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アシモフ (アイザック) アメリカ 1902-92
 私はロボット創元SF文庫
アーヴィング (ウィリアム)  アメリカ 1783-1859
 スケッチ・ブック新潮文庫
アンデルセン (ハンス・クリスチャン)  デンマーク 1805-75
 絵のない絵本新潮文庫
 人魚の姫 新潮文庫
イーリイ (デイヴィッド) アメリカ 1927-
 ヨットクラブ晶文社
ウィース (ヨーハン・ルードルフ) スイス 1743-1830
 スイスのロビンソン (1814)岩波文庫
ウィーダ イギリス 1839-1908
 フランダースの犬新潮文庫
ウエイクフィールド (ハーバート・ラッセル) イギリス 1888-1964
 赤い館 (短篇集)国書刊行会
ウェブスター (ジーン) アメリカ 1876-1916
 あしながおじさん (1912)新潮文庫
ウェルズ (ハーバート・ジョージ) イギリス 1866-1946
 タイムマシン岩波文庫
 透明人間 岩波文庫
 モロー博士の島岩波文庫
ヴェルヌ (ジュール)  フランス 1828-1905
 十五少年漂流記新潮文庫
 八十日間世界一周新潮文庫
ウォー (イーブリン) イギリス 1903-66
 大転落岩波文庫
ウォートン (イーディス) アメリカ 1862-1937
 幽霊 (1937)(短篇集)作品社
ウォルポール (ヒュー・シーモア) イギリス 1884-1941
 銀の仮面国書刊行会
ウッドハウス (P・G) イギリス 1881-1975
 スミスにおまかせ (1923)創土社
 ウッドハウス短編集 (1914〜17) (短篇集)富士書店
 比類なきジーヴス国書刊行会
 よしきた、ジーヴス国書刊行会
 それゆけ、ジーヴス 国書刊行会
 ウースター家の掟 (1938)国書刊行会
 ジーヴズの事件簿文藝春秋
ヴリーランド (スーザン) アメリカ
 ヒヤシンス・ブルーの少女 (1999)早川書房
ウルフ (ヴァージニア)  イギリス 1882-1941
 ヴァージニア・ウルフ短編集ちくま文庫
エイクマン (ロバート) イギリス 1914-1981
 奥の部屋 (短篇集)国書刊行会
エイメ (マルセル) フランス 1902-1967
 壁抜け男早川書房
 壁抜け男角川文庫
エリオット (ジョージ) イギリス 1819-80
 サイラス・マーナー(1861)岩波文庫
エリン (スタンリイ) アメリカ 1916-1986
 特別料理 (短篇集)早川書房
 九時から五時までの男 (短篇集)ハヤカワポケミス
エンデ (ミヒャエル) ドイツ 1929-1995
 モモ (1979)岩波書店
 はてしない物語 (1979)岩波書店
 鏡の中の鏡 ―迷宮― (1984)岩波書店
オースター (ポール) アメリカ 1947-
 孤独の発明 (1982) 新潮文庫
 シティ・オブ・グラス (1985)角川文庫
 幽霊たち (1986)新潮文庫
 鍵のかかった部屋 (1986)白水Uブックス
 最後の物たちの国で (1987)新潮文庫
 ムーン・パレス (1989)新潮文庫
 偶然の音楽 (1990)白水Uブックス
 リヴァイアサン (1992) 新潮社
 ティンブクトゥ (1999)新潮社
オースティン (ジェーン) イギリス 1775-1817
 高慢と偏見 (1813) 岩波文庫
オークシイ (バロネス・オルツィ) イギリス
 隅の老人の事件簿 創元推理文庫
 紅はこべ (1905) 筑摩書房
O・ヘンリ アメリカ 1862-1910
 O・ヘンリ短編集 1〜3新潮文庫
オルコット アメリカ 1832-88
 若草物語


「スケッチ・ブック」 W・アーヴィング/吉田甲子太郎 訳 (新潮文庫 S32.5.20)
アメリカのエッセイスト、短編作家ワシントン・アーヴィング(1783−1859)の、ヨーロッパの逸話、民話などを元にした短編集。  読みはじめちょっと思ったんですけど、作者、女性に甘くないかなぁ。とゆーか、持ち上げすぎ。 照れますよ〜(笑)…って別に私のことじゃあないでしょーがっ。以下の短編がお気に入りです。

「リップ・ヴァン・ウィンクル」
 お人よしでちょっと気前よすぎのリップ・ヴァン・ウィンクルは、いつも おっかない奥さんに怒鳴られてばかり。ある日狩りに出かけたリップは、深い森の中で奇妙な 人々がナインピンズをして遊んでいるところに出くわす。彼らにすすめられるままに酒を飲むリップ。 正体を失ってそのまま眠りこけ、目がさめたとき、彼は……。  ストーリーもなかなかSFっぽくて(?)いいですが、リップ・ヴァン・ウィンクルのキャラクターがいいんですね。名前もなんか呪文のようで、夕暮れの山の中で何者かが彼の名前を連呼するシーンなど、思わずぞぉぉっとします。
「幽霊花婿」
 大富豪のカッツェンエレンボーゲン男爵の一人娘は、アルテンブルク伯爵と結婚することに。 伯爵は一人の友人と結婚式の宴に向かう道中を共にするが、彼は盗賊に襲われて無念のうちに 亡くなってしまう。伯爵の死を伝えるべく、友人は男爵の元へと急ぐ。一方伯爵の到着を待ちわびて いた男爵の城に、くたびれた姿の花婿がたった一人で現れる。
 やってくれますね〜、って感じなストーリーです。それはまぁ途中からバレバレかもしれませんけど。 でも好きです。いいです。
「スリーピー・ホローの伝説」
 奇妙なものが多く目撃されるスリーピー・ホロー(まどろみの窪)でも、一番有名なのが、 首なし騎士“早駈けヘッセ人”の伝説だった。ここの住民で教師のイカバッド・クレーンと、 荒くれ者ブロム・ボーンズは、同じ豪農の娘をめぐって争う恋敵同士。ある夜娘の家に招待された 帰り道、イカバッドは自分の後をつけてくる不審な影を見る。その黒い影には、首が……。
 怪談じゃないんだから(笑) これがどんな映画になったのかとゆーのは、ちょっと見てみたくも あります。



「ヨットクラブ」 デイヴィッド・イーリイ/白須清美 訳(晶文社 2003.10.30)
 アメリカの異色作家デイヴィッド・イーリイ(1927-)の短篇集。15編収録。1968年。
 収録作品…「理想の学校」、「貝殻を集める女」、「ヨットクラブ」、「慈悲の天使」、
  「面接」、「カウントダウン」、「タイムアウト」、「隣人たち」、「G.O'D.の栄光」、
  「大佐の災難」、「夜の客」、「ペルーのドリー・マディソン」、「夜の音色」、
  「日曜の礼拝がすんでから」、「オルガン弾き」


 異色作家、と言われても…?ですが、奇妙で不条理で不可解で、それでいて心引かれる奇妙な 作品ばかり。個人的に作風がちょいと合わないかなという部分があるんですが(^_^;)、 まぁ楽しめた短篇集です。以下にお気に入りの感想を。

「理想の学校」
 息子を寄宿制の学校へ入れようと考えているホルストン氏は、校長と話し合うため学校へ赴く。 軍隊式の教育を取り入れ、一見優秀な生徒ばかりに見えるのだが…。
 そんな学校ってば……(^_^;) 冒頭の銅像が笑えます。

「ヨットクラブ」
 成功した実業家ばかりを集め、どこよりも排他的で秘密主義のクラブとして知られる"ヨットクラブ"。 ジョン・ゴーフォースはいつかそのクラブに名を連ねることを夢見ていたが、なかなか声が かからなかった。だが彼が仕事に疲れ、野心も失った頃、ヨットクラブへの誘いがかかる…。
 そんなクラブってば……(笑) やる気も何も失った頃にお誘いがかかる(笑)というのが なんとも言えませんね(^_^;) とゆ〜か、そんなことにやる気出すなというか…。

「タイムアウト」
 イギリスへ行くことを夢見ながら叶わず、教授となって20年目を迎えたガル教授。思いがけず 調査のためイギリスへ行けることになった。だが飛行機で降り立った彼を迎えたのは、一面の 荒涼とした野原だった……。
 とんでもない話です(笑) これまだ冷戦時代のお話ですよね。だからこそ、こんな目的のためにアメリカとロシアが 協力するなんて、余計に皮肉な気がします。歴史って……これでいいんでしょか(^_^;)

「G.O'D.の栄光」
 ジョージ・オドンネルは、誰にも言わなかったが自分を神だと信じていた。その秘密を 抱え込むことに堪えられなくなった彼は、ある日新聞に広告を出す…。
 おかしすぎ(^_^;) でも、ひょっとして自分を神だと信じてる人っているのかも……とふと そんな気に駆られる奇妙なお話。信じるものは救われる、というか…(爆)

「大佐の災難」
 隣に住んでいる大佐の牛が自分のところへ逃げてきたと苦情を言いに来たスマイスは、 かつて大佐が経験したという同じような出来事を聞かされることになる……。
 誰が災難なんだか(^_^;) こ〜ゆ〜人を隣人にしたくないものです。怖い……。

