マ行
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マーシュ (ナイオ) ニュージーランド 1895-1982
 アレン警部登場 (1934) (アレン警部シリーズ1)論創社
 殺人者登場 (1935) (アレン警部シリーズ2)新潮文庫
マクドナルド (フィリップ) イギリス 1900-81
 Xに対する逮捕状 (1938)国書刊行会
マクラウド  (シャーロット) カナダ 1922-
 にぎやかな眠り (1978) 創元推理文庫
マクロイ (ヘレン) アメリカ 1904-1993
 死の舞踏 (1938) (ベイジル・ウィリングシリーズ1)論創社
 家蝿とカナリア (1942) (ベイジル・ウィリングシリーズ5)創元推理文庫
 ひとりで歩く女 (1948) 創元推理文庫
 暗い鏡の中に (1950) (ベイジル・ウィリングシリーズ8) ハヤカワ文庫
 割れたひづめ (1968) (ベイジル・ウィリングシリーズ12)国書刊行会
 読後焼却のこと (1980) (ベイジル・ウィリングシリーズ13)ハヤカワポケミス
 歌うダイアモンド (短篇集)晶文社
マケイブ (キャメロン) イギリス 1915-95
 編集室の床に落ちた顔 (1937)国書刊行会
マゴーン (ジル) イギリス 1947-
 騙し絵の檻 (1987)創元推理文庫
マシスン (リチャード) アメリカ 1926-
 ある日どこかで (1975) 創元推理文庫
 奇蹟の輝き (1978)創元推理文庫
 13のショック  (短篇集) 早川書房
ミッチェル (グラディス) イギリス 1901-1983
 ソルトマーシュの殺人 (1932) (ミセス・ブラッドリーシリーズ4)国書刊行会
ミルン (アラン・アレグザンダー) イギリス 1882-1956
 ユーラリア国騒動記 (1915)ハヤカワ文庫FT
 赤い館の秘密 (1921)創元推理文庫
 四日間の不思議 (1933)原書房
メースン (アルフレッド・エドワード・ウッドリ) イギリス 1865-1948
 薔薇荘にて (1910)国書刊行会
 矢の家 (1924)創元推理文庫

ヤ行……はありません


「アレン警部登場」 ナイオ・マーシュ/岩佐薫子 訳 (論創社 2005.4.20)
 新聞記者のナイジェル・バスゲイトは、従兄チャールズと共に彼の友人で大富豪のヒューバート卿の 屋敷に招かれた。パーティーでは近頃はやりの「殺人ゲーム」が余興として行われることになっていたのだが、 その最中に本当に殺人事件が起こってしまう。ロンドン警視庁から呼ばれたアレン主任警部が、 事件の捜査に乗り出す。アレン警部シリーズ第1作目。1934年。

 シリーズ1作目にしてマーシュのデビュー作♪ さらりと読める短めの作品です。
 大きな屋敷でのパーティの席上、いい年した大人がパーティで殺人ゲームってのがいかにも イギリスでいいですね(^_^;) 謎の短剣やロシアの秘密結社も絡んで、事件はちょっとだけ フクザツな方向へ。ま、全体的にはわりと分かりやすく、ミステリとしてはまぁこんなもんかな〜という 感じです。いろんなことが少々散漫な印象。犯人の姿を想像すると、なんか笑えてしまいますが(^_^;)  ホントにイギリス人って…。
 アレン警部やナイジェルたち登場人物がなかなか魅力的で良いです♪ 一番好きなのは アレン警部とナイジェルが子供の尋問(?)にてこずってるところ(笑) とにかく1作目ですので、 良くも悪くもこの作品は様子見という感じでしょか。シリーズの今後が楽しみです。
 マーシュの作品は多いけど、翻訳はこれからですね。次はシリーズ2作目『殺人者登場』に続きます↓



