ラ 行
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ラヴクラフト  (ハワード・フィリップス) アメリカ
 ラヴクラフト全集 1創元推理文庫
ラシュディ (サルマン) イギリス 1947-
 ハルーンとお話の海 国書刊行会
ラヒリ (ジュンパ) アメリカ 1967-
 停電の夜に (短篇集)新潮文庫
リー (ヨナス) ノルウェー 1833-1908
 漁師とドラウグ (短篇集)国書刊行会
リッチー (ジャック) アメリカ 1922-83
 クライム・マシン (短篇集)晶文社
リンドグレーン スウェーデン 1907-2002
 長くつしたのピッピ講談社文庫
ルイス (クライブ・ステープルズ) アイルランド 1898-1963
 ライオンと魔女 (1950) ナルニア国ものがたり1岩波少年文庫
 カスピアン王子のつのぶえ (1951) ナルニア国ものがたり2岩波少年文庫
 朝びらき丸 東の海へ (1952) ナルニア国ものがたり3岩波少年文庫
 銀のいす (1953)ナルニア国ものがたり4岩波少年文庫
 馬と少年 (1954)ナルニア国ものがたり5岩波少年文庫
 魔術師のおい (1955)ナルニア国ものがたり6岩波少年文庫
 さいごの戦い (1956)ナルニア国ものがたり7岩波少年文庫
ル=グウィン (アーシュラ・K) アメリカ (1929-)
 影との戦い (1968) ゲド戦記1岩波書店
 こわれた腕輪 (1971) ゲド戦記2岩波書店
 さいはての島へ (1972) ゲド戦記3岩波書店
 帰還 (1990) ゲド戦記4岩波書店
 アースシーの風 (2001) ゲド戦記5岩波書店
 ゲド戦記外伝 (2001) ゲド戦記6岩波書店
 空飛び猫講談社文庫
 帰ってきた空飛び猫講談社文庫
 素晴らしいアレキサンダーと空飛び猫たち講談社文庫
ルナール フランス 1864-1910
 にんじん角川文庫
 博物誌 新潮文庫
ローリング (J・K) イギリス 1965-
 ハリー・ポッターと賢者の石 (1997)静山社
 ハリー・ポッターと秘密の部屋 (1998)静山社
 ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (1999)静山社
 ハリー・ポッターと炎のゴブレット (2000)静山社
 ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 (2003)静山社
 ハリー・ポッターと謎のプリンス (2005)静山社
 ハリー・ポッターと死の秘宝 (2007)静山社
ロンドン (ジャック) アメリカ 1876-1916
 荒野の呼び声 新潮文庫
 白い牙 新潮文庫


ワ 行

ワイルド (オスカー) イギリス 1854-1900
 幸福な王子新潮文庫
 ドリアン・グレイの肖像 新潮文庫
ワトソン (ライアル) イギリス 1939-
 アースワークスちくま文庫
 風の博物誌 河出文庫
 シークレット・ライフちくま文庫
 ネオフィリアちくま文庫
 未知の贈り物 ちくま文庫
 ロミオ・エラーちくま文庫
 ダーク・ネイチャー 筑摩書房




「ハルーンとお話の海」 サルマン・ラシュディ/青山南 訳 (2002.1.15 国書刊行会)
 アルファベーの国の“悲しい町”に住むラシード・カーリファは、次から次へと いろいろなお話を語るストーリーテラーとして有名だった。だがある日、彼の妻ソラーヤは そんなラシードにうんざりして家を出て行ってしまう。ラシードの息子ハルーンも、 「ほんとうでもないお話がなんの役にたつの?」と心ならずも父を責めてしまう。 その時から、ラシードはお話を語ることができなくなってしまった。
 責任を感じたハルーンは、父にお話をする力を取り戻させるため、大冒険に旅立つ…。 1990年。


 地球のもう一つの月オハナシーへ 父を救うため、水の妖精モシモと機械の鳥デモモに乗って 旅立ったハルーンは、世界のあらゆるお話が流れる“お話の海”に起こっている異変について 聞かされます。そして、オシャベリ町のパーチク姫がチンモクの教祖イッカンノオワリにさらわれ、 ハルーンも救出に向かいますが……。
 いいですね〜(*^^*) 心温まるファンタジー。ほんとうに楽しいお話なんですよね。この 言葉遊びみたいな名前の翻訳がいいな〜(^_^) 子供はこういうの大好きかも。子供向けにしては、 ソラーヤが浮気して出てっちゃったなんて辺り、いいのかな〜?なんて思うんですが(^_^;)  まあ、いいんでしょう。古い物語を忘れてゆくことへの警鐘なんかもあると思うんですが、 そういうことは何も考えなくても、純粋にお話の世界に没入できる、ストーリーだけで とても楽しめる本です♪(^_^)



「停電の夜に」 ジュンパ・ラヒリ/小川高義 訳(新潮文庫 H15.3.1)
 米国のインド系作家ジュンパ・ラヒリ(1967-)のデビュー短篇集。9篇収録。
 収録作品…
  「停電の夜に」、「ピルザダさんが食事に来たころ」、「病気の通訳」、
  「本物の門番」、「セクシー」、「セン夫人の家」、「神の恵みの家」、
  「ビビ・ハルダーの治療」、「三度目で最後の大陸」


 両親はベンガル人、ロンドン生まれのアメリカ在住という、ちょっと不思議な作家です。 静かな悲しみを秘めたような、でも親密な雰囲気の感じられる文章が印象的。インドの人や 土地がけっこう出てきます。なかなかよい感じなので、いずれ長編も読んでみたいですね。 以下にお気に入りの作品の感想を♪

「停電の夜に」
 1年前に死産を経験して以来、どこかすれ違う日々を過ごしていたショーバとシュクマールの夫婦。 そんなある時、工事で毎晩1時間停電することになり、夫婦は闇の中で毎日お互いに秘密にしていた ちょっとしたことを打ち明けあうようになる…。
 どんな夫婦でも、普通に暮らしていれば日々抱え込むほんのちょっとした秘密。 それを相手に言わずにいることが、夫婦であるという理由そのものなのかもしれないのに。 …って私には分かりませんけども(^o^;)  とても切ない…というか、残酷なお話です。

「病気の通訳」
 インドの観光地でタクシー運転手をしているカパーシーは、アメリカ人一家を案内していた。 一方で病院で通訳をしていると語るカパーシーに、奥さんはとあるうち明け話をしてくる…。
  人間関係って、言葉が通じるかどうかじゃないですよね。奥さんは話す相手なんて 誰でも良かったと思うのに、混乱の中に置き去りにされたカパーシー氏がなんだか哀れ…(^_^;)

「セン夫人の家」
 母親が働いている間、エリオットは大学教師の妻のセン夫人の家に預けられることになった。 インドから来たばかりでアメリカの習慣に戸惑っているセン夫人と毎日数時間を過ごして、 寂しさの漂うセン夫人の生活を見つめるエリオットだったが…。
 車の運転も怖くて遠くのお店へも行けないセン夫人。見知らぬ土地にただ一人の心細さを、 彼女の傍で感じているエリオット…。ただ淡々と進む物語ですが、しんみりとした良さがあります。

「三度目で最後の大陸」
 私は生まれ故郷のインドを離れ、ロンドンで苦学し、アメリカで身を立てようとしていた。 会ったことのない女性との縁談をまとめられ、彼女がやってくるのを待ちながら、私はボストンでアパートを 借りる。家主は93歳の気難しいミセス・クロフトだった…。
 いろんな場所とたくさんの距離を移動して、日々生きていく私の物語。このお話が一番好きです。 特にミセス・クロフトや、彼女とのちょとユーモアのあるやり取りがいいですね。どんな日常も 小さな奇蹟の連続、なのかな…(^_^)



