カ 行 (カ・キ)
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カー (ジョン・ディクスン/カーター・ディクスン) アメリカ 1906-1977
 魔女の隠れ家 (1933)(フェル博士1) 創元推理文庫
 帽子収集狂事件 (1933)(フェル博士2) 創元推理文庫
 白い僧院の殺人 (1934)(カーター・ディクスン)(H・M卿2) 創元推理文庫
 赤後家の殺人 (1935)(カーター・ディクスン)(H・M卿3) 創元推理文庫
 一角獣殺人事件 (1935)(カーター・ディクスン)(H・M卿4)国書刊行会
 三つの棺 (1935)(フェル博士6)ハヤカワミステリ文庫
 曲った蝶番 (1938)(フェル博士9)創元推理文庫
 ユダの窓 (1938) (カーター・ディクスン)(H・M卿7)ハヤカワミステリ文庫
 五つの箱の死 (1938)(カーター・ディクスン)(H・M卿8)ハヤカワポケミス
 緑のカプセルの謎 (1939)(フェル博士10) 創元推理文庫
 テニスコートの謎 (1939)(フェル博士11) 創元推理文庫
 連続殺人事件 (1941)(フェル博士12) 創元推理文庫
 猫と鼠の殺人 (1942)(フェル博士13) 創元推理文庫
 皇帝のかぎ煙草入れ (1942)(ノン・シリーズ) 創元推理文庫
 爬虫類館の殺人 (1944)(カーター・ディクスン)(H・M卿15) 創元推理文庫
 死が二人をわかつまで (1944)(フェル博士15)国書刊行会
 青銅ランプの呪 (1945)(カーター・ディクスン)(H・M卿16) 創元推理文庫
 カー短編全集 1 不可能犯罪捜査課 (1940) 創元推理文庫
 カー短編全集 2 妖魔の森の家 (1947) 創元推理文庫
 カー短編全集 3 パリからきた紳士 (1950) 創元推理文庫
 火刑法廷 (1969)(ノン・シリーズ)ハヤカワミステリ文庫
カーシュ (ジェラルド) イギリス 1911-68
 壜の中の手記晶文社
ギャリコ (ポール) アメリカ 1889-1976
 猫語の教科書ちくま文庫
 ポセイドン・アドベンチャーハヤカワ文庫
 幽霊が多すぎる創元推理文庫
キルスティラ  (ペンッティ) フィンランド
 過去よさらば (1997) 新樹社
ギルバート (マイケル) イギリス 1912〜
 スモールボーン氏は不在 (1950)小学館
キング  (スティーヴン) アメリカ 1947-
 ミザリー (1987) 文春文庫
 神々のワード・プロセッサ サンケイ文庫
 トウモロコシ畑の子供たち サンケイ文庫
 深夜勤務 サンケイ文庫
キング (チャールズ・デイリー) アメリカ 1895-1963
 海のオベリスト (1932)原書房
 鉄路のオベリスト (1934)光文社カッパ・ノベルス
 空のオベリスト (1935)国書刊行会
キング (ルーファス) アメリカ 1893-?
 不変の神の事件 (1936)創元推理文庫
 不思議の国の悪意 (1958) 創元推理文庫


「一角獣殺人事件」 カーター・ディクスン/田中潤司 訳 (国書刊行会 1995.11.20)
 パリで休暇を過ごしていた元イギリス情報部員のケンウッド・ブレイクは、怪盗フラマンドと パリ警視庁のガスケ警部との対決がフランスを騒がせていることを知る。しかも彼は 他の情報部員と間違えられ、フラマンドが狙っているという“一角獣”に関わる事件に 巻き込まれることになる。一角獣の角で突かれたような跡のある死体の謎とは…?  ヘンリー・メリヴェール卿シリーズ4作目。1935年。

 フランスが舞台♪ ここまでのH・M卿ものとちょっと雰囲気が違う気が…。情報部員なんて出て来ると うさんくさげなんですけど、さらに“一角獣”という得体の知れないものを狙う 怪盗フラマンドVSガスケ警部。役者が揃ったって感じですね。そのせいか良くも悪くも なんとなくお芝居じみてしまってるんですが、そこを楽しめるかどうかかな(笑)  フラマンドもガスケも飛行機の乗客になりすましているけど、どちらも誰になってるのか分からないと いう謎なんかはなかなか面白かったです。島の城の雰囲気なんかも好きですし。でもやっぱり なんかごちゃごちゃしてるし、ちと出来すぎ(というかやりすぎ…)な 感があります(^_^;) 謎がけっこう魅力的だっただけに、竜頭蛇尾っぽいのが惜しいです。 ま、さらっと楽しむには向いてる作品ですね(^_^)



