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赤川次郎
 三毛猫ホームズの推理角川文庫
 幽霊列車角川文庫
 おやすみ、テディ・ベア角川文庫
 たとえば風が角川文庫
飛鳥高 1921-
 細い赤い糸双葉文庫
我孫子武丸
 8の殺人講談社文庫
 殺戮にいたる病講談社文庫
 0の殺人講談社文庫
綾辻行人 1960-
 十角館の殺人講談社文庫
 水車館の殺人 講談社文庫
 迷路館の殺人 講談社文庫
 人形館の殺人 講談社文庫
 時計館の殺人 講談社文庫
 黒猫館の殺人 講談社文庫
 緋色の囁き 講談社文庫
 暗闇の囁き 講談社文庫
 黄昏の囁き 祥伝社文庫
 霧越邸殺人事件 新潮社文庫
 殺人方程式 光文社文庫
 フリークス 光文社文庫
 眼球奇譚 集英社文庫
 どんどん橋、落ちた 講談社
鮎川哲也 1919-2002
 ペトロフ事件 (1950) (鬼貫警部シリーズ1)光文社文庫
 りら荘事件 (1956)講談社文庫
 黒いトランク (1956) (鬼貫警部シリーズ2)角川文庫
 朱の絶筆 (1976) 祥伝社文庫
 密室殺人 短編集集英社文庫
有栖川有栖 1959-
 月光ゲーム (1989) (江神シリーズ1) 創元推理文庫
 孤島パズル (1989) (江神シリーズ2) 創元推理文庫
 マジックミラー (1990) (ノン・シリーズ)講談社文庫
 双頭の悪魔 (1992) (江神シリーズ3) 創元推理文庫
 46番目の密室 (1992) (火村シリーズ 1)講談社文庫
 ダリの繭 (1993) (火村シリーズ2)角川文庫
 ロシア紅茶の謎 (1994) (火村シリーズ3/国名シリーズ 第1弾)講談社文庫
 海のある奈良に死す (1995) (火村シリーズ4)角川文庫
 スウェーデン館の謎 (1995) (火村シリーズ5/国名シリーズ 第2弾) 講談社文庫
 ブラジル蝶の謎 (1996) (火村シリーズ6/国名シリーズ 第3弾) 講談社文庫
 英国庭園の謎 (1997) (火村シリーズ7/国名シリーズ 第4弾)講談社ノベルス
 朱色の研究  (1997) (火村シリーズ8)角川書店
 ペルシャ猫の謎 (1999) (火村シリーズ9/国名シリーズ 第5弾)講談社ノベルス
 幽霊刑事 (2000) (ノン・シリーズ)講談社文庫
 暗い宿 (2001) (火村シリーズ10)角川書店
 絶叫城殺人事件 (2001) (火村シリーズ11)新潮社
 マレー鉄道の謎 (2002) (火村シリーズ12/国名シリーズ 第6弾)講談社ノベルス
 スイス時計の謎 (2003) (火村シリーズ13/国名シリーズ 第7弾)講談社ノベルス
 白い兎が逃げる (2003) (火村シリーズ14)カッパ・ノベルス
 モロッコ水晶の謎 (2005) (火村シリーズ15/国名シリーズ 第8弾)講談社ノベルス
 乱鴉の島 (2006) (火村シリーズ16)新潮社
 女王国の城 (2007)(江神シリーズ4)東京創元社
泡坂妻夫
 亜愛一郎の狼狽創元推理文庫
 亜愛一郎の転倒創元推理文庫
 亜愛一郎の逃亡創元推理文庫
 しあわせの書−迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術−新潮文庫
歌野昌午
 葉桜の季節に君を想うということ (2003)文藝春秋
江戸川乱歩
 幽霊塔春陽堂文庫
 月と手袋春陽堂文庫
 江戸川乱歩傑作選新潮文庫
小沼丹 1918-96
 黒いハンカチ (1958)創元推理文庫
折原一
 七つの棺 (黒星警部シリーズ短編集)創元推理文庫
 丹波家殺人事件 (黒星警部シリーズ)講談社文庫
 鬼面村の殺人 (黒星警部シリーズ) 光文社文庫
 猿島館の殺人 (黒星警部シリーズ) 光文社文庫
 黄色館の秘密 (黒星警部シリーズ) 光文社文庫
 模倣密室 (2003)(黒星警部シリーズ短編集)光文社文庫
 倒錯のロンド講談社文庫
 「白鳥」の殺人光文社文庫
恩田陸
 三月は深き紅の淵を講談社文庫
 ドミノ角川書店


「細い赤い糸」日本推理作家協会賞受賞作全集15 飛鳥高 (双葉文庫 95.5.15)
 水道公団に勤務する戸塚は、汚職の摘発が自分に及ぶのを恐れ、上司の殺害を決意する。 自殺に見せかけ殺すはずだったのだが……。
 用意周到に仕掛けられるはずだった罠と、無関係に見える、4つの死…。だがそこに見え隠れするのは、 1本の赤い糸だった。1962年。第15回日本推理作家協会賞受賞作。


 いいですね。ミステリとしてもいいですけど、最後に残る行き場のない余韻が……。 書かれた時代の古さを感じさせないのは、人の心が変わっていないからなんですね。 それは、悲しむべきことなのかもしれませんが……。
 一見何のつながりもないように見える4つの死が、どこかでつながっているということは、 見えそうで見えません。最後にふわりと浮かび上がる、すべてをつなぐ真実。このつなげ方が絶妙ですね〜。
 すべての原因は、たぶん誰でも…実行しないまでも胸の内に抱えているような思いなんですよね。 それが、こんな風につながってしまったから。そして一つにつなげてしまうことで、最後にすべてが 断ち切られてしまう……。どうにもやりきれなくなるお話ですが、最後に"細い赤い糸"が 明らかになる瞬間にはぞくりとさせられました。赤い糸、というのがなんとも皮肉。 人と人とをつないでいるのが、こんな赤い糸だとは思いたくないけれど…。 いろいろ考えさせられる、深い味わいのある作品でした。



「8の殺人」 我孫子武丸 (講談社文庫 92.3.15)
 アラビア数字の“8”の形をした屋敷で、不可解な殺人事件が起こる。速水警部補と 木下刑事が事件の捜査に当たるが、容疑者には今ひとつ決め手がない。速水警部補の、 ミステリマニアの弟慎二と妹いちおが事件の解決に乗り出そうとした矢先、第二の悲劇が。 それも、またしても不可能と思われる殺人だった…。1989年。

 初めて読む、我孫子武丸作品です(^_^;) いいですね、このユーモア(*^^*) 速水警部補 &木下刑事の少々やりすぎとも思えるドタバタコンビ、すごく楽しいです(笑) こーゆー 軽く明るいノリ、大好きです〜♪ でもちゃんと本格ミステリしてます。ボウガンで 殺される蜂須賀建設の副社長。目撃者が二人もいて、容疑者はすぐに逮捕されますが……。 実はこれ、トリックは最初の殺人も次のもすぐ分かっちゃったので(^_^;)、ちょっと意外なのは 犯人くらい(?)でした。8の字形の屋敷ゆえのトリックっていうので、もっとものすごいの(?)を 期待してたんですけど(爆) ミステリとしてはまあまあかな〜でしたけど、これだけ楽しければ 別にいいです(笑) やっぱり古今東西のミステリを読んでいた方が、慎二&いちお兄妹の ミステリ談義も分かって楽しいでしょうね。『三つの棺』とか…ディクスン・カーの諸作品なんか特に。 というか、ここまでカーの作品に触れていると、読んでないとそれほど楽しくないのではという 気も…。やっぱり、海外古典は基本なんですね〜。もっとも、読んでいてもトリックから何から すっぱり忘れてる私など論外ですが(^_^;) 2作目『0の殺人』へ続きます↓



「0の殺人」 我孫子武丸 (講談社文庫 92.9.15)
 速水警部補は、木下刑事からの電話でたたき起こされた。富豪の藤田カツの家で、毒殺事件が 起こったのだった。だが警察は犯人を特定できず、容疑者と目されていた人間も不可解な死を遂げる。 速水警部補は、弟慎二と妹いちおに助言を求めるが…。1989年。

 速水三兄妹シリーズ、2作目です。冒頭の「作者からの注意」(と書いてはあるけど、事実上 読者への挑戦…もとい、挑発ですね(^^;)) を読んでしまったら、意地でも犯人当ててやる、 という気になるでしょ〜。でも、それがねぇ……(^_^;) 結末には、そんなばかなと思いつつ にやりとさせられてしまいます(*^^*) いいですね、ここまでやってくれるともう、笑うしかないです。 速水三兄妹をはじめとする登場人物も、相変わらず笑わせてくれますね(^_^) ホントに楽しい ミステリです♪ 個人的に、爆弾魔の犯行声明が大好きです(爆)