「漁師とドラウグ」 ヨナス・リー/中野善夫 訳(国書刊行会 1996.8.10)
 ノルウェーの作家ヨナス・リー(1833-1908)の短篇集。11篇収録。
 収録作品…
  「漁師とドラウグ」、「スヨーホルメンのヨー」、「網引き」、「岩の抽斗」、
  「アンドヴァルの鳥」、「イサクと牧師」、「風のトロル」、「妖魚」、「ラップ人の血」、
  「青い山脈の西で」、「「あたしだよ」」


 ノルウェーの国民的作家らしいですが、知りませんでした〜(^_^;) たくさん著作もあり、 この短篇集に収録されているのはどれもノルウェーの民間伝承を題材にした、ちょっと怪しく不思議な お話ばかり。北の荒海と長い長い冬の夜を思わせるような、暗く厳しい雰囲気があります。 それはそれで悪くないんですが、続くとちときついかなと(^_^;) この空気は言葉でくどくど 説明するより、読んでいただいた方がいいですね。
「岩の抽斗」は既読ですので、そちらの感想をどうぞ。 以下にそれ以外のお気に入りの感想を♪ 独特の世界観があるので、あらすじがちと 長めですが…(^_^;)
 叢書としては「魔法の本棚」(国書刊行会)3巻『赤い館』(H・R・ウエイクフィールド)に続きます。

「漁師とドラウグ」
 クヴァルホルメンに住む漁師のエリアスは、ある日巨大な海豹を仕留め損ねる。それから何年もたち、 怪しい海豹のことを忘れかけた頃、エリアスは念願のフェンブリン(舟)を手に入れた。 家族を乗せて帰途についたエリアスは舟の素晴らしさに心を奪われるが、やがて嵐に見舞われる。 必至に舟を操るエリアスの目に映ったものは、彼の舟に競争を挑むかのような、 もう一艘のフェンブリンだった…。
 ドラウグ、というのは北部ノルウェーの民間伝承に登場する妖怪みたいなもので、頭の代わりに 海草のかたまりがのってたり、目と口が胸についてたり…するそうです(ToT) 海の上で ドラウグに会った者は、近いうちに溺れて死ぬ運命にあるとも。本書に収録されている作品にも 何度か出てきますが、対処法(?)が分からないのでなんか余計おっかないです(^_^;)  これも怖いお話…。

「アンドヴァルの鳥」
 アンドヴァルの漁港に住む美しい娘は、やってくる船乗り達の心を惑わせた。だが彼女は、 船の近寄ることのできない沖の島に沈んでいるという金の指輪を持ってきた男とでないと 結婚しないと言うのだった。ある日、難破船から打ち上げられた男を見た彼女は、 この男が花婿だというのだが…。
 結局彼女は帰っていかなければいけなかったのかな…。不思議な余韻の残るお話です。

「イサクと牧師」
 ヘルゲランに住むイサクという漁師は、ある日長靴を片方釣り上げた。それがどうやら死んだ兄の 長靴らしく思えたので、牧師に墓場への埋葬を頼むが断られる。しかしこっそり墓場へ長靴 を埋めてしまったイサクは、海で死んだ兄のことを思い悶々と悩む日々が続いた…。
 これもちょと奇妙なお話ですが、他のに比べてそこはかとないユーモアが漂っているような。 海で死んだ者も、教会に埋葬されなければ海に棲むもの同様に恐ろしい存在になってしまう ということでしょか(-_-;)

「ラップ人の血」
 スヴァトフィヨールに住むアレイトは、大人たちに差別されているラップ人たちの家に 子供の頃からよく出入りし、シラという女の子と遊んでいた。ある時彼の家だけ不漁が続くように なり、ラップ人の妖術のせいだという噂が立った。責任を感じたアレイトは、妖術を打ち破るために ラップ人の墓の土をひとつかみ盗むが、今度は死者の罰を恐れるようになる…。
 現実の差別と幻想が入り混じったような、不思議なお話です。すべてを疑いもなく受け入れられた 子供の頃は良かったけれど…。不安で切ない出来事が続くけど、あったかいラストですね(^_^)



「クライム・マシン」 ジャック・リッチー/好野理恵 訳(晶文社 2005.9.30)
 短篇の名手ジャック・リッチーの傑作短編集。17編収録。
 収録作品…
  「クライム・マシン」、「ルーレット必勝法」、「歳はいくつだ」、「日当22セント」、「殺人哲学者」、
  「旅は道づれ」、「エミリーがいない」、「切り裂きジャックの末裔」、「罪のない町」、「記憶テスト」、
  「こんな日もあるさ」、「縛り首の木」、「カーデュラ探偵社」、「カーデュラ救助に行く」、
  「カーデュラの逆襲」、「カーデュラと鍵のかかった部屋」、「デヴローの怪物」


 日本ではあまり知られてない作家なんですかね〜。似たようなタイプの人も多いことですし…。 とはいえどの作品も素晴らしいですね♪ 簡潔にして巧妙です。時にはちとそっけない気もしますが(^_^;)
「こんな日もあるさ」と「縛り首の木」はターンバックル部長刑事シリーズもの、 「カーデュラ探偵社」以下4作はカーデュラが自らの特異体質(?)を生かして私立探偵として活躍するシリーズ。 個人的に後者はそれほど好きでもない(探偵が……なんて(笑))んですが、他のはどれもけっこう 気に入りました。以下に特にお気に入りの感想を。「クライム・マシン」は 以前の感想をどうぞ。

「ルーレット必勝法」
 ある日おれの経営するクラブのカジノにシボーグという男がやって来た。彼は何もイカサマを している風でもないのにルーレットで勝ちつづけ、おれは危機感をつのらせた。やがてシボーグは 自分はおれにある取引を持ちかけるが…。
 謎のルーレット必勝法。こんなものを目の当たりにしたら、誰も落ち着いちゃいられませんね。 ま、自業自得ってことで…(^_^;)

「歳はいくつだ」
 医師からあと4ヶ月の命だと宣告されたわたしは、残された時間をどう過ごしたらいいのか考え始めた。 ふと立ち寄ったサーカスで、無礼な入場券売りに出会った私は、残された時間の有意義な使い道を発見する…。
 そうしたい気持ちはすごく、すご〜くよく分かりますけど(笑)、そこまでしなくてもね〜。 でも、なんかスカッとするお話です(^_^;)

「エミリーがいない」
 わたしの妻エミリーが姿を消してから、彼女の姉のミリセントがあれこれ詮索するようになったるようになった。 前の妻が事故死していることもあり、ミリセントはエミリーの行方について疑いを強めているようなのだが…。
 エミリーがまさか、そんなことになっていようとは(笑) こういういかにもなお話もわりと好きです。

「デヴローの怪物」
 わたしの家には、祖父の代から伝わる一匹の奇妙な怪物の言い伝えがあった。今でも その怪物は夜な夜な歩き回り、村人たちにその姿を目撃されていたのだが…。
 毛むくじゃらの怪物の正体。まぁ、時にはそんなのがいてもいいかもしれませんねぇ(^_^;)  恐ろしい未来を予感させるラストです…。



「ライオンと魔女」ナルニア国ものがたり1 C・S・ルイス/瀬田貞二 訳 (岩波少年文庫 1985.10.8)
 戦時中、ロンドンから片田舎の大きな古い屋敷に疎開してきたピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィの 4人兄弟。年老いた学者先生の住むその館には、色々と奇妙な言い伝えがあった。 ある日かくれんぼの最中、部屋の片隅の大きな衣装たんすに隠れたルーシィは、 その奥が真っ白な雪に覆われた森につながっていることを知り驚く。そこは白い魔女の支配する、 永遠に冬の終わらないナルニア国だった…。ナルニア国シリーズ1作目。1950年。 本の詳細

