレドリック・ブラウンの「町を求む」とダールの「この子ひとり」だけ既読ですね。
 どれも短いのでひとつひとつ感想は書きませんが、お気に入りは……「ジョークスター」、「仕事の鬼」、「ブラック・マックス」、「正義の警笛」、 「怪人ルペスキュ氏」、「ジェリー・マロイの供述」、「ブラウン夫妻に浴槽はない」、「隣の人」、 「目撃者」、「夢売ります」、「巨匠」、「ダンシング・パートナー」、「ワラと地下牢」、「女か、それともトラか」、 「街路」、「帰郷」、「わかれ」……などです。どれもオチが皮肉で、にやりとさせられるのばかりですね(^o^ゞ)  ホントにどれもきりっとまとまってて素晴らしい♪ 2の方が好みの作品が多いです。アンソロジーで 自分好みの作品を見つけた時って、なんだかとっても嬉しいんですよね〜。いつもながら、こういうのを編纂される方も ホントにすごいと思うのですが…(-_-;) 3に続きます↓



「世界ショートショート傑作選3」 各務三郎 編 (講談社文庫 S55.7.15)
 古今東西、様々なジャンルのショートショート作品のアンソロジー。37篇収録。
収録作品……
 「報復」マイクル・ズロイ「歳末蔵払い」メアリ・L・ロビイ
 「踊る二十日鼠」ハウエル・N・ホワイト・Jr.「ささやかな記念品」ジョン・コリア
 「夜の訪問者」フィリス・デューガン「禁煙は命とり」マーガレット・E・ブラウン
 「待ちかねて」ビル・プロンジーニ「夏の一夜」アンブローズ・ビアス
 「捕われた聴衆」ジャック・リッチー「一年のいのち」リチャード・マシスン
 「二本目の瓶」ジェイムズ・ロナルド「再起」ジョン・D・マクドナルド
 「酔って一夜で九百ドル」オスカー・シーゴル「いたずら」ギ・ド・モーパッサン
 「詩人と情婦」ローレンス・ハウスマン「チャールズ・ローンズバリイの遺言」ウィリストン・フィッシュ
 「あたしの名前を呼ばないで」ジェームズ・パーディ「アメリカの大試合」ジェームズ・A・カーチ
 「ハイネの唄」A・J・リーブリング「マリアーナ」フリッツ・ライバー
 「ディー・デイ」ロバート・トラウト「びんの中の恋人」ロン・ウェッブ
 「さようなら、ハーマン」ジョン・オハラ「良き隣人」エドガー・パングボーン
 「目につく男」エドワード・D・ホック「医者の指示」ジョン・F・スーター
 「警部の昼食」ドナルド・B・イェーツ「青い手紙」アルバート・ペイスン・ターヒューン
 「十月と六月」O・ヘンリー「生活水準」ドロシー・パーカー
 「善行家」オスカー・ワイルド「どんなふうに私が正式な結婚をしたか」チェーホフ
 「屈辱のとき」エルウィン・ブルックス・ホワイト「海の見える窓」エスター・カールスン
 「めったにいない女」ウィリアム・サンソム「聖処女ケイティ」ジョン・スタインベック
 「はるかなるブロードウェイ」コーリイ・フォード


 3巻だけ前の2冊と構成が違うのですが、やっぱり面白いショートショート♪ 収録作品が この数なのに、300ページに満たない本です。知ってる作家は割といますが、知らない作品ばかり。 これで3巻全部読みましたが、ホントになんて贅沢なアンソロジー。こういうのならいつまででも読んでいられます(*^^*)  文学、ミステリ、SF、その他(その他?)、タイトルと作者をシャッフルしても分からないような短い作品ですが、ひとつひとつが逸品です。 しかしなんとも切ないことに、3冊とも絶版なのですが…(^_^;) 
 それぞれが短い(そして数が多すぎる)ので感想は書きませんが、お気に入りは… 「報復」、「歳末蔵払い」、「ささやかな記念品」、「夜の訪問者」、「禁煙は命とり」、「夏の一夜」、 「捕われた聴衆」、「二本目の瓶」、「酔って一夜で九百ドル」、「良き隣人」、「目につく男」、「青い手紙」、 「どんなふうに私が正式な結婚をしたか」、「海の見える窓」など。オチが皮肉で 上手なのが多いです♪



