海外ミステリ その他(アンソロジー等)
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イギリスのアンソロジー
 ポートワインを一杯 イギリス・ミステリ傑作選’75(1975)ハヤカワ文庫
英米・その他のアンソロジー
 シャーロック・ホームズの栄冠論創社
 夜明けのフロスト「ジャーロ」傑作短編アンソロジー3光文社文庫
 毒薬ミステリ傑作選創元推理文庫
 世界ミステリ全集18 37の短編(傑作短編集)早川書房
 ユーモアミステリ傑作選講談社文庫
 世界短編傑作集 1 江戸川乱歩 編創元推理文庫
 世界短編傑作集 2 江戸川乱歩 編創元推理文庫
 世界短編傑作集 3 江戸川乱歩 編創元推理文庫
 世界短編傑作集 4 江戸川乱歩 編創元推理文庫
 世界短編傑作集 5 江戸川乱歩 編創元推理文庫
 世界鉄道推理傑作選 1講談社文庫
 世界鉄道推理傑作選 2講談社文庫



「ポートワインを一杯」 イギリス・ミステリ傑作選’75
       ジョージ・ハーディング編/青木久恵、他訳 (ハヤカワミステリ文庫 S55.6.30)
 英国で刊行された「イギリス・ミステリ傑作選」の1975年版。11篇収録。
 収録作品…
  「コラベラ」デイヴィッド・フレッチャー「空室あります」シリア・フレムリン
  「ゴーテ警部とイギリス人著名作家」H・R・キーティング
  「引き潮にさらわれて」ジョン・バクストン・ヒルトン「噂の殺人」ジェイムズ・マクルーア
  「沈黙の塔」モリス・リチャードスン「ポートワインを一杯」アンドリュウ・ガーヴ
  「王子ミーロの犯罪」デズモンド・コーリイ「落とし穴にご用心」ルス・レンデル
  「バンコ」ダグラス・オージル「白い山から来た男」テッド・ウィリス


 「イギリス・ミステリ傑作選」は毎年英国のマクミラン社というところから出ている(いた?) ミステリのアンソロジーで、これはその75年版、つまり全部1975年に書かれた作品です。 作家の名前も現在の表記とちょっと違うのもありますが、そのままにしてあります。
 収録作品は現代(と言ってもですが…)のものばかりで、やっぱりそれ以前のとはまた一味 違いますね。あとがきにもあるけど、ミステリというよりクライム・ストーリーです。 本格ミステリファンにはちょっと物足りないと思うけど、これはこれで気軽に楽しめるアンソロジー。 私好みかと聞かれると、あまり…そうでもないのですが(^_^;)
 そんな中でも、お気に入りは…部屋を追い出された若い夫婦が、やっと見つけた空き部屋で遭遇したものとは… 「空室あります」、イラウスの国王を殺した王子ミーロの数奇な運命「王子ミーロの犯罪」、 妻を殺そうと画策した夫の考えた方法とは…「落とし穴にご用心」、イタリアの 刑務所を出たばかりのバンコは、自分と取引したイギリスの下院議員が不審な女性を連れているのを 見つけ、後をつけるが…「バンコ」……などです(^_^)


「シャーロック・ホームズの栄冠」 北原尚彦 編訳 (論創社 2007.1.20)
 シャーロック・ホームズ作品のパロディやパスティーシュを集めた短編集。 24編収録。
 収録作品…
第1部 王道編
  「一等車の秘密」ロナルド・A・ノックス「ワトスン博士の友人」E・C・ベントリー、   「おばけオオカミ事件」アントニー・バウチャー
  「ボー・ピープのヒツジ失踪事件」アントニー・バークリー「シャーロックの強奪」A・A・ミルン
  「真説・シャーロック・ホームズの生還」ロード・ワトスン(E・F・ベンスン&ユースタス・H・マイルズ
  「第二の収穫」ロバート・バー
第2部 もどき編
  「南洋スープ会社事件」ロス・マクドナルド「ステイトリー・ホームズの冒険」「ステイトリー・ホームズの新冒険」
  「ステイトリー・ホームズと金属箱事件」アーサー・ポージス「まだらの手」「四十四のサイン」ピーター・トッド
第3部 語られざる事件編
  「疲労した船長の事件」アラン・ウィルスン「調教された鵜の事件」オーガスト・ダーレス
  「コンク・シングルトン偽造事件」ギャヴィン・ブレンド「トスカ枢機卿事件」S・C・ロバーツ
第4部 対決編
  「シャーロック・ホームズ対デュパン」アーサー・チャップマン「シャーロック・ホームズ対勇将ジェラール」作者不詳
  「シャーロック・ホームズ対007」ドナルド・スタンリー
第5部 異色編
  「犯罪者捕獲法奇譚」キャロリン・ウェルズ「小惑星の力学」ロバート・ブロック
  「サセックスの白日夢」ベイジル・ラスボーン「シャーロック・ホームズなんか怖くない」ビル・プロンジーニ


 本邦初訳のものばかりということですが、こんな作家もホームズもののパロディや パスティーシュ書いてるんだ〜と感心して楽しむ1冊かな。 アプローチの仕方は様々。しかし、どれもホームズものへの愛に満ち溢れた(笑)作品ばかりです。 私もホームズ作品を愛読し続けて、まだ…25年というところ ですが(^_^;)、書きたい気持ちも読みたい気持ちも分かりますね(読みたくない気持ちも多少分かるな(笑))。 ま、出来のことはさておき(爆)
 個人的には、どれとは言いませんが、思いっきりバカバカしいパロディとか、 語られざる事件篇が好きです。でもこの本を読み終えたら、ちゃんと 本編を読み直したくなりました。まとめてドカッと読むよりも、たま〜に ちょこちょこ読むくらいでちょうどいいのでしょうね、こういう作品は。 というわけで(?)一つ一つの感想は書きませんが、全体としてもなかなか楽しめた短編集でした♪



「夜明けのフロスト」 「ジャーロ」傑作短編アンソロジー3 
                         R・D・ウィングフィールド、他・木村仁良編/芹澤恵 他訳(光文社文庫 2005.12.20)
 クリスマス・ミステリのアンソロジー。7編収録。
 収録作品…
  「クリスマスツリー殺人事件」エドワード・D・ホック「Drカウチ、大統領を救う」ナンシー・ピカード
  「あの子は誰なの?」ダグ・アリン「お宝の猿」レジナルド・ヒル「わかちあう季節」マーシャ・マラー&ビル・プロンジーニ
  「殺しのくちづけ」ピーター・ラヴゼイ「夜明けのフロスト」


