さ 行
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坂口安吾 1906-1955
 不連続殺人事件 (1947)双葉文庫
笹沢佐保
 暗い傾斜角川文庫
島田荘司  1948-
 占星術殺人事件 講談社文庫
 異邦の騎士 講談社文庫
 御手洗潔の挨拶 講談社文庫
 展望塔の殺人 光文社文庫
 斜め屋敷の犯罪 講談社文庫
 御手洗潔のダンス 講談社文庫
真保裕一 1961-
 ホワイトアウト (1995)新潮社


た 行

高木彬光 1920-1995
 人形はなぜ殺される (1955)光文社文庫
 刺青殺人事件 (1948)ハルキ文庫
土屋隆夫
 土屋隆夫推理小説集成2 危険な童話/影の告発創元推理文庫


な 行

中井英夫 1922-93
 虚無への供物 (1964)講談社文庫
二階堂黎人 1959-
 地獄の奇術師講談社文庫
 ユリ迷宮講談社文庫
 軽井沢マジック 徳間文庫
 名探偵水乃紗杜瑠の大冒険実業之日本社
 奇跡島の不思議 (1996)角川書店
仁木悦子 1928-
 猫は知っていた 講談社文庫
 一匹や二匹 講談社文庫
 陽の翳る街講談社文庫
西澤保彦
 麦酒の家の冒険講談社文庫
西村京太郎 1930-
 殺しの双曲線 講談社文庫
法月綸太郎
 密閉教室講談社文庫
 法月綸太郎の冒険講談社文庫
 法月綸太郎の新冒険講談社ノベルス



「不連続殺人事件」日本推理作家協会賞受賞作全集3 坂口安吾 (双葉文庫 1995.5.15)
 昭和二十二年の夏。作家の私こと矢代寸兵は、友人の歌川一馬の招待で、妻京子と 名探偵巨勢(こせ)博士を連れ、人里離れた歌川家におもむく。そこには戦時中疎開していた 文壇の仲間たちが一同に会し、なにか不穏な空気が漂っていた。入り乱れる人間関係の中、 やがて恐ろしい殺人事件が起こり始める…。第2回日本推理作家協会賞受賞作。1947年。

 読み初めからもうわらわら人が出てきて、こりゃややこしいことになるぞと人間関係メモって おいて正解でした。頻繁に出てくる人だけで30人ちかくいます(^_^;)
 人里はなれた山奥の一軒家。集まるのは一癖も二癖もある人物ばかり。よくもまぁこんな人たち ばっかり闇鍋みたいに集めましたね(笑) これじゃ多少人死にが出るのも無理ないかなと いうような…。でも大勢死ぬわりに、みんなあっけらかんとしてます。サクサク殺されると いう感じで、もともと変な人たちだし一人二人減ってもあまり気にならないかも(ムゴイ(^_^;))  それでも個人的な好みから言わせてもらえば、死にすぎです(-_-;)
 とはいえ作者が犯人当て懸賞をかけるほど自信を持って書かれた作品ですから、 本格ミステリとしてはやっぱり優れた作品です(作者ちょっと顔出しすぎだとは思うけど(^_^;))  巨勢博士の推理にも無理がない。立て続けに人が死んでも「不連続殺人事件」であるというあたりの意味もいいですね。
 坂口安吾は純文学の方をちょこっと読んだ事があるのですが、やっぱ雰囲気 違いますね。くだけてるというか…。これはこれでとても読みやすくて面白かったです(^_^)



「暗い傾斜」 笹沢佐保 (角川文庫 S57.3.20)
 32歳の女社長汐見ユカは、独断で一人の発明家を雇い、社運を賭けた研究をさせていた。だが その噂が世間にもれ、株主総会は紛糾。ユカは窮地に追い込まれる。その上、しばらくして その発明家の死体が発見され、同じ頃もうひとつの死体が。ユカの同僚の松島は、自ら調査に 乗り出すが……。1962年。