「ユダの窓」 カーター・ディクスン/砧一郎 訳 (ハヤカワミステリ文庫 1978.3.31)
 ジェイムズ・アンズウェルは、婚約者メアリーの父親に会いにロンドンへ出かけ、そこでとある事件に巻き込まれてしまう。 閉ざされた部屋の中で、遺体となったメアリーの父親と一緒のところを発見されたのだった。 有罪の空気が濃厚な裁判で、ヘンリー・メリヴェール卿が彼の弁護に乗り出す。
ヘンリー・メリヴェール卿シリーズ第7作目。1938年。


 H・M卿が弁護士の資格持ってるだなんて聞いたことなかったですが(忘れてるだけかも(^_^;))、いつもとちょいと違った状況で 密室殺人の謎を追います。緊迫した法廷の雰囲気がとてもいいです♪ 密室の謎(というかトリック)に ついてはまぁ個人的にあんま密室好きじゃないんで、気をもたせたわりには…(-_-;)って思ってしまうんですが、 それ抜きでもこの裁判をメインに謎解きが進むパターンはなかなか良い感じです。なにが出てくるか分からない 期待でぐいぐい引っ張ってくれますね。最後までかなり楽しめた作品でした♪ 
 ちなみに作品中に3作目『赤後家の殺人』と6作目『孔雀の羽根』のネタバレがあるので、 読んでない方はそっちを先に読んだ方がいいかもしれません(^_^;)
 次は8作目『五つの箱の死』へ続きます↓



「五つの箱の死」 カーター・ディクスン/西田政治 訳 (ハヤカワポケミス 1957.4.15)
 真夜中にやっと仕事を終えて帰途についた医学者のサンダース博士は、街路に立つ一人の女性に 呼び止められる。彼女の父であるデニス卿が心配なので、彼の向った家へ一緒に行ってほしいと いうのだ。二人がそこで見たものは、テーブルに向った4人の男女。しかも3人は毒薬によって意識不明、 一人は刺殺死体となっていた。しかも刺された人物が死ぬ前に弁護士に預けておいた五つの箱が、 事務所から盗まれていた…。ヘンリー・メリヴェール卿シリーズ8作目。1938年。

 奇妙な状況から幕を開ける、奇妙な事件。不可能に 思える状況で被害者たちはどうやって毒物を飲まされたかとか、被害者たちの関係など面白い謎が 多いです。その分ちょっとまとまりきれてない感じで肩すかしな部分もありましたが、まあまあ…と いったところでしょか。
 個人的に、犯人がちょっと微妙(謎)かも…。あと、たとえ控えめでもロマンスはいらなかった かな(^_^;) H・M卿の登場シーンが笑えます♪ 全体的にはけっこう面白く読めましたが、 細部が微妙…(笑)な作品でした。絶版だからしょうがないけど、もうちょっと早く読んで いたかった作品です(-_-)



「皇帝のかぎ煙草入れ」 ディクスン・カー/井上一夫 訳 (創元推理文庫 61.8.18)
 イヴの向かいに住む婚約者の父親が、何者かに殺害される。 しかしちょうどそのとき、彼女の部屋には前夫が忍び込んでいた。そんなことを婚約者に 知られたくないイヴだが、殺人容疑が自分の身に降りかかって…。

 う〜ん……やはり他のカー作品とはちょっと雰囲気違いますね。なるほどこれはすごい トリックかな、と思う。…煮え切らないのは、途中で犯人とトリックが分かってしまったから。 確かにすごいトリックで、すごい作品ではあるのですが。
 ところで私はこの本、イヴやトビイをめぐる人間模様にどうも閉口してしまって、それで実は 読みかけのまま一年以上ほったらかしでした(^_^;) 


「火刑法廷」 ジョン・ディクスン・カー/小倉多加志 訳 (ハヤカワ文庫 S.51.5.31)
 出版社に勤務するスティーヴンズは、クロスという名の売れっ子作家の新作原稿に 添えられた写真を見て愕然とする。マリー・ドーブリー――1861年殺人罪により断頭台に 送られた。……そう記された70年前の写真は、紛れもなく彼女の妻マリーのものだったのだ。 やがて彼は奇怪な事件に巻き込まれることになる。一週間前に胃腸炎で亡くなった隣人デスパート 老人が、本当は毒殺されたのではないかという疑いを晴らすため、彼の棺を内密に暴く手伝いを させられることになったのだ。だがやっとの思いで棺のふたを開けたとき、老人の死体は 消えていた…。1969年。