 大きな衣装戸棚の中のふさふさの毛皮の外套をかき分けて奥へ進めば、そこはいつも冬景色のナルニア国…。 伝説の妖精や魔女が住み、動物たちも話のできるナルニアで、さまざまな冒険の末成長していく4人。
 初めて読みましたが、大人の冷めた頭で一歩引いて読むより、やはり子供の方が楽しめるんでしょうね〜。 確かにそれなりに面白く、4人の子供たちの気持ちの流れや情景の描写、ユーモアのある語り口なんかは なかなか気に入ったんですけど、単純明快なストーリー展開、はっきりした善悪と役割分担…。私には少しばかり 甘々かな〜と感じたファンタジーでした。文章がいかにも子供向けな古い翻訳なんで、そこもちとつらかったです。 うだうだ言ってますが、子供向けなんだから子供が読んで楽しければそれでいいわけなんですが。 ちなみに一番好きなのは、みんながビーバーさんのお宅でおいしそうなごはんを食べるところです(爆) 
 ま、たぶん1巻だけではなんとも言いがたいと思いますので、2巻『カスピアン王子のつのぶえ』に続きます↓



「カスピアン王子のつのぶえ」ナルニア国ものがたり2 C・S・ルイス/瀬田貞二 訳 (岩波少年文庫 1985.10.8)
 再びナルニアに戻ってきたピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィの4人兄妹は、 前に来た時から長い年月が流れたナルニアの現状に驚く。現在のナルニアはテルマール人と呼ばれる 人間の支配下にあり、かつてこの国で栄えていたけものたちや小人や精霊たちは、ひっそりと隠れるように 生きているのだった。やがて4人は自分たちをナルニアに呼び寄せた力の正体を知り、国を追われた カスピアン王子と出会う…。ナルニア国シリーズ2作目。1951年。 本の詳細

 4人の兄妹たちが去ってから何百年もの時が流れ、荒んでしまったナルニア国。 前回よりだいぶ楽しめたような気がします。テルマール人など出てきて少し(少しだけ)話が複雑になってるのと、 たぶんそれ以上に、私にはどうもな〜んかキレイごとに思えてしまって苦手な 4人兄妹が、前回ほど出てこないからかも知れません。いや、子供向けだから仕方ないのは 前作同様よっく分かってます(^_^;)
 昔のナルニアにあこがれるカスピアン王子が、夜毎コルネリウス博士と塔の上で勉強をする 場面はけっこう好きですね…。ものいうけものたち、アナグマやリスや、ネズミの戦士リーピチープと その尻尾の顛末もいいです。ルーシィのぽろっと漏らした、外見は普通の人と同じでも中身が 獣のようになってしまった人間をどうやって見分けたらいいのか、という問いには 少々ドキッとしました。答えははぐらかされてたけど、こういうのを何気に差し挟むあたりが すごいというか怖いというか…。
 しかし最後の最後で意外だったのは、ナルニア入国年齢制限の件です(笑) 理由が明確でないので、 なんか納得いかないのですが…。まぁ大人になってむやみに呼び出されても困るし(いや…(^_^;))、 そういうものだといわれたら、子供に理由は必要ないのでしょうね…。 他にも大人の目で深く突っ込んではいけない部分が多いみたいですので(^_^;)、 3作目『朝びらき丸 東の海へ』に続きます↓



「朝びらき丸 東の海へ」ナルニア国ものがたり3 C・S・ルイス/瀬田貞二 訳 (岩波少年文庫 1985.10.8)
 エドマンドとルーシィのペベンシー兄弟は、夏休みの間いとこのユースチスのいるおばさんの家で 過ごすことになった。鼻持ちならないユースチスにうんざりした二人は、かつて行ったナルニア国の話 ばかりして過ごしていた。だがそんなある日、3人は突然ルーシィの部屋にあった船の絵に吸い込まれ、 ナルニアの海へと投げ出される。そんな彼らを救ったのは、かつて父王に追放された7人の貴族を 救出するために朝びらき丸で旅に出たカスピアン王だった…。ナルニア国シリーズ第3作目。1952年。 詳細を見る

 ナルニアでは前回から3年後という設定ですね。今回の主役はエドマンドとルーシィと、 自己中な良い子ぶりで兄弟を見下すユースチス。役割分担は明確ですが、エドマンドがいる分 少しだけ複雑かな。絵の中に入り込んでしまった3人は、カスピアン王と共に朝びらき丸に乗り、 貴族たちを探して東へ東へ。ついに世界の果てまで…。
 今回はいろんな冒険が主に描かれているせいか、前2作より格段に楽しかったです(^_^;)  ユースチスには少し辟易しましたが、彼が改心することになるいきさつ、めぐる島々での 不思議な出来事の数々、ネズミの戦士リーピチープの雄姿…。どの島での話も、短いけど とても楽しいものでした。う〜ん、個人的にアスランが あんまり出てこない方が好きなんですかね(^_^;) 嫌いじゃないけど、彼はなんと言うか… 偉大すぎるというか。どんな名前だろうと絶対の存在なんつーものが出てくると、 そこだけ話がごつごつするよーな気がしてしまって…。まぁ、それは好きずきですね。
 好きなのは声の島でルーシィが読む本と、東の果てを目指す最後の旅です。  どちらもホントに素敵でした♪ こんな世界の果てなら行ってみたいです…。リーピチープも 今回とてもかっこよかったですね。このシリーズ、今のところこのお話が一番気に入ってます(^_^;)
 4作目『銀のいす』に続きます↓



「銀のいす」ナルニア国ものがたり4 C・S・ルイス/瀬田貞二 訳 (岩波少年文庫 1985.10.8)
 学校嫌いの女の子ジルがいじめられて泣いているところに、先学期とは人柄ががらりと変わった ユースチスがやってきた。ユースチスの変化を不思議がるジルに、彼はナルニア国の話を聞かせた。 そこへ追いかけてきたいじめっ子から逃げようとした二人は、目の前にナルニアへの扉が開かれたのを見た。 そこで二人はアスランに出会い、あることを命じられるが…。ナルニア国シリーズ第4作目。1953年。 本の詳細

 前回から70年ばかり後、行方不明になったカスピアン王の息子リリアンを探す旅に出るジルとユースチス、 そして水先案内人の沼人、泥足にがえもん(変な名前…(^_^;))。 始めはにがえもんのネガティブ思考とジル&ユースチスの折の悪さにちと参りましたが、まぁ楽しめた お話でした。前回の冒険に次ぐ冒険を読んでしまうと、わりと平坦なお話という気がしてしまいますね…。 タイトルの“銀のいす”があんなふうに出てくるのはちょと意外でした。
 しかし、作者は新教育の学校に何か恨みでもあったのでしょうか?(^_^;) 頻々と 新教育をけなした挙句、最後に至ってはいくらアスランだってやりすぎのよーな気がします。 でも子供が読んだら快哉を叫ぶところなのかな。だったら別にいーんですけどさ(^_^;)
 今回心に残ったのは、にがえもんが女王と対峙した時の台詞ですね。想像することの大切さを語るところ。 読みようによっては危険をはらんでいる言葉ですけれども、それでもやっぱり素敵なことですね。
 5作目『馬と少年』に続きます↓



「馬と少年」ナルニア国ものがたり5 C・S・ルイス/瀬田貞二 訳 (岩波少年文庫 1985.10.8)
 ナルニアの国を一の王ピーターとその弟たちが治めていた時代、そのはるか南の強国カロールメンの漁師の家に シャスタという少年が暮らしていた。ある日自分が貴族の奴隷として売られようとしているのを知ったシャスタは、 もの言う馬ブレーと共に、ブレーの故郷であるナルニアを目指すことにする。途中、カロールメンの貴族の子 アラビスとその馬フインも一向に加わるが、彼らはふとしたことからナルニアに対する陰謀を知ることになる…。 ナルニア国シリーズ第5作目。1954年。本の詳細