「殺戮にいたる病」 我孫子武丸 (講談社文庫 96.11.15)
 夜の街で猟奇的な殺人を繰り返す、蒲生稔。息子が殺人鬼なのではないかと疑う、蒲生雅子。そして、稔に恩人の看護婦を殺された元警部、樋口。凄惨な殺人をめぐって交錯する物語の果てに 明かされる、衝撃の結末とは……。1992年。

 …………(^_^;) スゴイお話、ですね。いろんな意味で。情けないけど、血の気が引いて読むの飛ばした部分が一ヶ所(一ヶ所だけか(笑))。ここまで書く必要ない!と個人的に断言したい、 むごたらしい猟奇殺人の、最低で最悪な(すいません、言い過ぎかもです(^_^;))描写が続いて……(T_T) でも、それでも、堪えただけのことはあったと思える、あの結末。途中で「…?」と 思うような会話はいくつかあったけども、まさかそんなこととは(^_^;) 最後の雅子の一言で全てが明らかになった時の驚きは、それまでの悪夢のよーな殺人で受けた衝撃の比ではないです。ミステリが 好きだから、そう思えるのかもしれませんが(^_^;) あの殺人の克明な描写は、単なる煙幕みたいなものだったんだ〜。それでも、読めないものは読めない!(T。T)
 分かってみれば単純ですが、ホントにすごいトリックです。でもこれ、日本だからこそ説得力を持つんですね。病んでいるのは個人だけではないのかもしれないと思うと、それもまた戦慄の物語。
 それはそうと、あの歌(好きだったんですけど(T。T))が流行って、あの殺人事件が世間を騒がせていた(作品参照(笑))頃はまだ私、高校生(中学生かな(^_^;))だったのだなぁ(笑)と 思うと、それが妙に感慨深かったような…(^_^;) でもまあこーゆーのは十年にいっぺんくらい読めば、それでいーや……(T_T)



「十角館の殺人」 綾辻行人 (講談社文庫)
 K**大学ミステリ研究会の7人が訪れた角島では、半年前に凄惨な四重殺人事件がおきていた。 同島に立つ十角館に滞在する7人だが、やがて彼らの間にも連続殺人が起こる。助けを呼ぶことも できない孤島で、見えない殺人犯に一人ずつ殺されてゆくしかないのか…。

 館シリーズの第1作目。これは、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を 読んでからだと、もっと楽しめるのでは。犯人が意外で絶句してしまいました。まさかね…。 館シリーズでは、次に「時計館の殺人」が好きです。シリーズではないですが、「霧越邸殺人事件」 (新潮文庫)もいいです〜。




「フリークス」 綾辻行人 (光文社文庫 2000.3.20)
これは3編の連作推理小説、と言っても、共通しているのは舞台と、霧の中で迷っているような 不思議で独特な雰囲気だけ。いいですね。

「夢魔の手 313号室の患者」
 精神病棟に入院する母親を見舞う予備校生。彼はグランドピアノの蓋の中に隠されていた、 幼い頃の日記を発見する。そこに書いてあったのは、毎夜何者かに首をしめられる悪夢だった。 幼い『ぼく』を殺そうとするのは、いったい誰なのか…?
 読み終えてもいったい何が本当なのか、悩んでしまうお話ですね。『ドグラ・マグラ』の ような…。この目くるめくような感じがまたよいです。

「409号室の患者」
 交通事故にあって下半身を失い、顔もわからないほどの怪我を負った上、記憶喪失になって しまった「私」。自分はいったい誰なのか? 果てしない問いかけの結果、「私」は答えを出すが…。
 実は途中から気付いてしまったのですが、それでもすごいです。巧妙な叙述トリック……。

「フリークス 564号室の患者」
 J・Mを殺したのは誰か? 精神病患者が書いたミステリは、そんな風に終わっていた。自らの 劣等意識を解消するために、人体改造を行って自分より醜いフリークを創り出していたJ・M…。 彼に手術を施された子供たちのうちの一人が、ある日密室の中で彼を殺害した。それもとても むごたらしい方法で。J・Mを殺したのは、いったい誰なのか…。
 私はどちらかと言うと、スプラッタっぽいのは……別に気持ち悪くはないけど、ある程度 読むと、もう分かりました、とか思ってしまうのですけど……。でもJ・Mの死体がめちゃめちゃに なっていたのにもちゃんと理由があったなんて、フリークスの不気味さに気圧されて(それが 狙いなのでしょうね)、思いもよりませんでした。ラストはやっぱり怪しい雰囲気ですね。
それにしても、正常と異常の境界線、いや、境界線なんてないのかも。自分はまったく正常な 人間だと、断言できる人なんていませんよね。少なくとも私にはできません。疑ってるくらいが ちょうどいーんじゃないのだろうか。って、なんの話かとゆーのはこの本を読めば分かる…のか?



「ペトロフ事件」 鮎川哲也 (光文社文庫 2001.7.20)
 旧満州の夏家河子で、ロシア人の富豪イワン・ペトロフが殺されるという事件が起こる。 容疑者は三人の甥たちだったが、彼らにはそれぞれアリバイがあった。大連の警察に勤務する ロシア語が堪能な鬼貫警部は、事件の捜査に借り出される。地道な捜査を続ける 鬼貫警部の前に、彼らのアリバイは鉄壁に見えたが…。鬼貫警部シリーズ第1作目。1950年。 本の詳細

 鬼貫警部、初登場作品♪ でも、特に初登場という感じもしませんね。 旧満州が舞台です。大連や近郊の都市の描写が詳しくて、 旅情溢れる感じなのが良いですね〜。事件はわりと単純なのですが、容疑者たちのアリバイ崩しが 見所です♪ まぁあまり派手な展開もなく、ミステリとして結末も意外といえば意外なのですが 台無しといえば台無しな気もし(笑)、悪くはないのですけど、個人的には少〜し 微妙な感じかな…(^_^;) でも登場人物もなかなか人間味のある人が多いですし、 楽しめた作品でした。2作目『黒いトランク』↓は既読ですので、3作目『黒い白鳥』に続きます。 そのうちに…。



「黒いトランク」 鮎川哲也 (角川文庫 S49.9.30)
 汐留駅に届いた、受け取り手の現れない黒いトランク。異臭がするとの訴えに駆けつけた警察官が トランクを開けられると、中からは死後数日と見られる男の遺体が転がり出てきた。さらにその犯人と 思しき男が、自殺と思われる状況で見つかる。古い知人の頼みで事件の調査を始める鬼貫警部だったが、 事件の謎は混迷を深める…。鬼貫警部シリーズ長編2作目。1956年。

 角川文庫は絶版ですが、光文社文庫と創元推理文庫のが出てます。
 黒いトランクに詰められた死体。発送した人間も被害者も分かって、単純な事件に思えたんですが…。 う〜む、トランクと死体の謎がなかなかものすごいことになってます。でも、解けてみればあのトリックは すんなり納得♪ いいですね〜。容疑者のアリバイが思いもかけないところから崩れていくところもなかなか。 ま、全体的にちと技巧的に過ぎるのが趣味でない上、そこまでやっといて動機がなんだかなという 感じもありますが(^_^;)…それを差し引いてもやっぱりすごいです♪ 今回、鬼貫警部の大学時代の 友人が事件にたくさん絡んでいて、その愛憎劇(?)もなかなか見もの。取り返しのつかない過去。 独り身を通す鬼貫警部の極端な女性観も、なんか妙に空しく響きます…。解決しても、すっきりとは 言い切れないお話ですね。
 3作目『黒い白鳥』に続きます。そのうちに。



「密室殺人」 鮎川哲也(集英社文庫 S54.2.28)
 密室を主題にした本格推理短編集。五編収録。
 収録作品……「赤い密室」、「白い密室」、「青い密室」、「矛盾する足跡」、「海辺の悲劇」


 密室ものはちょと苦手なのですが(^_^;)、この本に収録されてるのはどれも いいですね〜(^_^) 赤・白・青の密室は貿易商探偵(?)星影龍三のシリーズです♪ 以下に お気に入りの感想を♪

「赤い密室」
 鍵を持つ者以外は出入りが不可能な解剖室で、ばらばらに切断された死体が発見される。 事件の謎に行き詰まった田所警部は、貿易商だが犯罪捜査の才能に優れる 星影龍三に相談を持ちかける…。
 こんな誰もがいがみ合う法医学教室は、それだけで危険すぎ(^_^;)  密室の理由……より、バラバラ死体の謎の方が魅力(と書くと誤解されそうな(^_^;))ですね〜。