「オルガン弾き」
 最新の技術を施され、近代的で人気のある教会に新しいオルガンがやってきた。 オルガン奏者のドクター・アルファは新しいオルガンを品定めしようとするが、 どうしても音が出ない。だが技術者のギル氏から送られたカードをスロットに差し込むと、 なんとオルガンは自動的に荘厳な曲を奏で始めた……。
 笑えますね(^_^;) 皮肉というかなんというか。あれもアルファ氏の 作品といえば作品なのでしょか。聞いてみたいようなみたくないような……(笑)



「スイスのロビンソン」上・下 ウィース/宇田五郎 訳 (岩波文庫 上巻1950.11.30,下巻1951.3.25)
 南洋へ移民に向かう船が遭難し、私と妻、そして十歳のフランツ、十二歳のジャック、十四歳の エルンスト、十六歳のフリッツの4人の子供達は、ニューギニア近くの無人島へ漂着した。 食料や住居の確保や気候との戦い、生きるための忙しい日々が一家を迎える…。 1814年(翻訳に使用されたものは1934年版)。

 仲の良い6人家族の漂流物語♪ ちなみに20年も前にやってた世界名作劇場の「南の島のフローネ」の 原作(年が…(^_^;)) 長らく絶版でしたが、 2002年に復刊されています。なので翻訳はかなり古く、漢字も旧字体です。児童向けなんですが、 その辺ちょとつらいかも。子供向けの絵本などは他にあるとは思いますが、この作品は完成までの 過程が複雑でいろんな版があり、この本がホントの(?)原作のようです…。
 タイトルのロビンソンと言うのはもちろんロビンソン・クルーソーで、デフォーの 『ロビンソン漂流記』(英 1719年)の主人公です。しかし、この2作品を比べるのは ロビンソン・クルーソーに悪いような気が…。一家はもともと移民をするために旅立ったせいか、 漂流とかサバイバルといった緊迫した空気は最初から全然ありません。というかなんか キャンプみたいな(^_^;) それともこれがスイスのお国柄なのか…?
 家族は協力し合って食べ物を探したり家を建てたり猛獣を追い払ったりするのですが、 なにやら淡々とほんわかと話が進み、こんな漂流なら私だってしたいと思うほどの 恵まれた環境が次から次へと…。いや、きっと何をするにもとても大変だったのでしょうけど、 その大変さがちっとも伝わってこないというか(^_^;) 4人の子供達が協力し合い成長する様子、 それを見守る両親の物語……と言い切るのにもちょいと中途半端。これはこれで 悪くないんですが、なんか物足りなさというか、出来過ぎという感じが終始つきまといます。
 でも、ま…子供向けならこれでいいのかもしれません。新天地で次から次へと新しい出来事が 起こり、ほどほどにスリルもあり。子供の頃は「南の島のフローネ」に憧れてましたが、 これを読みたかったですね(^_^;) でも、お父さんが最後に書き記した、別れと愛情についての 言葉はちょっと感動しました。子供向けにしても、もうちょっと新しい翻訳で読めると嬉しいですね…。



「フランダースの犬」 ウィーダ/村岡花子 訳 (新潮文庫 他)
老犬パトラシエと共に牛乳配達をしながら、ルーベンスにあこがれ画家を目指す、貧しい少年ネロ。  村人たちからは迫害され、彼らが気付いたときにはもう、すべてが手遅れだった。 クリスマスの朝、やっと見ることのできたルーベンスの絵の前には、しっかりと寄り添うネロと パトラシエのなきがらがあった。(表題作)
子供のころ、ネロはともかくどうして犬まで死んじゃうのかなぁと、ちょっと謎だったんです けど…そんなことはどうでもいいですね(笑)。どちらかといえば私は、この本に収録されている もうひとつのお話、「ニュルンベルクのストーブ」のほうが好きです。オーガストは、彼の大好きだった 大ストーブ、ヒルシュフォーゲルが売られることを嘆き、ストーブの中に隠れて行き先を突き止め ようとします。そして、ストーブが行き着いた先は…。というお話。感動です(T_T)



「赤い館」 H・R・ウエイクフィールド/倉坂鬼一郎・鈴木克晶・西崎憲 訳(国書刊行会 1996.10.25)
 英国の小説家ウエイクフィールド(1888-1964)の短篇集。9編収録。
 収録作品…
  「赤い館」、「ポーナル博士の見損じ」、「ゴースト・ハント」、「最初の一束」、「死の勝利」、
  「"彼の者現れて後去るべし"」、「悲哀の湖」、「中心人物」、「不死鳥」


 最後のゴースト・ストーリイ作家といわれるウエイクフィールド。未知の存在を常に身近に感じつつ、 そしてそれに懐疑の目を向けることをやめずにゴースト・ストーリイを書いていた稀有な 作家のようですね。晩年にはもう、こういった種類の怪奇小説は発表の場さえなかったというのも 分かる気がします。こういう…なんていうか曖昧でほの暗くて少々胡散臭い領域は、進歩やら発展やら 流行やらとは無縁の世界ですもんね。でも、私はそういうの嫌いじゃありません。作者特有の 女性蔑視の発言が少々目につきますけれどね(^_^;)
   以下にお気に入りの感想を。叢書としては「魔法の本棚」(国書刊行会)4巻『幽霊船』 (リチャード・ミドルトン)に続きます。

「赤い館」
 田舎での休暇を過ごすために借りた"赤い館"に、私は妻と息子を連れてやってきた。 だが、その館にはどことなく嫌な空気があった。館の中には何故か点々と緑色をした泥が落ち、 常に誰かに見られているような気がするのだ。ある日、息子のティムが何かを見たらしく、 突然怯えて泣き始めた…。
 いわくつきの家。知ってたら誰もこんな薄気味悪い家借りませんよね〜(-_-) たとえ 幽霊の存在なんて信じてなくても、ここまでひどかったら(^_^;)

「ポーナル博士の見損じ」
 若い頃から親友のモリスンには何もかも一歩先んじられていたポーナル博士だったが、 チェスだけは違っていた。だが英国選手権でモリスンにかないそうもないと悟ったポーナル博士は、 モリスンを殺害することにした…。
 人間の執念も、幽霊以上に恐ろしいものですね。チェスに憑かれ、殺した相手に憑かれ…。 こんな二人の巻き添えにされたくないですね(^_^;)

「ゴースト・ハント」
 ラジオ番組の"ゴースト・ハント"。3回目の放送はパリから心霊現象研究の大家 ミニヨン教授を招き、ロンドン近郊の幽霊屋敷を紹介することになっていたが…。
 DJの語りだけでストーリーが進みます。二階に上ったきり帰ってこない教授、天井に広がる染み、 屋敷に響く奇妙な音、憑かれたようにしゃべり続けるDJ……。これ夜中にラジオで聴いたら むちゃくちゃ怖いだろな(T_T)

「"彼の者現れて後去るべし"」
 弁護士のベーラミーは、8年ぶりに友人のフィリップと会った。フィリップは最近クリントンという男に つきまとわれており、逆恨みされて困っているというのだった。しかもなにか怪しい術を かけられたらしく、奇妙なものを見る日々が続いているという。そんなある日、フィリップはベーラミーの目の前で 不可解な死に方をする。疑念を抱いたベーラミーは、クリントンの素性を調べ始めるが…。
 ちょと長めのお話ですね。幽霊譚というより東洋の神秘という感じでちょいと怪しい話ですが(笑)、 けっこう目の離せないストーリーです。こんな人にはつきまとわれたくないものです(^_^;)

「悲哀の湖」
 妻を殺したという疑いが晴れたものの、世間の中傷を逃れてとある屋敷を借りた私。 近所には小さな湖があり、そこでは自殺者が絶えないという。人目を避けるようにして 屋敷で暮らすうち、私は奇妙な鳴き声の鳥に悩まされるようになる…。
 何かを忘れさせまいとするかのように響く、耳障りな鳥の泣き声。 「不死鳥」とちょとパターンが似てるかな。真相はどうだったのでしょうね。すべてを呑み込んで 不気味なさざなみを立てる湖が恐ろしいです……。



「あしながおじさん」 ウェブスター/松本恵子 訳 (新潮文庫 S29.12.25)
 生まれた時から18になるまで孤児院で生活してきたジュディことジルージャ・アボットに、 突然幸福が訪れた。月に一回学生生活を書いた手紙を送るという約束で、彼女を作家にすべく 大学へ入れてくれるという紳士が現れたのだ。ジュディは名を明かさないその紳士を、ちらりと見た後姿から "あしながおじさん"と呼び、ユーモアに溢れる手紙を送りつづける。あしながおじさんの正体とは…? 1912年

 有名なストーリーこそ知ってましたが、恥かしながらこの作品を読むのは初めてです(^_^;)
 月に一度でいいのに、見知らぬ紳士ジョン・スミス氏ことあしながおじさんに、頻繁に挿絵入りの 手紙を送りつづけるジュディ。見事なまでに姿も見せず返事もくれない人に、4年間も手紙を 書きつづけるってすごいな〜……と変なところに感心したり(^_^;) でも、ジュディが 言うように、やっぱり何より大切なのは想像力、かな。あしながおじさんの正体は読者にはすぐ わかってしまうかも知れないけれど(さらに私は結末も知ってて読んだのですが)、それでも 感動しました(T_T) あしながおじさん、ちょっとずるい…なんて思わないこともないですけど(笑)  これはもうちょっと(20年くらい(爆))早く 読みたい作品でした。女子大での生活、農場での生活、見ること聞くことすべて新鮮なジュディの 手紙がホントに素敵で楽しかったです♪