 このお話は、ナルニア国の年代順では『ライオンと魔女』の次のお話ですね。 あの4人兄妹が、ナルニアで王と女王だった時代のお話。とはいえナルニアの話ではなく、 ちょっとアラビア風の国カロールメンを舞台にした、少年シャスタと馬の冒険です。
 う〜む、それにしても今回もなかなかきっちりした役割分担と 分かりやすい展開でしたね。シャスタたちの旅の様子や場面ごとの風景などは 好きな部分もあるのですが、全体として単純な展開で、悪い人はあくまで悪く、良い人に悪いことは起きず…。
 それはいい…というか仕方ない…としても、やはりアスランの存在は引っかかります。 宗教くさいと思うかどうかは読む人の感じ方の違いとは思いますが、純粋にストーリー展開だけを 考えても彼の存在は都合良すぎなんではないかな…? シリーズを重ねるごとにそんな思いを、 そして子供の頃に読んでおけば良かった(読みたかった、とは微妙に違う…)という 思いを新たにします(^_^;) まぁ、全部読まないと分からない…か、な? 
 6作目『魔術師のおい』に続きます↓



「魔術師のおい」ナルニア国ものがたり6 C・S・ルイス/瀬田貞二 訳 (岩波少年文庫 1985.10.8)
 ロンドンに住むポリーという女の子は、ある日隣家に見慣れない男の子がいるのに気付く。 彼は母親の療養のために伯母の家にやってきたディゴリー少年で、伯母と病気の母親、そして 少しおかしいという噂の伯父アンドルーと一緒に暮らしているのだった。ポリーとディゴリーは ふとしたことからアンドルーおじの部屋に入ってしまい、別世界へと送り込まれてしまう…。 ナルニア国シリーズ第6作目。1955年。本の詳細

 ナルニア国誕生の物語。年代順では一番最初のお話です。今までシリーズを読んできたからこそ 分かるという、意外なことがたくさんあって面白いですね。『ライオンと魔女』の衣装だんすの由来、 魔女のいる理由、街灯のある理由…等々。後に書かれたにしては、かなりきれいにまとまってますね〜。 もう一度『ライオンと魔女』を読みたくなります。ディゴリーの正体(?)が分かったときはちょとじ〜んときました♪
 後の時代ではな〜んか唐突に出てくる気のするアスランも、できたばかりのナルニアでは 自然に見えます。魔女がどうなってしまうのかな〜とはらはらするストーリーもいいのですが、 今回はこの世界がわりと好きです。 世界と世界の間の林、って素敵ですね。戦いのシーンがないのも、けっこう良かったりしますが…。 何か個人的に作品の好き嫌いがけっこう明確なシリーズです(^_^;) シリーズ後半になると、 物語としてだいぶ深みも増しているとは思うのですが。
 ひどすぎるアンドルーおじと例の女王のロンドンでのバカ騒ぎがなかなか良いです(笑)  彼が植えられてしまう場面なんて最高♪ もっとひどい目にあってほしかった気もしますけど(^_^;)
 というわけで、7作目にしてシリーズ完結の『さいごの戦い』に続きます↓



「さいごの戦い」ナルニア国ものがたり7 C・S・ルイス/瀬田貞二 訳 (岩波少年文庫 1985.10.8)
 ナルニアの王チリアンは、ずるがしこい毛猿ヨコシマの計略にはまり、強国カロールメンに 攻め寄せられてしまう。ナルニアの住民は偽アスランを恐れてチリアンの元を離れ、彼自身も囚われの身となってしまう。 そんな彼を助けるべく再びナルニアにやってきたユースチスとジル。だが、カロールメンの軍勢と彼らの神 タシの前には成すすべもなく…。ナルニア国シリーズ第7作目。1956年。 本の詳細

 かつてナルニアを訪れた子供たちが、ナルニア最大の危機を救うべく奔走します。 何かあっけなくやってきた気のするナルニアの最期。ストーリーは7作中最も単純ですが、 一番宗教色が強い気のするお話ですね。タシについてのアスランの言葉を読んだりすると、 私なんかは宗教ってホント、都合のいいもんだなって気がしてしまいますがね…(^_^;)
 ナルニアの最期。そして本当のナルニア。天国…というかイデア…?  懐かしい人たちがたくさん出てきたまでは良かったのですけど、 あの最後にはなんかちとがっくりきました。最後の最後でこれですか。実は彼らみんな そんなことになってるだなんて、子供は読んでどう思うのかな〜。
 たぶんそんなことを考えてはいけないのかもしれませんが、いったいアスランは結局 何がしたかったのか…と考えてしまいますね。最後に絶対の存在がすべてを裁いて、 めでたしめでたし文句なし…では、やっぱり物語としてはさびしいかな。そういう世界観なんだって 言われたら、そーですかって言うしかないんですけど。偽アスランにおののくナルニアのけものたちも、 なんか急に愚かにさせられてしまったみたいで切ない。 やがてたどり着く本当のナルニアも、それはそれでたぶん美しい世界。でも彼らみんな、元の世界に未練つーか思い入れっつーか、 そういうのは全然…ないみたいね?(^_^;) やっぱその辺になにか違和感を感じます。どうも最後の最後ですっきりしないお話でした…。

 シリーズ全体としてはそこそこ面白かったですし、まぁ楽しめました。 子供向けなんだから、大人が読んで手放しで楽しいと思える物語ではないのは当然ですよね。 子供が読んだ方がやっぱりあちこち引っかからず、突っ込みを入れたくなったりもせず楽しめるのかな、 とずっと思っていました。言っても詮無きことですが(^_^;) 
 一番好きなのは3作目「朝びらき丸 東の海へ」でしたね、やっぱし。



「影との戦い」ゲド戦記1 ル=グウィン/清水真砂子 訳 (岩波書店 1992.3.16)
 古来より数多くの魔法使いを輩出してきたゴント島。その寒村の鍛冶屋に生まれたハイタカという名の少年は、 生まれつき魔法使いの素質を秘めていた。
 ある時、おぼつかないながらも魔法で村を救ったハイタカは、偉大な魔法使いオジオンに弟子入りし、その勧めで ロークにある魔法使いの学院で修行することになった。だがその最中、驕りの心から 禁じられた魔法を唱えてしまった彼は、死の国から恐ろしい影を呼び出してしまう。 修行を終えた彼は、影を探して世界を旅することになる…。ゲド戦記1。1968年。 本の詳細


 有名な作品ですので、私ごときの詳しい紹介は不要かと(^_^;) いつか読もうと積んで数年。 映画化されたんで、重い腰を上げたわけですが…。
 万物が持つ真の名前を探り、古い言葉を魔法の力とする魔法使い。主人公であるハイタカことゲドも、魔法使いになるべく 学院で修行をします。才能を持っていたがゆえに、尊大な人間になりつつあったゲド。 彼が呼び出してしまったものの正体は、大人なら読んでて大体分かるかと思うのですが、 それと向き合うことは若いゲドならずとも難しいこと。多島世界アースシーをめぐり、ただ一人孤独に影を追う ゲドの静かな戦いが良いです。誘惑も寄り道も多い、厳しい試練のような旅です。 学院での生活、カラスノエンドウとの友情、竜との戦い、船旅…。この確固たる世界と物語、 ホントに素晴らしいです(T_T) 
 さらっと語られる何気ない言葉にも深い意味がこめられ、それでいて押し付けがましくないのがいーですね(笑)  ゲドの影との戦いを読みながら、自分自身を指している指の存在にふと気付かされるような、そんな気がします。 もちょっと(って少なくとも10年くらい…)若い頃に読めばよかったですな(^_^;)
 次は2作目、『こわれた腕輪』に続きます↓



「こわれた腕輪」ゲド戦記2 ル=グウィン/清水真砂子 訳 (岩波書店 2006.4.6)
 ガルガド帝国のアチュアン島には古い闇の神々を祀るアチュアンの墓所と呼ばれる場所があり、 幼いテナーはその墓所を司る大巫女となるべく定められた運命だった。墓所で巫女としての 生活を送るようになった彼女は、祭事を執り行い、大巫女だけが入ることを許された 墓所の地下迷宮を散策して過ごすようになる。ある日彼女は、誰もいるはずのない迷宮の中で、 一人の男に出会い驚愕する…。ゲド戦記2。1971年。 本の詳細