「殺人者登場」 ナイオ・マーシュ/大久保康雄 訳 (新潮文庫 S.34.4.16)
 ロンドン警視庁のアレイン警部は、友人の新聞記者ナイゼル・バスゲートと ユニコーン座へ芝居見物へ出かけた。だがその上演中、一人の俳優が舞台上で 死んでしまうという事件が起こる。ピストルにこめられていたはずの偽玉が、 本物とすりかえられていたのだった。誰からも疎まれていた俳優の死に、アレン警部の 捜査は難航するが…。アレン警部シリーズ2作目。1935年。

 シリーズ2作目♪ この本は絶版なんですが、1作目の犯人とか 思いっきり書かれてるので、お読みになる時は順番にどうぞ。 この翻訳は古いので表記が違いますが、以下アレン警部で統一します。
 芝居の上演中に起こった衝撃的な事件。被害者の身辺には殺人の動機がわらわら。過去の事件なども絡んで 一見複雑そうに見えるのですが、ミステリとしてはわりと単純…というか正統派なんですかね。 謎を解く過程は、細部までなかなかきちんとしています。
 演劇の舞台裏がやっぱりというかなんというか(作者は演劇畑の人でしたので…)生き生きと 描かれてますし、アレン警部とナイジェルの捜査の様子もユーモアがあって楽しい♪  アレン警部の部下のフォックスとベイリーもいい味出してます(^_^) やっぱその辺を楽しむ作品でしょうか。 1作目より好きですね。
 次は3作目の『病院殺人事件』…は抄訳っぽいし、4作目は未翻訳なので、 5作目『ヴィンテージ・マーダー』に続きます。そのうちに。



「Xに対する逮捕状」 フィリップ・マクドナルド/好野理恵 訳 (国書刊行会 1994.12.20)
 アメリカからロンドンへ旅行に来ていたギャレットは、ふと迷い込んだ喫茶店で奇妙な会話を耳にする。 二人の女性が、何か犯罪の計画について語っているらしいのだ。危機感を覚えたギャレットは スコットランド・ヤードへ駆け込むが、彼の話はまともに取り合ってもらえない。そんな彼を見かねた 友人は、私立探偵のアントニー・ゲスリン大佐を紹介する。僅かな手がかりだけを頼りに、ゲスリンは まだ起こっていない事件を追い始めることに…。1938年。

 ゲスリン大佐シリーズ長編としては12作目(!) それ以前の作品もあまり翻訳されてないか、 入手困難かどっちかですかね。日本ではなかなか不遇の作家らしいです。 ファンタジー作家の祖父ジョージ・マクドナルド(1824-1905)の方が有名かも。
 ふと喫茶店で聞いた、犯罪計画らしい会話。まだ起こっていない犯罪を未然に防ぐため、 ゲスリンを始め、ギャレットやスコットランド・ヤードの面々が僅かな手がかりを追います。 何も起こってはいないのですが、けっこうスリリングなんですよね。むしろ、なにが起こるか 分からないからというか。 消えそうになる手がかり、やっと見つけたと思った人たちは次々に殺され……。彼らが追っかけなかったら 死なずに済んだのでは?(-_-;)という人もいるようないないような、そんな気がしないでもないのですが(^_^;)、 まあ……なかなかテンポの良いサスペンスです。ギャレットがちと熱血過ぎてどうかなと思うんですが、 そこは彼なりにもじっとしてられない理由があるってことで…。ラストもちょとほのぼの。 なかなか楽しめた作品でした。タイトルで損してる感じ(^_^;)
 シリーズの他の作品も読んでみたいんですが…。



「死の舞踏」 ヘレン・マクロイ/板垣節子 訳 (2006.6.20 論創社)
 大雪で混乱するマンハッタンで、除雪作業員が雪の中から若い女性の死体を発見する。 その死体は雪の中にあったにもかかわらず、熱いほどの熱を持っていた。 調査に関わることになった精神分析医のベイジル・ウィリングは、関係者の無意識の行動に 注目して事件の解決を図る…。ベイジル・ウィリングシリーズ第1作目。1938年。