「大転落」 イーヴリン・ウォー/富山太佳夫 訳 (岩波文庫 1991.6.17)
 物静かで真面目なスコーン・カレッジの学生ポール・ペニーフェザー君は、ある夜学内のクラブの 乱痴気騒ぎに巻き込まれ、素行不良で退学させられてしまう。そんな学生は大抵学校の先生になると 相場が決まっている。彼はさっそく教員斡旋所を訪れ、北ウェールズのラナバ城にある寄宿学校の教員を することになった。妙な先生たちに、困った生徒たち、とその親たち。ペニーフェザー君の多事多難な 物語が続く……。1928年。
 イーヴリン・ウォー(1903‐66)はイギリスの作家。『大転落』は彼の処女作。 原題「Decline and fall」は、ギボンの『ローマ帝国衰亡史』をもじったもの だそうです(^_^;))
 やっぱりイギリスのユーモア小説はいいですね(*^^*) この物語は穏やかで、毒もないですけど…。 妙に軽い名前の主人公ペニーフェザー君は、物語の中でもかなり影が薄いです。彼は牧師になって 普通に人生を送ろうと思ってるのに、真面目すぎてろくでもないことに巻き込まれてばかり…。 むしろおかしいのは、彼を取り巻く人たち。“スープの中にはまり込む”クセのある、義足の グライムズ先生、ことあるごとに鬘をからかわれる、酒癖の悪いプレンダーガスト先生、船主で 小説家で大泥棒の(笑)執事フィルブリックと、味のある人たちがたくさんでてきます。この物語の 中では、大英帝国の由緒あるパブリック・スクールも紳士も貴族もかたなし。学校のスポーツ大会は いきなり前日に計画されて、当然めちゃくちゃ。ペニーフェザー君は結婚式の当日にマズイことに なるし、先生が次々にいなくなって、学校も閉鎖。そして、結局皮肉なことにペニーフェザー君は………。 皮肉なことに、といいましたけど、私はこのラスト好きです(^_^)
 私がお気に入りだったのは、世界は何故そもそも始まったのかと考え始めてしまい、 宗教に疑問を抱いて牧師を辞めた鬘のプレンダーガスト先生(^_^;) 彼もまぁ想像したくも ないようなことになります(T_T) それに比べたらペニーフェザー君なんてましな方。
ところで、変なしゃべり方の近代建築家ジレーヌス教授のセリフが心に残ってます。人生を遊園地の 大車輪に例えて、彼はこう言います。「でもさ、この輪で大事なのはァ、気がすすまなきゃ全然乗る 必要がないってこと。人間なんてェいろんな人生観もつからさ、それでェ、ゲームに加わんなきゃなんて 思うわけよ。楽しくもないのにィ。そんなのみんなに合うわけじゃないのに。」  …うーむ、人もあろうに超変な(笑)建物つくるこの変人建築家の口からこんな言葉を聞こうとは 思わなかったです(笑)  一気に読めてしまう、とても楽しい小説でした♪



「幽霊」 イーディス・ウォートン/薗田美和子・山田晴子 訳(作品社 2007.8.30)
 アメリカの作家イーディス・ウォートン(1862-1937)の幽霊話を集めた短編集(1937)。7編収録。
 収録作品…
  「カーフォル」、「祈りの公爵夫人」、「ジョーンズ氏」、「小間使いを呼ぶベル」、
  「柘榴の種」、「ホルバインにならって」、「万霊節」


 日本ではあんまりメジャーでない作家のようですが、「無垢の時代」でピュリッツァー賞を受賞し、 映画化もされてます。まぁ、私も知りませんでしたが(^_^;) 短編を数回読んだことがありますが、 作者自身、幽霊またはそのようなものの存在を感じてしまう人だったようですね。 だからというわけでもないかと思うのですが、実際幽霊が出てくるストーリーでも そうでなくでも、幽霊の存在がそれほど特殊なものには感じられないです。 かといって恐怖がそれで減じているかといえば、決してそうではないのがすごいのですが。
 お気に入りの作品の感想は以下です。なんか、幽霊が見えない話の方が好きみたいです(^_^;)

「祈りの公爵夫人」
 かつて公爵の住まいだったイタリアの古い屋敷を見物していた私は、 案内してくれた老人から奇妙な話を聞かされる。 それは礼拝堂で祈りを捧げる婦人の彫像にまつわる、200年も昔の物語だった。
 置いた時から表情が変わってしまったという大理石の像。幽霊話じゃないんですが、 生きた人間だって十分怖いものです(^_^;) こういう話は結構好きです。

「ジョーンズ氏」
 一族の古い屋敷を相続することになったジェインは、早速屋敷に引っ越した。 だがそこでの生活はすべてジョーンズ氏という姿を現さない老人に仕切られており、 どこか窮屈に感じられるものだった。
 古いお屋敷って、なんかそれだけで何か出そうな感じでよいですね(^_^;)  屋敷そのものの意思のようなジョーンズ氏が恐ろしいです。

「柘榴の種」
 新婚で幸せいっぱいだったシャーロットの生活に暗い影を落としたのは、 夫の元に届けられる差出人の書かれていない手紙だった。女からのものと 思い込んだ彼女は、夫を問い詰めるのだが…。
 二人の生活を支配している見えない影。人の心に巣食う幽霊というか過去というか、 そういうのも、どうしようもないところが怖いですね…。



「ジーヴズの事件簿」ウッドハウス選集1 P・G・ウッドハウス/岩永正勝・小山太一 訳
              (文藝春秋 2005.5.30)
 ユーモア作家P・G・ウッドハウスの“ジーヴズ”シリーズの短編集。13篇収録。 本の詳細
 収録作品…
  「ジーヴズの初仕事」、「ジーヴズの春」、「ロヴィルの怪事件」、「ジーヴズとグロソップ一家」、
  「ジーヴズと駆け出し俳優」、「同士ビンゴ」、「トゥイング騒動記」、「クロードとユースタスの出帆遅延」、
  「ビンゴと今度の娘」、「バーティ君の変心」、「ジーヴズと白鳥の湖」、「ジーヴズと降誕祭気分」、
  「ガッシー救出作戦」(特別収録作品)


   お間抜け主人バーティ・ウースターとその有能すぎる従僕(策士?)ジーヴスの、ユーモアあふれまくりの ストーリー♪ 基本的に『比類なきジーヴス』(国書刊行会)と収録作品は ほとんど同じですので、詳しい内容説明はこちらをお読みください。文春のは“ジーヴズ”になっている上(国書刊行会は ジーヴス)日本語が(翻訳はどうか知らない)がちょいとくだけてるかな…。ざっと見ただけですが、それぞれ細かい部分の単語の使い方が 全然違います。この辺はもう好みのレベルでしょうね。まぁそれぞれ一長一短ありますので、 両方読むのがいちばんお薦め(というか無難というか)です(^_^;) 
 以下ちょっと毛色の変わった作品について一言♪  「ジーヴズの初仕事」は、バーティとジーヴズが出会った顛末。 始まりはこんなにさらっとしたものなのですね。でもストーリーは、二人の行く末を 思わせるものが既に全開です。1作だけジーヴスの視点から 書かれた「バーティ君の変心」はまた別の意味で面白すぎ。こんな目で主人バーティを 眺めているなんて〜。従僕って恐ろしい…。最後に収録されている「ガッシー救出作戦」は、 バーティ&ジーヴスシリーズの原型とも言うべきものです。というか、ジーヴズのいないバーティという 感じのストーリー。最悪の事態です(笑)
 やっぱりどれも楽しいです。ユーモア小説の真髄♪ 読むだけでこんな幸せになれる本もなかなか ないですね。作品集は2巻へ続きます。そのうちに。



「比類なきジーヴス」 P・G・ウッドハウス/森村たまき 訳 (国書刊行会 2005.2.14)
 有閑階級の独身青年バートラム(バ―ティ)・ウースターは、頼りになる執事ジーヴスと気ままな二人暮し… のはずが、いつも誰かに恋せずにはいられない友人ビンゴ・リトルやアガサ伯母さん、 そして従兄弟の双子クロードとユースタスの繰り広げる騒動にいつも頭を抱えるはめに。 今日も他愛のない(そしてのっぴきならない)厄介ごとに巻き込まれるバーティの悩みを、 優秀(すぎる?)執事ジーヴスが一刀両断。
 英国生まれのユーモア作家、P・G・ウッドハウス(1881-1975)のジーヴス・シリーズ。 本の詳細


 これは今後刊行予定のウッドハウス・コレクションのうちの1冊。今まで ウッドハウスの翻訳作品に飢えてきた人間にとってはも〜転げ回りたいくらい嬉しい本なの です♪ いや…それほどのこともないか(^_^;)  ウッドハウス抜きでユーモア小説は語れません。なのに、日本ではあんまし有名じゃないようですね…。 この作品は、当初ジーヴスものの短編だったものを加筆修正し、まとめて長編という形にしたものだそうです。
 ちょいとお人よしで実際的な事が苦手なバーティは、いつもスープに浸かりっぱなし(in the soupを 調べて下さい(^_^;))。友人の恋愛相談にのり、従兄弟の引き起こすトラブルの後始末をし、 伯母さんの持ち込む結婚話をやり過ごし……ってなこと一人でやってのけられるわけがなく、その背後には常に 暗躍する執事ジーヴスの影が…。
 基本的に、誰かが何か厄介なことになってバーティがしぶしぶ乗り出すも、乗り出さない方が他の誰より バーティ自身のためだったというような事態になり、結局ジーヴスが鮮やかに解決、というパターンの繰り返し。 しかし世に厄介事と変人は尽きることなく、その種類もきりがなく(^o^;) ってことで、どの話も ほんっと面白いです♪ ユーモア小説のあらすじを逐一紹介なんて、そりゃ野暮というもの(^_^)  これはもう、読んでいただくしかありません♪
 2巻『よしきた、ジーヴス』に続きます↓