 初笹沢作品です。膨大な作品の中からこれを選んだのは、『有栖の乱読』(有栖川有栖)という本で 紹介されていたからです。
アリバイトリックものなんですね。あ゙〜もうっ、男と女のどろどろはもういいい! 早く事件 起これ〜と思い始めた頃(^_^;)、ストーリーは急展開。ちゃんと本格なんですね〜。どろどろも すべて伏線なわけです。全体的に暗くてねとっとしてるけど、それを我慢できれば結構 納得できるお話です。こういうアリバイトリックって、ある意味衝撃的ですね。 トリックが見破られるきっかけになった久美子の話が、女としてみょ〜に納得できるのも怖い(ToT)  冒頭のシーンと最後のシーンがとても印象的でした。



「御手洗潔のダンス」 島田荘司 (講談社文庫 1993.7.15)
 名探偵、御手洗潔の活躍を描く短編集。4編収録。
 収録作品「山高帽のイカロス」、「ある騎士の物語」、「舞踏病」、「近況報告」


 このシリーズは以前から少し読んでいますが、久々に読む上ここで感想を書くのは初めてなので、 少々戸惑っています。御手洗氏をいったいどう紹介すればいいのか(爆) どちらにせよ、この シリーズは『占星術殺人事件』からです……よね?(^_^;) まあ短編集なので、支障はないです けども。一応(?)、変人で名探偵の御手洗潔と、その助手にして事件の記録者の石岡和己が 主人公ということに(^_^;) 以下に全部の感想。あっ、「近況報告」は割愛させていただきます(笑)  星座は御手洗氏と同じですが、私は個人的にどちらかと言えば石岡さんの方が好きです(*^^*) ……というか、彼の気持ちの方がよく分かる(^_^;)

「山高帽のイカロス」
 御手洗と石岡の住む横浜の事務所に、御手洗のファンだと言う男が訪ねてくる。最近、彼の友人の 画家が行方不明になってしまったと言うのだ。その画家は、人間は空を飛ぶことができると信じていた 奇妙な人物だった。だがその次の日、なんと彼はビルからビルへと渡された電線に引っかかって 死んでいるところを発見された…。
 こういう突拍子もない話は好きですね♪ 8階の壁にくっついた、階段もないドア。飛ぶ人間が 出入りしてるんだって考える方が夢はあるけど…(^_^;) 現実は厳しい。どうでもいいけど、重い 活字の箱を持たされてる石岡さんが笑えます〜(笑)

「ある騎士の物語」
 知り合いの女性デザイナーの結婚式に出席した石岡は、彼女が過去に関わったある殺人事件の話を 聞かされる。彼女とその友人たちを裏切った男が、何者かの手によって謎の殺され方をしたのだが、 15年たった今も真相は分からないままだった…。
 東京の地理には詳しくないので、説明されても、ああ、そうすれば可能なのね、って感じですが。 すごいといえばすごいトリックですね(^_^;) いや……そういう女性は私もキライですが?(^_^;)

「舞踏病」
 御手洗の下に、夜中になると踊りだす老人を下宿させているという男が相談にやってくる。特に 害があるわけでもないが、騒々しいし不気味なので困っているという。しかも老人を下宿させるだけで、 彼には莫大な金が支払われているというのだ。興味を抱いた御手洗は、さっそく調査に乗り出す……。
 変なヒトと一緒に暮らすって、大変ですね〜(笑) これも、結末を聞かされてただ感心するばかりの ストーリー。大仕掛けなストーリーですね〜。踊る老人にそんなワケがあって、そこからあんな話に なろうとは(^_^;) ここまで来ると、もうミステリじゃない……。でも、こういう脱線(?)も悪く ないですね。いつもながら、御手洗さんの大ボラには笑えます(笑) しかし、主婦の真似をするやら 浮浪者に混じるやら……彼って一体(爆)



「ホワイトアウト」 真保裕一 (新潮社 1995.9.20)
 日本最大の貯水量を誇る奥遠和ダムの運転員として勤務する富樫輝夫は、3ヶ月前雪山の遭難事故で 同僚で友人の吉岡を亡くしていた。彼の最期を伝えたいと吉岡の婚約者だった千晶がダム見学に 来るのを待っていた矢先、事件が起こる。奥遠和ダムが乗っ取られ、所員や下流の市町村を人質に 犯人グループが50億円を要求したのだった。難を逃れた富樫は、同僚たちと千晶を救い出すべく、 厳寒期の雪山を単身ダムに向かう…。1995年。