 シリーズ1作目にしてマクロイのデビュー作。ベイジルはもう最初から警察関係者だし、 1作目という感じもありません。というか、デビュー作という感じもあまりしないですね…。
 関係者の無意識の行動に注目しながら、精神科医としての本領を発揮するベイジル。 後々の作品より、その辺には力が入ってる感じです。何より謎が魅力的ですね〜。 雪の中の熱い死体。動機もなさげでなかなか捜査も進展しないから、関係者の見せる ほんの些細なうっかりミスも役に立ってくるわけで…。ミスの解釈が 役に立ってるかどーかはともかく、なかなか面白かったです。少々あやうい感じ(?)もしますけど、 全体的にもけっこうよく出来てると思います。面白い人たちも多くて、楽しめた作品でした。 しっかしこの頃のアメリカって、こーゆーことにけっこう無頓着だったのですかねぇ(^_^;)  ある意味ぞっとするラストです。
 次は5作目『家蝿とカナリア』に続きます↓



「家蝿とカナリア」 ヘレン・マクロイ/深町眞理子 訳 (創元推理文庫 2002.9.27)
 ニューヨーク、ロイヤルティー劇場で公演初日を迎えた「フェドーラ」の第一幕上演中、 舞台上で一人の男が殺されるという事件が起こる。しかも殺人を犯す機会があったのは、劇に出ていた ほんの数名だけだった。主演女優に招かれて舞台を見ていた精神分析学者ベイジル・ウィリングは、 劇関係者の依頼で事件の調査を始めた。彼はこの事件の少し前、近くの刃物研磨店で起こった奇妙な 事件が気になっていた。夜中店に何者かが押し入ったのだが何も盗まず、店の鳥籠に入っていた カナリアを籠から出して行ったというのだが…? ベイジル・ウィリングシリーズ第5作。1942年。

 精神分析医のベイジル・ウィリングシリーズ5作目。浮名を流す(?)ハデな主演女優、それに翻弄される劇団員…演劇が絡むミステリはどろどろ加減が 一段とくどい気がしてあんまし好きじゃないんですが、マクロイの作風もあるんでしょか、これかなり 楽しかったです(^_^) ロイヤルティー劇場の中を縦横無尽に描いてるのもいいですし、なにしろ謎が魅力的♪  カナリアと家蝿をめぐる謎。前者はちょっとう〜ん…?て感じですが(^_^;)、後者はなかなか意外で よいですね。容疑者はたった数人、犯行の機会もすごく限定されてるのに、なかなか分からないもどかしさ…。 結果的にミステリとしてはちょい微妙な部分もあるかもしれませんが、そんなん気にならないほど読ませてくれるストーリーでした♪
 次は8作目『暗い鏡の中に』に続きます↓



「暗い鏡の中に」 ヘレン・マクロイ/高橋豊 訳 (S52.6.10 ハヤカワ文庫)
 ブレリートン学園の教師フォスティナは、ある日何の理由もなく突然校長から解雇された。 彼女から悩みを打ち明けられたギゼルは、恋人で精神科医のウィニングに相談する。 興味を抱いて学園に赴くウィニングだったが、そこで彼は信じられないような噂を耳にする。 かつて何人もの教師や生徒たちが、同時刻に違う場所で二人のフォスティナを目撃するという 怪事件が相次いだというのだ。一体彼女の身に何が起こっているのか…。 ベイジル・ウィリングシリーズ第8作。1950年。

 ちょと幻想的な色合いの濃いミステリです。同時刻、違う場所で目撃される女教師。 生霊だとかドッペルゲンガーだとか、そんな話になってきた矢先……。いいですね。 ストーリー自体はスローテンポではありますが、最後の謎解きはしっかりしてて納得のいくものです。 確かに“出来すぎ”すれすれではありますが、ああいう終わり方ならいいのか…(^_^;) でもトリック 一つで終わらせてないところがさすがですね♪ 怪奇的な雰囲気の漂う逸品でした(^_^)
 次は12作目『割れたひづめ』に続きます↓