 自分を特別な存在と信じ、また信じ込まされるような状況で、他の世界を知らずに 年頃を迎えたテナー。漠然とした不安を胸に秘めながら…。
 1作目から10年ばかり後のゲドも出てきますけど、今回の主役はテナーです。 テナーの置かれた状況は特殊ですが、初めて見知らぬ世界を前にした若者が抱える苦悩というのは、 いつどこでも同じものかもしれませんね。教えられたことをそのまま信じていれば よかった子供時代が過ぎ、教えられたことと自分自身の目で見たことの違いに戸惑い始めるテナー。 とある目的のために墓所にやってきたゲドも、そんな彼女の心の揺れを感じて…。
 旅も冒険もなく、主に描かれるのは独り墓所の迷宮を手探りするかのようなテナーの心情。 ひとりでは誰も自由になれない、というゲドの言葉が胸にしみます。 あれこれ言葉を並べるよりも、じっと静かにかみしめたい素敵なお話ですね。
 次は3作目『さいはての島へ』へ続きます↓



「さいはての島へ」ゲド戦記3 ル=グウィン/清水真砂子 訳 (岩波書店 2006.4.6)
 魔法の力を統べるローク島の学院へやってきたエンラッドの王子アレンは、世界中で魔法の力が弱まり、 失われつつあることを大賢人ゲドに告げた。その原因を探すべく、二人は遠い島へと船出することになる。 行く先も分からない二人を先々で待っていたのは、秩序を失い人々の心もすさんだ町や村だった。ゲド戦記3。1972年。 本の詳細

 前作から20年後くらいのお話でしょか。まだなんとなく自分に自信のない17歳のアレン王子と、 ロークの学院の大賢人になっているゲドが、失われつつある世界の均衡を取り戻すべく旅に出ます。 魔法の力とは、そして生と死とは何かをひたすら問答し続けるような、過酷でありながら 深い静寂を思わせる二人の旅。波の音を背景に、いつまでもゲドの言葉に耳を傾けていたくなりますね…。 永遠の生を願うこと、均衡を崩すことの恐ろしさ。何かを為すことでなく、為さないことの難しさ。 一度自分の中の闇を覗くことなしには、本当に理解…というか実感するのは難しいのかもしれませんが…。
 まぁ難しいこと抜きにしても、はてみ丸での船旅のシーンはけっこう好きですし、魔法の力を失っていく 魔術師たちとの出会い、さいはての島の竜たちのことなど、楽しめる場面はたくさんあります。アレンの成長も いいですね。ゲドはこの先どんな人生を送るのでしょう?
 次は4作目『帰還』へ続きます↓



「帰還」ゲド戦記4 ル=グウィン/清水真砂子 訳 (岩波書店 2006.4.6)
 ゴント島で暮らす農園の寡婦ゴハは、ル・アルビの大魔法使いオジオンが 病に臥せっていると知らせを受けた。彼女は養女のテルーを連れ、かつてはその元で暮らし 教えも受けたオジオンの元へと赴いた。そこで彼女は、思いがけない人物に会うことになる…。ゲド戦記4。1990年。 本の詳細

 物語としては3巻の直後から始まっていますが、書かれたのは約20年後なんですよね。そのせいか 物語の雰囲気がだいぶ違う気がします。20年前だったらこういう描き方はしなかったんじゃないかな、 作者にも色々あったのかな……とか、考えたくなりますね(^_^;) 特にテルーの境遇には、 現代アメリカの暗い部分をふと垣間見てしまいます。
 顔を焼かれ、それ以上にひどい目に合わされた少女テルーと共に暮らすようになったテナー。 女として地に足の着いた生き方をしたかったという彼女の選択は、なんとなく分かる気がしますね。 男と女という性…というか生き方や考え方の違いを端々で考えさせられる物語です。 男は、女は…と性を限定して語ってる部分がファンタジーにしちゃ多すぎるので 妙に生々しい気もします。微妙な話題なだけにあちこち曖昧な言い回しも多く、そうでなくたって もう子供向けでは全然ないですね〜。男性の感想を聞きたい部分がてんこ盛り(笑) 
 しかし魔法使いが、その力と引き換えにそんな代償を払わされているとは。 それが不自然なことだということを、テナーは…というか女は直感的に感じるのかもしれません…。 大賢人でも男でもなく、ゲドはやっとゲドそのものになれたのかな。全体的にわりと暗い話ですが、 とにかく幸せそうな彼を見ることができるのは嬉しいです。今までが今までなだけに、 しおしおのゲドなんても〜見ちゃいられないですもんね(^_^;) テルーのその後も気になりますが…。
 次は5作目『アースシーの風』に続きます↓



「アースシーの風」ゲド戦記5 ル=グウィン/清水真砂子 訳 (岩波書店 2006.4.6)
 ゴント島で暮らすゲドのもとを訪れたまじない師のハンノキは、よく見るようになった不吉な夢の 話を語った。同じ頃、アースシーの西方では人々がドラゴンの襲来に苦しんでいるという。 再び世界の均衡が崩れ始めたことを感じたゲドは、ハンノキをハブナーにいるレバンネン王のもとへと送り出す…。ゲド戦記5。2001年。 本の詳細

 前作から15年くらい後のお話。前々作でゲドが世界の均衡を取り戻したはずだったのに、 またしても色々と不穏なことが…。竜と人との関係、死後の世界に起きる異変。 ゲドはちょこっとしか出てきませんけど、死の影に取り付かれたまじない師ハンノキも なかなか味のある人物です。テナーもテハヌーも、そしてレバンネンもあまり変わってはいませんね。 王女の事に関する限り17歳のまんまのよーな苛立ちを見せるレバンネンが、なんだかなぁって 感じなんですけど(^_^;) 男ってものは…って言いたいんですかね、そこまで。
 一度崩れたバランスは、これで元に戻ったのでしょうか。前作では魔法使いはその力の代償に…って話でしたけど、 その力そのものが実は…という話もあり、なかなか奥が深いです。 これまでのお話に比べると焦点がちと定まってないような印象もあるんですが(はっきり主人公といえる人が いないからかな…)、前作での謎…テハヌーのこととか…も解け、まぁ一応すっきりしました。
 次は…実は発表順は5作目より前の『ゲド戦記外伝』に続きます↓



「ゲド戦記外伝」ゲド戦記6 ル=グウィン/清水真砂子 訳 (岩波書店 2006.4.6)
 アースシーの世界のさまざまな時代、場所で起こった出来事を描く短編集。5編収録。2001年。 本の詳細
 収録作品…「カワウソ」、「ダークローズとダイヤモンド」、「地の骨」、「湿原で」、「トンボ」


 この外伝は出版順は最後ですが、4の「帰還」と5の「アースシーの風」の 間に書かれたものですので、読む順番もその方がいいかもしれません。
 アースシーの現在から、時代をさかのぼったり場所が変わったり…ゲドがいなくても アースシーの世界は魅力的なところですね。ロークの学院の始まりや、魔法にまつわる話、ゲドの師オジオンの話…。 一つ一つ感想は書きませんが、どの話もそれぞれにアースシーの歴史の重要な部分をちょこっとずつ 解きほぐしてくれているのもいいです。一番好きなのは、若い頃のオジオンとその師の物語「地の骨」です。 そう、オジオンがけっこう好きなのでした(^_^;) この5編を読むと、ゲド戦記全巻をまた読み直してみたくなりますね。 実は全体的に見ると私は3巻くらいまでのストーリーが好きなんですが、外伝だったらまだまだ いけそうな(?)感じ(^_^;)。本当に奥が深い物語で、世界に浸ること自体が楽しい作品でした。



「ハリー・ポッターと賢者の石」 J・K・ローリング/松岡佑子 訳 (静山社 99.12.8)
 ハリー・ポッターは、生まれた時からとても有名な男の子だった。だが本人はそんな事はつゆ知らず、 むしろダーズリー家に引き取られてからは一家の厄介者として10歳まで過ごしていた。しかし彼自身、 自分の周りで何かふしぎなことが起こっているのに気付いていた。そしてついに、彼の11歳の誕生日、 一通の不思議な手紙が舞い込む。それは人間のすむ世界ではない場所にある、ホグワーツ魔法魔術学校への 入学許可証だった。9と3/4番線から出る魔術学校行きの電車に乗ったハリー。魔術学校での、彼の 冒険が始まる…。1997年。本の詳細