 最初から魔女とか不死の人間とか幽霊とか怪奇な雰囲気が漂ってて、死体はわけも分からず 消えちゃうし、先が気になって仕方なかったです。一章一章がすごくいいところで切って あるし〜(^_^) 怪しい女幽霊(?)の方はなんとなく分かったけど、密室とも言える 納骨堂から死体がどうやって運び出されたのか、さっぱり分かりませんでした(T_T)  トリック聞いてもそんなに大きな……ってあるのか(-_-;)と、全然違う問題で悩み つづけてます(笑) でも、どうしようもなく複雑に見えた事件だけど、犯人の動機が 分かるとなるほどですね〜♪ と、最後、謎はすべて解けた〜と思って、心地よく エピローグを読み始めた途端、いきなりどん底に叩きつけられたような気になりました。 こっ、怖いよう(T_T) ちょっと待って。そ、そうなの? じゃあ、本当は……(-_-;)  いろんな意味ですごい作品ですね。ミステリとしてすごいのはもちろん…。なんかもう、 生きてる人間も死んだ人間も怖くなります(^_^;)



「爬虫類館の殺人」 カーター・ディスクン/中村能三訳 (創元推理文庫 60.10.28)
 第二次世界大戦下のロンドン、ロイヤル・アルバート公園内の爬虫類館で、不可解な事件が起こった。 目張りされた密室の中で、動物園の館長ネッド・ベントンが死んでいたのだ。一見ガス自殺のように 見えたのだが…。偶然動物園を訪れていた宿敵同士の奇術師ケアリ・クイントと女奇術師 マッジ・パリサー、そしてヘンリ・メリヴェル卿が密室の謎に挑む。1944年。

 カーお得意の密室ものです♪ 先日読んだ『マレー鉄道の謎』(有栖川有栖)にも書いて あったのですが、この2作を読み比べると確かに面白いかもしれません。
 目張り密室の謎もなかなか魅力的ですが、結末はまぁ…特に密室好きではない私にも、妥当かなと 思えるということで(^_^;) マッジが狙われる理由がちょと微妙じゃないかい?とも思ったのですが。 でもなによりこの、爬虫類館やら古い劇場やら自動人形やらの不気味な雰囲気、そしてそれとは 対照的な蛇をめぐるドタバタ喜劇がとてもカーらしくていいですね(*^^*) そしてこの作品は 第二次世界大戦も一役買ってるんですね。この時代だから書けたミステリなんでしょね。 H・M卿のしたたかさが楽しい一編です♪



「死が二人をわかつまで」 ジョン・ディクスン・カー/仁賀克雄 訳 (国書刊行会 1996.9.20)
 レスリーとの結婚を間近に控えた劇作家のディック・マーカムは、村のガーデン・パーティで 占い師からとんでもない話を聞かされる。レスリーは過去に結婚した3人の男性を 自殺と見せかけ毒殺してきた妖婦だと告げられたのだ。信じられないマーカムだったが、 翌日その占い師が密室で自殺としか思えない状況で死んでいるのが発見される…。 フェル博士シリーズ15作目。1944年。

 これまたいかにもカーって感じのストーリーですね。良くも悪くも…(^_^;) 密室モノはあまり好きでない私ですが、 特にこの手のは(-_-;) でも、ミスディレクションの部分はなかなかうまく出来てて良かったんではないでしょか。 それにしてもちょいとストーリーが出来すぎな感じの部分が多いわりに平坦な気がして、もう少しどこかで 盛り上がってもいいような。特にレスリーとマーカムとシンシア以外のところで…(…それを言っちゃぁ おしまいだってことは分かってますが(^o^;))。でも読んでてなかなか楽しい作品ではあるので、 全体としてはまぁまぁでした。何が一番印象に残ってるって、英国にはこの時代まで 網戸というものがなかったという事実でしょうか(爆) タイトルは好きなんだけどな(^_^;)



「壜の中の手記」 ジェラルド・カーシュ/西崎憲 他訳(晶文社 2002.7.5)
 ジェラルド・カーシュ(1911-1968)の短編集。12編収録。
 収録作品……「豚の島の女王」、「黄金の河」、「ねじくれた骨」、「骨のない人間」、「壜の中の手記」、
       「ブライトンの怪物」、「破滅の種子」、「カームジンと『ハムレット』の台本」、
       「刺繍針」、「時計収集家の王」、「狂える花」、「死こそ我が同志」