「割れたひづめ」 ヘレン・マクロイ/好野理恵 訳 (国書刊行会 2002.11.15)
 妻とスキーに出かけたベイジルは雪山で立ち往生してしまい、助けを求めた家に 滞在を余儀なくされた。そこは小説家スウェインの住むクロウズ・フライトと呼ばれる古い家で、 折しもホーム・パーティの最中。この家にはそこで一夜を過ごしたものは必ず死ぬという 部屋があるという話を聞いたベイジルは、自分がそこで一夜を過ごしてみようと言い出すが…。
 ベイジル・ウィリングリシーズ12作目。1968年。


 翻訳が飛び飛び(or絶版)なので、ベイジルいつの間に結婚したんだよう〜と言いたくなりますが、 とにかく12作目(^_^;) 雪深い山の、いわくつきの館クロウズ・フライト。そこで一晩を過ごしたものは必ず死ぬという、 古い言い伝え。心ならずもそこへ飛び込んでしまったベイジルたち、そして起こる不可解な事件…。 いいですね〜。ま〜確かにミステリとしては色々と都合のいい(もしくは悪い)部分は あるにせよ、ちょっと怪奇っぽいこの雰囲気がなかなか好きなので楽しめました。 特にルシンダとヴァーニャのお年頃の二人がいたずらしたり、こっそり探偵ごっこなど繰り広げて 大人たちを翻弄してくれるところが微笑ましくて好きです♪ 神経質になってる 大人たちとの対比がいいですね。この辺を楽しめないと、少々不満の多い作品になってしまうかな、 ってことで…(^_^;)
 次は13作目『読後焼却のこと』に続きます↓



「読後焼却のこと」 ヘレン・マクロイ/山本俊子 訳 (ハヤカワポケミス 1982.2.15)
 ボストンの古い屋敷に引っ越してきた作家ハリエットは、使わない部屋に作家ばかり5人の間借人を入れ 生活を始めた。そんなある日、屋敷の庭に1枚の手紙が落ちてくる。“焼き捨てること”と書かれたその手紙には、 ネメシスという人物に対する殺人計画がつづられていた。間借人の誰かに違いないと思われたが、 書いた人物も受け取るはずの人物も謎のまま、殺人事件が起こる…。
ベイジル・ウィリングシリーズ第13作目。1980年。


 13作目にしてシリーズ最後の作品。庭に舞い込んだ奇妙な手紙をめぐり、ハリエットと間借人たちを巻き込んだ 不穏な空気が古い屋敷に漂います。屋敷もその間借人たちも何かいわくありげ、そしてハリエット自身も ある秘密が……と状況はかなり面白いのですが、それほど予想外のことは起こりません(^_^;)  状況はわりと丁寧に緻密に作られてるのに、それがいまいち生かされてない感じ。 もったいないな〜と思う部分がけっこうあります。でも、個人的にマクロイの作風かなり好きなので、 読んでる間は楽しめました。短めなのでさらりと読める作品です。ベイジルは中ほどまで出てきませんが、 娘がお嫁に行ってたりして時の流れを感じますね〜。
 …シリーズ途中の未翻訳の作品とか、また何か出たら読みます♪



「ひとりで歩く女」 ヘレン・マクロイ/宮脇孝雄 訳 (創元推理文庫 98.9.25)
 以下の文章は、私が変死した場合にのみ読まれるものとする……。そんな不吉な言葉で始まる、 ある女性の手記。アメリカへ向かうサンタ・クリスティーナ号で、“わたし”を殺そうとしているのは 一体誰なのか。姿の見えない敵におびえる“わたし”の周囲で、不可解な事件が次々に起こる。ノン・シリーズ。1948年。