「白い密室」
 雪の降る夜、座間教授の元を尋ねたキミ子は、狼狽した様子の男に出迎えられる。書斎で 教授が刺し殺されているというのだ。だが、不思議なことに雪の上には犯人の 出入りした足跡はなかった……。
 よくある足跡の謎ですが、この解答はなかなか好きですね(*^^*) 短編でやる 限りにおいてですが……(^_^;)

「青い密室」
 劇団南風座のアパート南風荘で、不可解な密室殺人事件が起こる。殺されたのは、 誰からも嫌われていた演出家だったのだが……。
 これは犯人はともかく動機が意外でした〜♪ 分かるワケない……(^_^;)

「矛盾する足跡」
 那須高原にある友人の別荘に招かれた推理作家のわたしは、本格推理小説の話題に興じていた。 だが次の朝、不可解な事件が起こる。雪の上に残された足跡の謎とは……。
 これはまあ、あれなんですが(謎)、こういうのは稚気にあふれていて好きですね〜。 得意げなわたしに思わずニヤッとしてしまいます♪



「孤島パズル」 有栖川有栖 (講談社文庫)
 奄美大島の南50キロに浮かぶ嘉敷島――。英都大学推理小説研究会の江上部長とアリスは、 マリアの招待で嘉敷島にある彼女の伯父の別荘へ向かう。そこに立ち並ぶ不思議なモアイ像の 謎を解き、時価数億円のダイヤを手にするために。しかし、思いもかけない殺人が起こり、悲劇の 幕が開ける……。

 『月光ゲーム』の方が好きかなぁ〜と迷ったのですが……でも『双頭の悪魔』もいい…悩む。 本当のことを言えば火村先生が好きな私は作家アリスシリーズを片っ端から挙げるのが一番 楽なのですが、ここはぐっとこらえ、冷静に(?)「学生アリスシリーズ」から選んでみました。 でも「読者への挑戦」なんて、さっぱり分かりません。本家クイーンのだって、もー考えようとも 思わない。真剣なミステリ読みじゃないのかも……と時々不安になる(笑) とにかく有栖川作品は 好きです。特に学生アリスシリーズは、心に残るラストばかり。



「46番目の密室」 有栖川有栖 (講談社文庫 95.3.15)
 日本のディクスン・カーと呼ばれるミステリ作家真壁の軽井沢の家に、クリスマスを過ごすべく今年も 招かれたミステリ作家の有栖川有栖。しかも今年は友人で英都大学助教授で犯罪学者の火村英生も同行することに。 編集者や他の作家も集まり楽しいクリスマスになるはずが、真壁が今度の作品を最後に密室物は もう書かないと宣言したあたりから妙な雰囲気になる。誰もいないはずの冬の別荘地で目撃される怪しい男、 そしてついに殺人事件が。火村とアリスが密室殺人の謎に挑む…。シリーズ第1作目。1992年。

 この時点では32歳独身男コンビ(笑)、火村&アリスが活躍するシリーズ(もちろんまだ続いてます)の、記念すべき第1作目♪  実は何度目かの再読なんですが、感想がないのでいちおー感想を。
 雪に閉ざされた冬の軽井沢の別荘地の雰囲気がなかなか好きな1作です。まだ新幹線が通る前ってのが 時間を感じさせます。タイトルは、作中の巨匠が次に発表する筈だった作品名。確かロバート・アーサーの 「五十一番目の密室」にちなんだものでしたっけ。 直接関係はないですが、この作品を読んであると細かい部分で面白いかも。
 ミステリとして…密室ものと考えるとちょっと、う〜ん…てな感じかな〜(^_^;) まぁ本格ものとしては 不可もなく。この作品で一番惹かれるのはやっぱ「天上の推理小説」のとこでしょうか。未だに そんなものを夢見てドキドキしてしまう気持ちも、ミステリ好きとしてはよく分かります。 最後にすべての謎が明かされようが、多分読者が一番知りたい謎だけが……ってのはにくい演出ですね。 全体としてはけっこう好きなお話。
 シリーズ1作目ということもあって、火村センセの描写がかなり詳しいです♪ 講義のシーンもあるし、 アリスと出会った経緯や何故彼が犯罪を研究するかということについても語られている、ファンにとっては 何回読み返しても飽きない作品です(笑)
 2作目『ダリの繭』へ続きます↓



「ダリの繭」 有栖川有栖 (角川文庫 H5.12.10)
 大手宝石チェーン店の社長が、別邸のフロートカプセルの中で死体となって発見された。 事件関係者に知り合いがいることを知ったアリスは、捜査に協力することになった火村と共に 奇妙な事件を調査することになる…。火村シリーズ2作目。

 お読みでない方は1作目からどうぞ♪ 火村センセの33歳の誕生日から物語は始まります。 いい年した男二人で誕生日にお食事だの新婚ごっこ(?)だのいーかげんにしてくれって感じですが、 まぁそれは本筋とは無関係です(^_^;)
 奇妙なダリ髯を生やした社長の死。誰かに憧れすぎる人を見てると妙に心寒いのは私だけかも しれませんが、作品全体にひんやりとした孤独感が漂ってますね〜。 漂わせすぎな気もしないでもないですけど…。誰しも繭を必要としてると言いたいのは分かるけど、 なんでもそれと結び付けると全体のバランスとしてどうかなってとこですが、これも好きずきかな。でもまあ、 火村センセのオタク講座は見ものですし、後々まで引きずってるアリスの作家事始めも必見です(爆)  フロートカプセルって一度入ってみたいですね。
   ミステリとしては…シンプルなわりに長い気がしますが、それほど不満もなく。 一人一人容疑者を丁寧に消していくところはわりと好きです。
 シリーズ3作目『ロシア紅茶の謎』に続きます↓



「ロシア紅茶の謎」 有栖川有栖(講談社文庫 1997.7.15)
 英都大学社会学部助教授にして臨床犯罪学者、火村英生と推理小説作家、有栖川有栖の活躍する短編集。6編収録。
収録作品…「動物園の暗号」、「屋根裏の散歩者」、「赤い稲妻」、
  「ルーンの導き」、「ロシア紅茶の謎」、「八角形の罠」


 火村シリーズ3作目、国名シリーズ1作目。もちろん、 クイーンの国名シリーズに倣っているわけですが、その点はまぁ、いろんな意味で特に 気にしなくてよいかと(^_^;) この短編集あたりで彼等は33歳になってますね〜。 大阪府警の船引警部や野上刑事なんかも頻繁に出てきて、いかにもシリーズ作品って感じです。 再読ですがほぼ全部忘れてたので、以下に好きな作品の、趣味に走った感想を(^_^;) 
 シリーズ4作目『海のある奈良に死す』に続きます。

「赤い稲妻」
 嵐の晩にマンションから人が転落する現場を、向かいのマンションに住む火村の教え子が目撃してしまう。 他にも人がいたようだったのだが、部屋には中からチェーンがかけられ人はいなかった…。
 まぁ突拍子もないと言えばそれまでですが、なかなか凝ってて結構好きです。 …アメリカ人だった意味って、名前だけだろか?(-_-;) 靴云々のとこは良かったですけど♪

「ルーンの導き」
 大学の同僚の英文科の講師が巻き込まれた殺人事件の調査をすることになった火村。 被害者は何故か、ルーン文字の刻まれた石を握りしめて死んでいた…。
 常々ダイイングメッセージに不信感を抱いている者としては、凝ってれば凝ってるほど 胡散臭げに見えるんですが…誰も分からんのではないだろか?(^_^;)  火村センセの乱雑極まりない部屋が見られるというおまけつきです♪

「ロシア紅茶の謎」
 新進作詞家が自宅で毒殺され、火村とアリスは現場へ向かう。毒が ロシア紅茶に入れられていたことは確かなのだが、入れる機会を持った人間がいないのだった…。
 事件の謎はともかく、火村センセの恥ずかしすぎるセリフ(「私は忘れないよ。…云々」)に 死にそうになる作品ですね(^_^;) このセリフこそ、先生が壊れていることの 何よりの証明という気がしてなりません。新進作詞家の歌詞といい、事件以外のとこで なかなかツッコミどころの多い話です(^_^;)



「海のある奈良に死す」 有栖川有栖 (角川文庫 H10.5.25)
 アリスの知り合いで同年代の作家、赤星楽が若狭湾で死体となって発見された。 「海のある奈良へ行く」と言い残して去った彼の身に一体なにが起こったのか?  彼の次回作に関係のある言葉らしいとにらんだアリスは、友人で犯罪学者の火村と共に 事件の調査を始める…。火村シリーズ4作目。