 カーシュ作品は初めて、と言いたいところなんですが、「豚の島の女王」だけ 既読です。それぞれ場所も時代も雰囲気も違うのですが、ミステリとも怪奇小説ともなんとも いえない、不思議な味の短篇ばかりです。カーシュ自身もさまざまな職業について、いろんな事を してきた不思議な経歴の持ち主らしいですね。短篇を読むとそれも妙に納得です。とにかく 楽しい短編集でした。以下にお気に入りを♪

「ねじくれた骨」
 活火山のふもと、密林の中にある刑務所に、私は殺人の罪で終身刑を受けて服役していた。 やがて原住民と親しくなり、刑務所から抜け出す方法を教わった私だったが…。
 なんて皮肉なお話(^_^;) しかも、二重の意味で。最後に明かされる「ねじくれた骨」の真の 意味が、残酷なんですが妙におかしいですね(^_^;)

「骨のない人間」
 アラバマへ向かう貨物船に、乗せてほしいと一人の男が現れる。熱病に冒されたその男は、 最近ジャングルで行方不明になったヨーワード教授と一緒にいたというのだ。ジャングルの奥地で 彼が見た恐るべきものとは……。
 彼が見たものもスゴイですけど、そこから導き出された結論はさらにスゴイもの(^_^;) 最後の 一行がぞくりときます。

「壜の中の手記」
 メキシコの遺跡から発掘された、不思議な形のオショショコの壜。私はその中に、丸められた 小さな紙が入っているのを見つけた。それはなんと、行方不明になったとされている 作家アンブローズ・ビアスの手記だった…。
 いいですね(^_^;) まさかビアスがそんなことに巻き込まれていようとは(笑) この作品は かなり好きです。オチは読めてしまうかもしれませんが(^_^;)

「ブライトンの怪物」
 1745年8月、後にブライトンと呼ばれることになる町で、奇妙な怪物が発見された。 一見人間なのだが体中に不気味な怪物が描かれており、わけのわからない言葉を話すのだ。 突然現れたこの怪物に、街は大騒ぎになる。果たして、この怪物の正体とは……。
 ああ(^_^;) こんなことがあっていいのでしょうか?(笑) 恐ろしいと言えば 恐ろしい作品なのに、妙〜にフクザツな気分になるお話です(爆)

「破滅の種子」
 骨董商のジスカ氏は、物の価値よりもその口上の巧みさで成功した商人だった。ある時彼が私に 見せてくれたのは、持つ者を破滅へと導くといわれる「破滅の種子」と呼ばれる指輪だった。
 偉大なんだかなんだかって感じですけど、ま、自業自得なんでしょうかねぇ(^_^;)

「カームジンと『ハムレット』の台本」
 金に困っている紳士に蔵書を売りたいからうまくやってほしいという相談を持ちかけられた カームジン。だが本はどれも無価値なものばかりだった。なんとかしてやりたいカームジンは、 本を買いにやってきた男を見て妙案を思いつく……。
 というか犯罪じゃん(爆) でも、なんか胸がスカッとしますね♪(*^^*) カームジン物は カーシュ唯一のシリーズ物だそうですね。他のも読んでみたいです。

「刺繍針」
 警察官だった私は、ある時奇妙な事件に出くわした。一人の女性が頭に刺繍針を打ち込まれて 死んでいたのだ。だが、そこには彼女の小さな孫娘がいた他、誰も入る事ができない密室だったのだ。 私がたどり着いた真相とは……
 うう(^_^;) なんてお話なんでしょ。ちなみにこれ、チェスタトンの『見えない男』の ネタバレがあるので、読んでない方ご注意を。

「時計収集家の王」
 ポルトガルのカジノで出会ったポメル伯爵は、私に奇妙な話を語ってくれた。彼はもと時計職人で、 ある国の時計収集狂の国王ニコラス三世に仕える身だったというのだ。その王国で起こった、恐ろしい 出来事とは……。
 そんなばかな(笑) でも妙にリアルでいいですね。こつこつと時計(その他)を作るポメルたちの 作業風景が好きです(*^^*)