 有名な魔法使いの子供として生まれたハリー。黒い髪に緑色の瞳と、額には稲妻の形をした傷。 生まれながらにして魔法使いの素質を持ってる彼なんですけど、彼は全然そんな事は知らなくて……。
 面白かったです〜♪ 子供の頃だったらもう、手放せない本になってたかな。キャラクターの イメージはくっきり心に残るし、ホントに、何もかもが目に見えるよう。も〜一気に読んでしまいました。 実はハリーには出生の秘密があって、命を狙われてます。でも、彼は決してくじけません。いやな奴も出てくるけど、 いつでもろくな目に合わないし、次から次へと手に汗握るようなスリルと冒険♪ 楽しいことも辛いことも一緒に 経験した友達と、悪い魔法使いを阻止する戦い。そして試験やいじめっ子やら、ほんのちょっと現実的。展開が早いし、 ファンタジーの要素が盛りだくさん。これは子供が(大人だって)夢中になっちゃうわけですよ(*^^*)  初めて読んだのにどこか懐かしい、そしてホントにホントに面白い。ミステリっぽい要素もあって、最後は ちょっと意外。まさかあの人がっ、とゆー感じ。あれは良かったですね。私はやっぱりダンブルドア先生が好き(笑)  ハリーや、友人のロンや、ハーマイオニー、ライバルのマルフォイたちも、いいキャラクターですね♪
 楽しくて面白いことは文句なしです。ただ、私の個人的な好み(あくまで(^_^;))からいえば、 もうちょっと深さがあってテンポ遅めな方がいいです。でないと、読み終えてぱたっと本を閉じた後、 あんまり残るものがないというか…。でも、きっと何度読んでも楽しいと思うし、次をもっともっと 読みたくなりますね。まあ、今後7巻まで出るそうですし、これからゆっくり……(^_^;) というわけで、 第2巻『ハリー・ポッターと秘密の部屋』に続きます♪



「ハリー・ポッターと秘密の部屋」 J・K・ローリング/松岡佑子 訳 (静山社 2000.9.19)
 夏休みになり、ホグワーツ魔法学校からダーズリー家へ帰ってきていたハリーは、以前のように一家の 邪魔者にされていた。しかも、親友のロンやハーマーオニーからは一度も手紙が来ない。あれは全て 夢だったのかと疑い始めるハリーの元に、ドビーというしもべ妖精が現れる。彼は何故か、ハリーは ホグワーツへ戻ってきてはいけないと警告する。だが、ロンにダーズリー家から助け出されたハリーは、 ドビーの忠告を無視してホグワーツへ戻る。そこで、以前のように楽しい学校生活が始まるはずだったのだが……。 ハリー・ポッターシリーズ2作目。1998年。本の詳細

 1作目に劣らず、とても楽しいです〜(*^^*) 一気に読めます。今回ホグワーツでは、マグル(普通の人間)と 魔法使いの間に生まれた“純血”でない子供が石にされてしまうという事件が続発。一体誰が裏で 糸を引いているのか、闇の魔法使いスリザリンの継承者は一体誰なのか、秘密の部屋とは何なのか…。 学校の規則破りまくって、先生たちも知らない謎を解き明かすハリーたち♪ ハリーをめぐる因縁も からんで、わくわくするようなストーリーです。おなじみのキャラクターたちと、新しい「闇の魔術の防衛術」の 先生、ギルデロイ・ロックハート。彼面白すぎ〜(爆) こーゆーどうしようもないキャラクターは 好きです(笑) 今回は森番のハグリッドが放校処分になった理由なんかもわかったりして、ますます面白く なってくる感じですね。
 それにしても、前回の伏線がホントにうまく生きてますね〜。すごい、これじゃほんのささいな エピソードもないがしろに出来ないです(^_^;) ミステリ顔負けですね。1年もたってから次を 読んだのでは、忘れてしまいそうなこまかい話を、次の巻で丹念に拾って……。こういうのが続いたら 楽しいでしょうね。慣れてきたせいか、物語が広がってきたせいか、私は1作目よりこっちの方が好きです。 第3巻『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』へ続きます↓



「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 J・K・ローリング/松岡佑子 訳 (静山社 01.7.18)
ハリーの13歳の誕生日がやってきた。しかし、ダーズリー一家はいつものように知らん顔。その上今年は、 ハリーの大嫌いなマージおばさんが、一週間も滞在するというのだ。彼女にひどいことを言われ、ついに キレてしまったハリーは、学校の外で魔法を使ってはいけないという規則を破り、彼女に魔法をかけて ダーズリー家を飛び出してしまう。魔法省に追われる身となってしまったハリーは、“夜の騎士バス”に 拾われ、ロンドンにある魔法使いの町ダイアゴン横丁へ出かけてゆく。折りしもハリーを狙う凶悪犯 シリウス・ブラックがアズカバンの牢獄から脱獄したというニュースが、魔法使いの世界を にぎわせていたが……。ハリー・ポッターシリーズ第3作目。1999年。本の詳細

 1作目、2作目に続いて、面白すぎるハリー・ポッターシリーズ(*^^*) 今回はそれほど派手な 冒険はなく、むしろハリーの過去をめぐる謎が中心になってます。闇の魔法使いヴォルデモート卿に 殺されたハリーの両親と、彼らの友人のお話。物語に深みが出てきた感じ(*^^*) ハリーも13歳、 ホグワーツ魔法学校の3年生。彼は今回、“例のあの人”こと闇の魔法使いヴォルデモート卿の手下と されているシリウスに付け狙われることになります。でも、そのせいもあって、3年生になったら 行くことが許されてる魔法使いの街ホグズミードに行けなくなっちゃって、でもどうしても行きたくて、 またいろいろと事件が♪ 今回、呪われた学科(笑)「闇の魔術に対する防衛術」の担任になったルーピン先生、 すごくいい味出してますね♪ でも、彼も実は…。 吸魂鬼(ディメンター)との戦いが 感動ものです(T_T) 占い学のトレローニー先生も傑作(爆)
 グリフィンドール寮8年越しの夢も、今回ついに(*^^*) クィディッチの試合、 ホントに面白そうだな〜。ハリーの新しい箒(!)もかっこいいし、いつもながら、 実況中継のリー・ジョーダンとマクゴナガル先生のやりとりも最高(*^^*)v スネイプ先生&マルフォイは やっぱり蹴飛ばしてやりたいくらいヤな人たちだけど、巻を追うごとに陰湿さが増してる感じ(笑) そして 親友のロンとハーマイオニー。彼らのペットも今回とても重要な役割を。いろんな伏線をお見逃しなく♪
 今回のハリー、背も伸びたこともあるけど、心も成長してますね。自分を殺そうとする闇の魔法使いの手先と、 ただ闇雲に戦うだけじゃなくなったように思えます。この一連の事件で彼が得たものって、前2作より 大きいものなんじゃないかな〜という気がしました。派手じゃないけど、これはちょっと 立ち止まってしみじみ楽しめるお話ですね(*^^*)。
第4巻『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』へ続きます↓



「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」上・下 J・K・ローリング/松岡佑子 訳(静山社 2002.11.1)
 夏休みをダーズリー家で過ごす14歳になったハリーのもとに、ウィーズリー家から手紙が届く。 30年ぶりにイギリスで開催されるクィディッチのワールドカップへの招待だった。 ワールドカップを楽しんだハリーだったが、その会場でとんでもない出来事が起こる。 「例のあの人」ヴォルデモート卿の印であるエメラルド色の骸骨が夜空に打ち上げられたのだ。
誰の仕業かも分からないまま、再びホグワーツへと向かうハリーたち。そんな彼らを待っていたのは、 数百年ぶりに行われるという三大魔法学校対抗試合の開催の知らせだった……。2000年。
本の詳細