 わりと新しめのクリスマス・ミステリのアンソロジー♪  クリスマスだけに心温まるお話が多いです。シリーズキャラクターの登場する作品も多いですので、 短編を試して気に入ったら長編も読んでみてもいいですね。最後の「夜明けのフロスト」だけ中篇で、後は短編。 どれもそれぞれに良いですが、以下にお気に入りの感想を。

「Drカウチ、大統領を救う」
 獣医のカウチは、今日も孫娘に昔話をしてやることにした。それは彼がまだ若かった頃、 クリスマスにトルーマン大統領を救った出来事の話だった…。
 救った、といっても色々な救い方があるのですが、このさりげなさがいいですね。 おじいちゃんと孫娘が微笑ましい一遍。 シリーズものですので、カウチの他の活躍も読んでみたいですね。

「お宝の猿」
 美術館から盗まれた黄金像“お宝の猿”が持ち込まれるという情報を得た パスコー主任警部とダルジール警視は、とある家を見張っていた。だが、その最中に 一人の警官が人質にされてしまうという事態に…。
 これもシリーズもの。覇権やらなんやらをめぐり大変な事態に陥る地方の警察官。 鮮やかな結末がにくいですね〜。猿のありかも…(^_^;) これもぜひ読んでみたいシリーズ。

「夜明けのフロスト」
 クリスマス当日の勤務をこぼすデントン警察署の面々に、とんでもない事件が次々と降りかかった。 収監された酔っ払いは意識を失い、捨て子が発見され、少女が行方不明になり、デントン百貨店には 泥棒が。フロスト警部は毒づきながらも捜査を始める…。
 これまたシリーズもの。まぁ、この作品につられて他のも読んだわけですが(^_^;)  短編でも、デントン警察署はエライことになっちゃってます。相変わらずの フロスト警部は、それでも淡々と(?)事件を解決していきます。いいですね。やっぱこれですね(笑)  ちょっと微笑ましいラスト。また長編も読みたいですね〜……と思い続けて何年だか(^_^;)



「毒薬ミステリ傑作選」 レイモンド・T・ボンド編/宇野利康 訳(1977.7.15 創元推理文庫)
 毒薬・毒殺がテーマのミステリ短編集。12編収録。
 収録作品…
  「疑惑」ドロシイ・L・セイヤーズ「キプロスの蜂」アントニー・ウィン「利口なおうむ」E・C・ベントリー
  「偶然の審判」アントニイ・バークリー「夾竹桃」ミリアム・アレン・デフォード
  「ラインゲルダーとドイツの旗」ラドヤード・キップリング「リキュール・グラス」フィリス・ボットム
  「大都会の一挿話」アーヴィン・S・コブ「事故」アガサ・クリスティ
  「バーナビイ事件」R・オースチン・フリーマン「ラパチーニの娘」ナザニエル・ホーソーン
  「手早いやつ」G・K・チェスタトン


 いろんな毒薬にまつわる短篇ミステリの逸品ばかりです。こーゆーのばっかり読むと 毒殺なんてゆーのは絵空事って気がますますしてきますが(^_^;) そういう意味では(?)序論の「毒と毒殺について」は けっこう面白かったです。一作ごと冒頭・文末にある解説が 興味深くも鬱陶しいので読んでませんが、ま、私など作品が楽しきゃそれでいいんで♪ この本は絶版…かな?
 既読作品が5つくらい(「疑惑」「キプロスの蜂」、「偶然の審判」、 「ラパチーニの娘」、「手早いやつ」)ありますので、以下にそれ以外のお気に入りの感想を。

「利口なおうむ」 E・C・ベントリー
 著名な医者ペリグリン卿と結婚した若く美しい女性ボズワース婦人は、奇妙な行動をすることから周囲から 麻薬中毒ではないかと疑われていた。彼女の姉の依頼でボズワース婦人の身辺を調査するトレントだったが…。
 謎は解けても根本的に何の解決になってない辺りがなんだかむなしいんですが、トレントの調査は なかなか面白いですね。おうむのことも、けっこうバレバレですけど好きです。

「事故」 アガサ・クリスティ
 元警部だったエヴァンズは、知り合いの妻と紹介されたメロウディーン夫人に見覚えがあるのに気付く。 それは9年前、かつての夫を毒殺したという罪で起訴され、その後無罪放免になった女性だった。 現在の夫を毒殺しようとしているのではないかと疑ったエヴァンズは、メロウディーン夫人の行動に 注意するようになるが…。
 あらま(^_^;) 予想できるラストかな〜。動機が意外で良かったです。

「バーナビイ事件」 R・オースチン・フリーマン
 わたしことジャーディン医師の患者であったバーナビイ氏は、ある日アトロピン中毒で倒れた。 その時は目薬のせいだと分かったのだが、その後何故か同じような症状で倒れることが相次ぎ、 ついにバーナビイ氏の妻が殺人容疑で逮捕されるという事態に…。
 ちょっと長めのソーンダイク博士もの♪ 犯人とか分かりやすいんですが、毒を混入させる 手口が面白いですね。いーから早くなんとかしてあげてよって感じですが(^_^;)