「過去よさらば」 ペンッティ・キルスティラ/篠原敏武 訳 (新樹社 2000.12.15)
 ヘルシンキ警察庁のハンヒヴァーラ警部のもとにセタラと名乗る男が現れ、ショットガンを 取り出し、突然彼の目の前で自殺を遂げた。だがハンヒヴァーラは、この男とは全くの 初対面だったのだ。悩む彼の元に、殺人事件の一報が届く。ヘイッキ・フーッレという仕立て屋が 何者かに射殺された後、顔を焼かれていたのだった。捜査を進めるうち、またしても不可解な 出来事が。この会ったこともない仕立て屋の電話帳に、何故かハンヒヴァーラ警部の電話番号が 書きとめられていたのだ。二つの事件に何か繋がりはあるのか…。1997年。

 フィンランドのミステリ、ハンヒヴァーラ警部シリーズ、警察小説です。 これはシリーズ第8作目(!)なので、過去の事件とかにもちょっと触れたりしていて、時々悩みます(^_^;) どうせなら最初から読みたかったですが、これが本邦初訳ということで。
 ロゼワインと読書が好きで、マイレという恋人がいて、警察官としては妙に控えめなのに、同僚ウケはあまりよくないラウリ・ハンヒヴァーラ警部と、どうもいまいち信頼関係を築ききれてない(しかも時々口がすぎる)カルヴィネン部長刑事が、少なくとも今回のコンビ。私のお気に入りは、野鳥観察が好きなカスタプリンタ部長刑事(*^^*)。みんな名前が難しくて覚えにくいわりに、けっこうイメージは残るので不思議です。
 ストーリーは、いきなり警部の前で謎の男が自殺を遂げるという、ものすごい出だしです。にしては竜頭蛇尾というかなんとゆーかなんですが(^_^;)、これはなかなかよい始まり方でした。もうひとつの不可解な事件も絡んで、実は何かやってんじゃないのこの警部は、と勘ぐりたくなるのが人情というもの。実は、まさにやってるんですね〜(^_^;) しかも想像もつかないようなことを。いいのか〜。不思議な国だな〜(爆) 事件はハンヒヴァーラ警部の個人的事情も絡んで、けっこう淡々と進んでゆきます。犯人像はよく見えてこないけど、動機が分かるとさもありなんという感じ。劇的な展開はないにせよ、謎はけっこう複雑ですね。まあ、そのわりに謎が解けても、ふーん……という感じであまり感動がなかったんですが(^_^;)
 というわけで、ミステリとしてはそれほどすごくはないですが、フィンランドのそれとゆーことで一読の価値はありました♪ フィンランドって、終身刑が最高刑なんだ〜とか、今回いろいろと勉強になったことが。でもこれ、翻訳がまずいんではないかという気がしました。ちょっとくだけすぎなのかな〜。この雰囲気で行くなら、登場人物が大阪弁で会話した方が自然なんじゃないかな?(そんなわけに行くまい(^_^;)) 結局慣れたとはいえ、なんか納得いかない。それともこういう作風なのか〜?
 それにしても、フィンランドではこういうのが人気あるのですね〜。ますます最初から読んでみたいシリーズです。



「スモールボーン氏は不在」 マイケル・ギルバート/浅羽莢子 訳 (小学館 2003.9.20)
 ロンドンにあるホーニマン・バーリイ&クレイン法律事務所の書類箱の中から、 少し前から行方が分からなくなっていた管財人の遺体が発見された。その後彼が管理していた 信託に不正が行われた痕跡があることが判明。その共同管財人も少し前に亡くなっており、 事件は混迷を極める。事件の捜査にあたるヘイズルリグ警部は、同法律事務所に入ったばかりの 新米弁護士ブーンの協力を得て事件の謎を追うが…。ヘイズルリグ警部シリーズ4作目。1950年。

 4作目ですが、これから読んでも特に問題ないと思います。 高名な顧客ばかり相手にしている法律事務所。その書類保管箱の中から行方不明の管財人が 出て来たってんだから大変です。とはいえ衝撃的な始まりのわりに全体としては淡々とした印象で、 可もなく不可もなく…。ユーモアのある文章は好きですけど、作者が弁護士だったせいもあるのか 法律関係の描写は私なんかにはちとややこしいですねぇ(^_^;) せめてもう少し省いたら ミステリとしても明快かなって気がしますが…その辺は好みでしょうかね。 その上犯人…というか動機が(-_-;) ヘイズルリグ警部を始め警察とブーンの調査や法律事務所の面々も けっこういい感じなのに、何故かなんだか捉えどころのない印象が残りました。 ちょっと別の作品を読んでみたいですね。
 というわけで、次は『捕虜収容所の死』かなんか読みます。そのうちに…。