 何も考えずにどんどん読んでしまったけれど、犯人解明のための伏線…というか、手がかりは ちゃんと与えられているんですね(^_^;) サスペンスっぽい展開に、すっかり騙されてしまい ました。すごいミステリです。犯人も意外です。こまかいことに触れたいけれど、それではうっかり ネタバレをしそうなので、なんか悔しいけれどやめます。お金って怖いですねっ(笑) それにしても、 言葉の力ってすごいな〜と、本筋とあまり関係ないところで感心したりして…。



「歌うダイアモンド」 ヘレン・マクロイ/好野理恵 他、訳(晶文社 2003.1.30)
 米国のミステリ作家ヘレン・マクロイ(1904-1992)の短篇集。9編収録。1947〜65年。
収録作品…
  「東洋趣味(シノワズリ)」、「Q通り十番地」、「八月の黄昏に」、「カーテンの向こう側」、
  「ところかわれば」、「鏡もて見るごとく」、「歌うダイアモンド」、「風のない場所」、「人生はいつも残酷」


 面白かったです〜。今までマクロイは長編を2つしか読んだことありませんが、 この本でなんだかイメージががらっと変わりました。この本はミステリとSFが半々(?)くらいですが、 どれも面白い作品ばかり。書かれた時代のせいもあるんでしょうが、ちょっと暗めで皮肉というか シニカルというか、そういう作品ばかりですね。いいですね〜(^_^;)
 「鏡もて見るごとく」は精神科医ベイジル・ウィリングシリーズの長編『暗い鏡の中に』のショート版。 他にもベイジル・ウィリングものがあります。
 も〜全部良かったので迷うんですが、以下に特にお気に入りの感想を♪

「東洋趣味(シノワズリ)
 大晦日、旧北京の日本使館で行われる舞踏会に出席するために集まった人々の中に、 露国公使の妻オーリガ・キリーロヴナ嬢がいた。彼女は一人で馬車に載せられ日本使館へ向ったのだが、 道中忽然と姿を消してしまったのだった。彼女に心引かれていた私とアレクセーイは、災いのもとを 探るべく夜の外城へと向う……。
 ホント、東洋趣味ですね〜。まだ清の時代、西洋人の目に映る煌びやかで不可解な国。 この雰囲気がいいですね。でも、人間だけはいつの世も変わらないというか…。

「八月の黄昏に」
 地球以外に生物の存在について父と話していた私たちの前に、円盤のような奇妙な物体が 現れ、一瞬にして消えた。私はやがてエンジニアの道を歩み、新型飛行機の制作を 手がけるようになるが…。
 短いお話ですが、こういうの好きです。どうなっちゃうんでしょね、これから……(^_^;)

「ところかわれば」
 人類初の太陽系探査隊に選ばれた私は、パートナーのアモリスと共に異性人の住む星へ向った。 異性人たちに大歓迎された彼らだったが、次第に文化の違いに困惑することになる…。
 面白すぎ(^_^;) ユーモアSF(謎)かと思ったら…いいですね、この皮肉さ。男性と女性で 違うというあたりが…。ここへ行き着くとは意外でした。

「歌うダイアモンド」
 ベイジル・ウィリングの診察室を訪れたマティルダは、1年前に世間を騒がせた"歌うダイアモンド"と 呼ばれた空飛ぶ円盤の目撃者だった。目撃者が相次いで死亡している事に恐れをなした彼女は、 ベイジルの元へ相談に訪れたのだった…。
 こ、こんな大掛かりなこととは。SFの中にこういう作品を紛れ込ませてるあたりが にくいですね〜。

「風のない場所」
 不思議と風の吹かない窪地があった。私とテッドは滞在していた貸し別荘近くにその場所を 見つけたのだった。ある日のこと、地平線の向こうで突然大きな光が閃き、テレビもラジオも 無言になった…。
 死の静けさと小鳥の歌。短いけれど、心に残るストーリーです…。