 ハリー・ポッターの第4巻です。これも一気に読んでしまいました♪ あんまりストーリーを 詳しく書いても仕方ないし、1〜3巻とのつながりもありますので、これはもう読んでいただくしか ないですね(^_^;) 上下巻で1000ページ以上ありますが、長くないです。私としては、もうちょっと かちっとまとまってくれてると嬉しかったんですが(^_^;)
 14歳になって、一段と大人っぽくなったハリー。人物関係も物語もかなり複雑になってきてます。 正直、過去の話などの細かい部分は覚えきれてません(爆) 2〜3巻までの細かい内容や、 これまでに分かってる事がかなり下敷きになっているのですが(-_-;) でもとにかく、これまでとは がらっと趣が違い、ただ楽しくてスリリングでワクワクドキドキの本じゃないですね。 今回もさまざまな衝撃的事実が明らかに! ヴォルデモート卿の過去、そして彼を主人と仰ぐ “死喰い人(デス・イーター)”たちの正体……。ああ、なんて暗くて重いお話なんだ(^_^;)  「闇の魔術に対する防衛術」の担任になった、ちょと不気味な“魔法の眼”を持つムーディ先生も 見ものだし、2巻で出てきたドビーを始めとする“屋敷しもべ妖精”をめぐるハーマイオニーの 主張、ハリーとロンの友情の危機、初めてのダンスパーティ、そしてもちろん“三大魔法学校 対抗試合”とそれをめぐる騒動。いや〜な新聞記者のリータ・スキーター、フレッドとジョージの とある計画…。とまあ、ホントに盛りだくさんで、次が出るまで覚えていられるか心配です(^_^;)  物語も、ここまで来るといよいよすごいことになってきたかなという感じです。なんにせよ、 本当のストーリーはここからですね。第5巻『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』に続きます↓



「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」上・下 J・K・ローリング/松岡佑子 訳 (静山社 2004.9.1)
 15歳になったハリーは、前回の事件の後自分だけが蚊帳の外に置かれているような焦燥と苛立ちを味わい つつダーズリー家で夏休みを過ごしていた。何故か、毎晩のように長い廊下と真っ黒な扉の夢を見ながら…。
 そんな折、こんな場所にいるはずのない吸魂鬼が現れ、彼と従弟のダドリーを襲う。身を守るために魔法を 使ってしまったハリーは、魔法省の尋問を受けることになる。尋問の日が来るまで、別の場所で過ごすことに なったハリー。そこは「例のあの人」ヴォルデモート卿と戦うために組織された、不死鳥の騎士団の本部でも あった…。ハリー・ポッターシリーズ5作目。2003年。
本の詳細

 シリーズ5作目♪ ハリーももう15歳、自分の置かれている状況に不満をぶつけたり、大人たちに 憤ったり、好きな女の子の気持ちが分からず悩んだり…。5巻は上下巻で1400ページちかく(!)あって、 長い分全部ハリーが苦しんでいるという感じ(^_^;) ここまでくるとストーリーはもうそれほど複雑ではありませんが、4巻までの 伏線を拾いつつ、より重く。ネタバレしないように気をつけると名前さえ出せない人もいるし(^_^;)、 ほんのさわりのあらすじでさえ奥歯に物が挟まったような書き方になりますが…。感想でも物語の核心には 全く触れていませんが、これから5巻を読まれる予定の方、白紙のまま楽しもうとお思いでしたらこれ以下の 感想は読まずに、どうぞ先に本をお読みください(^_^;)

 ホントに今回、ハリーの苦しみったら相当なものですね。15歳、ただでさえ大人と子供の間で不安定に 揺れ動く時期なのに、4巻で起こった出来事を否定する魔法省や「日刊預言者新聞」の糾弾に苦しめられ、 学校に戻っても何故かハグリッドはいないし、魔法省からやってきたガマガエルそっくりの アンブリッジ先生に苦しめられ(マルフォイなんかの比ではない)、5年生はいよいよ将来を決める"OWL普通魔法使いレベル試験"があって 勉強も大変、唯一の楽しみのクィディッチも…だし、ハーマイオニーの発案で作ったとある勉強会のせいで ダンブルドア校長はあんなことになってしまうし、さらにロンの双子の兄フレッドとジョージまでも。 過去のハリーの父親ジョージたちとスネイプの関係も、なんだか寂しいし…。 とまぁ、ハリーとヴォルデモート卿をめぐるメイン・ストーリー(ハリーの夢の 意味するもの)以外でも嫌なことてんこ盛り!(爆)
 なのに…その上ハリーはとてもつらい別れを経験します。私自身は…いろいろ言うとバレそうなので、 ちょとあっけなかったな、と言うに留めますが(^_^;) そしてダンブルドアから新たに告げられた、 重すぎる未来。ダンブルドアの気持ちも分かりますね。そんな真実は、15歳になったハリーにさえ重すぎます…。
 今回はもう、読んでいて出るのはため息ばかり。とはいえ、けっこう笑えるセリフなんかもありますけどね。 全体として楽しいかと聞かれたら微妙…。特に、幼児じみたおバカな大人たちには心底うんざり。 魔法省のファッジ大臣&その腰ぎんちゃくもですけど、ガマ・アンブリッジ(笑)をあそこまで ひどくしなくても…と思ったのは私だけでしょうか(-_-) 彼女のやることなすこと ムカついて仕方なかったです。唯一の救いは、ロンの双子の兄フレッドとジョージのいたずら 魔法グッズ(笑) 成績がすべてじゃないですよね〜♪
   しっかしホント、これからどうなってしまうのかな〜。楽しみなような、怖いような…。
というわけで、第6巻『ハリー・ポッターと謎のプリンス』へ続きます↓



「ハリー・ポッターと謎のプリンス」上・下 J・K・ローリング/松岡佑子 訳 (静山社 2006.5.17)
 自分とヴォルデモート卿との避けられない運命を知ったハリーは、闇の魔法使いたちが不穏な行動を 取り始める中、再びダーズリー家に戻っていた。夏休みの半ば、そんな彼を「隠れ穴」へ連れて行くため ダンブルドア校長が自らやってくる。ハリーはわけも分からないまま、 校長と共にとある人物の家を訪ねることになるが…。ハリー・ポッターシリーズ6作目。2005年。 本の詳細

 前巻が少々キツかったのでちょっと不安でしたが、今まで以上の面白さでした(T_T) 以下ネタバレは してないですが、まだ読んでない方は私の感想などどーでもいいのでまず読んでください。 16歳になったハリーたちの青春、新しい先生に新しい授業、ついに牙をむいた闇の魔法使いたち…。 シリーズをここまで読んできて、楽しめないわけがないと思います♪ 

 子供っぽい大人たちは子供っぽいままですが、ハリーたちは確実に成長してますね。 みんな何やら言葉遣いがぞんざいになってきたり、あまりお上品でない手つきを覚えたり、とか(笑)  ハリーとロン、ハーマイオニー3人の関係もさらに微妙なものに。ロンのおバカさ加減には 笑わせてもらいました。まったく、ねぇ(^_^;) 16歳なんですねぇ(何が?) ビルの結婚騒動(?)もなかなか 楽しいです。
 読んでる方は面白いとはいえ、今回もハリーたちにとっては楽しいことが少ないですね。身の回りの危険が増し、ホグワーツでさえ安全とは言いがたくなり…。 新しい先生たち(「闇の魔術に対する防衛術」の先生(^_^;)とか、もう一人の先生とか)もなんだかな〜だし、 その授業にもあまり身が入らず、楽しいはずのクィディッチも何かごたごたしてしまう(ルーナ最高(笑))。 ダンブルドアの個人授業、マルフォイとスネイプの不穏な動き。ホグズミードでの事件、毒薬事件、そして謎のプリンスの正体…。
 しかし今回、敵の強大さよりむしろその子供っぽさに愕然としました。 そのためにハリーが失ったものが大きすぎます…。前回でもあんな悲しい別れを経験をしたばかりなのに(T_T)  もぉ最後のあたりなど本を置くことができませんでした。辛い別れ、ハリーの悲しい決断、先の見えない旅立ち…。 幸せになった人たちもいることはいるけれど…。子供の頃に読んでたら、思いが千々に乱れて 1週間くらいは何も手につかなかったことでしょう(T_T)  最終巻に向け、今まで断片的に分かったことの総まとめをし、伏線を拾いつつ新たな謎もちらほら… というところですね。前回がひどかったせいか、今回はとても楽しめました。 次巻で本当に終わるんでしょうか、きれいに…? うーん、4個って大変じゃないですかねぇ…(^_^;)  期待と不安を抱えつつ、最終巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』へ続きます↓