「世界ミステリ全集18 37の短編(傑作短編集)」 石橋喬司 編(早川書房 1973.6.20)
 英米の傑作短編を収録したアンソロジー。37編収録。
 収録作品…
  「ジャングル探偵ターザン」エドガー・ライス・バロウズ「死刑前夜」ブレッド・ハリデイ
  「虹をつかむ男」ジェイムズ・サーバー「うぶな心が張り裂ける」クレイグ・ライス
  「殺し屋」ジョルジュ・シムノン「エメラルド色の空」エリック・アンブラー
  「燕京綺譚」(感想「東洋趣味(シノワズリ)」)ヘレン・マクロイ、   「後ろを見るな」フレドリック・ブラウン
  「天外消失」クレイトン・ロースン「九マイルは遠すぎる」ハリイ・ケメルマン
  「魔の森の家」カーター・ディクスン「この手で人を殺してから」アーサー・ウィリアムズ
  「北イタリア物語」トマス・フラナガン「百万に一つの偶然」ロイ・ヴィカーズ
  「少年の意志」Q・パトリック「懐郷病のビュイック」ジョン・D・マクドナルド
  「五十一番目の密室」ロバート・アーサー「ラブデイ氏の短い休暇」イーブリン・ウォー
  「探偵作家は天国へ行ける」C・B・ギルフォード「燈台」E・A・ポー&R・ブロック
  「女か虎か」フランク・R・ストックトン「おとなしい凶器」ロアルド・ダール
  「長距離電話」リチャード・マシスン「歩道に血を流して」エヴァン・ハンター
  「死刑執行の日」ヘンリイ・スレッサー「死者のポケットの中には」ジャック・フィニイ
  「白いカーペットの上のごほうび」アル・ジェイムズ「火星のダイヤモンド」ポール・アンダースン
  「ヨット・クラブ」デイヴィッド・イーリイ「クライム・マシン」ジャック・リッチー
  「一滴の血」コーネル・ウールリッチ「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」ウイリアム・ブルテン
  「最後で最高の密室」スティーヴン・バー「アスコット・タイ事件」ロバート・L・フィッシュ
  「選ばれた者」リース・デイヴィス「長方形の部屋」エドワード・D・ホック
  「ジェミニイ・クリケット事件」クリスチアナ・ブランド


 有名な作品と作家がこれだけ集まってるアンソロジーもなかなかないですね。粒ぞろいの傑作集♪  古いとはいえ翻訳陣も豪華ですね〜。しかし…この本は残念ながら絶版です(-_-)
 のついてるのは既読(他の短編集等にも収録されてるということですね。読んだことさえ忘れてるにせよ…)で、 下線のあるものは以前の感想へ飛びます。それ以外のお気に入りの感想を以下に。

「死刑前夜」 ブレッド・ハリデイ
 ある殺人事件の犯人処刑前夜、犯人が逮捕されるに至った奇妙な経緯を語り始める男。 それは犯人が国境を越えてメキシコへ逃亡していた、空白の5週間の間の出来事だった…。
 いいですね、本来の立場も忘れて、メキシコの熱い大地で仕事に励む二人…。心あたたまリます(^_^)  ストーリーもいいけど、やっぱり最後に驚かされました。

「虹をつかむ男」 ジェイムズ・サーバー
 嵐の中を進む海軍の飛行艇に乗っていたはずのウォルター・ミティは、妻の声に我に返った。 妻にあれこれ催促された用事をこなしつつも、彼は再び空想の世界へ羽ばたいてゆく…。
 ミステリというかファンタジーというか、こういうのは好きですね♪ いったい何なんだあんたは(笑)

「うぶな心が張り裂ける」 クレイグ・ライス
 有罪と決まり刑務所にいた男の裁判のやり直しを受け持つことになったマローン弁護士は、依頼人が 自殺したことを知らされる。納得のいかないマローンは調査を開始するが…。
 マローン弁護士シリーズ。ミステリとしてはともかく(?)、ユーモアあふれるストーリーがなかなか 楽しい一編です。

「殺し屋」 ジョルジュ・シムノン
 ポーランド人の盗賊団が潜んでいるというホテルの前で張り込みをするメグレ警部の元へ、 一人の男が現れる。彼は前からメグレにつきまとって、自分を危険な任務に使ってくれと懇願しているのだったが…。
 メグレ警部もの。緊迫感がいいですね。正体の分からない盗賊弾の首領と、自殺願望のある妙な男。 こんなことだったとは。きれいに決まりすぎな気もしますが、そういうのも悪くないです♪

「天外消失」 クレイトン・ロースン
 奇術師マーリニの店にやってきたガヴィガン警部は、ある事件に頭を悩ませていた。一人の女性が忽然と姿を 消したのだが、その消失はあらかじめズィーズクという予言者に予言されていたものだったのだ。 しかもその後新たに一人の男が、、予言どおりの時刻に電話ボックスの中から不可解な消失を遂げた…。
 マーリニシリーズ♪ 衆人環視の電話ボックスの中から人が消えてしまうなんざ穏やかじゃないですな(笑)  でもこういうのはなかなか好きです。密室はこうでなくちゃね〜。

「北イタリア物語」 トマス・フラナガン
 フランスへ贈られるはずだった緑玉が、辺境の城主モンターニュ伯の城で何者かに盗まれた。 しかし保管庫は密室状態で、番兵の一人は殺され、もう一人は聾唖で読み書きのできない男だった。 ボルジア家から赴いた使臣は、盗難事件の調査を始めるが……。
 中世イタリアの重厚な雰囲気が良いですね〜。犯人はまぁそんなとこかなって感じですが、 一番意外なのはやっぱし最後の一行なんでしょね♪ なるほどね〜。

「五十一番目の密室」 ロバート・アーサー
 完全に新しい趣向の密室トリックを見つけたと豪語していたミステリ作家のワゴナーが、 密室で殺されているのが発見された。書いていたはずの小説が燃やされていることから、彼自身その方法で 殺されたらしいのだが…?
 ミステリ作家の楽屋ネタ(?)がいっぱいあって面白いです♪ ミステリ作家も 楽じゃないのね(^_^;) 新しいったってこの程度のネタ(失礼)で一喜一憂、おまけに殺されるなんて 哀しすぎる。でも…楽しいからいいです(爆)

「ラブデイ氏の短い休暇」 イーブリン・ウォー
 精神病院へ入った父親モーピング卿を見舞った娘アンジェラは、そこで献身的に働くラブデイ老人に 出会う。彼は若い頃殺人を犯してここへ入ったのだが、以後はずっと真面目に他の患者のために 尽くしてきたというのだ。かわいそうに思ったアンジェラは、なんとかラブデイ老人を 退院させようと力を尽くすが…。
 あらま。そんなこったろうと思いましたが…。短いお話ですが、なかなか衝撃的で良いです(^_^;)

「クライム・マシン」 ジャック・リッチー
 殺人請負を生業としていたおれは、ある日自分が殺人を犯す現場を見ていたという ヘンリイと名乗る男に恐喝される。彼は自分が発明したタイムマシンで、殺人の瞬間をすべて見ていたというのだが…?
 上には上……というか下というか(^_^;) まぁ仕方ないですよね。オチの部分では、読者の方がタイムマシンに乗ってるような 気分が味わえて良いです(笑)