 今更ですが、初真保裕一。映画はもちろん、見てません(^_^;)
 すごいストーリーですね。極寒の中、たった一人で犯人グループに立ち向かう富樫。 同僚を助けられなかった責任をずっと感じつづけて…。雪山の厳しさが、ただでさえ大変な事件の 緊迫感をいや増します。スケールの大きいサスペンスですね〜。ちゃんとどんでん返しも待ってるし。 ここまで期待してなかったです。素晴らしい(T_T) 雪山の話は好きなので、妙に感動してしまう シーンも…。
 それにしても富樫がなんかもうすごすぎるし(笑)ちょと出来すぎかな〜と感じた 部分もあるにはあるんですが、この迫力とスピードにのまれてぐいぐい引きずられてしまいますね。 けっこう長いけど全然そうは思えないし。冬に読むといい雰囲気ですけど、やっぱ寒いかも(笑)  細かい部分をあれこれ言うよりはもう、ホントに楽しめた作品でした♪



「土屋隆夫推理小説集成2 危険な童話/影の告発」 土屋隆夫 (創元推理文庫 2000.9.14)
 土屋隆夫の長篇2編を収める作品集。「危険な童話」(1961)、「影の告発」(1962)

 初土屋隆夫です(^_^) 作者が地元の長野県立科町在住なので、一度は読みたいと思ってました。 作品中にも行ったことのある場所がたくさんでてくるので、知らない場所の物語とはまた別の 感慨がありました(^_^) でも、この2作は続けて読まないほうがいいかもしれないな〜(^_^;) 以下に二編の感想♪

「危険な童話」
 ピアノ教室を開いている木崎江津子宅で、5年服役して刑務所から出てきたばかりの男性が 殺された。事件の担当になった木曾刑事は、ふとしたことから江津子が犯人ではないかと 疑い始める。だが目撃者もなく、肝心の凶器も発見されない。やがて、第二の殺人事件が……。
 犯人探しというより、証拠固めが主なストーリーなんですね。各章の冒頭にかかれている童話が、 後に重要な意味を持ってきます。簡単そうに見えた事件も、一見何の関係もなさそうな 二人目の死者が出て、複雑になってくるんですが…。トリックはわりとすぐ分かったんですが決して 単純とはいえないし、最後まで分からない犯行の動機も納得だし、とても面白かったです。何より 上田城とか妙義山とか、行ったことのある場所が事件の舞台だと、リアリティも全然違って 見えるから不思議なものです(^_^;

「影の告発」
東都デパートのエレベーターの中で、光陽学園高校の校長城崎達也が殺された。死に際に 「あの女がいた…」という謎の言葉を残して。千草検事は、現場に落ちていた名刺から容疑者を 絞り込む。だが、もっとも怪しいとにらんだ人物には、完璧なアリバイがあった……。
 簡単に言えばアリバイトリックものですね〜。雰囲気は前の作品よりも好きです。各章の冒頭の、 正体不明の少女のモノローグが幻想的な感じでいいですね(^_^) 完璧に見えたアリバイが ちょっとしたことから次々に破綻していくところは面白いですね。ホントにこんなこと できるのかな〜、というのもあるんですが、作者はトリックをできるかどうか全部試してみる そうですから、できるんでしょう(^_^;) ラストもなかなかいいですね(^_^)
この作品も、冒頭の東京のデパート内で交わされる田舎中学生の会話が全部信州弁だったりするので、 思わず苦笑してしまいました(^_^;) あまりストーリーと関係ない、小諸の懐古園の描写も なかなか好きです(爆)



「虚無への供物」 中井英夫 (1994.3.15 講談社文庫)
 1954年、陰惨な事件ばかりが世間を騒がせていた年、シャンソン歌手の奈々村久生とその友人の亜利夫は、 代々宝石商を営む氷沼家の人々と懇意になった。氷沼家は代々不幸な最期を遂げるものが多く、 つい先日船の事故で4人の身内を失ったばかりだった。何か裏に陰謀があるのではないかと疑い、 探偵の真似事を始めた久生と亜利夫。だがそんな彼らの前で、氷沼家の次男紅司が 密室で変死体となって発見されるという事件が起こる…。1964年。 →本の詳細