「よしきた、ジーヴス」 P・G・ウッドハウス/森村たまき 訳 (国書刊行会 2005.6.15)
 執事のジーヴスを残して一人カンヌへ旅立った僕ことバーティ・ウースターは、 素敵な白いメス・ジャケットを引っさげて帰ってきた。だがそれが、後々まで二人の間に大きな影を 落とすことに…。恋する友人二人を救うため、ジーヴス抜きでトラブルの真っ只中に突っ込むバーティ。 酷い苦境に立たされる彼に明日はあるのか…? 
本の詳細


 ユーモア作家ウッドハウスのジーヴスもの♪ 作中過去の事件にも触れているので『比類なきジーヴス』を 読んである方が面白いと思います。もちろん、読んでなくても爆笑ものだと思いますが(^_^;) 
 この作品は長編仕立て。ジーヴスとジャケットのことで意見が食い違い、恋する二人の友 フィンク・ノトルとタッピーをそれぞれの窮地から一人で(一人で!)救い出そうとするバーティ。 誰がやってもここまでひどくならんだろうという事態にたやすく陥れ、大いに笑わせてくれます♪  普通の人にはちょっとない能力です。素晴らしいです(^o^;)
 長編なので少々中だるみしてる気もしますが、その分ハラハラとヒヤヒヤは倍増です(^_^;) しかし結局は 永遠なる黄金パターン。ジーヴスがなんとかしてくれないわけがない。終わりよければすべてよしです。 この際私の細かい感想などどーでもいいので、とにかくどうぞご一読を。
 次は3作目『それゆけ、ジーヴス』に続きます↓



「それゆけ、ジーヴス」 P・G・ウッドハウス/森村たまき 訳 (国書刊行会 2005.10.15)
 有閑階級の独身青年バートラム(バ―ティ)・ウースターは、頼りになる執事ジーヴスと気ままな二人暮し。 ジーヴスを雇ったその日から、彼なしの生活は考えられなくなったバーティ。だが時々服装についての 意見の相違から、頼みの綱のジーヴスにも見放され…?
 英国生まれのユーモア作家、P・G・ウッドハウス(1881-1975)のジーヴス・シリーズの短編集。 本の詳細


 ウッドハウス・コレクション(刊行中)の第3冊目♪ この本の5章まではジーヴスものの初期の作品で、 5章6章の間に『比類なきジーヴス』が挟まる、というのが発表順らしいですね。まぁあまり気にはなりません。 おなじみのキャラクター(ビンゴやサー・ロデリック・グロソップやコックのアナトール)が出てきますので、前2冊を読んでいた方が楽しいと思います♪
 …とはいえ、やってることはいつもと同じ(^_^;) バーティ自身が、あるいは彼の(ほぼ同じ毛色の) 友人たちが何かとんでもない事態に陥り、やめときゃいいのにバーティが一人でなんとかしようとし、 なんとかなるどころかどうにもならないところまで行ってしまい、ジーヴス登場と相成るという(^_^;)  この巻はバーティーがある事情からニューヨークで暮らしてた間のお話が多いです。今回はジーヴスの都合のよすぎる親族もいっぱい 出てきていいですね(笑) 好きな作品は、ニューヨークに住むバーティにおしつけられたとんでもないお客『ジーヴスと招かれざる客』、 友人の身の上を案ずるあまり、代わりに自ら窮地へ飛び込むバーティ『刑の代替はこれを認めない』、友人とその恋人との 仲を取り持とうと奮闘する『フレディーの仲直り大作戦』などです。…と書いたけど、その他のもホントに楽しいです♪ やっぱし ウッドハウスのユーモア最高です〜(T_T) 『ジーヴス登場』と『バーティー考えを改める』の感想は『ジーヴズの事件簿』(文藝春秋) をご覧下さい。
 次は『ウースター家の掟』に続きます↓



「ウースター家の掟」 P・G・ウッドハウス/森村たまき 訳 (国書刊行会 2006.3.14)
 ひどい二日酔いで目覚めたバーティは、何やら相談があるらしいダリア叔母さんの家へと向かう。 自ら発行している雑誌のため夫から金を引き出したい彼女は、バーティを使ってある策略をめぐらせていたのだった。 だが、その策略はまたしてもバーティをとんでもない窮地へと追い込むことに…。ジーヴス・シリーズ長編。1938年。 本の詳細

 有閑階級の独身青年バートラム(バ―ティ)・ウースターとその天才執事ジーヴスの活躍する ユーモア小説。今回は長編です。おなじみのキャラクターがわんさか出てますので、 前の作品を読んであるといいかも。読んでなくても全然かまいませんが。
 叔母さん(比較的良い方の叔母さん)に、彼女のお抱え凄腕コック・アナトールのつくる食事を 金輪際食べさせてやらないと脅され、しぶしぶ彼女の頼みを実行するバーティ。 盗癖持ちの悪党と誤解され、友人の恋の悩み(×2)に振り回され、 軽犯罪(?)に手を染めることを多方面から強要され……と、今回も相も変わらずスープにはまりまくり。 ウースター家の掟はカッコいいけど、それを守るバーティときたら、それはそれはもう…(涙)  長編なのでちと中だるみ感があるのと、短編ほど爽快感がないのは否めませんが、 やはりジーヴス最高です(T_T) 時には彼がスゴイのではなく、単に周りがおマヌケすぎるんじゃ…(^_^;)ってな 感じも(笑) みんなまとめてどっかへ監禁したほーがいいんじゃないかと思えるような人たち、 そしてどう見ても修復不可能なまでにもつれた人間関係を、ジーヴスがお約束どおり解決に導きます♪  なんも考えずにただただ笑える、幸せな作品でした。
 次は『でかした、ジーヴス!』へ続きます。そのうちに。



「スミスにおまかせ」 P・G・ウッドハウス/古賀正義 訳 (創土社 1982.12.25)
 ブランディングズ城主エムズワース伯の放蕩息子フレディーは、賭け屋の権利を手に入れるために 1千ポンド工面する必要があった。そして彼の叔父のキーブル氏も、前妻との娘フィリスのために 早急に3千ポンド用意する必要が…。利害の一致した二人は、エムズワース伯の妹コンスタンスの持つ ダイヤのネックレスを盗むことに。だが自信のないフレディーは、ちょうど失業したばかりの スミス青年が出した新聞広告を見て、彼にこの陰謀を任せることに…。一方スミス氏は街角で出会った イブというフィリスの友人に一目惚れしてしまい、彼女がブランディングズ城で働くことになっている のを知り、また偶然出会ったエムズワース伯が自分を招待した詩人と勘違いしているのをいいことに、 ブランディングズ城へ乗り込むのだが…。1923年。

 ウッドハウス作品の短篇はいくつか目にしてますが、長編を読むのは初めてです。…ので、作者についても 少々ご紹介を。P・G・ウッドハウス(1881-1975)は英国生まれで米国に 帰化したユーモア作家。英語圏ではかなり有名な作家で、有閑青年バーティ・ウースターとその執事ジーヴス ものを始め、たくさんのシリーズ物を書いています。
 この作品はスミス青年が活躍するシリーズの4作目、ブランディングズ城を舞台にした シリーズとしては2作目。とはいえ他の作品は未訳だったり絶版だったりで、ほとんど目にする機会はありません。 この本もと〜ぜん絶版です(-_-) もったいなさ過ぎ。
 ストーリーはそれぞれの人物の思惑がけっこう危ういところで交錯しているのですが、これが 絶妙なんですね♪ 若い割に当意即妙な会話能力を持つ(というか大ボラ吹きというか(^_^;)) スミス氏の正体が何度もバレそうになったり、ネックレスがあっちこっち行き来するところなんて かなりスリルもあります。ちょとミステリっぽい。しかし何より散りばめられたユーモアが最高。 短篇ほど印象が強くないんですが、ストーリーの妙と相まっておかしくも素晴らしい作品になってます♪



「ウッドハウス短編集」 P・G・ウッドハウス/田中春美 訳(富士書店 1966.10.30)
 英国生まれのユーモア作家、ウッドハウスの短編集。6編収録。
 収録作品…
  「ボクはわんころ」、「黒は幸福」、「みにくい巡査の恋物語」、「足の不器用な男」、
  「社長と秘書と社員の毒気」、「守護神」


 ウッドハウスの作品てばかばかしくも面白おかしくて大好きなのですが、日本ではあんまり知られてないみたい。
 この本は残念ながら絶版です(-_-;) でも、これちょっと翻訳がどうなのかなぁ…って 原文知らないからなんとも言えないんですが、訳注がちと多すぎなのは確かです(^_^;)  昔の本だから仕方ないか…。とにかく以下にお気に入りの作品を♪

「ボクはわんころ」
 ボクはとある恥ずかしがり屋の男に半クラウンで買われた、美しいとは言いがたい子犬。 住み慣れた居酒屋と母犬のもとを離れ、やってきたのは田舎の別荘地だった。そこでその 恥ずかしがり屋の男は、ボクに奇妙なことを仕込み始めた…。
 変なタイトル(^_^;) 主人公は小さくてみにくい子犬。犬としては至極まっとうなことを してるだけなのに、あんまりまっとうでない人間たちは大わらわ♪ 無邪気な子犬の視点によって さらけ出される人間の勝手さが良いですね(笑)