「人生はいつも残酷」
 15年前、フランク・ブロイとして知られていた彼は、名前を変えてヤーボローの町へ戻ってきた。 かつて理由も分からないまま自分を殺そうとした人間を見つけ出すために…。
 中編です。テンポの良いサスペンス♪ きちんと謎解きもしてて、こういうのも好きです(T_T) 



「編集室の床に落ちた顔」 キャメロン・マケイブ/熊井ひろ美 訳 (国書刊行会 99.4.20)
 映画会社で編集主任を務める私ことマケイブは、製作中の映画からある新人女優の出演するシーンをすべて カットするように指示を受けた。その翌朝、その女優が編集室で死んでいるのが発見される。 自殺か他殺か謎のまま、さらに第二の死者が…。1937年。

 問題作といわれている本作ですけど、確かにかなりのものですね。 語り手を変えながら、何度も繰り返し描写される事件。繰り返されるたびに 細部が補強されていくようでいて真実は見えてこず、読者は振り回され、何を信じていいのか分からない…。 …と、なんとか公平に感想を書こうと思うのですけど、正直かなり疲れた作品でした。以下、 とても個人的な感想です(-_-;)
 問題作、前衛的、メタ、ミステリか否か、ラストを許せるか否か……とか なんとかフクザツなこと考えるに至る前に、この文章(文体か…)に閉口しました。 一般的に軽妙な軽口の応酬は好きですが、この作品で覚えるのはなにか虚しい苛立ちばかり。 みんな芝居がかりすぎ、というか…作品としての効果を狙ってるのだとしても…まぁ結局好みの問題で、 合わないことに変わりはないです。 知らずに読んだのですが、二十歳のドイツ人作者が英語の腕試しとして書いた作品だそうで、 それも良し悪しなんじゃないかな〜。
 さらにあの結末。何度も投げ捨てそうになったのを耐えた末なので、色々考える気力は皆無、 後は野となれって感じです(-_-;) いえ、 たぶんミステリ好きならそれなりに思うところ、目の付け所のある作品だと思います。 でも私としては、別の意味で問題作だったのでした。一番興味深かったのは、 タイトルの意味でしたね。……はぁ。



「騙し絵の檻」 ジル・マゴーン/中村有希 訳 (創元推理文庫 2000.12.15)
 16年間、ビル・ホルトは二人の人間を殺したという罪で刑務所に入っていた。だが彼は自分が 無罪だということを知っていた。知人のうちの誰かが彼を罠にはめたのだ。刑期を終えた彼は、 真犯人を見つけて殺すために、かつて自分の住んでいた町を訪れる。16年前の出来事について、 周りの人間を問い詰めはじめる彼。裁判で証言されなかった事実が次々に明らかになったが…。1987年。

 何者かに罠に掛けられたホルトと、彼をうしろから支える人。 完璧に見えたアリバイが少しづつ崩壊して…そして最後にはお決まりの関係者全員を集めて謎解き。 一つ一つ消されていく可能性、そして最後に残る真実。最後の最後でのダメ押し。本格ミステリ してますね〜。いいですね〜。
 ……がっ、それなのにな〜んか中途半端な感じがするのは気のせいなんでしょうか?(^_^;)  全部ネタバレになりそうなんで多くを語れませんが、原因はジャンにありそう、とだけ。 それを除けばまぁ楽しめました。他の作品も読んでみたいところです。



「ソルトマーシュの殺人」 グラディス・ミッチェル/宮脇孝雄 訳 (国書刊行会 2002.7.25)
 イギリスの片田舎ソルトマーシュで、不思議な事件が起こった。牧師館で働いていた結婚前のメイドが 妊娠して辞めさせられたのだが、娘は頑として父親の名を明かそうとしないばかりか、生まれた赤ん坊を誰にも 見せようともしないのだった。あれこれと憶測が飛び交う中、今度は娘が殺され赤ん坊は行方不明になるという 事件が起こる。牧師館の若い副牧師ノエル・ウェルズは、地元の領主の屋敷に滞在中の心理学者 ミセス・ブラッドリーと事件を調査し始めるが…。
 ミセス・ブラッドリーシリーズ第4作目。1932年。