 いろんな意味で名作と名高い本作。戦争の記憶もまだ生々しく、世間でも 心寒くなるような事件ばかりが起こっていた年。暗い過去を持つ氷沼家を舞台に、まさに 推理小説を地で行こうというような久生たちの行動。そして起こる密室殺人…。 とはいえきちっとした本格ミステリかというと、素人たちの推理はどこか横滑り、 その間に容疑者はどんどん死に、奇妙な暗合は本当に暗合なのかも謎のまま…。
 うーん、個人的にはほとんど先入観なしで読んだ (アンチ・ミステリだなんてことはすっぱり忘れていた(爆)) のですが、正直ちょいとばかり微妙でした。アンチ・ミステリ自体は別段嫌いじゃないと思うのですが、 たぶんこういうアンチ・ミステリ微妙なのです。( 言い回しも微妙だが(^_^;))
 後半の、犯人(というか…)指摘の場面の蒼司の言葉などは本当に深く重く考えさせられるものが ありますし、ここを描きたいがための過程というのも分かるのですが…。前半はけっこう楽しんでいたのですが、 なんか牟礼田の小説乱入が納得いかないというか(笑)
 まぁ、しかし、やはりすごい作品ではありますね。読んでいる間中、全体に妙に作り物っぽさというかケレン味というか、そんな感じが漂うのは何故だろうと ずっと気になっていました。人物も次々起こる事件も、面白いのだけれどどこかそんな感じがつきまとう。 それも虚無への供物ということなのですね…。その根幹にあるものが、いつまでも古びない作品であることは 間違いなさそうです。



「奇跡島の不思議」 二階堂黎人 (角川書店 96.12.25)
 如月美術大学のサークル"ミューズ"の一行は、鹿島灘に浮かぶ孤島"奇跡島"へ向っていた。 そこには戦前に龍門家という富豪が建てた白亜の館と呼ばれるいわくつきの奇妙な館があり、邸内は 高価な美術品であふれんばかりだった。美術品の鑑定の手伝いを依頼されていた一行は1週間の 予定で島に滞在することになるが、やがて次々に殺人事件が…。1996年。

 孤島に建つ、ガウディのサクラダ・ファミリアを模した奇妙な館"白亜館"…。怪奇的な 雰囲気はホントに良いですよね。クローズド・サークル。怪しい館。も〜これでもかと出てくる美術品の数々。 そして、館にまつわる不可解な謎。犯人も分からないまま、繰り返される殺人…。いいですね〜。 たとえ文章がちょっとばかりもにゃ…でも、 状況に説得力が少々もにゃ…でも、この陰惨で不気味な空気に 浸るためならいいですね。犯人はわりとすぐ分かるかも…。密室殺人の解答も、少々突飛過ぎるよ〜な (^_^;)
 でも意外な人物が探偵役だった(他の二階堂作品を読んでいればバレバレですが…)ので 嬉しかったです(*^^*) 長いんですがさらさら読めるので、いろいろ気になる点はあっても この雰囲気が好きなら楽しめますね♪ この作品には別バージョンがあるそうですが…… 私はこれで十分かな(笑)



「一匹や二匹」 仁木悦子 (角川文庫 S62.1.25)
 仁木悦子の本格ミステリ短編集。5編収録。
 収録作品……「一匹や二匹」、「坂道の子」、「サンタクロースと握手しよう」、「蒼ざめた時間」、
       「縞模様のある手紙」


 どこかほのぼのと心温まる仁木作品。でもちゃんと本格してるし、いいですね〜(*^^*) どれも みなどこにでもいそうな普通の人たちが被害者で犯人で探偵役なのに、ぐっとひきつけられるものが あります♪ 読後感がさわやかなのもいいです(*^^*) 以下にすべての感想を。

「一匹や二匹」
 コーヒーとオバQこと、杉岡と橡の小学4年生コンビは、学校からの帰り道、2匹の子猫を見つけた。 誰かに飼ってもらおうと飼い主を探し始めた二人は、とんでもない事件を目にすることになる……。
 コーヒーとオバQのコンビが少年探偵団ぽくて微笑ましいです♪ タイトルの意味が分かった時、 心がじわ〜っと温かくなるような(*^^*)