「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」 ウイリアム・ブルテン
 子供の頃からディクスン・カーの作品に傾倒してきたエドガーは、いつか誰もが解けないような密室殺人を やってのけるのが夢になっていた。やがてそのチャンスが訪れ、彼は自宅の図書室を密室にすべく念入りに トリックの準備を始める…。
 やっぱカーの作品をいくつか読んでるた方が面白いですかね。微妙にネタバレっぽいのもありますし(^_^;)  こういう話は好きです……かなり(笑)

「ジェミニイ・クリケット事件」 クリスチアナ・ブランド
 犯罪者の子供を引き取って育てていたジェミニイ老人が殺害された事件について話し合う、とある老人と若者。 奇妙な言葉を残し、密室で老人が殺されていた事件の謎とは…。
 真相について試行錯誤しつつ語り合う老人と若者。読んでるうちに真相はどーでも よくなってきましたが(^_^;)、結末が良かったです。結末がちと違うバージョンもあるそうですが、 そっちも読んでみたいです。



「ユーモアミステリ傑作選」 風見潤 編 (講談社文庫 S55.10.15)
 英米のユーモアミステリ短編の傑作集。9編収録。
 収録作品…
  「殺人の条件」ドナルド・E・ウェストレイク「クリスティーを読んだ少年」ウィリアム・ブルテン
  「ソング・ライターの死」フランク・グルーバ―「サム、シーザーを埋葬す」ジョシュ・パークター
  「見えざる手によって」ジョン・スラデック「エリート・タイプの怪事件」ロバート・L・フィッシュ
  「イギリス寒村の謎」アーサー・ポージス「ホン・コンおばさん、正義を行使す」ジョイス・ポーター
  「ストリップ戦術」リチャード・S・プラザ―


 ユーモアミステリ、いいですね〜♪ 作品それぞれユーモアとミステリの配合具合(?)は 違うんですが、どれもそれなりに面白い作品ばかりです。…けど、この本は残念 ながら絶版(^_^;) 以下にお気に入りの感想を♪

「殺人の条件」 ドナルド・E・ウェストレイク
 浪費癖のひどい妻を殺そうと決意したわたしは、完璧と思える計画を立てた。だが妻を殺したわたしを、 思わぬアクシデントが襲う…。
 ここまで極端なわけないですけど、これじゃ露見しないように殺人を犯すなんて絶対に不可能だと 思いますね〜(^_^;) なんか彼が哀れ(笑)

「クリスティーを読んだ少年」 ウィリアム・ブルテン
 小さな田舎町ラーキンズ・コーナーを、ある日不可解な事件が襲った。大学生が数人あちこちの店に出没し、 罪にならないようないたずらを繰り返し始めたのだ。首を傾げる町民たちを前に、ちょうど ベルギーから町へ来ていた十歳の交換留学生、ジャック・デュモンドがポワロばりの名推理を見せる…。
 クリスティーを読んでポワロになりきっちゃってるジャックがなかなかよろしいです(笑) しかもそれがちゃんと オチになってる辺り♪

「サム、シーザーを埋葬す」 ジョシュ・パークター
 子供向けの探偵局を始めたネロ・ウルフとアーティのもとへ、愛犬シーザーを轢いた車を探し出して ほしいというサムがやってくる。しかも埋めたはずのシーザーの死体がなくなってしまったというのだ。 アーティはさっそく事件の調査に乗り出すが…。
 ネロ・ウルフもののパロディ♪ オチの一言のためのお話ですね(^_^;)

「見えざる手によって」 ジョン・スラデック
 休暇でイギリスへきていた哲学教授のフィンはアマチュア探偵を開業し、殺人予告された芸術家アーロンの ボディガードを依頼された。だが彼がずっと部屋の前にいたにもかかわらず、アーロンは密室で死体と なって発見されたのだった…。
 ユーモアというか、ちゃんとした(?)密室ミステリですね。なかなか巧妙なものです(^_^)

「エリート・タイプの怪事件」 ロバート・L・フィッシュ
 ベーグル街に住むシュロック・ホームズとワトニイの元へ、「暗号で侮辱された」という演劇記者がやってきた。 それにはタイプで打たれた意味不明の記号が並んでいたが…。
 ホームズもののパロディ、シュロック・ホームズものです。暗号はなかなか良いですし、皮肉も効いてますね♪

「イギリス寒村の謎」 アーサー・ポージス
 15人しか住民のいない村で、12人もの村人が次々に殺されるという事件が起こった。イースト警部は ちょうどロンドンへやってきていたアメリカ人の探偵セロリイ・グリーンに助けを求めた…。
 エラリイ・クイーンのパロディ。事件も笑えますが、名前が最高です(笑)

「ホン・コンおばさん、正義を行使す」 ジョイス・ポーター
 オナラブル・コンスタンスことホン・コンは、トターブリッジの住民の一人がバイパス道路で死んだ 事件に疑問を持ち捜査を始めた。新聞によれば死んだ男は鎮静剤を飲んでいたというのだが、彼は薬というものを 全く信じていない男だったのだった。
 貴族のオールド・ミス、ホン・コンが傲慢かつ強引な調査で事件に首を突っ込むシリーズ(^_^;)  ドーヴァー警部もそうですが、見てる分には楽しいです(笑) ラストでちょこっとひっくり返る ところがいいですね♪



「世界短編傑作集 1」 江戸川乱歩 編 (創元推理文庫 1960.7.24)
 江戸川乱歩が選んだ、十九世紀末から第二次世界大戦後までの約一世紀の世界の傑作ミステリ短篇集。全5巻。 1巻には1860年代のコリンズから20世紀初頭までの作品を7編収録。
 収録作品…
  「人を呪わば」ウィルキー・コリンズ(英1824-89)「安全マッチ」アントン・チェホフ(露1860-1904)
  「レントン館盗難事件」アーサー・モリスン(英1863-1945)
  「医師とその妻と時計」アンナ・カサリン・グリーン(米1846-1935)
  「ダブリン事件」バロネス・オルツィ(英1865-1947)
  「十三号独房の問題」ジャック・フットレル(米1875-1912)
  「放心家組合」ロバート・バー(英1850-1912)


 ということで、1巻には古めのが多いですね。どれも古式ゆかしい(?)素晴らしい作品ばかり♪  やっぱしこういうのは大好きです。有名な作品も多いですし、今更ですが、やっぱ海外ミステリ好きを標榜するなら 一度は読んどいた方がい〜かもしれませんね(^o^;) 全部いいんですが、特にお気に入りの感想を以下に。
 第2巻に続きます。