 タイトルからしてなんだか2時間サスペンスドラマっぽい気がしますが(^_^;)  旅情ミステリというか…。話のテンポもよくてちょいと扇情的(?)で旅先のロマンに溢れ、 老いを感じさせない女性を巡る周囲の男性たちの軋轢、やがて発見される被害者を死に追いやった 驚愕のトリック…。個人的に最後のトリックに至ってはそりゃ〜無理でしょ、と思うんですけど、 2時間ものならたぶん許されるでしょう(^_^;) 人魚に関する薀蓄も、映像で流せばくどくないんじゃ ないかな(私は飛ばしましたが)  良くも悪くも、ホントにサスペンスドラマ向きな作品でした。そうそう、この作品で初めて アリスの担当者の片桐さんが登場したのかな。いい人だ(T_T) そしてもちろん個人的なハイライトは、 夜中に悲鳴をあげて飛び起きる火村センセです(笑) この現象(?)の意味は、この時点では明かされてませんが…。
 シリーズ5作目『スウェーデン館の謎』に続きます↓



「スウェーデン館の謎」 有栖川有栖 (講談社文庫 98.5.15)
 次回作の取材のために磐梯山の麓にあるペンション“サニーデイ”に宿泊していたミステリ作家有栖川有栖は、 雪に埋もれた五色沼を散策している途中湖を眺める外国人女性に出会う。彼女とその童話作家である夫の家族が 住む“スウェーデン館”に招かれた彼だったが、そこで宿泊客の一人が不可解な死を遂げる。アリスは早速、 友人で犯罪学者の火村英生を呼び出すが……。火村シリーズ5作目。国名シリーズ2作目。1995年。

 シリーズ5作目ですが、1作目以外は特に順番関係ないですね。再読ですが過去に感想なかったので 書いときます。
 スウェーデンを話に絡めるのにちと苦労してる印象のつきまとう(^_^;)作品ですが、 雪上の足跡の謎はけっこう好きで、無理のない状況でよくできてると思います♪ 煙突のことは なくても別にいい気もしますが…。あと子供を都合よく使いすぎな感も…とまぁ細かいこと言い出したら きりがないんですが、ミステリとしてはわりと好きな作品です。
 美人のスウェーデン人の奥さんにちょっと憧れてしまうアリスがいですね、いい歳して少年みたいで(笑)  そんなアリスを心配して風のように(笑)やって来る火村センセも、せっかく来たんだから もうちょっと時間かけて解いてくれても良かったんじゃないでしょうか。いえ、極めて個人的な 希望に過ぎませんが(爆) シリーズとしては『ブラジル蝶の謎』に続きます。 



「暗い宿」 有栖川有栖 (角川書店 2001.7.20)
英都大学社会学部助教授にして臨床犯罪学者、火村英生と推理小説作家、有栖川有栖の活躍する 短編4編を収録。
  収録作品……「暗い宿」、「ホテル・ラフレシア」、「異形の客」、「201号室の災厄」


 別名、宿シリーズ。火村助教授とアリス、おなじみ34歳独身コンビ(笑)が、宿泊先で事件に 巻き込まれるという設定です♪ 以前の作品を読んでいないと、ちょっと分かりづらいかも しれません。その上、ミステリとしてはどれもちょっと、う〜ん……なんですけど(笑)、まあ、 それはいいとして(爆)、以下にそれぞれの感想など♪ めろめろです。いつもと少々違う 意味で(^_^;)

「暗い宿」
 ある日、朝刊を見たアリスは慌てた。取材旅行先で泊めてもらった、取り壊し寸前だった以呂波 旅館で、白骨死体が発見されたという記事があったのだ。捜査に協力するため、火村を伴って宿の あった場所へ向かう…。
 う〜む、取り壊し寸前の旅館に犯人が骨を埋めた理由はまあいいけど、その他いろいろ少々曖昧で 都合がいいような〜(^_^;) でも、たとえ根拠がなくても、助教授に「する。するんだよ、人間は」と 断言されたら、もう黙って従うしかないでしょう(爆)

「ホテル・ラフレシア」
 「トロピカル・ミステリー・ナイト」というホテル主催のイベントで、石垣島のホテルに招かれた、 アリスと火村、そして編集者片桐の三人。イベントを楽しむ彼らだったが、おかしな事件が……。
 石垣島いいな〜(笑) お客が探偵になって推理するという例のイベントは面白そう なんですけどね、それ以外の事件、あんまりぱっとしないかな〜(^_^;) もしかして、ミステリー・ ナイトの謎がメインだったのかな? それにしては、アリスがすらすら解いちゃったような。もっと 引っ張ってほしかったです。それにしても、後味が悪い事件(T_T)

「異形の客」
 取材のために中濃屋旅館に投宿したアリスは、目深に帽子をかぶり、サングラスにマスク、おまけに 包帯だらけという怪しい客を目にする。やがてその男が宿泊していた離れで殺人が……。
 ……シャングリラ十字軍、関係ないやん(爆) (……はっ、禁句?(^_^;)) 舞台装置が大きい わりに、事件そのものはたいしたことないかな、と。「顔」についてのお話は面白かったですが。これも なかなか後味が悪いです。独りカラオケで歌う火村センセを想像して愕然とできるとゆーおまけ付き(笑)

「201号室の災厄」
 東京での学会が終わった夜、友人のつてで超豪華ホテル、ダイナスティーに宿泊することになった 火村。だが同じ夜、ロックスターのミルトン・ハースも同じホテルに泊まることになっていた。その おかげで、火村は運悪く事件に巻き込まれることになる…。
 嗚呼(T_T) もぉ事件なんかどうでもいいや(笑) ミルトンに監禁され、事件を解決せざるを 得なくなってしまった火村先生。うきゃ〜、格闘シーンかっこいい〜(T_T) …………え〜、まあ、 意外ではないけど納得なトリックかな、と思ってたら、そんなどんでん返しってありですか(^_^;)  結果的には、ちょっと意外な結末でしたね。もちろん、一番好きなお話…(^_^;)



「絶叫城殺人事件」 有栖川有栖 (新潮社 2001.10.20)
 “臨床犯罪学者”こと英都大学助教授の火村英生と、推理小説家の有栖川有栖が、独特の雰囲気を持つ 建築物の中で中で発生した殺人事件の謎に挑む。短編集。2001年。
収録作品…「黒鳥亭殺人事件」、「壺中庵殺人事件」、「月宮殿殺人事件」、
        「雪花楼殺人事件」、「紅雨荘殺人事件」、「絶叫城殺人事件」


 この収録作品のタイトルを見ただけでもう読まずにいられなくなるような本なのですが、中身も 申し分なしです(*^_^*) 火村シリーズ(作家アリスシリーズ、ではなく!(爆))に 関してはどうしてもひいき目で見てしまいがちなのですが、これは冷静に見てもなかなか 読みごたえのある短編集でした。以下に、すべての感想を(*^_^*) ちょと妙なのは 許して下さい(^_^;)

「黒鳥亭殺人事件」
 大学時代の友人、天農に、黒鳥亭と呼ばれる彼の家に呼び出された火村とアリス。 以前自殺したと思われていた黒鳥亭の前の持ち主が、何故かつい最近黒鳥亭の井戸で 死体となって発見されたというのだが…。
 トリックも何もあったもんじゃないぞ(^_^;) 机上の空論であってほしい結末。 アリスと天農の娘真樹のやり取りがかわいい〜(*^_^*) “二十の扉”を やってみたくなりますね。

「壺中庵殺人事件」
 住民自ら“壺中庵”と名づけた地下室で、彼が首を吊った状態で 発見された。自殺を偽装した殺人事件だったのだが、部屋は密室状態だった。その上、 彼は何故か頭に壺をかぶせられていた…。
 密室ものはこれだけですね。既読だったのですが、以前読んだ時にはよく分からなかった 密室トリックがやっと分かりました(^_^;) 壺をかぶった首吊り死体というのも、滑稽な グロテスクさがあります(-_-;)

「月宮殿殺人事件」
 月宮殿と呼ばれるホームレスが建てた奇妙な建物を見物しに行った火村と アリス。だがその建物は放火によって焼け落ちており、住人は焼死したという。しかし、何故か 放火犯と目撃者の証言が全く食い違っていた…。
 なんとなく、ほっとするラスト。しかし、アリスにFAXで送信したリスト、火村センセもなかなか 悪戯っ気がありますね。ふふ。まさか、そんなもののことだったとは。

「雪花楼殺人事件」
 雪花楼と名づけられた、建設半ばで放棄されたホテル。そこで暮らしていた家出少年が、屋上から 墜落死する。その直前に彼は何者かに後頭部を殴られていたのだが、屋上には彼一人分の足跡しか 残っていなかった…
 そんなバカな、と思いはしたけどあとがき読んでちょと納得……でも、ないかな(-_-;)  トリックはともかく、とても寒々しいお話。 「二人がどんなふうに愛し合い、すれ違ったのかは解けない謎さ。雪に遺った足跡の謎なんて何ほどの こともない」(火村談) こっ、この人はいつもどうしてこういうセリフを臆面もなく…(^_^;)  ……でも好き(笑)