「坂道の子」
 勤めの行き帰りに、杉子がいつも坂のあたりで見かける寂しそうな男の子。ある日その子が 行方不明になり、別の家に脅迫電話がかかる。彼は別の家の子と間違えられて誘拐されてしまったの だった。子供を助けるために、杉子は独自に調査を始めた…。
 このシチュエーションがなかなか面白いですね〜(*^^*) 未来を予感させるような、素敵なラスト です♪

「サンタクロースと握手しよう」
 息子が出ることになった幼稚園の劇を見に行った浅田夫妻は、殺人事件に遭遇してしまう。被害者の ために、事件解明に一人で乗り出した浅田夫人だったが……。
 普通の奥さんが事件解明に乗り出してしまうところがいいですね(^_^;) サンタクロースに扮する お父さんたちもいいです。これもラストはちょとほのぼの〜(*^^*)

「蒼ざめた時間」
 2月14日、啓介は新宿の街を歩きながら、去年のバレンタインデーにチョコレートをくれた恋人の ことを思い出していた。と、彼は突然呼び止められ、見知らぬ女性にいきなりチョコレートを渡される。 寂しいという彼女の家に招かれる啓介。だが、それは罠の始まりだった…。
 こういうのはけっこう好きなお話です(*^^*) 展開も早くて楽しいです。小技ですけどトリックも いいですね〜。

「縞模様のある手紙」
 三日ばかり前のこと、絹子は夫がやっている翻訳事務所へ来た客から、井岡という男を捜していると いう話を聞く。その男は、絹子が以前知り合いを見舞いに行った時、同室に入院していた男に良く似て いるような気がしたのだが…。
 ちょっと込み入った話なのですが、終わってみればすっきりと(*^^*) これもやっぱりふつーの 奥さんが探偵を。とてもさわやかなラストです。タイトルが一瞬「?」ですが、読んでるとすぐ 分かりますね(*^^*)



「陽の翳る街」 仁木悦子 (講談社文庫 S59.8.15)
 とある小さな商店街に、「モザイクの会」という推理小説研究会があった。 菓子店の娘、青瀬悠子、大学生の高城寺拓、書店店主の数々谷浩平、フリーライターの 有明留美。4人はいつものように、新聞に載った事件をもとに推理合戦をして楽しんでいた。 だがその帰り道、彼らは本物の殺人事件に遭遇する…。1982年。

 記憶喪失になって、とあるお金持ちの家に住み込みで働いていた被害者。過去を一切失った 彼女が殺されなければならない理由はなんだったのか…。小さな街の商店街を舞台にした、 心温まるミステリです(*^^*) いくつもの事件が絡んでかなり複雑になってきて、おまけに モザイクの会の面々もそれぞれの事情があって、なかなか真相が見えてきません。事件と事件、 人と人の繋がりがちょとできすぎかなという感じが残るのですが、それだけ全てがきれいに まとまってるということなんですね。でもこの作品でなによりいいのは、商店街に密着した ストーリー展開でしょう♪ こういうさわやかで心温まるミステリ、大好きです〜(*^^*)
 最後になりましたが、こんな素敵な本を下さったSSさん、ありがとうございました♪



「麦酒の家の冒険」 西澤保彦 (講談社文庫 2000.6.15)
 ドライブの途中ガス欠になり、タックこと匠千暁たち4人は、助けを求めて山の中を歩きつづける はめに。やっと見つけた別荘らしき建物は人の気配もなかったが、疲れ果てた4人はガラスを割って 中へ転がり込む。だが、家具も何もないがらんとした建物の中で彼らが発見したのは、何故かきちんと 整えられたシングルベッド。そして、クローゼットの中に隠すように置かれた大型冷蔵庫。しかも その中にはなんと、冷え切ったヱビスビールのロング缶が96本。冷凍庫には、凍らせた13個の ビールジョッキ。この不可解な謎に、4人が酩酊しつつ出した答えとは……。1996年。