「ハリー・ポッターと死の秘宝」上・下 J・K・ローリング/松岡佑子 訳 (静山社 2008.7.23)
 17歳の誕生日を目前に控えたハリーはダーズリー家を後にし、 「隠れ穴」へ向かう。ヴォルデモートや死喰い人たちとの戦いが激化する中、 ハリーとロン、ハーマイオニーの3人は分霊箱を探すために旅立つ。 分霊箱を探す途中で明らかになるダンブルドアの過去、そして死の秘宝の謎。 親しい人々が次々に倒れてゆく中、ハリーとヴォルデモートとの宿命の時が近づいていた…。
ハリー・ポッターシリーズ7作目。最終巻。2007年。 本の詳細


 ついに最後の時を迎えるハリーとヴォルデモートの戦い。 ハリーが自分が何者なのかも知らないままに9と3/4番線に立ってから、 6年という歳月が流れたわけです(読者は10年ですが…)。感慨深いものが ありますね〜。以下にいつもどーりネタバレなしの感想など書きますけど、 ここまで来ると何を書いてもネタバレな気もしますので、 読んでない方はまず作品をどうぞ。なんだかんだありましたけど、 きちんと終わっていますし、やはり凄い作品だと思います。 ま〜これまでも色々と細かいことをうだうだ言わせてもらってきましたが、 長い間ホントに楽しい時を過ごさせてもらいました。
 最終巻が出た今なら、全部通して読むこともできますので、ぜひどうぞ♪

 …というわけで、最終巻。最終決戦を前に混沌としてきた魔法の世界に 心を乱しながらも、ハリーたち3人は分霊箱を探します。 目的のモノが漠然としすぎているせいか、ところどころちょい 都合がいーかなってなところもありますね。前回あの人が あんなことになってしまったせいもありますが、やっぱり彼らだけでは 少し力不足かなという感が否めないから、尚更そう感じるんでしょうか…。 あの人といえば、やっぱりなんか…親切そうな顔してハリーを翻弄して、 かなりひどいような気がするんですが(^_^;) それに引き換え、長年 自らの気持ちを抑えに抑えて死んでいったあの人(T_T)  作品の終わり方とかはけっこう想像通りだったんですが、 あの人のことはかなり…衝撃的だったというか。 すべての思いをこめた最期の言葉が痛く哀しい。最後になって明かされた ハリーとヴォルデモートの宿命もそれはそれで衝撃的でしたけど、 結局後々まで後を引きそうなのはあの人の人生とかなんだろな。 どんな真実が明かされようが、ここまで描かれてきた印象が 劇的に変わったりはしないけど、それでもなんか、 してやられた気がします(笑)
 魔法省への侵入、ハリーの生家訪問、グリンゴッツの顛末…と、 クライマックスへ向けて冒険に次ぐ冒険。シリーズの醍醐味はそのままです。 結婚式やクリーチャーのこととか心温まるお話もあるけど、幸せなシーンはやっぱり 長くは続きません。
 ハリーの受け入れた酷すぎる選択、そして最後の戦い…。 …この作品、これまでに死んだ誰にしてもその最期が妙にあっけない気が してちょっと心配(何が?)ですが、まぁ、 すべてがなるようになりましたね。まぁ、その他これまでの 巻でも思ったような突っ込みどころも色々あるにせよ…無事すべてが 片付いて本当によかったです。ここまできたらもう、それだけで十分かな。

 個人的には、これまでの巻を一度も読み返したことがないので もう誰が誰やら分からなくなっている(笑)ので、 また時間をおいて1巻からあらためて読んでみたいですね(^_^;)  続けて読んだら、また違う感じ方もあるかもしれません。 決して手放しに思うわけではないけど、他のこと忘れるくらい その世界に浸れる作品があるのは、とても幸せなことなんじゃないかな、と。



「未知の贈り物」 ライアル・ワトソン/村田恵子 訳 (ちくま文庫)
踊る島、ヌス・タリアン。生物学者のライアル・ワトソン氏は、この島でティアという 不思議な少女に出会います。未来を予知したり、死んだはずの人を生き返らせたり、クジラと 心を通わせたり。でも、そんな彼女を無気味に思う村人もいて…。

→この作品はインドネシアの孤島での体験記という枠にとどまりません。ワトソンはこの島で起こる 不思議な現象に生物学的な解説をしっかりと加えながらも、説明できないことも頭から否定せず、 理解しようとしています。ライフサイエンス・ファンタジーという言葉がまさにぴったりの、 ちょっと不思議ですごく勉強になる物語。他にも『アースワークス』など、科学と超自然の ぼんやりとした境界線について書かれた作品は多数あります。ふつーの読み物としても面白いですよ。



「ダーク・ネイチャー  悪の博物誌」 ライアル・ワトソン/旦敬介 訳 (筑摩書房 2000.11.22)
生物にとって悪とは何か、人間は何故悪を行うのかということを、生物学の観点から描く博物誌。1995年。

→…とか言っても、なんだかよく分かりませんが(^_^;) 例えば普通悪いこととされている、 略奪や殺人や詐欺や強姦や自殺や浮気やいじめや権力争い、その他いろいろは何故悪なのか、そして人間は 悪にどう対処すべきか、ということを、生物学の観点から(ここが大事)分かりやすく説明してくれます。 ワトソンの本は、数字よりもいろいろ具体例を挙げて面白く生物学その他を説明してくれるので 大好きなんですが、この本はちょっと読みづらかったです(^_^;)。でも、悪(というとなんか大げさなんですけども)に ついて、いろいろ考えさせられる本でした。自然界の悪はすべて、遺伝子が生き残るために行うことだと 言われると、ちょっとぞっとします。人間も例外でなく、状況さえ整えば、ナチスが行ったような虐殺や、 年端も行かない少年の連続殺人とか、“人間のすることとは思えない”ことを行う基盤みたいなものが 自分の中にあるなんて、暗澹たる気分になります。でも実際自然淘汰を生き抜く過程で、必然的にそうなって しまってるのだとか。誰もが。もちろん私も(T_T)。

 「人間は敵を必要とするのだ。敵がいなければ、自分自身以外に責任をなすりつける相手がいないからだ。 敵がいれば、我々は自分自身の中にあるのを認めたくない性質をすべて押しつけてしまえる。」

 例えば中世の魔女狩り、人種差別、階級制度、その他目に見える邪悪な存在は、すべて自分自身の鏡像、 達成されない欲求のはけ口だということです。どんなに非道徳的に見えても、遺伝子から見ればちゃんと 意味があってやってること。遺伝子や自然そのものは、とても利己的で排他的で非情なもので、 道徳観なんて持ってない。ただ、人間は比較的(あくまで比較的)、遺伝子の言いなりにはなってないし、 逆らうことができる。それだけが人間を他の動物から切り離した存在にしてるんだと、 いろんな例を挙げて書かれてます。
 これを読むと、なんか遺伝子に逆らうってのも楽じゃないみたいですけど、それだけが人間を利他的で 道徳的な存在にしてるんだとワトソンは書いてます。遺伝子はどうしたがってるのかとか、それに逆らうって どういうことか、とかいう具体例なんかも、もちろんちゃんと書いてあります♪ 何を信じるのかは自分次第としても、 自分と切り離せない影の部分をしっかり見つめなおすというのも、気分はよくないけど(笑)時には必要なのかも。



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