「人を呪わば」 ウィルキー・コリンズ
 とあるコネで刑事課へ配属されてきた鼻持ちならない男、マシュウ・シャーピン。前任者に代わって 200ポンド盗難事件の捜査を始めたまでは良かったのだが…。
 これだけ既読ですが、一応感想を。ほとんどが往復書簡で成り立ってる面白い短編です。 シャーピン氏の思い上がりと自惚れに満ち満ちた手紙がおかしいですね(^_^) 警察官にあるまじき 行為まで堂々と書いてる辺りが(^_^;)

「レントン館盗難事件」 アーサー・モリスン
 ヒューイット探偵事務所に、とある事件が持ち込まれる。ジェイムズ・ノリス卿の屋敷レントン館で、 似たような状況で3度も盗難があったというのだった。ヒューイットは捜査に乗り出す…。
 マーチン・ヒューイットもの♪ ありがちなトリックかもしれませんが、この時代ならではの 良さですね(^_^) ヒューイットの解釈もちゃんと的を得てますし。

「医師とその妻と時計」 アンナ・カサリン・グリーン
 ラファイエット街で夜中起こった殺人事件は、どこか奇妙な様相を呈していた。犯人も凶器も見つからないまま、 虚しく時が流れていった。刑事の私は、自分が犯人だと言い張る男に出会うが……。
 事件そのものより、登場人物の心情がなかなか忘れがたい、雰囲気のある作品ですね。しんみりとした、 なんだか切ないお話です。

「十三号独房の問題」 ジャック・フットレル
 どんな刑務所でも、頭を使えば脱獄できると主張する「思考機械」こと天才科学者ヴァン・ドゥーゼン博士を、 友人二人はミネソタ州セントルイスのチッザム刑務所の死刑囚監房に入れた。1週間のうちに抜け出してみせると 豪語する思考機械だったが……。
 「思考機械」ものですね。とても抜け出せないような死刑囚監房から、彼はどうやって脱獄するのか…。 いいいですね〜♪ トリックも素晴らしいですけど、ちょと稚気のあるのが(^_^) 死刑囚を自白に追い込んだ 余談が一番好きかも(笑) 



「世界短編傑作集 2」 江戸川乱歩 編 (創元推理文庫 1961.1.13)
 江戸川乱歩が選んだ、十九世紀末から第二次世界大戦後までの約一世紀の世界の傑作ミステリ短篇集。 全5巻。2巻には1920年代前半までの作品を9編収録。
 収録作品…
  「赤い絹の肩かけ」モーリス・ルブラン(仏1864-1941)
  「奇妙な跡」バルドゥイン・グロルラー(オーストリア1884-1916)
  「ズームドルフ事件」M・D・ポースト(米1869-1916)
  「オスカー・ブロズキー事件」R・オースチン・フリーマン(英)
  「ギルバート・マレル卿の絵」V・L・ホワイトチャーチ(英)「好打」E・C・ベントリー(英1875-1956)
  「ブルックベンド荘の悲劇」アーネスト・ブラマ(英1869?-1942)
  「急行列車の謎」F・W・クロフツ(英)「窓のふくろう」G・D・H&M・I・コール(英)


 2巻もすごい作品ばかり♪ 作者とそれぞれ描くところの名探偵は、どれも有名ですね。 個人的にあんましトリックが奇抜なやつはちとどうかなと思うのですが(^_^;)、それもミステリの歴史。 古典ならではの味でしょうか。
 どれもいい作品なので困るのですが、以下に特にお気に入りの作品の感想を。感想を書いてませんが、 ポーストの「ズームドルフ事件」とコール夫妻の「窓のふくろう」は、それぞれアンクル・アブナーもの、 ウィルスン警視ものです。「オスカー・ブロズキー事件」(フリーマン)と「急行列車の謎」(「機関士室の犯罪」)(クロフツ)は 以前の感想をご覧下さい。第3巻に続きます。

「赤い絹の肩かけ」 モーリス・ルブラン
 フランス警察のガニマール主任警部は、道路で奇妙な動きをする老人と子供を怪しんで後をつけた。 彼を待っていたのは怪盗アルセーヌ・リュパン。彼はとある殺人事件のことで、 ガニマールの情報を提供したいと申し出るのだったが…。
 知らない人もない名前ですね〜って、実は子供向け以外のを読むのは初めて(^_^;) ガニマール警部の お手並み拝見といった感じのリュパンが、小憎らしくも爽快な一編です。

「奇妙な跡」 バルドゥイン・グロルラー
 探偵ダゴベルトの家に、グルムバッハ夫妻からの使いがやってきた。夫妻の領地の管理人が、何者かに殺されたというのである。 死体の周りには被害者のもの以外誰の足跡もなく、奇妙な跡がついていた……。
 作者はオーストリアのコナン・ドイルと評されているとか…。短くて地味かもしれませんが、こういう作品は けっこう好きです(^_^)

「ギルバート・マレル卿の絵」 V・L・ホワイトチャーチ
 菜食と妙な体操を心がけている私立探偵ヘイズル・ソープの元にやってきた友人が、昨夜起こったという 奇妙な事件を話し始めた。ギルバート・マレル卿が展覧会に出品するための絵を積んだ貨車が、 走行中に消えてしまったというのだ。しかもその貨車は、列車の真ん中に連結されていたというのだが…。
 すごいトリック(^_^;) ホントにできるかどうか、やってみてほしいですね〜(笑) ヘイズルの 奇妙な体操が個人的にお気に入り(爆)

「好打」 E・C・ベントリー
 素人探偵のフィリップ・トレントは、ゴルフ場の使用許可をもらうために出かけたロイデン大尉のもとで、 少し前にあった奇妙な事件の話を聞いた。それはゴルフコースで不思議な死に方をした彼の義兄の事件だった。
 トリックがちと好みではないんですが、最後のトレントの会話がとても印象に残る作品です。

「ブルックベンド荘の悲劇」 アーネスト・ブラマ
 全盲の探偵マックス・カラドスのもとへ、近々姉ミリセントが殺されるのではないかと心配するホリヤー大尉が相談に 訪れた。カラドスは早速、ミリセントが住むブルックベンド荘へ出かけるが…。
 話としてはそれほど意表をついたものではないんですが、ラストの展開が皮肉で心に残りました。 一体どうすれば良かったんだ…(^_^;)