 匠千暁シリーズ3作目(作中の時間順だと2作目)です、が、知らずにこれを先に…(^_^;)  これは典型的な安楽椅子探偵もの、ですね(*^^*) 偶然迷い込んだ怪しい一軒家に、大量のビールと 一つのベッド。推理材料はそれだけ(……とも言い切れないんですが、まあそういうことに(^_^;))
 そこからタックたち4人は、ああでもないこうでもないと、「麦酒の家」の謎の解答を論理だけで 組み立ててゆくわけです。机上の空論、と言っちゃえばそれまでなんですけども、最初は隙だらけ 穴だらけだった彼らの解答がだんだん完璧になものになってゆく過程は、好きな人にはたまらない ですよね。美しいとさえ言えますね(*^^*) 確かにタカチが最後に言っているように、これは みんなビールの泡のようなもの、でも、泡のないビールなんて(笑)
 何よりもこのストーリー、ビール党にはたまらないでしょ〜。2時間も歩きに歩いて咽喉が カラカラなところへ、冷えに冷えたヱビスのロング缶96本ですよ〜(笑) ご丁寧に、凍った ジョッキ付き(*^^*) 読んでる間じゅう、ビールビールビール……(T_T)と 考えずにはいられなかった ですね♪ (ここだけの話、ビール党じゃない私でもです(^_^;)) お嫌いでない方は、ぜひビールを 用意して楽しんでいただきたい本です。ところで私が真っ先に考えた疑問は、何故ヱビス ……(-_-;)?だったんですけど、それはどうでも良かったみたいで…(^_^;) その疑問は、 二階堂黎人の「ビールの家の冒険」(『名探偵水乃紗杜瑠の大冒険』収録)で(笑)。




「密閉教室」 法月綸太郎 (講談社文庫 91.9.15)
 ある朝、高校の自分の教室7Rのドアを開けようとした梶川笙子は驚愕した。ドアが開かないのだ。 そこへやってきた担任の教師がドアを開くと、中では中町というクラスの男子生徒が無残な死を 遂げていた。しかも不可解なことに、48組あったはずの机と椅子がすべて消え失せていたのだ……。 推理小説マニアの工藤は、警察に協力して事件の謎に挑むが……。ノンシリーズ。1988年。

 作者のデビュー作ですね〜。短編しか読んだことがないのでなんとも言えませんが、以降の作品とは ちょっと雰囲気が違うような気がします。教室の真中に、どう見ても自殺に見える死体がひとつ。 教室は内側からガムテープで目張りされている。何故か机と椅子がすべてなくなってる上、どこを 探しても出てこない、というかなり魅力的な謎が目白押しです(^_^) 謎の回答はまぁ うなずけるとしても、全体的に芝居がかってて、事件がおおごとになりすぎてる気がするけど(^_^;)  工藤が最後にハナをあかされるところにしても、なんか後味悪い気がします。こんだけ魅力的な謎が あるのにもったいない。でも、全体的には悪くなかったです。このちょっとづつ章が切れてる形式も だらだら引っ張ってなくて好きです(^_^) 他の作品も読んでみたいですね〜♪


「法月綸太郎の冒険」 法月綸太郎 (講談社文庫 95.11.15)
 推理小説家で名探偵、法月綸太郎が難事件を解決する短編集、7編収録。1990〜1992年。
 収録作品…「死刑囚パズル」、「黒衣の家」、「カニバリズム小論」、「切り裂き魔」、
       「緑の扉は危険」、「土曜日の本」、「過ぎにし薔薇は…」


 前に1,2編読んではいますが、法月綸太郎シリーズをまとめて読むのは初めてです♪ やっぱり クイーンを彷彿とさせますね(*^^*) それで親近感など感じてしまいます〜。でもこれ、 古今東西のミステリ事情にちょっとは通じてないと、心底楽しめないかな〜。でも逆に、ネタが 分かると妙に嬉しかったりするのは、既に病気……?(^_^;) パズラー好きにはたまらない 短編集かもしれませんね♪ まとめてざっと感想を。特に図書館シリーズ好きです(*^^*)。


「死刑囚パズル」
 …は、死刑執行寸前の男が毒殺されるという不可解な事件。中編ですね。犯人は 分かりましたが、そんな動機とは。死刑について考えさせられる作品ですね……。

「黒衣の家」
 父親の葬式に集まった家族の間で、過去の争いが蒸し返される。だが、争いの中心 だった母親が何者かに毒殺されるという事件が…。
なんだか胸の痛くなるような事件だけど、オウムの小細工(?)にはにやりとさせられます(笑)