「黒は幸運」
 黒猫は幸運をもたらすといわれる…。エリザベスはある日、アパートの前をうろついていた 黒い野良猫を飼うことにした。ジョーゼフと名付けてかわいがっていたのだが、ある日黒猫は 隣りのアパートの一室へと入っていってしまう。しかしそこの住人は、この猫は自分の飼い猫 レジナルドだといって譲らない…。
 人間の幸不幸なんて、猫は知ったこっちゃないのです(^_^;) それでも、幸運は幸運かな。 まぁバレバレな結末ですが、ほのぼのしたお話。

「足の不器用な男」
 これまでの人生において女性に全く縁のなかった銀行員ヘンリー。そんな彼も若く素敵な女性ミニーと 結婚して幸せな生活を送るようになった。だがある日ヘンリーは、自分は妻に退屈な生活を 強いているのではという疑念に駆られる。彼はダンス好きな妻を慰めるため、こっそり ダンスを習うことにしたのだが…。
 一念発起してやりなれないことを始めると、どうして人はこんなにも情けなく、 そしていとおしい存在になるのか(笑) 平凡なお話ですけどやっぱホロリとさせられます(^_^)

「守護神」
 キース家に滞在しているマーチンは、ここの召使頭のケッグスを恐れるようになった。それはマーチンが キース家の娘エルザに好意を抱いたことがきっかけだった…。
 守護神だか疫病神だか(^_^;) それだけのことでそこまでするのか〜。召使頭って恐ろしい(^o^;)



「ヒヤシンス・ブルーの少女」 スーザン・ヴリーランド/長野きよみ 訳 (早川書房 2002.6.30)
ブルーのスモックを着た少女が、窓辺で縫い物をしている様子を描いた一枚の絵…。 高校の美術教師が同僚の家でに見せられたのは、知られざるフェルメールの絵だった。 だが彼はその絵の由来を話したがらない。その絵の持ち主は誰だったのか、そして描かれた少女は 誰なのか。一枚の絵の所有者を追って時代はさかのぼり、ついに謎が明かされる…。1999年。

 時代をさかのぼりながら、数奇な運命をたどった、一枚のフェルメールの絵の由来にたどり着くまで…。 絵の見ていた物語、というところでしょうか(^_^) フェルメールって私あまりよく知らないんですが(^_^;)、 それでもとても引き込まれるストーリーでしたね〜。絵のたどった運命も魅力ですが、 所有者たちの人生が絵によってちょっとだけ変えられてしまうところがいいですね。 章ごとに時代と絵の所有者が違う物語になってます。私の好きな章は「警句」と 「朝の輝き」です。好きというか、分かるというか…(^_^;) 暗い色調にきらりと輝く 光が印象的なフェルメールの絵のような、素敵な作品でした(^_^)



「ヴァージニア・ウルフ短編集」 ヴァージニア・ウルフ/西崎憲 編訳 (ちくま文庫 99.10.21)
 英国の作家ヴァージニア・ウルフの短編集。17編収録。
 ヴァージニア・ウルフについては詳しくないので多くを語れませんが(^_^;)、この 「意識の流れ」といわれる手法は、慣れるまでちょっとつらいものがありました。いいな〜と 思ったのは『ラピンとラピノヴァ』、『堅固な対象』『憑かれた家』、『池の魅力』、『壁の染み』、 『ミス・Vの不思議な一件』など。良くも悪くもストーリーを淡々と追う作品に慣れてしまって いるので、真剣に読まないとこの「意識の流れ」からいつのまにかどんどん遠ざかってしまって(T_T)。 でも、きちっとついていけると、すごい作品だな〜と思うのがあリました。ぼんやり読んでいても、 はっとさせられるような言葉も。…普段は私けっこう漠然と本読んでるんだな〜と痛感しました。 そーゆー話ではないんですけど……(^_^;)



「奥の部屋」 ロバート・エイクマン/今本渉 訳(国書刊行会 1997.9.20)
 ロバート・エイクマン(1914-1984)の短篇集。5編収録。
 収録作品…
  「学友」、「髪を束ねて」、「待合室」、「恍惚」、「奥の部屋」


 怪奇小説…というより、エイクマン自身がそう呼んだように、ストレインジ・ストーリー。 国内のアンソロジーにも作品がいくつか収録されていますが、エイクマンは本国イギリスでも それほど名の通った作家というわけではないみたいですね。この本の収録作品の書かれた年代は 1964〜84年と比較的最近。後期の作品は、作風も違ってくるそうですが…。古い怪奇小説の雰囲気を残しつつ、描かれているのは もっと現代的でつかみどころのない、なんだかぬらり…としたもの(^_^ゞ) 私はこの現代的な 「ぬらり」の部分がちと苦手なんですが、それでいて妙に引き込まれてしまう妖しい世界でもあります。 叢書としては国書刊行会「魔法の本棚」の5巻目。次は6巻「消えた太陽」(アレクサンドル・グリーン)に 続きます。
 以下にお気に入りの短篇を♪

「待合室」
 電車を乗り過ごしてしまったエドワード・ペンドルベリは、ただ一人田舎町カスタトン駅の 待合室で夜を明かすことになった。寒さをこらえつつベンチに横になった私の周りに、 何故か大勢の人の気配が…。
 短めのお話ですね。一夜明けて明かされる真実。恐怖は夜が明けた後に…。

「恍惚」
 元画家だった人物と知り合いになった私は、彼が亡くなった後に彼の手記を入手した。それは元画家が 若かった頃、とある画家の夫人に会いにベルギーへ行った時の話だった…。
 結局何がなんだか分からないんですが(^_^;)、妙に惹かれる話です。亡くなった画家たちを あげつらう妖しい老女。彼女に言われるがまま、箪笥の中の服に顔を埋める私…。なんか 変な話ですが(笑)、この奇妙な現実感の希薄さがいいです。

「奥の部屋」
 自動車が故障したために立ち寄ったさびれた店で、私は誕生日プレゼントに人形の家を 買ってもらった。だがどうやっても家をこじ開けることも出来ず、奇妙な夢に悩まされるようになった私は、 家で遊ぶことをやめてしまったが…。
 外からのぞき見ることも出来ない、人形の家に隠された奥の部屋…。お母さんと弟は一体私に何を隠していたのか 気になります。そして、彼女が辿り付いたあの家。奥の部屋には、一体何が…(T_T)



「壁抜け男」 マルセル・エイメ/中村真一郎 訳 (早川書房 S51.6.15)
 フランスの小説家マルセル・エイメ(1902〜1967)の、ちょっと奇妙な味の短編集。
 収録作品……「壁抜け男」、「カード」、「よい絵」、「パリ横断」、「サビーヌたち」、
「パリのぶどう酒」、「七里の靴」

 面白いです(T_T) 下に角川文庫版の感想もあります。以下にお気に入りの短編をご紹介。
「壁抜け男」
 登記庁の役人のデュチユールは、ある日突然自分が不思議な能力を手にしたことに気付いた。 なんと、彼は壁をすり抜けられるようになっていたのだ。思わぬことに当惑していたデュチユール だったが、登記庁で自分に嫌がらせをする次長を懲らしめたことをきっかけに、彼の冒険はどんどん エスカレートしてゆく。何度も銀行に忍び込み、わざと捕まって刑務所に入れられ、脱獄を繰り返す。 だがやがて彼は、そんな生活にも飽きてしまい…。
 壁をすり抜けられるという突拍子もない出来事がフツーに起こって、しかもそれは甲状腺の 括約内膜のらせん状硬化(?)のせいで、米粉とケンタウルスのホルモンを混ぜたの(?)を年に 二包飲めばおさまるのです。もうそれだけで、この短編集がどんな感じかお分かりいただける のでは(笑) 最後はちょっと切ない終わり方です。
「カード」
 戦争中で物資が不足する中、奇妙な政令が出された。非生産的な者、すなわち老人、退職者、失業者 その他、無用とみなされた人間たちは、その無用の度合いによって定められた一定の期間、“死んで” いなければならないというのだ。彼らには月ごとに生きていられる分の時間カードが配られ、 それを使い果たすと残りの時間は死んでいなければならない。作家であるフレグモンも無用と みなされ、月に2週間の生存しか許されなくなってしまった。やがて時間カードが闇市場に出回り、 その結果一ヶ月に31日以上生きる者まで現れ始め、人々は大混乱に陥る…。
                                                                                              訳者の方があとがきでも述べられていますけど、こういうお話って確かに感想とか述べる気も しなくなってきちゃいますね(^_^;) もう、面白いことはホント面白いです。一定期間 死んでるって……(^_^;)
「よい絵」
 モンマルトルに住む画家のラフルールは、三十五歳に達したとき、突然すばらしい絵を書くように なった。彼の絵は見ているだけで栄養になり、30分も眺めていれば、それでもう何も食べる必要が なくなってしまうのだ。彼は売れっ子画家になり、飢えた人々は彼の絵を求め始める。 しかしやがて騒ぎは大きくなり、事態を重くみた政府によってラフルールは国有化されてしまう……。
 これだけでも十分おかしいんですけど、やがて次々に栄養絵画を描く画家が現れ、 それは有効芸術と名づけられ、有効彫刻や有効音楽まで現れたりして、エデンの園のごとき 生活が始まるのです(笑) こういうの好きなんですけど、続くとちょっと疲れるかも(^_^;)
「七里の靴」
 母親と二人きりで暮らすアントワーヌは、小学校からの帰り、友達と一緒にガブリエル街の 探検に出発した。彼らはそこで一軒の古道具屋を見つける。怪しげな由来の古道具に混じって、 一歩で七里を飛べるという魔法の靴が陳列してあった。少年たちが恐る恐る中へ入ると、 剥製の鳥と語り合う奇妙な老人の姿が。驚いて逃げ出した子どもたちは工事中の穴に落ちてしまい、 病院へ運び込まれる。靴のことが気になる彼らは、見舞いに訪れる親に、自分にあの靴を買って くれるようせがむのだが……。
 闇で売るための肉の運び屋の物語『パリ横断』の次に、普通のお話かも。 童話といってもいいのでは。とてもほのぼのしていて、他のお話がみんな奇妙なだけに、 読むとかなりホッとします(^_^;)。このお話を最後に収録するという構成には拍手を おくりたいです。でなければ、読んだ人はいつまでも不思議な混乱の中に取り残されてしまうのでは ないでしょうか(笑)