「神々のワード・プロセッサ」 スティーヴン・キング/矢野浩三郎 他訳 (サンケイ文庫S.62.3.10)
 スティーヴン・キング短編集。
収録作品……「パラノイドの唄」、「神々のワード・プロセッサ」、「オットー伯父さんのトラック」、
   「ジョウント」、「しなやかな銃弾のバラード」、「猿とシンバル」

 こういうストーリーばかりだったらいいんだけど…。好きな短編は以下。

「神々のワード・プロセッサ」
 若くして亡くなった甥のジョナサンから、彼手製のワープロを贈られたリチャード。 恐る恐るスイッチを入れ、“妻の写真が仕事部屋の西側の壁に掛かっている”と入力してみる。 だかその文字を削除した途端、壁に掛かっていた妻の写真も、跡形もなく消えてしまった…。
 文句のつけようのないハッピーエンド。こ、こんなに幸せに終わっていいのかな?  と、こっちがおどおどしてしまうような(笑) いいですね。

「オットー伯父さんのトラック」
 “ぼく”の伯父は、彼の共同経営者を押しつぶしたトラックを病的なまでに恐れていた…。 野原に放置されたトラックの前に家を建てて住み、日々少しずつ近づいてくるトラックの 幻影に悩まされる伯父。そんな彼を見て、“ぼく”はひとつの疑いを抱く…。
 これは…怖いです(T_T) 怖いのはオットー伯父さんの狂気じゃなくて、むしろ彼が 正気だった部分です。

「ジョウント」
 200年後、ジョウントと呼ばれるテレポーテーションの技術が普及した地球で、オーツ一家は 火星へ旅立とうとしていた。ジョウントの説明を求める子供たちに、マークはその歴史を語り始める。 開発の裏側、そしてジョウントそのものに付きまとう暗い影……。体がジョウントを体験する 一瞬の間、意識は永劫とも言える時間を過ごすので、被験者はその間眠ってなければ大変な ことになってしまうのだが…。
 これも想像するしかない恐怖。好奇心から覚醒したままジョウントを体験し、発狂して しまったマークの息子のセリフがとても怖い。でも好き(笑)

「猿とシンバル」
 ハル・シェルバンは悲鳴をあげそうになった。なぜなら30年前に古井戸に投げ込んだはずの おもちゃを、息子が屋根裏部屋から引っ張り出してきたからだった。どこでも見かけるような、 シンバルを持った猿のおもちゃ。だがそれは彼が幼かった頃、シンバルの音が響くたびに 親しい人たちが死んでゆくと信じていた、恐ろしいおもちゃだった…。
 人形とかおもちゃにまつわる話って怖い。何度も繰り返される、猿の毛皮のしゃりしゃりした 手触りの描写が恐怖心をあおります。子供の想像力ってそーゆーものだよね、と思ってると それが現実に…。でもこれもハッピーエンドですね。また猿が現れなければ、だけど…。



「トウモロコシ畑の子供たち」 スティーヴン・キング/高畠文夫 訳 (サンケイ文庫 S62.6.10)
 スティーヴン・キング短編集。
 収録作品…「超高層ビルの恐怖」、「芝刈り機の男」、「禁煙挫折者救済有限会社」
   「キャンパスの悪夢」、「バネ足ジャック」、「トウモロコシ畑の子供たち」、
   「死のスワンダイヴ」、「花を愛した男」、「<ジェルサレムズ・ロット>の怪」、
   「312号室の女」


 面白くてどんどん読めるんですけど、どうも心の底から好きになるというタイプではなくて。 たぶん、私がホラーとかオカルトとかがあまり好きではないからなんでしょうけど(^_^;)  あんまり、ぐちゃっとしたもの(…想像にお任せします)が出てこなければいいんですが…(T_T)  でも、読んでて実際に気持ちが悪くなっちゃうのは、きっと文章力のすごさによるものなんでしょう。 これでもほめてるつもりです(笑)。お気に入りは↓などなど。

「超高層ビルの恐怖」
 クレスナーの妻マーシャとの浮気がばれたノリスに、クレスナーはある賭けを持ちかける。 クレスナーの住む高層ビルの外壁の縁を壁に沿ってぐるっと一周することができたら、 マーシャと現金2万ドルを与えようというのだ。罠にかけられたノリスは賭けに応じざるを得ず、 バルコニーから目もくらむような縁の上を歩き始める…。
 縁の上を歩く緊迫感がいいです〜。怖い…というより、オチがけっこう好きです。