「世界短編傑作集 3」 江戸川乱歩 編(創元推理文庫 1960.12.19)
 江戸川乱歩が選んだ、十九世紀末から第二次世界大戦後までの約一世紀の世界の傑作ミステリ短篇集。 全5巻。3巻には1920年代後半の作品を10編収録。
 収録作品…
  「キプロスの蜂」アントニー・ウィン(英)「堕天使の冒険」パーシヴァル・ワイルド(米1887-1953)
  「茶の葉」E・ジェプスン、R・ユーステス(英)「偶然の審判」アントニイ・バークリー(英1893-1971)
  「密室の行者」ロナルド・A・ノックス(英1888-1957)「イギリス製濾過器」C・E・ベチョファー・ロバーツ(英)
  「ボーダー・ライン事件」マージェリー・アリンガム(英1904-66)
  「二壜のソース」ロード・ダンセイニ(英1878-1956)「夜鶯荘」アガサ・クリスティ(英)
  「完全犯罪」ベン・レイ・レドマン(米)


 3巻も素晴らしい作品ばかり(^_^) 甲乙つけがたいです。以下にお気に入りの短編の感想を♪
 第4巻に続きます。

「堕天使の冒険」 パーシヴァル・ワイルド
 トニイ・クラグホーンは彼の所属するヒマラヤ・クラブで、いかさまをやっていると思しきテリスを 糾弾した。その顛末を友人で元賭博師のビル・パーミリーに得意げに話すトニイだったが…。
 表記が違いますが、元賭博師のビル・パームリーもの♪ 『悪党どものお楽しみ』には 未収録。
 よくそこまでやるな〜というイカサマ(^_^;) ホントにあった話というのがまた…。その情熱を もっと他のことに使えばい〜のに。ビルの解決がなかなか爽やかなお話(^_^)

「偶然の審判」 アントニイ・バークリー
 サー・ウィリアムの元に届いたチョコレートを譲り受けたベリズフォードの妻が、そのチョコレートを 食べて死んでしまった。モリズビー主任警部からその話を聞いたシェリンガムは、事件の調査を始める…。
 ロジャー・シェリンガムもの♪ この作品は4年後に書かれる『毒入りチョコレート事件』の原型ともいうべきもの。 やっぱこれを先に読んだ方が良かったかな? 個人的にシェリンガムがストレートに解決する方が嬉しい…(笑)

「密室の行者」 ロナルド・A・ノックス
 怪しげな集団「光明の兄弟」に傾倒していたジャービソンという百万長者が、奇妙な状況で餓死しているのが発見された。 彼の周りには手のつけられていない食料がたくさんあったのだが…。
 ここまでやってくれるともう、あきれるの通り越して感心してしまいますね(爆) そんなトリック(笑)

「二壜のソース」 ロード・ダンセイニ
 ノース・ダウンズで一人の少女が行方不明になり、彼女と同棲していた男が殺人の疑いをかけられた。 だが警察が躍起になって捜しても、死体を発見することができなかった…。
 読んでてだいたい分かってしまう結末ですが(^_^;) 木を切り倒していた理由がなんというか……(-_-;)

「夜鶯荘」 アガサ・クリスティ
 アリクスは長い間ほのかに思いを寄せ合っていたディックに別れを告げ、出会って1週間しかたたない ジェラルド・マーティンと結婚した。ジェラルドのことは何も知らなかったが、幸せな結婚生活を送っていたアリクス。 だが、ある日ふとしたことから彼の秘密を知ってしまう…。
 女って(笑) すごい話ですけど、逆に全部アリクスの勘違いだったらなんて思うと怖いかも(^_^;)



「世界短編傑作集 4」 江戸川乱歩 編(創元推理文庫 1961.4.7)
 江戸川乱歩が選んだ、十九世紀末から第二次世界大戦後までの約一世紀の世界の傑作ミステリ短篇集。 全5巻。4巻には1930年代前半までの作品を9編収録。
 収録作品…
  「殺人者」アーネスト・ヘミングウェイ(米1899-1961)「三死人」イーデン・フィルポッツ(英1862-1960)
  「スペードという男」ダシール・ハメット(米1894-1961)
  「キ印ぞろいのお茶の会の冒険」エラリー・クイーン(米)
  「信・望・愛」アーヴィン・S・コップ(米1876-1944)「オッターモール氏の手」トマス・バーグ(英1886-1945)
  「いかさま賭博」レスリー・チャーテリス(米1907-?)「疑惑」ドロシー・L・セイヤーズ(英)
  「銀の仮面」ヒュー・ウォルポール(英1884-1941)


 ミステリと一口にいっても、この辺からさらにいろいろですね〜。だいたいすぐ結末は 分かっちゃうんですが、それでも楽しめるのがこの時代のミステリの良さでもありますか(^_^)  以下にお気に入りの感想を♪ 「銀の仮面」(ウォルポール)は以前の感想をどうぞ。第5巻に続きます。

「三死人」 イーデン・フィルポッツ
 西インド諸島バルバドス島で起こった奇妙な事件。農場主のヘンリイが銃で撃たれ、その上に折り重なるように 使用人のジョンが倒れて死んでいるのが見つかったのだ。その上、二人から遠からぬところで同じく使用人のソリイが 喉を掻き切られて死んでいたのだった……。
 ひどい話ですね〜(^_^;) できすぎかもしれませんが…この雰囲気がなかなか良いです。

「キ印ぞろいのお茶の会の冒険」 エラリー・クイーン
 知人のオーエンの家に招かれたエラリーだったが、オーエンは「不思議の国のアリス」の 帽子屋の扮装をしたまま行方不明になってしまう。ふとした出来事から真相に気付くエラリーだったが…。
 真相はいいとしても、エラリーちと悪ふざけがすぎるというか、凝りすぎというか(^_^;) でも、わりと好きです(笑)

「信・望・愛」 アーヴィン・S・コップ
 フランス、イタリア、スペインでそれぞれ罪を犯した3人の男たちは、護送中の列車から脱走に成功した。それぞれ自らの国の 刑罰の恐ろしさを逃れるため、逃亡する3人だったのだが…。
 結末は読めますが、どんなふうにそうなってしまうかが面白いというか残酷というか(^_^;) 皮肉な運命です。