「壁抜け男」 マルセル・エイメ/長島良三 訳 (角川文庫 H12.7.25)
 フランスの作家マルセル・エイメ(1902-1967)の短編集。
収録作品……「壁抜け男」、「変身」、「サビーヌたち」、「死んでいる時間」、「七里のブーツ」
 上にハヤカワ書房版の感想もあります。読み比べるとさすがに早川書房のは24年も前の訳 ですから、ちょっと古い感じです。でも私はそういう訳の方が好きだったりします(^_^;)。 早川書房のと重複してない2編の感想を以下に。

「変身」
 デルミューシュは何年も前から欲しかったオルゴールを盗むために、三人の人間を殺して捕まった。 罪の意識がまるでないデルミューシュは、裁判の結果死刑を言い渡される。やがて彼の独房に 通い始めた裁判所付き司祭は、頭の鈍いデルミューシュに幼子イエスの物語を語って聞かせる。 無邪気に“小さなエスさま”の存在を信じるデルミューシュ。やがて処刑の日、奇しくも クリスマス・イブの朝がやってくる。処刑を行うべく彼を迎えにきた人々が見たものは、 毛布の中で泣いている小さな赤ん坊だった…。
 ラストは「ひどい(T_T)」の一言です。融通の利かない人々の前では、奇跡も皮肉ですね。
「死んでいる時間」
 モンマルトルに、二日に一日しかその世に存在しないマルタンという哀れな男が住んでいた。 彼はアンリエットという女性を恋するようになり、一緒に暮らし始める。しかしアンリエットは、 二日に一日しか存在しない夫にだんだん嫌気がさしてきて…。
 ストーリー展開がいかにもフランスらしいとゆーか。これも最後ちょっとひどいです(笑)  これと似た物語に「カード」(早川書房の「壁抜け男」参照)というのがありましたけど、 あちらはもうちょっといろんな要素が絡んでフクザツなお話。「カード」を読んでからこちらを読むと、 やはりちょっと物足りないかな〜。でも終わり方はこちらの方が好き。……残酷かなぁ(^_^;)



 「サイラス・マーナー」 ジョージ・エリオット/土井治 訳 (岩波文庫 1988.8.16)
 親友に裏切られて婚約者を奪われ、神も人も信じられなくなり、故郷を捨てて遠く離れた村 ラヴィロウに移り住んだ織工の青年、サイラス・マーナー。世捨て人のようになって機を織りつづける 彼が慰めを見出したものは、金だった。だが苦労してためた金さえ盗まれ、彼は全てに絶望する。 だがある日、失意の日々を送る彼の元に、幼い女の子が迷い込んでくる……。1861年。

 英国の古い小説は大好きですが、これも典型的なものですね(^_^) 絶望したマーナーでしたが、 行き倒れになって死んだ女性の小さな娘エピーを引き取って育てることにします。変人だと思われていた マーナーがだんだん変わってきて、協力してくれる隣人もいて、やがてエピーも結婚する ことになり、全てが幸せに終わるかと思った矢先……。う〜む、いいですね、この、ちょっとご都合 主義的勧善懲悪物語(^_^;) でも、なにもかも予期したとおりに話が進むというのは、読んでいて とても嬉しいものなのです(^o^) それでいてこの話はそれほど単調なものじゃないから、飽きないん ですね(^_^) 田舎で素朴に暮らす人たちと、傾きかけた地主の一族カス家やなんかの それぞれの暮らしや関係もとても面白いですね(^_^) ゴドフリーとナンシーなんかも、勝手だけど なかなか人間味にあふれていて、嫌いにはなれません。幼いエピーがとてもユーモラスでかわいいし、マーナーが 子供かわいさにどうしてもお仕置きができない苦悩もちょっと楽しいです(^_^) でも最後には全てが 「なるようになる」、私がとても好きなタイプのストーリー♪(^o^;) 
 しかし、知らずに読んだらやっぱり作者が女性とは分からないかなぁ…。知らずに読んでみたかったです(^_^;)



「特別料理」 異色作家短篇集2 スタンリイ・エリン/田中誠二 訳(早川書房 S54.5.1)
 スタンリイ・エリンの短編集。10編収録。
 収録作品……「特別料理」、「お先棒かつぎ」、「クリスマス・イヴの凶事」、 「アプルビー氏の乱れなき世界」、「好敵手」、「君にそっくり」、「壁をへだてた目撃者」、 「パーティの夜」、「専用列車」、「決断の時」、


 スタンリイ・エリンは初めてですが、この短編集は、ミステリっぽくあるものの、ちょと皮肉で 暗めの短編が多いですね。以下にお気に入りの短編を♪

「特別料理」
 ラフラーがコステインをつれてきたのは、地下にある不気味な雰囲気のスピローズという店。 だが、そこで供される料理は他では味わえない美味なものだった。そして、めったに出ない 特別料理とは…。
 これは有名なお話ですが、特別料理の正体が分かりそうで分からないところが いいですね(^_^;) まあ、バレバレだとは思うんですが(^_^;)

「クリスマス・イヴの凶事」
 クリスマスにベーラム邸を訪れた私は、セリアとチャーリーの姉弟の争いを目にする。 チャーリーは、妻のジェシーは、セリアに階段から突き落とされて死んだのだと言い張るのだが…。
 最後に事件の真相が明らかに。この手のこういう陰惨な結末はいいですね(^_^;) 

「アプルビー氏の乱れなき世界」
 骨董品の店に執心していたアプルビー氏は、金に困って妻を殺害し、その財産を手に入れた。 それも6人も。じゅうたんの上で滑ったように見せかけて殺人を繰り返してきた彼だったが、 再び店が行き詰まり…。
 すごく皮肉な結末(^_^;) いいのか悪いのか分からないけど、たぶん、これでいいのでしょう(^_^;)

「君にそっくり」
 お金持ちの青年たちが嫌いでならなかったアーサーは、上司の娘アン・ホートンにひそかな 想いを寄せていた。ある日アーサーは、以前自分と同じ会社に勤めていたというチャーリー・プリンス という青年に声をかけられる…。
 そんなにあっさりやっちゃいますかね(^_^;) これもなんて皮肉な結末。

「壁をへだてた目撃者」
 壁の薄いアパートに住んでいるロバートは、隣の部屋に住むかわいらしい声のエミーに 好意を抱いていた。だが彼女はいつも夫にいじめられており、ある晩ついに最悪の事態が…。
 サスペンスですね〜。この緊迫感がたまりません。しかし、カイザーリング警部ずるいですね(^_^;)

「決断の時」
 ヒルトップの豪邸に住む私の義兄ヒューは、かなりの自信家だった。ある日そんな彼の隣の屋敷に 奇術師のレイモンドが引っ越してくる。ヒューはレイモンドのすることがすべて気に入らないのだが…。
 この終わり方がにくいですね(^_^;) どうなったのか気になって仕方がないです(T_T)



「九時から五時までの男」 スタンリイ・エリン/小笠原豊樹 訳(ハヤカワポケミス S42.6.30)
 スタンリイ・エリン短編集。1963年。10篇収録。
 収録作品…
  「ブレッシントン計画」、「神さまの思し召し」、「いつまでもねんねえじゃいられない」、「ロバート」、
  「不当な疑惑」、「運命の日」、「蚤をたずねて」、「七つの大徳」、「九時から五時までの男」、
  「倅の質問」


 ちょっと奇妙で皮肉な味の短篇ばかり♪ ポケミス版は絶版ですが、文庫が出てます。『特別料理』に続く、2番目の短篇集。  …この短編集の方が『特別料理』収録の作品より、さらに人間の暗い心理をさらけ出している話が 多いですね(^o^;) その辺が私にはちと微妙な部分もありますが、やっぱり思わずにやりとさせられるようなお話もあります。以下にお気に入りの短篇を♪

「ブレッシントン計画」
 最近舅と暮らすようになったトリードウェル氏の元に、老齢学協会と名乗る団体から一人の男がやってきた。 舅の存在がわずらわしくなりかけていたトリードウェル氏に、男は「ブレッシントン計画」という名の 恐ろしい提案をする…。
 ストーリーとしてはありがちかもしれませんけど、最後にトリードウェル氏が抱く危惧がなんとも 勝手というかなんというか(^_^;) 明日はわが身ですよね〜…。