「紅雨荘殺人事件」
 紅雨(べにさめ)荘と呼ばれる建物で、住人の女性が殺された。 しかし関係者にはすべて完璧なアリバイがある。火村とアリスは事件の解決に乗り出すが…。
 これは結構凝ってるお話ですね。犯人のアリバイのこととか。自殺に偽装しただけでなく……という ところとか。実際可能かどうかはともかく。この短編集に出てくる建物では、紅雨荘を一番 見てみたい(*^_^*) しかし、一人で恋愛映画を観て涙を流すアリスを想像すると、失礼ながら ちょと笑えます(^_^;)

「絶叫城殺人事件」
 大阪の町で次々に起こる通り魔殺人。犯人は被害者の口の中に、 ナイト・プローラーという言葉を書いた紙を残していた。捜査に乗り出す火村とアリス。 だが、第四の事件が起こって……。
 初めは普通の(?)通り魔殺人かと思われていたのに、犯人が“絶叫城”というホラー・ゲームを 真似ているらしいということになって……。事件が起こると、よくそういうこと言われますね〜。 その辺の事情に拘泥しすぎかなという気もしないでもないですが、これが一番 好きなお話です。私の考えは述べませんが、最後の犯人のセリフは、確かに最高のジョークですね。 しかし何が引っかかるって、火村センセの着メロが宇多田ヒカルの「ファースト・ラブ」だって ことです。…………(笑)



「マレー鉄道の謎」 有栖川有栖 (講談社ノベルス 2002.5.8)
 推理作家の有栖川有栖と英都大学の助教授火村英生は、古い友人、衛大龍が 高級リゾート地キャメロン・ハイランドで経営するホテルを訪ねた。だが、休暇を楽しむ 間もなく事件が起こる。現地の実業家百瀬虎雄宅のトレーラーハウスの中で、死体が 見つかったのだ。出入り口がすべて目張りされていたトレーラーハウスの中で、一体 何が起こったのか…。国名シリーズ第6作目。2002年。

 待ってましたぁ〜(ToT) 前作から4年半(爆)、タイトルだけが一人歩きしていた『マレー鉄道の謎』を、 やっと読むことができました(T_T) それだけで感無量ですが、まぁ真面目に感想など(^_^;)
 国名シリーズでは初の海外(マレーシア)が舞台の作品ですが、この異国情緒がなんともいえません。 私はもっとマレーシアの風土とかを利用したトリックかと思ってたら、そうじゃなかったけど(-_-;) でも、 外国でなきゃ見られないシーンはかなり面白かったです。すべて「××××」で表されてる、アリスの英会話聞き取り 不能部分とか(爆) 「図星」を「ピクチャー・スター」と表現する彼の英語力に脱帽(^_^;) 火村センセは 相変わらずかっこいいです〜♪(*^^*) 犯人と対峙するシーンにめろめろですぅ(*^o^*) ……バカ(^_^;)
 「目張り密室」というのは、国内外の作品にもいくつかあるんだそうですね(伝聞(^_^;))  出入り口がすべてガムテープやなんかで目張りされた密室の中で、人が死んでいるというもの。 作中にはカーの『爬虫類館の殺人』やロースンの『この世の外から』が挙げられていますが どちらも未読(-_-;) でも、このトレーラーハウスの密室トリックは、密室があまり好きじゃない私にも 現実的でかなりよくできてると思えました。3番目の殺人の動機も、分かった時は感心しました〜。そして、 この一連の事件の原因となった出来事にも…。そしてこの作品、火村センセがある理由からどうしても日本へ 帰らなきゃいけないので、3日間というタイムリミットがあるのです。それも程よい緊迫感をかもし出してます。もうちょっと最後はじっくり やってくれてもよかったような気もしますが、本当に楽しめた1冊でした♪ 次の国名シリーズ長編が今から楽しみ(爆)



「スイス時計の謎」 有栖川有栖 (講談社ノベルス 2003.5.7)
 推理作家の有栖川有栖と英都大学の助教授火村英生が活躍する国名シリーズ第7弾。4編収録。
  収録作品……「あるYの悲劇」、「女彫刻家の首」、「シャイロックの密室」、「スイス時計の謎」


 シリーズものですが、まぁ単独で読んでも構いませんね。相変わらず、このコンビはいい味 出してます。実は2作は既読ですが、全体としては短編集ながらきちんと正統派本格で、 なかなか楽しめました。火村センセの変人ぶり(?)があまりなくて寂しかったけど(爆)  以下に、全ての感想を。例によって、ちょと妙な感想ですが(^_^;)  「あるYの悲劇」は以前の感想をどうぞ。

「女彫刻家の首」
 アリスは火村に呼び出され、とある女性彫刻家のアトリエへ向かう。殺された女性彫刻家は首を 切られており、しかも頭は女神像の首と置き換えられていた。犯人は何故そんなことをしなければ ならなかったのか…?
 既読ですが、一応感想を(^_^;) 短い話ですけど、この謎はなかなかいいですね。ちょと そこまでするかなっていう気もしますけど、いかにも推理小説的な謎。皮肉な結末ですね。 それよりも、アリスのそんな言葉にそこまで過敏にならなくたっていいじゃん火村先生〜と 思うのは私だけ?(^_^;) いったいあなたの過去には何が……(>_<)

「シャイロックの密室」
 高利貸しで誰からも憎まれていた男が、密室状態になった部屋で、頭を銃を撃たれて死んでいた。 他殺を決定付ける証拠とともに、火村は妙なものに気付く…。
 密室ものですね〜。どうも密室ものは、謎解きのための謎解きのようで好きになれないけど… これはまあ、このくらいなら実際やってもいいかな(よくはないですが(爆)) それより、意外な ことから犯人が分かるとこが、おかしくて個人的に好きです。そんなことってば(笑)

「スイス時計の謎」
 アリスはいつものように火村に呼び出され、とある雑居ビルの殺人現場へと赴いた。 被害者の手首からはスイス製の腕時計が消え、床には丹念に掃除したあとがあった。 消えた時計の謎を追う火村たち。やがて容疑者が浮かんでくるが…。
 ちょと長めのお話ですね。これが一番好きです。何故時計が消えていたか、という論理がとても きれいだと思います(^_^) ちょと込み入ってるけど、文句なく納得♪ 
 今回、被害者が高校の元同級生だっただけに、アリスは高校時代の悲しい過去(ずっと読んでる方は分かるかと)を 思い出してしまい、ちょと切なさが漂いますね。その年まで引きずってたのもすごいけど(爆) でもなんか34歳男たちの 哀切というか悲哀というか、そんなものを妙に感じさせられた作品でもありました(涙)   アリスはこれでやっと吹っ切れたのかなぁ。だとしたら、あとは火村センセのあやしい(?)過去だけ……かな?(-_-;)



「幽霊刑事(ゆうれいデカ) 有栖川有栖 (講談社文庫 2003.7.15)
 巴市東署に異動したばかりの刑事、神崎達也は自分が突然幽霊になっていることに気付いた。 1ヶ月前に銃で撃たれて殺された彼だったが、殺された理由も分からない上、まだ犯人も捕まって いないことを知る。婚約者さえ自分の存在に気付いてくれない中、唯一同僚の早川だけが神崎を 認めてくれた。二人はコンビを組んで、事件の真相解明に乗り出す…。

 再読なのですが、ホントに楽しめる作品ですね♪ だいぶ前に連載で読んだので、細部を忘れてましたが…。
 タイトルどおり、心ならずも幽霊になってしまった神崎刑事が、同僚の早川刑事と共に 犯人逮捕に向けて奔走します。楽しいんですよねぇ、これが。神崎刑事と早川刑事のコンビが絶妙♪  幽霊の刑事も刑事だけど、祖母がイタコで霊媒体質の早川刑事ってば…。でもそういう 細かいこと(?)言ってたらこのストーリーは楽しめません。確かに幽霊の神崎刑事は悩みすぎ、そして ラブストーリーは私にはちと甘すぎます(^_^;) …でもそんな状況設定の複雑怪奇さに押されまくってはいますが、 細かいところはわりときちんと押さえてる本格ミステリなのです。
 …ま、とにかくなによりも、この二人の刑事の奇妙な掛け合い(特に早川刑事(哀れ(笑)))、 大好きです。他にどんな文句があろうと、それが楽しければもういいんです(爆)
 でも、なんだかんだ言ってもラストは良かったです(T_T) あの演出も……。製本ミス?とか思ったけど(^_^;)