「クレージー・ユーモア 海外SF傑作選」 福島正実 編(講談社文庫 S51.6.15)
 海外のSF作家による短編を集めたアンソロジー。12編収録。
 収録作品…
  「もののかたち」レイ・ブラッドベリ(米 1920-)「ナンバー9」クリーブ・カートミル(米 1908-1964)
  「人類供応法」デーモン・ナイト(米 1922-)
  「クレイジイ・プラセット」フレデリック・ブラウン(米 1906-1972)
  「バスカヴィル家の宇宙犬」アンダースン&ゴードン・ディクスン(米 アンダースン:1926-2001/ディクスン:1923-2001)
  「時は金」マック・レナルズ(米 1917-1983)「旅する男」ヘンリー・スレッサー(米 1927-2002)
  「怪獣の時代」ガイ・エンドア(米 1900-1970)
  「グレート・デーンになった男」ミリアム・アレン・ドフォード(米 1888-1975)
  「四次元フープ」ジョン・D・マクドナルド(米 1916-1986)
  「不景気」ロバート・シェクリー(米 1928-)「衝動」エリック・フランク・ラッセル(英 1905−1978)


 海外といってもほぼ全員アメリカの作家で、おまけにミステリ作家も混じってたりもしますが、 とにかくSFまたはSFっぽい奇妙な話を集めたアンソロジー。読んだことのある 作家は4,5人いますが、読んだことのある作品はありませんね……たぶん(^_^;) どれもホント〜に 面白かったです〜。…がっ、いつものことながら、この本は絶版です(-_-;) 作者名の表記も普及してるのと 違うのもありますが、そのままにしておきます。以下に特にお気に入りの短編を♪

「もののかたち」レイ・ブラッドベリ
 ピーター・ホーンとその妻ポリイの子供は、分娩機の故障で小さな青いピラミッドとして 生まれてきてしまった。その奇妙な外見に戸惑う二人。元の姿に戻ることを信じ、時は過ぎたが…。
 どんな形でも子供は子供…とはいえ、これはちょっとね〜(笑) ちょと感動的なお話です。 先のことは分かりませんが……(^_^;)

「人類供応法」デーモン・ナイト
 ある日突然宇宙からやってきた、豚そっくりのカナーマ人。彼らは地球上から戦争と飢餓を無くし、 地球人の繁栄を約束したが……。
 なんとなくオチは読めますね(^_^;) こうなったらもう笑うしかない(笑)

「クレイジイ・プラセット」フレデリック・ブラウン
 大きさの違う二つの太陽の間をまわる、奇妙な惑星"プラセット"で僕は働いていた。この星で 定期的に起る奇妙な現象にうんざりした僕は、職を辞することを決意したが…。
 SFかと思ってたらこんな結末が♪ なんだかスカッとします(^_^)

「旅する男」ヘンリー・スレッサー
 奇術用品商会に勤めるメルのもとヘ、未来からきたという奇妙な客が来る。商品と交換に 握って行きたい所を思うだけで瞬間移動できるという"テレポータブル"というメダルを 手に入れたメルは、それを使ってあらゆる場所へ旅をするが…。
 ナンセンスですけど、ホント笑えます(笑) あっちこっち行きまくって、そのたびに騒動が…。 ラストがちょっとじんわり(^_^)