「不当な疑惑」
 過労でひどい頭痛を抱え込んでしまったミスター・ウィロビイは、医者にあれこれと思い悩むことを 禁じられ、1ヶ月の休養に赴くべく列車に乗り込んだ。そこで隣の座席に座った弁護士風の男が、 連れの男に興味深い殺人事件の話を始める。なんとなく聞き始めたミスター・ウィロビイだったが…。
 面白い…ですけど、ひどい話ですね(笑) で、結局どうなったんでしょう? すご〜く気になる…(^_^;)

「蚤をたずねて」
 行きずりの人間に施しを求められると断れない性格の私は、今もまた公園のベンチの隣へ腰掛けた みすぼらしい老人の話に耳を傾けることになった。その老人は、かつては有名な 蚤のサーカスを見世物としていたというのだが…。
 なんてドラマチックな蚤の生活(^o^;) こんなすごい話を聞かされちゃったら、 それ相応の代価を払わされるのも仕方ないって気もします。アイディアの勝利ですね(笑)

「九時から五時までの男」
 キースラー氏はいつものように目を覚まし、甥の就職の世話をしてほしいという妻の話を 退けて、9時に自分の事務所へ向かった。そこで彼は一人で、5時まで仕事をするのだが…。
 そんな仕事してるんじゃ、甥っ子に世話もできませんわな(笑) 九時から五時まで、 というのが妙に皮肉な感じで良いですね(^_^;)



「モモ」 ミヒャエル・エンデ/大島かおり 訳(岩波書店)
 小さな円形闘技場の廃墟に住む、モモという名の孤児の女の子。黙って人の話を聞いているだけなのに、 何故か彼女は近所の貧しい人たちに好かれていた。無口なベッポじいさんと、おしゃべりな観光ガイドのジジ 青年という親友もいて、彼女は何の不安もなく暮らしていた。だがある日、人々の前に灰色の男たちが現れる。 鉛色の鞄を持ち、灰色の葉巻をくわえた男たちは、時間貯蓄銀行から来たと名乗リ、あなたが無駄に過ごして いる時間を貯蓄しませんかと持ちかけた。やがて人々は、無駄な時間を節約するようになり始める。誰も自分の ところへ遊びに来なくなったのを不審に思ったモモは、友人たちを尋ね歩くが……。1973年。
 灰色の男たちは、無駄な時間を節約するよう呼びかけます。睡眠の時間、仕事の時間、食事に使う時間、 ペットに費やす時間、友人と付き合う時間……。じゃあ、何が無駄な時間じゃないのか、という問いは ありません。大人たちはただ、自分が無駄に過ごしてしまったと思い込んだ時間を嘆くだけです。そして ついに、子供たちまで……。
 ファンタジーというか、現実以上に現実的というか、そんな感じの物語です。モモは友人となんとか話を しようとしますが、いつも「時間がない」と断られてしまいます。「時間がない」とか「そんなひまはない」って、 嫌な言葉ですよね。私の気持ちには余裕がなくてぎすぎすしてます、って白状してるようで。時間てなんなん でしょね。時計で計れる時間なんて相対的なもので、楽しいことはすぐ終わるし、いやなことはいつまでも 続くし……(笑) 自分の使える時間なんて、今この瞬間からいつか死ぬ時まで与えられてる分だけですし。 確かに、無駄だと思う時間は誰にでもあると思うんです。何を無駄だと思うか、無駄じゃない時間は どうするのかというのは、人それぞれだとしても。でもホントは、どんなつまらないことをしてたって、 たぶん無駄な時間なんてものはないのでしょう。というか…………そうだといいな(笑)
 しかし、いろいろ考えさせられる部分があるんですよね。例えば、勝手に作った歴史上の物語を観光客に 聞かせてお金をもらっていたジジ。彼はやがて有名になって、モモのためのとっておきの物語も話しつくし、 ネタが尽き、やがて「以前話した物語を新しい衣装でごまかしながら」話を続けることになります。新聞は そんな彼を、「おどろくべく多産」なんて書きたてる。そして彼の語るものは物語ではなく、ただの嘘に なりはててしまう。ジジは、それでもそれを恥じてるけど……。……けど?(笑) 実はこれ、ちょっとばかし教訓ぽい部分が強くて、その上ストーリーがなんとなくまとまりに欠けてる感じで、 それほど好きになれなかったんですが(^_^;) 結局、灰色の男たちに盗まれた時間をモモが取り返すという お話ですが、盗まれた人が自分で取り返すのでなければ、あまり意味がないんではないでしょうか(^_^;)  いろいろ言い出すときりがないですが、私が好きなのは時間の国のところです♪ 時間を司る、 マイスター・ホラ(時間という意味)の住む、時計で埋め尽くされた<どこにもない家>。振り子が往復する たび、一瞬ごとに咲いては散る時間の花……時間てそうあるべきなのかもしれませんね。咲いては散リ続ける、 でも、新しく咲く花はそれまでのどれとも違う、一番きれいな花…。良いですね〜(T_T) 甲羅に光る文字が 浮かぶ、30分先の未来が読めるカメのカシオペイアも好きです。  とにかく、今ちょっと心に余裕のない人はこういう素敵なお話を読んで、「無駄な時間」を過ごしてみるのも いいのでは?(*^^*)



「はてしない物語」 ミヒャエル・エンデ/上田真而子・佐藤真理子 訳 (岩波書店 19826.7)
 待ち伏せして自分をいじめるクラスメートたちから逃げるため、バスチアンはある古本屋へと 駆け込んだ。彼はそこで『はてしない物語』というタイトルの本に目を奪われ、店主の コレアンダー氏が電話に出ている隙にそれを持ち出してしまった。母親を亡くし、悲しみに沈む父に 愛されていないと感じ、学校でも自分の居場所を見つけられずにいたバスチアンだったが、盗みを 働きはたらいたことで、もう家に帰らない決心をする。学校の物置に閉じこもった彼は、本を開く。 それは虚無に飲み込まれてゆくファンタージエン国と、病に倒れた“幼ごころの君”を救う勇者 アトレーユの物語だった。時間を忘れて物語に引き込まれてゆくバスチアンだったが、それは彼自身の 冒険の始まりでもあった…。1979年。
 すごい、文句なしにすごい本です! 簡単に言えば、本を読むのが好きないじめられっ子の成長物語 なんですけど、それだけじゃありません。アトレーユと幸いの竜フッフールの冒険や、バスチアンの 旅もドキドキしながら読めるんですが、物語のホントの意味はとても深い所にあります。 これを読んだ後ではもう、今までと同じように本が読めないんじゃないかと思います。 いろいろ言いませんが、いろんな意味でとても衝撃的な本でした。最後の方なんてもう、 涙がどんどん出てきて字が読めなかったです(T_T) 私もファンタージエンへの入り口を 見つけたような気がします。ちょっとばかし遅きに失した感がなきにしもあらずですが (そ、そんなことないよね(^_^;) でも、このタイトルを見るといつも、 「どう“はてしない”んだろう?」といつも疑問に思ってたんですが、やっと分かりました。 そして、想像した以上に素晴らしい意味ででした。
 これ、一応児童文学なのかもしれないけど(中学生以上、って書いてあるのをそう呼んでいいなら)、 大人が読んだ方がすごく胸に迫るものがあるんじゃないかな〜(特に本好きには)。 真剣に本とだけ向きあえた子供の頃を、ちょっと思い出しました。本にしかできないことのすごさを、 改めて見せつけられた本です。



「鏡の中の鏡 ―迷宮―」 ミヒャエル・エンデ/丘沢静也 訳 (岩波書店 85.4.30)
 奇想天外な30の連作短編を収録。1984年。

 児童文学でなくて、大人を対象にした短編集です。一つの話がその直前の話のイメージを引き継ぐ ようなかたちで、でも全く違う時と場所を描いた短編が30。歪んだ合わせ鏡に映った映像みたいに 連綿と続く奇妙なお話ばかり。ミヒャエル・エンデの父でシュールレアリスムの画家 エトガル・エンデの絵がとても幻想的です。ストーリーにぴったり。こういうのワケわかんなくて キライ、と言われる方もおられるでしょうけど、私はなんか好きです(^_^;) 確かにワケは わかんないけど、この構成がすごくいいのかも。合わせ鏡を覗き込むような、鏡の迷路をさまような、 奇妙な感覚を味わえます。1編づつ分けていいのかどうか分かりませんが、私が好きなのは…… 「許して、僕はこれより大きな声では」、「屋根裏部屋は空色だ」、 「ずっしりした黒布が、垂直のひだを」、「惑星の回転のようにゆっくりと」、 「ここは部屋である、と同時に」、「教室では雨がたえまなく降って」、「俳優たちの廊下で私たちは」、 などです。読んだ時は、うげ、変な話(-_-;)としか思えないんですが(笑)、奇妙なだけに鮮明な イメージが残ります。ストーリーも、後でじわじわ味が出てくるような。いいですね(*^^*) 誰にでも おすすめできる本ではないですが(^_^;) あやしい生き物の棲む迷宮をさまよってみたい方に……(笑)