「白い兎が逃げる」 有栖川有栖(光文社カッパ・ノベルス 2003.11.25)
 英都大学社会学部助教授にして臨床犯罪学者、火村英生と推理小説作家、有栖川有栖の活躍する シリーズ短編、中編を4編収録。
収録作品…「不在の証明」、「地下室の処刑」、「比類のない神々しいような瞬間」、「白い兎が逃げる」


 思えばこのシリーズも長く続いてますよね〜。何作目かもよく分からないほどですが、 まぁ単独でも読めます。おなじみ34歳独身コンビ (もうこれ以上年はとらないらしい(^_^;))♪ 本格ミステリとしては ちょいと物足りない部分もあるけど、まぁまぁいい感じです。少なくとも私は火村センセがよければいいです(爆)  以下に(ちょと変な)感想を全部♪ 

「不在の証明」
 アクション小説作家の黒須俊也の弟克也が、俊也と同じマンションに住む 女性翻訳家の部屋で殺された。事件があった時間帯に俊哉がマンションを出入りするのを 見かけたものがおり、女性翻訳家をめぐる三角関係のもつれと思えたのだが…。
 シンプルなタイトルの裏にこんな意味があろうとは♪ 事件は特に複雑ではないですが、 こんなふうにひねってあるのも楽しいです(^_^)

「地下室の処刑」
 廃屋になったビルの地下室で、ひとりの男が殺されるという事件が起る。しかもその事件は、 火村たちが捜査協力をしている船曳警部の部下、森下刑事の目の前で起ったのだった。
 これまた(二度と使えそうにない)特殊な状況で 起った事件です。被害者は、何故あんな殺され方をしなればならなかったのか…。こんな動機は 確かにないかも。といっても、動機のための状況のような気がして、ミステリとして ちょっと苦しくは思えるのですが。『暗い宿』収録の「異形の客」にも出てきた シャングリラ十字軍がここでも大活躍。あとがきによると、いつか火村センセと直接対決するかもしれないそうで、 楽しみなような怖いような…(^_^;)
 …それはそうと、いつもアルマーニのスーツ着てるよなかっこいい森下刑事の携帯ストラップが 大阪府警のマスコット「フー君」だなんて、森下ファンにはそっちの方が大問題なんじゃ…(爆) 

「比類のない神々しいような瞬間」
 人が死に臨む"比類のない神々しいような瞬間"に書かれるダイイングメッセージ。社会評論家の 上島初音が殺された床の上には、「1011」とも読めるメッセージが残されていた…。
 タイトルはクイーンの『Xの悲劇』中のドルリー・レーンの台詞からなんですね。 ダイイングメッセージ、というのはいつもなんとなく胡散臭い気がするのですが(^_^;)、この話は 何故誰にも分からないようなメッセージを残したか、という点についてはまぁ納得かな。 最後にもう一ひねりありますしね。千円札の答。これはなかなか気付かないでしょう…というか、 知りませんでした。
 そういえば関係ないけど、この話で久々に片桐さん(アリスの担当編集者) 出てきたような気がするなぁ…。懐かしい(^_^;)

「白い兎が逃げる」
 ある小学校の兎小屋のそばで、ひとりの男性の死体が見つかる。その男は、劇団員の清水伶菜を ストーキングしていた蜂谷という男だった。彼は殺害された時刻にも、伶菜を尾行しているところを 関西国際空港で目撃されていたのだった…。
 これだけ中編です。時刻表トリックは好きじゃないんですが、これは変形パターンかな…。 けっこう事件が複雑だし、それだけで終わってないのがいいですね。でもこれだけ 兎がらみなんだから、こっちをもうちょと深い使い方(謎)してほしかったと思うのはわがまま?(^_^;) 
 しっかし火村センセ、まだ乗ってたんだボロベンツ…(爆)



「モロッコ水晶の謎」 有栖川有栖 (講談社ノベルス 2005.3.5)
 推理作家の有栖川有栖と英都大学の助教授火村英生が活躍する国名シリーズ第8弾。4編収録。
  収録作品…「助教授の身代金」、「ABCキラー」、「推理合戦」、「モロッコ水晶の謎」


 久々の国名シリーズ♪ とはいえ、まあまあ…ですかね(^_^;) 論理はともかく気持ちが 納得しない話が多くって…。火村センセもなんか最近わりとフツーになってきてますしね(爆)  いちばん好きなのは「推理合戦」だなんて言ったら怒られるかな(笑)  以下に、すべての感想を♪ 「ABCキラー」は既読ですので 以前の感想をどうぞ。

「助教授の身代金」
 落ち目の俳優が誘拐され、別居している妻の元へ身代金要求の電話がかかってくる。 だが受け渡し場所が分からないまま、結局俳優は遺体となって発見されるが…。
 な〜んだ、さらわれたの火村センセじゃないんだ〜…とがっくりきて(こ、これネタバレか?(^_^;))、 後のことはよく覚えていません。いや冗談抜きで、よくできてはいるんですが…う〜ん…という感じです。 やっぱなんか後味良くないな〜。

「推理合戦」
 焼き鳥屋で火村とアリスと朝井小夜子の三人は、今度始まった小夜子の連載小説について語り合っていた。 ふとした会話から、ちょっとした推理合戦が始まるのだが…。
 携帯サイトで公開された、ホント〜に短いお話です。なるほどね〜…としか言いようのないくらい 短いお話ですが、なんかこのほのぼのさがいいです。

「モロッコ水晶の謎」
 羽田野書林の社長のお抱え占い師を取材した事が縁で、アリスは社長の誕生日パーティに招かれた。 その席上、将来は社長の娘婿となるはずだった阿江が毒殺されるという事件が起こる。火村も捜査に加わるが、 誰にも毒を入れる機会がなかったという事実が捜査を阻む…。
 お抱え占い師、な〜んて聞くともうそれだけでうさんくさい気がするんですけど(偏見?)、 結末もなんだか…。犯人は信じてたかもしれませんが、私はそんな犯人の存在が信じられません(^_^;)  アリスの取材風景はなかなか面白かったですけどね…。



「乱鴉の島」 有栖川有栖 (新潮社 2006.6.20)
 英都大学の社会学部助教授で犯罪学者の火村英生とミステリ作家の有栖側有栖は、 春休みを過ごしに三重県のとある島へと向かった。だが手違いから彼らが行き着いたのは、 烏島と呼ばれるほとんど見捨てられたようなわびしい島だった。帰りの船を呼ぼうと彼らが 助けを求めたのは、奇妙な人々の集まる作家の別荘だった…。2006年。 本の詳細

 短編集も含めるとシリーズ16作目くらいですが、まぁこれだけ読んでもかまいませんかね。 本当に長く続いてるシリーズです。嗚呼、彼らに年が追いついてしまう日がこようとは(T_T)  さて、4年ぶりの長編っつことですが…。
 ほとんど外界との接触のない孤島へと、あれよあれよという間に送り込まれてしまった 火村センセとアリス。烏の乱れ飛ぶ不吉な島の館に集う、目的の分からない客たち…。 これで何か起きない方がおかしい(笑)
 孤島でなくちゃいけなかったというのはまぁ分かるのですけど、それでもなんとなく この状況設定が、無理はないけど説得力もないというか…微妙な感じですね(^_^;) それはまぁ良いとしても、 殺人の動機(というか機会か…)が出来過ぎじゃないでしょか。せっかく火村センセが 憎まれ役になりながら謎を解いたっつーのに、最後の最後でがくっときました(-_-;) 
 おまけにメインの謎は妙な住人が集まってる理由の方なのか?(そ、そうだったのか?(^_^;))と思うほどこれが蒸し返されるので、 なんとなく謎解きが散漫な印象。この理由と殺人とをもう少し上手に絡めてあったらな〜、 というのは個人的な希望です。だから、ミステリとしてきちっとしてはいるんですが、 全体的には可もなく不可もなく…というところでした。いろんな意味で、 もちょっと冒険してほしかったですかね…。
 ミステリ部分以外で良かったのは、無邪気な子供たちと、最後あたりの藤井氏のセリフですね。 ハッシー(どうしたってホリエモンしか思い浮かびませんさ…)と アリスの交流(?)もなかなかよかったです(笑) ま、なんだかんだ言っても好きなシリーズ。 けっこう楽しんで読めました。



「女王国の城」 有栖川有栖 (東京創元社 2007.9.28)
 夏休み、ふらりと姿を消した江神を心配した有栖たち英都大学推理小説研究会の面々は、 彼を探しにはるばる長野県の山奥へと向かう。そこはバブル景気に乗じて巨大化した 人類協会と呼ばれる新興宗教の人々が住み、奇妙な町を形成している場所だった。 江神はどうやらその町に単身滞在しているらしいのだが、有栖らは何故か面会を拒まれてしまう。 なんとか江神から受け取った手紙には、助けを求める言葉が…。 学生有栖シリーズ、第4作目。2007年。