「禁煙挫折者救済有限会社」
 どうしても禁煙できずにいたモリスンに友人のマッキャンが教えてくれたのは、 禁煙成功率98%を誇る禁煙挫折者救済有限会社の存在だった。モリスンは半信半疑で その会社を訪れるが…。
 煙草を吸わない私にはよく分かりませんが、禁煙ってつらいことなんですね。でも、 ここまですれば確かにやめられるかも(笑) 

「トウモロコシ畑の子供たち」
 道に迷って広大なトウモロコシ畑の中を進んでいたバートとヴィッキィは、突然 飛び出してきた子供を轢いてしまう。しかしよく見ると、その子供は既に何者かに のどをかき切られていて…。
 この短編集中最も怖いと思った話でした。さわさわと風にゆれるだだっ広い トウモロコシの畑の中って、確かに何か潜んでいそうですよね。怖い…。某映画のように 野球場にでもしちゃう方が好きですよぉ〜(T_T) 



「深夜勤務」 スティーヴン・キング/高畠文夫 訳 (サンケイ文庫 S61.9.10)
 スティーヴン・キングの第一短編集「Night Shift」(1978)の翻訳。 
 収録作品……「地下室の悪夢」、「波が砕ける夜の海辺で」、「やつらの出入り口」、
    「人間圧搾機」、「子取り鬼」、「灰色のかたまり」、「戦場」、「トラック」、
    「やつらはときどき帰ってくる」、「呪われた村<ジェルサレムズ・ロッド>」


 サンケイ文庫では分冊になっていて、後半が『トウモロコシ畑の子供たち』に 収録されてます。スティーヴン・キングは、私には微妙な作家です。短編ばかり読んで、 そして、こんなのが長く続くのはたまらんと思い、いつも長編へ進めません。 嫌いじゃないです。話の風向きによっては長く堪えられないだけです(^_^;) ここに 収録されてるのはどれも面白かったんですが、以下に、お気に入り…というか、一言何か 言わないと悪い夢を見そうな短編を(笑)

「地下室の悪夢」
 ホールは繊維工場でアルバイトをしていたが、ある日地下室の清掃業務に借り出された。 普段からネズミの多い工場だったが、十年以上も掃除されたことのない地下室は、 彼らの巣窟と化していた…。
 ネズミが、ネズミがぁぁ(T_T) ……………。

「人間圧搾機」
 とあるクリーニング工場で、一人の女性がプレス機に巻き込まれる。その機械は 以前からおかしかったのだが、最近になって何度も人を巻き込む事故を起こしていた。 何かあると思った警察官のハントンは、調査を始める……。
 機械って怖い…。えー、最終的にはオカルトです(T_T) それはいいけど、 プレス機に…人が……うう(T_T)

「戦場」
 殺し屋のレンショウが仕事を終えてホテルに戻ると、ひとつの小包が届いていた。 開けると中からは身長1インチ半ほどの歩兵がうじゃうじゃ出てきた、と思うと、 彼らはいきなりレンショウに攻撃を仕掛け始めた……。
 こういうのなら大丈夫(^_^;) レンショウと歩兵たちの激しい攻防戦がいいです。 小さなヘリが飛び交い、ロケット弾を打ち込まれ……。オチは読めてしまいましたが(^_^;)

「呪われた村<ジェルサレムズ・ロッド>」
 チャールズは一族に伝わる大きな屋敷を相続し、使用人のカルヴィンと共に移り住む。 だが、近くの村ではこの屋敷は不吉だと噂されていた。そこには、遥か昔に捨てられた村 ジェルサレムズ・ロッドの暗い影が……。
 雰囲気はラヴクラフトっぽいのですけど、やっぱり話は不気味なカルト集団の方へ……。 と思いきや、実は意外な真相が(?) この皮肉さがなんとも言えずいいですね。本当は どうだったのか、悩みます(^_^;)



「海のオベリスト」 C・デイリー・キング/横山啓明 訳 (原書房 2004.9.17)
 北大西洋を航行する豪華客船メガノート号で、アメリカの富豪が殺されるという事件が起こった。 折りしも白熱中のオークションの最中、急に停電になり、銃声がしたかと思うとスミス氏と 連れの女性が倒れていたのだった。ちょうど船に乗り合わせていた4人の心理学者が、それぞれのやり方で 事件の解決に協力するのだが…。オベリスト3部作、第1作目。1932年。