「カニバリズム小論」
 恋人を殺し、以後5日間に渡ってその肉を食べ続けた男の動機とは…。
 それも異常といえば異常ですが、最後にあんなオチがあろうとは。

「切り裂き魔」
 区立図書館所蔵の、ミステリ作品の扉ページが何者かに切り取られるという事件が 続発。
これは、ミステリ読みとしては許せないっ!(真相の方が(^_^;)) 私は幸い今までに そんな目にはあわずに、楽しくミステリを読んでこられましたけども(*^^*) これからもそうだと いいなぁ(^_^;)

「緑の扉は危険」
 死後は蔵書を全て図書館に寄付すると、遺書に記して自殺した作家。でも、その妻が 何故か強硬に反対して……。
 これ、なんか好きですね〜♪ 本でいっぱいの家を思い浮かべてしまう からかも(^_^;) 人海戦術のトリックはつらいかな……(^_^;)

「土曜日の本」
 綸太郎が依頼された競作のテーマは、50円玉20枚の謎。同じ書店にいつも 50円玉20枚をもって現れ、1000円札に両替してもらう男の目的は一体……?
 これ創元推理文庫から出てたやつですよね〜。読んでませんが、すっきりした解決は無理じゃ ないかな〜。悩みだすと眠れなくなりそうなので、悩まないことに(^_^;) 覆面作家の正体が 意外でした(笑)

「過ぎにし薔薇は…」
 毎日図書館にやってきては、手当たり次第本の小口を覗きながら無造作に 本を借りていく女性。彼女には一体どんな目的が…?
 そんなことするか〜(-_-;)という感じですが(爆)、なんか悲しみの漂うお話ですね。本の 各部の名称はよく知りませんが、なんか最後はちょっとぞっとしました。



「法月綸太郎の新冒険」 法月綸太郎 (講談社ノベルス 99.5.5)
 推理小説作家の法月綸太郎が活躍する短編集。6編収録。
収録作品…「イントロダクション」、「背信の交点」、「世界の神秘を解く男」、
「身投げ女のブルース」、「現場から生中継」、「リターン・ザ・ギフト」


 まさに全編本格ミステリですね♪ レベル高いです〜(^_^) 以下にお気に入りの感想を♪

 「背信の交点」
 松本からの「あずさ68号」に沢田穂波と乗車していた法月は、前の席の 夫婦の様子がおかしいことに気付いた。夫の方が、明らかに服毒と見られる状態で 死んでいたのだが、事件はそれだけでは終わらなかった…。
 う〜む、このミステリでしかありえないようなフクザツな関係(^_^;) でも、 すんなり決まってるんですよね。これが一番好きかな〜。

 「世界の神秘を解く男」
 TV局の超能力特番にゲストとして出演することになった法月は、 ポルターガイスト現象が起こっているという家に赴いた。だが撮影中、超心理学者の 教授が謎の死を遂げる…。
 複雑な世の中だ(-_-) しかし、倫太郎は最初から出演断ればよかったのに、と思うのは 私だけでしょうか(^_^;)

 「身投げ女のブルース」
 警視庁捜査一課の葛木警部は、身投げしようとしている女に出くわし、彼女を説得することに 成功した。その後の捜査で、彼女はある事件に関係していることが明らかになる。 事件は解決したかに見えたが…。
 これも状況が出来すぎているようないないような。でも悪くないんですよね〜。あんなことから 真実が露呈されようとは。恐るべし警察……(^_^;)

 「現場から生中継」
 幼児連続殺人犯が逮捕された中継現場から携帯電話をかける男の映像。別の殺人事件の 容疑者となった男が、事件のあった時間にはその中継現場にいたと主張する。出来すぎた アリバイに、法月はトリックではないかと調査を始めるが…。
 これもいいですね♪ 最後のどんでん返しが♪ わりとすぐ分かってしまいましたが、 お気に入りの一編です。

 「リターン・ザ・ギフト」
 ホステス殺害未遂事件の容疑者として逮捕された男が、最近妻を殺害された ことが判明。交換殺人として捜査が開始されるが、妻を殺したとされる男は行方不明になっていた。
 う〜む(-_-)、交換殺人。こんなことミステリ好きでもなきゃ考えつきそうもないけど……(^_^;)  でもわりとお気に入りの一編です♪



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