 待望のシリーズ第4作目。3作目までは、読んであればその方がいいかなというか、 むしろ3作目までを読んでもらいたいというか(^_^;)
 今回は、怪しくなさを必死に装ってる感じがどうしても拭えない(笑)新興宗教「人類協会」が 山奥に築き上げた小さなコミュニティで事件が起こります。図らずもそこに閉じ込められてしまった 有栖たち。例によってクローズド・サークルもの。過去に地元の村で起こった 密室事件も絡めつつ、わりと淡々と話が進みます…。
 ううむ(^_^;) なんでしょうね〜、ミステリとして細部はちゃんとつじつま合っているのに、 全体として何か消化不良な感じがあるのは…。長い、長いからか…(笑)。いや、これは 純粋に好みの問題ですが、舞台がちょい突拍子なさすぎなんかな?  というのも、ここでは人類協会の面々どころかメインキャラクターの個性すらも あんまし生きてないような気がしないでもないからなんですが。 あと個人的な感想ですみませんが、どんな言い訳をされようとも、 やっぱり元県民ゆえに、地元のじいちゃんが標準語をしゃべってるのはなにか気持ち悪い のでした(^_^;) 
 全体としては、面白かったんですけど、なんかもったいないかな、という感じです…。 根本的な問題として、やっぱしシリーズものは前作との執筆期間が開きすぎちゃ 駄目なんではないでしょうか。5作目までが短からんことを祈りつつ…。



「しあわせの書 −迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術− 泡坂妻夫 (新潮文庫 S62.7.25)
 心霊術その他を研究する謎の外国人ヨギ・ガンジーとその押しかけ弟子、参王不動丸と美保子の一行は、 恐山に出かけた折、奇妙な話を耳にする。教祖の後継者をめぐってもめている巨大な宗教団体 「惟霊会」の信者たちが死んだとしか思えない状況で行方不明になったのだが、いるはずのない 場所で目撃されているというのだ。「惟霊会」の発行している「しあわせの書」という本を手にした ガンジーは、その怪しげなたくらみに気付くが……。ヨギ・ガンジーシリーズ。1987年。

 この作品は、ヨギ・ガンジーシリーズとしては7作目くらい(?)ですが、長編のものとしては 1作目です。これから読んでも全く問題はありません(^_^)
 とにかく怪しいガンジー一行。ガンジーが恐山でイタコのまね(^_^;)してるのも怪しいし、 駅のホームで易者をしてるのも怪しい(爆) でもそれ以上に怪しげな宗教団体がからんで、 ついにはあんな不気味なことに…。
 ミステリとしてももちろんいいのですが、この作品のすごいのは「しあわせの書」ですね。 あんまり詳しく言うと、これから読まれる方の幸せを奪ってしまう(笑)ことになるので、 気付いた時にびっくりしていただきたいです。なんていうかもう、すごいというのを通り越して、 私なんかあきれてしまいましたが(^_^;)
 余談ですが、この本のトリックって、某有名人が過去にTV番組でネタバレしたことで 有名らしいですね。実は私もその番組を見てました。でもこの本を読み終えるまで、 見たことを全く忘れていました(爆) ある意味、幸せ者です(^_^;)
 とにかく楽しい作品ですので、他のも読んでみたいですね〜。



「葉桜の季節に君を想うということ」 歌野昌午 (文藝春秋 2003.3.30)
 「何でもやってやろう」がモットーで、酒と女が大好きな成瀬将虎。かつて探偵事務所にいた 経験を頼られ、知り合いからある相談を持ちかけられる。霊感商法にのめり込んでいた老人が 死んだのは、宗教団体による殺人だったのではないかと疑う家族のため、成瀬は調査を始めた。 そんな折、駅のホームで女性の飛び込み自殺を防いだ彼は、その女性に心惹かれていくが…。 2003年。

 初歌野昌午です。個人的に、別の作品から読んだ方がよかったかなとは思ってます(^_^;)
 確かに面白かったです。が、疲れた…。というのも、読んでる間ずっとなんかワケの分からない 違和感にさいなまれ、なかなか進まなかったのです(-_-;) 最後まで読んで、やっとその原因が 分かったような。こりゃ無理もないわな(^_^;) 衝撃的でした〜。 何度もページめくりなおしてみました。すごい…というか………笑うしかないというか(ミもフタもない(^_^;))。 ま〜ここまでアレだと(?)、どこか不自然に感じても仕方ないかな…。まあ、そんな風に感じなければ とても楽しめます。ハードボイルドっぽい展開、成瀬の周辺の人々や、彼が経験した過去の事件の 顛末…。最後にあの衝撃を味わうためだけにでも読む価値はあるでしょう。ミステリとしては すごい作品です。しかしそれ以前に何度投げ捨てそうになったか分からないほど文章がマズ…いえ、 公平に言って、私の好みではありません(^_^;)
 タイトルがとても素敵なんですけど、そこにこめられた意味はもっと素敵です。 そして、爽やかな読後感……に普通なるはずだと思うんですが、私はなんか、解放されてホッとしました。 もう当分いいです、こういうのは(苦笑)



「黒いハンカチ」 小沼丹 (創元推理文庫 2003.7.11)
 住宅地の高台に立つA女学院の屋根裏部屋での午睡をこよなく愛するニシ・アズマ先生は、 小柄で愛嬌たっぷりの若き女英語教師。だがひとたび奇妙な出来事を目にするや、全然似合っていない 赤縁のロイド眼鏡をかけ、その観察眼を働かせて事件を解決する…。小沼丹(1918-96)の 連作推理短編集。12編収録。1958年。
  収録作品……「指輪」、「眼鏡」、「黒いハンカチ」、「蛇」、「十二号」、「靴」、
        「スクェア・ダンス」、「赤い自転車」、「手袋」、「シルク・ハット」、「時計」、「犬」


 面白かったです〜♪ ストーリーは、ニシ・アズマ先生(登場人物が何故かみんなカタカナ…)が 偶然目撃した奇妙な出来事を観察していて、のちに起こる事件を解決するというもの。ミステリと してはいろいろバレバレですけど、それよりもユーモアにあふれてどことなく飄々とした文章が とてもいい感じです。全編を読み通すと、移り変わる季節が爽やかに感じられます。 古さを全く感じません。ニシ・アズマ先生(どんな漢字だか(-_-;))も、親しみの持てる 好人物です。小沼丹はもともと純文学作家(というか本業は教師)でミステリは余技と いうことですけど、他の作品もぜひ読んでみたいですね〜。以下にお気に入りの短編を♪  紹介はしてないですけど「十二号」と「蛇」も、夏のもの悲しさがひしひしと胸に 迫っていいです(T_T)

「指輪」
 屋根裏部屋でのんびり午睡を楽しんでいたニシ・アズマのもとに、女子大時代の友人スズキ・ケイコが やって来た。彼女は亡くなった婚約者からダイヤの指輪をもらっていたのだが、婚約者の姉からそれを 見せて欲しいといわれたというのだ。スズキ・ケイコに付き添って行ったニシ・アズマだったが…。
 謎はそれほど意外でないかもしれませんが、ニシ先生の度胸に敬服です。つ〜か 女学院の一教師が屋根裏にベッド持ち込んで昼寝してる時点で既に…(^_^;)

「眼鏡」
 A女学院院長タナカ女史に招かれ、彼女の家を訪れた教師たち。だがそこで、ニシ先生は 奇妙なものを目にする。二人の男女が廃屋になった病院の階段を上っていくのだった…。
 ストーリーとは関係ないタナカ女史の人となりがなんだかいいです(笑)

「黒いハンカチ」
 テストの監督をしながらこっそり英語のクロスワード・パズルをしていたニシ先生は、 二人の男女が学院内へ入ってくるのを見た。女性の行動を不審に思った彼女だったが…。
 他のもそうだけど、これも女性ならではの観察力って感じがしますね〜。まぁそうでなくても 黒いハンカチなんて怪しすぎるけど(^_^;)

「シルク・ハット」
 某会社社長サタ・ケン氏の催す歌留多会で、高価な馬の置物が紛失した。 招かれた手品師が怪しいということになるのだが…。
 歌留多会の様子がなんだかいいです(^_^) なかなか面白い趣向で、シリーズものなら こういうのもほのぼのしてていい感じです♪

「犬」
 ふとしたことから普段は人通りのない裏通りを通ることになったニシ先生一行は、 道の真中に切り取られたばかりと思しき生々しい右手首が落ちているのを発見してびっくりする。 だが、よく見る間もなく、どこからともなくやって来た犬が手首をくわえて行ってしまった…。
 面白いですね〜♪ これはミステリとしても好きです(^_^) なんか事件はおぞましいのに さらっと流してあって、それもまた爽やかな読後感。