「オッターモール氏の手」 トマス・バーグ
 ロンドンで起こっている連続絞殺事件は、人々を恐怖に陥れていた。犯人の手がかりさえつかめないまま、 7人もの人が殺された。一人だけ、真相に気付いた者がいたのだが…。
 これもオチは分かるかな…。ただこのねっとりと絡みつくような被害者の描写が、なかなかあくどくていいですね(^_^;)

「疑惑」 ドロシー・L・セイヤーズ
 最近なんとなく体調のすぐれないママリイ氏は、ある日除草剤の缶のふたがゆるんでいるのを見て あることを思い出した。リンカーンでの一家毒殺事件の容疑者がまだ捕まっていないのだった。 自分の症状が砒素中毒に似ているのに気付いたママリイ氏は、ふとある疑惑に駆られる…。
 知らなかった方がよかった真実なのでしょか。恐ろし(^_^;)



「世界短編傑作集 5」 江戸川乱歩 編(創元推理文庫 1961.5.12)
 江戸川乱歩が選んだ、十九世紀末から第二次世界大戦後までの約一世紀の 世界の傑作ミステリ短篇集。全5巻。5巻には第二次世界大戦後の1950年までの作品を9編と、 エラリー・クイーンが選ぶ秀作ミステリ20篇の紹介「黄金の二十」を収録。 収録。
 収録作品…
  「黄色いなめくじ」H・C・ベイリー(英1878-1961)
  「見知らぬ部屋の犯罪」カーター・ディクスン(米1906-1977)
  「クリスマスに帰る」ジョン・コリアー(英1901-1959)「爪」ウィリアム・アイリッシュ(米1903-1968)
  「ある殺人者の肖像」Q・パトリック(米)「十五人の殺人者たち」ベン・ヘクト(1893-1964)
  「危険な連中」フレドリック・ブラウン(米1903-1972)「証拠のかわりに」レックス・スタウト(米1886-1975)
  「悪夢」デイビッド・C・クック(米)「黄金の二十」エラリー・クイーン(米)


 最終巻♪ ミステリ半分、落とし噺半分(?)といったところでしょか(^_^;) 5巻全部読むと、 ミステリの変遷とゆ〜のがざっとでも分かるのでいいですね。この巻の最後には、エラリー・クイーンの選んだ 最も重要な短篇集10冊、長編が10冊、紹介されてます。古いものではありますが、基本というか、これら 抜きにはミステリの歴史は語れないというものばかり。ちなみに私は前者が5冊、後者が6冊しか 読んでません…。ま、ぼちぼち(爆) 以下にお気に入りの短編を♪

「黄色いなめくじ」 H・C・ベイリー
 ベル署長に病院へ呼び出されたレジイ・フォーチュンは、溺死しそうになった兄妹について奇妙な話を聞かされる。 兄が妹をどうしても死なせなければいけないといって、池に投げ込んだというのだ。普段から奇妙な行動の目立つ 兄妹だったというのだが…。
 医者でスコットランド・ヤードの犯罪捜査部顧問でもあるレジイ・フォーチュンもの♪ 中編といっても いい長さですね。一見子供の異常な犯罪に見える陰惨な事件。でも、その裏にあるものは…。タイトルが ちと不気味な印象を残しますね。子供に優しいフォーチュン氏が唯一の救いという感じの暗いお話ですが、 こういうのはなかなか好きです(笑)  『フォーチュン氏の事件簿』未収録。

「爪」 ウィリアム・アイリッシュ
 元警部のモロウとその友人は、絶品の兎のシチューを出すロベール料理店で食事をしていた。モロウは 5年前にこの店で起こった、未解決の事件の話を始めた…。
 ホントに短いお話ですが、忘れがたいっつーかなんつーか(^_^;) いろんな意味で、知らない方が 良かったかも…。

「ある殺人者の肖像」 Q・パトリック
 まだ少年だった頃、友人のマーティン・スレイターの家に招かれた私は、そこである事件に遭遇する。 マーティンの父親のオリン卿が、巨大な金庫に閉じ込められて死んでしまうという事件だったのだが…。
 恐ろし(^_^;) 愛情べったりのオリン卿の、最後の決断がなんだか奇妙に切ない余韻を残すお話です。 作者はパトリック・クェンティンといった方が有名かな…。

「十五人の殺人者たち」 ベン・ヘクト
 トップクラスの医者15人が「Xクラブ」と自称している団体の会合は、他の医者達の間では長い間 神秘と羨望の的だった。私はある時、クラブの一員だった男にその一部始終を聞くことになる。それは 集まった医者達が、とある告白をする会議だったのだが…。
 恐ろしい告白…と見せかけて、というのがいいですね♪ こういうトリックも時には心和みます(^_^)

「危険な連中」 フレドリック・ブラウン
 犯罪者が脱走したという噂を聞いたベルフォンティーン氏は、駅にいた一人の男の様子を見てぎくりとする。 みすぼらしい洋服に赤い目…。どう見ても彼が脱走犯にしか見えなくなってきたベルフォンティーン氏だったが…。
 こういうほとんどばかばかしいくらいなお話は大好きです(笑) まさに危険な連中……(^_^;)



「世界鉄道推理傑作選1」 小池滋 編 (講談社文庫 S54.4.15)
 英米を中心に鉄道ミステリの傑作を集めたアンソロジー。1巻には6篇収録。
 収録作品…
  「ステッキの傷は?」M・M・ボドキン(アイルランド 1850-1933)
  「ロンドン中北鉄道の惨劇」V・L・ホワイトチャーチ(英 1868-1933)
  「盗まれたネックレース」V・L・ホワイトチャーチ(同上)
  「モアハンプトンの怪事件」作者不詳
  「オスカー・ブロスキー事件」R・オースティン・フリーマン(英 1862-1943)
  「列車にご用心」エドマンド・クリスピン(英 1921-78)


 鉄道…といっても現在のせわしないそれと違って、もっとのんびりとした時代。同時に ミステリものんびりしてるけど、この緩やかさがとてもいいんですよね(^_^) 好きな人間には たまりません。あとがきでは英国の鉄道の古今についても詳しく触れられていて、読みごたえが あります。乗ると密室になってしまう不便な客車のこと、時間に不正確なこととか…(笑) しかし 残念なことにこのアンソロジーは絶版です(-_-;) 全部いいんですが、 以下にお気に入りの作品など♪ 2巻へ続きます。