 翻訳順は最後ですが、オベリスト3部作の1作目です。豪華客船メガノート号での嵐の夜、一日の 航行マイル数を当てるという、ちょっと耳慣れないオークションから事件は始まります。耳慣れないと いえばこの"オベリスト"。作者の造語とか…。意味は本をお読みになってみて下さい♪
 しかし…豪華客船、突然の停電、そして富豪の奇妙な死…とくればもうちっと盛り上がっても いいんじゃないかなと思うんですが、けっこう淡々とした印象でした。なんか事件解決より 理論の実践の方に熱心な心理学者たちのせいで、ミステリとしては妙に白けた空気が漂っているような(^_^;)  心理学を持ち出すだけならともかく、そんなあれこれやって見せなくたっても、などと心理学者でもある 作者の手前言ってはいけないこともボソッと呟きたくなったりします(爆) 場面転換も少々唐突な部分があって、 趣をそいでるというか…。正直ちょっとばかり疲れた作品でした。事件+心理学者たちに翻弄される マンスフィールド船長の困惑ぶりはなかなか楽しめましたが(^_^;) ま、シリーズ1作目だし、 一応読んどこっかな♪ってな感じで気楽に読めばいいのかも。私自身、C・デイリー・キングは これが初めてです(^_^;)
 2作目『鉄路のオベリスト』に続きます↓



「鉄路のオベリスト」 C・デイリー・キング/鮎川哲也 訳 (光文社カッパ・ノベルス S58.1.25)
 ニューヨークからサンフランシスコまでを3日間で走る最新鋭の大陸横断鉄道トランスコンチネンタル特急内の プールで、有名な銀行家が死亡するという事件が起こった。溺死ということで落ち着くかに思えた矢先、 銀行家の娘と秘書が何者かに襲撃される。列車に乗っていたロード警部補と心理学者の ポンズ博士は、協力して事件の調査に臨むが…。オベリスト3部作第2作。1934年。

 『海のオベリスト』に続く2作目♪ でもこれ絶版です(-_-;) 読まれるなら1作目からを お薦めします。
 今回は豪華列車の旅♪ プールまであるってんですからね〜…。銀行家の不可解な死と それに続く襲撃事件。やっぱ豪華列車の中っていうのが、見せ場にもまた事件解決への障害にもなってるわけですね。 探偵役が地味で、せっかくいい推理とかしても何しても結局地味〜で印象薄いんですが…(^_^;) でも心理学者の 出番が少ないせいか、1作目より格段に読みやすかったです(笑) テンポもよく本格色も強くなった分、 ここへ心理学持ち込まなくても…という感は1作目にも増してありましたが。ってまぁ、作者が 心理学者ですからそこはね(^_^;) しかしなんだかんだ言っても、全体としてはかなり楽しめました♪
 次は3作目『空のオベリスト』に続きます↓



「空のオベリスト」 C・デイリー・キング/富塚由美 訳 (国書刊行会 1997.12.5)
 ニューヨーク市警のマイケル・ロード警部は、国務長官の手術をすべくリノへ向かう エイモス・カッター医師の警護を任される。何者かがカッター医師に殺害をほのめかす 脅迫状を送りつけてきたのだった。リノへと向かう飛行機には、過去二つの事件を共に解決した 心理学者ポンズ博士も乗り合わせていた。正体の分からない脅迫者に、万全の対策をしたロード警部 だったが…。オベリストシリーズ第3作目。1935年。

 シリーズ3作目。出版社が全部違うってのがアレですが、読まれる時は第1作目からどうぞ。 やっぱりというかなんというか、3作目がいちばん良いですね。探偵役のロード警部が 地味なのは変わってませんが(^_^;)
 飛行機での旅行なんてまだまだ贅沢な時代。なんか乗り心地も悪そうで読んでるだけで 気分悪くなりそうだし、何度も乗り換えや給油を重ねてホント大変そうです。 そしてどう考えても不可能な状況で起こった事件。ふふん(?)、 悪くないですねこういうの。エイモスやその姪をめぐる人間関係が、心理学的考察に基づいて いようといまいとちょっと奇妙…というか違和感を覚えたんですが、その辺はまぁいいです(^_^;)  エピローグが前でプロローグが後という、ちょと趣向を凝らした構成ですが、 これがまた…後味は良くないんですが(^_^;)…意外なラストでミステリとしてはいい感じでした。 ストーリーはわりと単調ですが、本格ミステリとしてはけっこう良かったです。 ロード警部のシリーズとしてはまだ続いているみたいですが、翻訳はここまで。
次は『タラント氏の事件簿』を読みます。そのうちに…。



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