「倒錯のロンド」 折原一 (講談社文庫 92.8.15)
 苦労の末、やっと書き上げた推理小説新人賞の応募作。今度こそ受賞間違いなしと自負していた 作品を、何者かに盗作された!? 原作者と盗作者の、奇妙な駆け引きが幕を開ける……。1989年。

 普段は、どちらかといえば叙述ミステリは好きじゃないな〜という程度の読者なんですが、これは ホントに面白かったです〜(*^^*) 込み入ってるので、説明しにくいんですが……ミステリの 新人賞「月間推理新人賞」に応募するべく、『幻の女』という作品を書き上げた、山本安雄。 ワープロのできる友人に清書を頼むのですが、彼はなんとそれを電車の中に置き忘れてしまう。 しかもその友人は殺され、数ヶ月後に『幻の女』が知らない男の名で新人賞を受賞……と、 ハラハラしながら読んでると、作者の仕掛けたワナにまんまと引っかかってしまうわけです♪  ちょっとつじつま合わないな、と思った部分はあったけど、あんなフクザツなこととは!  何度も繰り返される、盗作と倒錯。トリックだけじゃなくて、このストーリーが本当に よいんですよね(*^^*) 主人公にはかなり感情移入してしまったので、一気に読んでしまって、 読み終わってからもなんかドキドキしてました〜(^_^;) 叙述トリックはやっぱり好きには なれないけど、久々にすごいミステリを読んだな〜という感じです(*^^*) 楽しめました。 良かったです。…こういうのは普通、好きって言うのかもしれませんが、微妙にそうじゃないと いうか、嫌いな人がこういう叙述トリックにはホント腹が立つってゆーのも、まあ少しは分かると いうことで(^_^;) でも私としてはこれで大丈夫だと分かった(?)ので、他の叙述ミステリ作品も 読んでみたいですね♪



「「白鳥」の殺人」 折原 一 (光文社文庫 1994.2.20)
 新潟県、親不知。白鳥が冬の空を渡ってゆくのを眺めながら、河田光雄は特急「白鳥」へ 飛び込み自殺を図った。同じ頃、彼の上司が東京で他殺死体となって発見される。河田から プロポーズされていた同僚石野亜矢子は、彼にかかった殺人の容疑を晴らすべく、彼の兄、河田次郎と ともに事件の真相を探り始めるが……。1989年。

簡単に言うと、時刻表トリックものです。私は個人的に時刻表トリックものは ご苦労様なことだとは思うけど、特に好きじゃないんです(^_^;) でも、この作品のすごさは、 もちろんそれだけじゃないんですね〜。
 物語は、一人の男が特急「白鳥」に向かって飛び込み自殺をするという、ショッキングなシーンから 始まります。そして、「白鳥」を撮っていたカメラマンが、その自殺の瞬間を写真に収めてしまう……。 なかなか気になるプロローグなのですが、これがまさか、あんな意味を持っていようとは〜(・。・;)
シンプルで犯人ばればれな話に見えますが、ひねてあってなかなか読みごたえがあります。 犯人のトリックがちょっとしたことで破綻していく様はぞっとしますね。そして最後のシーンで再び、 やられた(^_^;)と思うんですねぇ。う〜む……(-_-;) 電車での旅のお供に向いてる本ですね〜(*^^*)



「模倣密室」黒星警部と七つの密室 折原一(光文社文庫 2006.5.20)
 県警のエリートだったのに、密室マニアが災いして片田舎の白岡警察署に 飛ばされてしまった黒星警部。そこで起きる事件といったら、雪道でのスリップ事故や 牛の脱走ばかり…。だがひとたび密室事件の報が入るや、奇声を上げて現場へ向かう…。
 黒星警部シリーズ短編集。2003年。
収録作品…「北斗星の密室」、「つなわたりの密室」、「本陣殺人計画」、「交換密室」、 「トロイの密室」、「邪な館、1/3の密室」、「模倣密室」


 埼玉県の白岡町警察に勤務する、密室大好きな黒星警部。この本に収録されているのは すべて国内外の有名な密室ミステリのパロディとも言うべき作品です。だから元ネタを知ってれば 余計楽しめるのですが、まぁ知らなくても黒星警部やその部下の竹内刑事が繰り広げる ドタバタだけでも楽しいです(^_^;) このシリーズ、密室にしても事件にしても いかにもな雰囲気がぷんぷんで、登場人物も話も妙〜に泥くさいんですけど、 そういうところが昔から実はけっこう好きです(笑)
 一つ一つの感想は書きませんが、好きなのは…横溝正史の作品を読みすぎた男が、 その有名な作品を真似た殺人の計画を立てる「本陣殺人計画」、 酒の席で妻を殺したいと口走ったために交換殺人を持ちかけられた男の話「交換密室」、 古今東西の密室ミステリマニアが計画した、完全な密室殺人計画の顛末「模倣密室」… あたりです。上記のようなことを言っておきながら、好きなのはあまり黒星警部出てきてない(^_^;)  時々読みたいシリーズですね♪ ……時々ね(笑)



「三月は深き紅の淵を」 恩田 陸 (講談社文庫 2001.7.15)
 たった一人に、たった一晩だけしか貸すことを許されない、作者不明の稀覯本 「三月は深き紅の淵を」。会長の別邸に招かれた読書好きの鮫島巧一は、家のどこかにあるという その本を探すように言われるのだが…。1冊の本をめぐる、幻想的な物語。1997年。

 始めに、便宜上、恩田陸の本は『三月…』とし、作中の本は「三月…」と表記します(^_^;)
読んだ人の誰もが引き込まれてしまう幻の本、「三月は深き紅の淵を」をめぐる、不思議な物語です。 読んだ人は、読んだことのない人の前で、「三月は…」の素晴らしさを克明に描写してみせます。 もぉ、読みたくてたまらなくなるくらいに(^_^;) この『三月…』は四章構成で、独立した話の ようでありながら、それぞれが微妙につながりあって、一つの物語になってます。第一章は、 あらすじにも書いた、本を探すお話。第二章は、「三月…」の作者の謎に迫るお話。島根へ向かう 夜行列車の中で、二人の女性編集者が、この本について語り合います。第三章は、崖から落ちて 死んだ二人の少女を巡る、深くて悲しいお話。第四章は…本の書き出しに悩むある女性作家と、 幻想的な“三月の国”のお話。どれも心に残る素敵なお話で、分けて考えたりするのもどうかなと 思うんですが、一番好きなのは1章(もちろん(笑))ですが、一番深入りしてしまった(?)のは 第三章です(^_^;) 読まれた方には意外かもしれませんが、第三章には、女として捨てられない ものがあるなぁ〜、という感じがあります(爆) 嫌なんだけど惹かれてしまうという、 複雑さが(^_^;) そういう意味では(?)、第二章も好きですね(*^^*)
 本好きはやっぱり、自分にとって完璧な本とゆーのをいつも夢見てるんでしょうね。 第一章で鮫島が語ってた、今までの人生で自分が読んだ本が全て並べられてる、自分だけの図書館、 とゆーのは私もよく考えてたことだったので、なんか嬉しい(*^^*) やっぱり、本読みにはとても 楽しめる本ですね〜♪



「ドミノ」 恩田陸 (角川書店 H13.7.25)
 一億円の契約を不意にするわけにいかないと焦る関東生命の社員たち、ミュージカル「エミー」の オーディションに受からなければとがんばる女の子たち、彼に捨てられたくないと必死の女、 俳句仲間との待ち合わせ場所にたどり着けずに焦る男、仕掛けるはずの爆弾をなくしてしまった男…… それぞれの事情と思惑が交錯し、東京駅は大混乱。倒れ始めたドミノのように、些細な出来事が どんどん膨れ上って、とんでもない事態に発展。早く、誰かがなんとかしなければ…。

 面白かったです〜(*^^*) 最初にイラストつきの登場人物一覧を見たときはその数の多さに (28人(^_^;))ちょっとひるみました。一つ一つのエピソードがちょっとづつ、 でも複雑に絡み合って一つのお話になってます。次から次に出てくる新しいストーリーと登場人物に 一歩間違えばごちゃごちゃしてワケがわかんなくなりそうですが、が、それぞれの状況がはっきり してるので混乱することは全然ありません♪ あらすじは書きにくいですが、とにかく楽しい ことは間違いないです(^_^) 純粋なエンターテイメントですね。やがて物語は、東京駅へと 集約されてきます。広くてフクザツな駅構内を、大勢の登場人物たちが走り、すれ違い、 ぶつかり合って……。個人的に東京駅内はよく知っているので、妙に懐かしかったです(^_^;)  とにかく気軽に読める、面白い一冊でした♪



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