 4作目ですが、これ以前の翻訳は出てません。グラディス・ミッチェルはかなりの多作家なのですが、 日本ではぽちぽち翻訳されてるだけです。
 田舎の村ソルトマーシュで起こった不可解な赤ん坊騒動。過去に精神病院だった濠屋敷の顛末と 現在の住人、気の短い領主や変な作家……などなど始めは村の人たちの紹介を絡めるように 小さな事件が頻発。そして不可解な殺人事件が起こり、爬虫類的怪老女(笑)ミセス・ブラッドリーが 本格的に乗り出します♪ 個性的すぎるキャラクターてんこ盛り。盛り上がってるんだか 盛り上がってないんだかよく分からない不思議な作風(?)は一歩間違うと散漫な印象になると 思うんですが、ちゃんとまとめてるんだからすごいのですよね。ひねくれてるような気もしないでもないですが…(嗚呼…(^_^;))  殺人事件つっても村の他の出来事より優先順位は下って感じに描かれてますが、そのわりには きちんと本格です。ユーモアと皮肉に満ちた、なかなか楽しい作品でした。他のも読んでみたい ですけどね〜(-_-;) 気長に待ちましょう…。



「赤い館の秘密」  A・A・ミルン/大西尹明 (創元推理文庫、他)
 赤い館へ十五年ぶりにオーストラリアから訪れた嫌われ者の兄が何者かに射殺され、その弟マークは 失踪してしまう。館に招かれていたギリンガムは、友人ベヴリーと共に調査に乗り出す。

 「クマのプーさん」で有名なミルンが書いた長編ミステリです。かつてはこれが唯一のミステリと いうことになっていましたが(苦笑)、この後に『四日間の不思議』があります。ただ、こちらの方が 本格ミステリっぽいかと…。でも、こんなにユーモアにあふれていて、読んでいて楽しいミステリって 貴重な存在だと思います。それも、いかにもユーモア・ミステリという感じではなくて、自然なんです。ギリンガムとベヴリーのコンビも絶妙。 素人っぽい感じがほのぼのとしていて好きです。何度も読み返すミステリって少ないんですけど、 これはその中でも再読回数の多い本ですね(^_^)



「四日間の不思議」 A・A・ミルン/武藤崇恵 訳 (原書房 2004.6.21)
 6月の気持ちのいい朝、18歳のジェニー・ウィンデルは、かつて住んでいたオーバーン・ロッジへ ふらりと出かけ、女優のジェイン叔母さんの死体を発見してしまう。しかも彼女は何気なく現場を 荒らしてしまった上、名前入りのハンカチまで残してきてしまった。のっぴきならない立場に 追い込まれたジェニーは、行方をくらますことに…。警察の捜査が始まるが、事件は思いもかけない 方向に発展して…。1933年。

 ミルンといえば『くまのプーさん』ですが、ミステリもいくつか残してます。これは 『赤い館の秘密』の後に書かれた、2作目にして(たぶん)最後の長編ミステリ。…というか、 ミステリっぽいユーモア小説と言った方が近いですね。読み始めればすぐ気付くとは思うんですけど(笑)、 少なくとも『赤い館の秘密』のような本格的なものでは全然ないわけで、そういうのは期待しない方がいいです。
 でもホント面白かったです。絶品のユーモア♪ 18歳とは思えないほど無邪気で少々(?)のほほんとした ジェニーは、のっけから事件現場を荒らして捜査をかく乱(?)するなど、本格ミステリでは許されないキャラクター(笑)  他にも殺人事件を一度も担当したことがないマリゴールド警部や、ジェニーの友人ナンシー、ナンシーの 雇い主の小説家アーチボルド・フェントンとその弟デリクなど、魅力的な人々が小気味良いテンポで どんどん話をややこしく(^_^;) あまり深く考えずに、からっと笑える楽しいお話でした。 ラストはちょとほろっとさせられます(^_^)