「四次元フープ」ジョン・D・マクドナルド
 隣人のジェームズ・フィンチ殺害の容疑をかけられたビル・マロニイは、その裁判の被告席で 驚くべき話を語り始めた。それは、彼がふとしたことから奇妙な四次元フープを 手に入れたことから始まった…。
 殺人事件の意外すぎる真相(笑) SFミステリという感じですね♪ これも妙に爽やかな読後感。



「英米怪談集 幻想と怪奇1」 早川書房編集部 編(ハヤカワポケミス S51.10.15)
 英米の怪談を集めたアンソロジー。第1巻には7編収録。
 収録作品…
  「緑茶」シェリダン・レ・ファニュ(アイルランド 1814-73)
  「上段寝台」F・マリオン・クローフォード(米 1854-1909)
  「人間嫌い」J・D・ベレスフォード(英 1873-1974)
  「魅入られたギルディア教授」ロバート・ヒチェンズ(英 1864-?)
  「アムワース夫人」E・F・ベンスン(英 1867-1940)
  「柳」アルジャノン・ブラックウッド(英 1869-1953)
  「パイプを吸う男」マーティン・アームストロング(英)


 英米の怪談集…1巻は古めのものが多いでしょか。幻想、奇妙な能力や幽霊や吸血鬼…怪異譚から ちょと奇妙な話までいろいろ入ってます♪ だいたい…一度は作品を読んだ事がある作家ばかりですね(^_^;)
   「緑茶」(レ・ファニュ)と「人間嫌い」(ベレスフォード)は 以前の感想をどうぞ。以下にその他のお気に入りを♪ 2巻に続きます。

「上段寝台」 F・マリオン・クローフォード
 話題も尽きて退屈な空気が場に漂い始めた頃、幽霊などとは縁のなさそうなブリズベインが奇妙な話を 語り始めた。それは大西洋をある船で渡った時に泊まった部屋の話だった。その部屋では何故か いつも閉めたはずの窓がひとりでに開き、既に3人もの死者が出ているという話だったが…。
 船上の怪異譚は、逃げ場がないだけに恐ろしいですね。幽霊…というか、死んでいるもの……。 未知の存在を信じていようといまいと、関わり合いにならない方がいいこともあるのですね(^_^;)

「魅入られたギルディア教授」 ロバート・ヒチェンズ
 愛や慈悲を全く拒絶して生きてきたギルディア教授は、ある日友人のマーチソン牧師に奇妙な話をする。 目に見えない何者かが自分の家に棲みつき、しかも自分に愛情を抱いているらしいというのだ…。 嫌悪に震える教授に、牧師はさまざまな助言をするが…。
 ちょと長め。個人的には、見えない存在よりそれをなんとか見出そうとする教授と牧師の話が 面白いです。人間の愛を拒絶して生きてきた教授が、ワケの分からないものに愛される皮肉(^_^;)  恐ろしいお話です。

「柳」 アルジャノン・ブラックウッド
 ウィーンからカヌーでダニューブ川を下っていた私と友人は、土地の人たちが恐れるみず柳の密生地で 夜を明かすことになった。不吉な予感に怯える二人。囁くような音に夜中悩まされ、テントを出た私が見たものは…。
 ドナウ川のことですね。異国だからと油断してても、土地の人がおそれているのにはちゃんと 理由があるわけで…。近代の怪奇小説という趣です。川を埋め尽くす柳が怖い……。

「パイプを吸う男」 マーティン・アームストロング
 雨の中を歩いてきた私は、寂れた一軒家で雨宿りをさせてもらうことにした。そこに住む老人から、 身の上話を聞かされる羽目になった私だったが…。
 短めの…まさに怪談というお話。ホントにいかにも、というお話なんですけど、雨の降る夜に 聞かされたら怖いかも…(-_-;)



「幻想と怪奇2 英米怪談集」 早川書房編集部 編(ハヤカワポケミス 日)
 英米の怪談を集めたアンソロジー。第2巻には11編収録。
 収録作品…
  「ルクンド」