「ロンドン中北鉄道の惨劇」 V・L・ホワイトチャーチ
 ロンドン中北鉄道車内で外国人の死体が見つかった。どうやら窓から顔を出していてトンネルの壁に 激突したらしいのだが、不審に思った素人探偵ソープ・ヘイゼルは調査に乗りだす…。
 これと次の「盗まれたネックレース」は、菜食主義者で鉄道マニア(?)の素人探偵 ソープ・ヘイゼルの活躍するお話。どちらもけっこう私好みです。ヘイゼルがおかしいし…(笑)

「モアハンプトンの怪事件」 作者不詳
 モアハンプトンへ向かう列車内で、銀行員ラルフ・カーターと彼が持っていた大金が消え失せ、 列車内には大量の血痕が残っていた。素人探偵のセクストン・ブレイクが調査に乗りだすが…。
 このセクストン・ブレイクものは児童雑誌に連載された連作短篇で、 200人近い作者が4千にも及ぶ短篇を書いたもので、最後には誰が何を書いたのか不明とか…。 子供向けですが、なかなか味のある一編です♪

「オスカー・ブロスキー事件」 R・オースティン・フリーマン
 ダイヤモンド商人のサイラス・ヒックラーの元に、同業者のオスカー・ブロズキーが 彼の家とは知らずに立ち寄った。ブロズキーが商用でアムステルダムへ向かう途中と知った サイラスは、彼が大量に隠し持っているはずのダイヤモンドに目をつける…。
 ちょと長めのソーンダイク博士ものです♪ 今なら警察がやって当然の科学的捜査で 事件を難なく解決。初めから犯人の分かってる倒叙もの…というかこの作品がミステリ史上初めて 書かれた倒叙ものです。ソーンダイク博士の分析もさりながら、ころっと態度の変わる警部がいかにもでいいです(笑)

「列車にご用心」 エドマンド・クリスピン
 列車はボーレストン駅を出てクラフ駅についたが、何故かいつまでたっても発車しない。 不審に思ったフェン教授が尋ねると、なんと運転士が失踪してしまったというのだった。しかも 同じ列車に強盗容疑で追跡中の犯人が乗っているという情報があり駅は完全に包囲されていたのだが、 誰も出て行ったものはいないというのだが…。
 ジャーヴァス・フェン教授もの♪ あれよあれよという間に事件は解決ですが、話のそこかしこに 散りばめられてるユーモアがやっぱいいです(^_^)



「世界鉄道推理傑作選2」 小池滋 編(講談社文庫 日)
 英米の鉄道ミステリの傑作を集めたアンソロジー。2巻には8篇収録。
 収録作品…
  「信号手」チャールズ・ディケンズ(英 1815-70)
  「消えた臨時列車」コナン・ドイル(英 1859-1930)
  「消えた機関車の冒険」オーガスタス・ダーレス(米 1909-71)
  「八番目の明かり」ロイ・ヴィカーズ(英 1889-1965)
  「寝台急行列車の謎」フリーマン・ウィルス・クロフツ(英 1879-1857)
  「機関士室の犯罪」同上
  「とても静かな乗客」ポール・タボリ(英 1908-?)
  「ダックワース氏の夜の外出」マイケル・ギルバート(英 1912-)


 2巻も傑作ぞろい♪ こういう本を読みながら、列車にごとごと揺られて旅をしたいですね〜。 「信号手」(ディケンズ)と「消えた臨時列車」(ドイル)は既読ですけど、 きちんと感想書いたことがないので書いときます(^_^;) その他、以下にお気に入りなど♪

「信号手」 ディケンズ
 「おうい、そこの下の人!」私の呼びかけに不思議な戸惑いを見せた信号手は、以前から 奇妙な現象に悩まされていると語り始める。何か大きな事故の前触れに、いつも決まって 自分に何かを知らせるような幽霊を見るというのだ。その幽霊と同じ言葉で呼びかけた私に、 何かの暗合を感じたというのだが……。
 一度紹介したような覚えがあるんだけど…いっか(^_^;) とても有名な作品ですが、 何度読んでも背筋が寒くなるようなストーリー。最後の前触れの幽霊が、こんな皮肉な結末を 知らせていたとは…。繰り返すあの台詞が怖いです。

「消えた臨時列車」 コナン・ドイル
 別の事件で死刑宣告を受けた犯人が語り始めたのは、数年前に世間を騒がせた臨時列車消失事件の 真相だった。それはパリへ急ぐ紳士のために用意された臨時列車が、ケニヨン・ジャンクション駅とバートン・モス駅の間で 忽然と消えてしまった事件で、未解決のまま現在に至っているものだった。
 ホームズものではないですけど、とても面白い謎です♪ 既読なのに結末忘れてた…(^_^;)  当時はお金持ちのお客が、自分のために臨時列車を出してもらうことはよくあったとか。よっく 調べれば分かりそうなものですが(^_^;)、これはこれでとても楽しめました♪

「消えた機関車の冒険」 オーガスタス・ダーレス
 ある日私立探偵ソーラー・ポンズのもとへジェイミソン警部とグレイト・ノーザン鉄道の社長 マグウェイ氏がやってくる。話によると、シェフィールドへ向かう客の乗った臨時列車が 途中で姿を消してしまったというのだ。調査に乗り出すソーラー・ポンズだが…。
 というわけでソーラー・ポンズもの♪ 前の「消えた臨時列車」のパスティーシュというか…。 これもそんなにすごいというわけでもないですけど、なかなか好きです(^_^;)

「機関士室の犯罪」 フリーマン・ウィルス・クロフツ
 機関助士のグローバーは、何週間も前から機関士のデーンを殺したいと考えていた。 ある日その機会をえたグローバーは、巧妙に立てた計画のもと殺人を実行するのだが…。
 クロフツは2編入ってますが、どちらもノンシリーズ。こちらは倒叙ものですが、個人的に こちらの方が好きかな…。綿密に練った計画の思わぬ落とし穴。ホント、ばかばかしいような ことだけど、いいですね(^_^)

「とても静かな乗客」 ポール・タボリ
 アルゼンチンでは、かつて死体を運ぶ事がとても厄介だった。そこでこっそり死体を 乗客に見せかけて、遠くの駅で待っている叔父のもとへ列車に乗せて送ろうと 考えた人々がいたが…。
 ミステリじゃない上にナンセンスかもしれませんが、こういうのが一番好きですね(笑)  叔父さんかわいそう(^_^;)



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