「薔薇荘にて」 A・E・W・メースン/富塚由美 訳 (国書刊行会 1995.5.10)
 南フランス、サヴォワの温泉保養地エクス・レ・バンに滞在していた趣味人リカード氏は、 当地で起こった殺人事件に関係することになる。裕福な老婦人が惨殺されて宝石が奪われ、 彼女と同居していた女性シーリアが姿を消したのだった。シーリアに恋心を寄せていた 青年発明家ハリー・ウェザミルの頼みで、リカード氏はちょうどエクスに滞在していたフランス警察の 名探偵アノーに調査を依頼する…。アノー探偵シリーズ、第1作目。1910年。

 情熱的でちこっと単純(^_^;)なリカード氏をワトスン役に、名探偵アノー氏の活躍を描く シリーズ1作目。先に『矢の家』(2作目)読んじゃったんですが、個人的にこっちの方が好きかも。 翻訳が新しいというせいもあるのかな…(^_^;)
 何を発見してもどんな推理をしても、黙して語らずのアノー氏。一人リカード氏とウェザミル氏に もどかしい思いをさせながらも、最後はわりときちっと(失礼な(^_^;))事件を解決します。とはいえ、 結末が途中からスリル重視の事件再現になってるのが、ダメな人には退屈なのかな…と。フェアかっていえば そうじゃないし…。ま、しかし私はこういう大時代がかったロマン小説の趣というか、 そういう雰囲気がかなり好きです♪ 富豪の老婦人の死、宝石泥棒に降霊会、容疑者の恋人の懇願…なんて いかにも古風。この古風さがこの時代のミステリの特権というか。その辺、広い心を持って 読むと(爆)けっこう楽しめるんじゃないでしょか。リカード氏もなかなか好人物に描かれていて よいですしね(^_^) メースンは他のもちょと読んでみたいですね〜。



「矢の家」 A・E・W・メースン/福永武彦 訳 (創元推理文庫 1959.5.25)
 フランスの未亡人ハーロウ夫人が亡くなり、その莫大な遺産は養女ベティの手に渡ることになった。 だが夫人の義弟ワベルスキーが、夫人の死に不審な点があると言い出し警察に告発。パリ警視庁から 敏腕探偵アノーが呼ばれる。窮地に陥ったベティは、イギリスの顧問弁護士フロビッシャーに救いを 求めるが…。アノー探偵シリーズ第2作。1924年。

 メースンは初めてですが、これはアノー探偵シリーズとしては『薔薇荘にて』に続く2作目です。 どっちが先でも構わないと思います。たぶん(^_^;)
 う〜ん、いかにも古きよき時代のミステリという感じです(^_^) このゆ〜っくりと流れる 物語に身をゆだねる心地よさは、他の時代のミステリにはちょとないかも。この雰囲気が好きだったら かなりいい感じですね。何を考えていてどう調査が進んでいるんだか皆目分からない(爆) アノー探偵。そしてほとんどワトスン役にさえなってないフロビッシャーも定石どおりというか、 弁護士がこんなんでいいのかというか…(笑) しかしいくらなんだって21歳の女性を"少女" 呼ばわりはちょっとないんじゃないかと思うんですけど(^_^;) 翻訳がやっぱりちょと古い(-_-)  でもそういえばこれ、福永武彦の翻訳なんですよね〜。
 雰囲気は良いのですが、とにかくすれっからしには色々バレバレなので(笑)、アノーが どう証拠を固めて、心理的にも犯人を追いつめていくかが見ものですね。再読したらなかなか 面白いかも。私としてはこういう結末はちょと気に入らないのですが(^_^;) やっぱり、 ミステリ慣れする前に読んでおきたかった作品ですね、これは……。



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