「孤独の発明」 ポール・オースター/柴田元幸 訳 (新潮文庫 H8.4.1)
 52歳で離婚し、広い家にただ一人で15年間暮らし続け、孤独に死んでいった“私”の父。 彼の死の知らせを聞いた瞬間、“私”は父について何か書かねばならないと感じ始めた。父の家で 遺品と対面した“私”は、父の人生について思いをはせる。自分だけの世界をかたくなに守り、 周りの人間には理解しがたかった父。そして父の両親に起こった殺人事件の顛末。父に認められる ことを求めつづけ、見えない本当の父を見据えようとする“私”の葛藤…。オースターの散文作家と しての出発点の作品。1982年。
 翻訳されているオースターの小説のほぼ全部を読んでからこれを読んだのが、よかったのかどうか よく分からない(^_^;) でもこれから後に書かれる小説を思わせる部分はたくさんあります。 でももし誰かにオースターを薦めるのだったら、これを最初には薦めないとは思いますけど…。 この本は、第一部「見えない人間の肖像」と第二部「記憶の書」に分かれています。あらすじとして 書いたのは第一部の内容。第二部の主人公はAという人物で、何もない部屋で断片的な記憶をもとに 「記憶の書」という本を書いているというお話。
 これを読んでいる最中も後も、記憶について妙に考えさせられて仕方なかったのです。 記憶って何か、過去を思い出すってどういうことか。…というと、漠然とした一般的なお話のように 聞こえるかもしれませんが、この本の中でオースターが語るのはオースター自身の過去をモデルにした ストーリー。ストーリーといっても小説とはちょっと違うけど…。でも、それを自分自身に置き換えて 考えてみずにはいられなくなります。記憶をたどること、思考の迷路の中で迷うこと、過去をもう一度 生きること、閉ざされた部屋のこと、孤独を生み出すもの、孤独が生み出すもの……。…とかそれぞれの ことについて考え出すと、ただでさえ行き先を見失いっぱなしの感想が、更にとりとめなく…。 …いろいろ深く考えさせられます。そういう意味ではとても面白い本です。でももう2、3回読んで みないとダメですね。感想がまとまらないです(いつも以上に )。大好きな作家なんですけど。 …もしくは、そのせいで(T_T)



「最後の物たちの国で」 ポール・オースター/柴田元幸 訳 (白水Uブックス)
 行方不明になった兄を探して、アンナはただ一人旅に出る。彼女が辿り着いたのは、満足に住む場所も、 食べるものもなく、盗みや殺人がもはや犯罪でなくなってしまった国。最後の安らぎである死を迎える ための奇妙なシステムが街にあふれ、死体からはその持ち物のすべてが剥ぎ取られる。生き抜くために 一瞬の油断も許されないこの国で、アンナは物拾い業をして生活をはじめる…。
 これは舞台が“どこでもない国”になっているという点では、他のニューヨークなどを 舞台にした作品とはちょっと違いますが、雰囲気は変わりません。人がどんどん死んで、その事について 考える気力すら沸いてこないような荒廃した街で、アンナは懸命に生きつづけます。懸命に…という感じ もあまり伝わってこないのですが、ただ一日一日、今日だけをなんとか乗り越えてゆくような、 でも現実感は妙に希薄な生活。こんな救いのないストーリーなのですが、読み終わった後には 何故か――あとがきで訳者の柴田氏もおっしゃっているように――希望に満ちたストーリーの ように思えてきます。



「リヴァイアサン」   ポール・オースター/柴田元幸 訳  (新潮社)
 「完結をいくら焦がれても、それがいつまでも訪れぬかもしれないことを納得しなくては ならないのだ。人間、そういつまでも息を止めてはいられない。いずれはきっと、再び息を しなければならない時が来る―――たとえその空気が汚染されていて、いずれその空気に命を 奪われるとわかっていても。」P333 
…なんか語り手のピーターが気に入らないのは何故だろうか……。『現実と理想との隔たりに 人間の悲惨があり、現実から理想に向かおうとする人間の意志に人間の栄光がある。』(あとがき) これはそれを個々人のレベルで描いた小説ではないか、ということだそうです。 だとしたらたぶんおかしくも悲しいまで真剣に理想を追いかけるサックスを、 妙に突き放して分かったような(間違ってるとも言えないけど)批評を加えるピーターが好きに なれないのでしょう。サックスの悲劇(といえるなら)は、一見無意味に見える出来事も本当は そうではなく、世界はすべてどこかでつながっていると、そう信じすぎてしまった事にあるのでは。 すべてに深い意味を見出し始めると、どこにもいけなくなって、自分を追い込んで、流れにも 逆らえなくなって……悲劇または喜劇(あるいは両方)が起こる。しかし、あらゆる真面目で 真剣なことというのは、他人が見るとどうしても滑稽な部分があるのは何故でしょう?  ……もっと真剣に読んでたら、もう少しましなことが言えそうですが…(^_^;)。



「ティンブクトゥ」 ポール・オースター/柴田元幸 訳 (新潮社 2006.9.30)
 世間に認められない詩人ウィリーとその老いた飼い犬ミスター・ボーンズは、 ある場所を目指して旅をしていた。だがやがてウィリーは病に倒れ、彼らは離れ離れになってしまう。ウィリーを思いながらも、 ミスター・ボーンズは日々を生きてゆく。いつかウィリーの話してくれた、ティンブクトゥでの再会を 信じて…。1999年。

 犬のミスター・ボーンズの視点から語られる、ちょっと切ない物語です。 前半は詩人ウィリーとの辛い旅のお話、そして後半はウィリーとの約束を引きずったまま 独りで生きることを余儀なくされたミスター・ボーンズのお話。 犬…言葉を理解はしても人間でないもの…の視点で書かれている時点で、 どこまで突っ込んで(踏み込んで…か?)いいやら分からなくなったのですが、 まぁそう深く考えなくてもいいのかな(^_^;) ミスター・ボーンズの語る ウィリーの過去の話は面白いですし、その端々から伝わってくるウィリーへの 無条件の信頼と愛情も物悲しさを誘います。どこか悲壮感の漂う滑稽さもいいですね。
 途中はけっこう楽しめるのですが、それだけに終わり方が ちょっと中途半端な気がしてしまうのですよね…なんとなく。 そりゃミスター・ボーンズにはあれ以上辛い目にはあってほしくはないけど、 ああいう選択もしてほしくなかったというか。犬ゆえに、なのでしょうけれども…。 ティンブクトゥでミスター・ボーンズを迎えたウィリーが、彼になんと言うのか気になるところ。 まぁあれこれ考えなくても、さらりと読む分には軽めで楽しめますし、切ない余韻が残る良い作品でした。



「高慢と偏見」 上・下 ジェーン・オースティン (岩波文庫 94.7.18)
 ハーフォードシアに住むベネット家には、五人の年頃の娘がいる。情に厚くお人よしのジェーン、 しっかり者のエリザベス、本好きのメアリ、そしてお調子者のキャサリンとリディア。 ある日、長い間誰も住んでいなかった近所のネザーフィールド荘園に、独身の資産家ビングリー氏が やってきた。娘を片付けることに情熱を燃やすベネット夫人は、夫を急かしてさっそくビングリー氏と 近付きになる。そして彼らはビングリー氏の舞踏会に招かれ、彼の妹たちや友人たちとの交際が 始まる…。1813年。
 五人の個性豊かな娘たちが、いろんな男性と出会って結婚に至るまでの物語、といえばそれまで なんですけど、とても面白いです〜。恋愛が、というより恋愛に至るまでの、彼らの気持ちや状況の 変化が楽しい♪ それに人間関係に妙にスリルがあるんですよね(^_^;) リディアの事件のあたり なんて手に汗握ってしまって、一体何を読んでるのか分からなくなってしまいました(笑)  登場人物多くて最初は困りましたけど、彼らの自己主張が強いので助かります。
しかし、ベネット夫人と、コリンズ氏と、キャサリン夫人と、リディアと、 ウィカム氏……ヤダ(-_-;) このうちの一人でも隣人だったり家族だったりしたら、 堪えられません(笑) 全部嫌な人なのに、みんなタイプが違うんだからすごい(^_^;)  でも、読んでると彼らの言動の見当違いさ加減に笑ってしまうんですよね。 ベネット氏のすべてを諦めきったような皮肉な態度がなかなかお気に入りです〜(笑)  エリザベスやダーシー氏の気持ちが微妙に変わってくところもいいですね。ほほえましいです。 とても楽しい作品です♪



「紅はこべ」 オークシイ/中田耕治 訳 (筑摩書房 S44.11.20)
 1792年7月、フランス革命下のパリ。貴族たちは日ごと断頭台の露と 消えていったが、その頃パリには奇妙な噂が広がっていた。“紅はこべ”と名乗るイギリス人が、 貴族たちを次々とイギリスへと脱出させているというのだ。それも、フランス人を見事に欺く 大胆不敵な方法で。業を煮やしたフランス政府は、ショーヴランを大使としてイギリスへ送り込む。 彼はさっそく、イギリスの貴族の元へ嫁いだマルグリートに 接触する。紅はこべの元で働く彼女の兄アルマンの命と引き換えに、ショーヴランは 紅はこべの正体を突き止めるようマルグリートに要求するが…。1905年。

 作者のオークシイは、『隅の老人』シリーズを書いたバロネス・オルツィです。こちらの名前の 方が一般的ですね。『紅はこべ』もシリーズになってるそうですが、他のは翻訳されてないのかな…?
 『紅はこべ』は純粋なミステリではありませんが、スリルとサスペンスに満ちた名作です♪  読んでいてディケンズの『二都物語』を思い出しましたが、元々『二都物語』に 影響されて書かれたお話だそうですから、当然なのかな。こういう類の古典的小説にありがちな、 いかにもな状況や展開。何がどこでどうなるか分かりきっているのに、それでもはらはらして 引き込まれてしまうテンポのよさがたまりませんね(^_^) 現代の人が読むにはちょと大時代 がかっててロマンチックに走りぎみかなと思うのですが、私は、こういうのは大好きです〜(^o^ゞ)  何も考えずに楽しめる、痛快な小説でした♪



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