た行
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武田泰淳
 ひかりごけ 新潮文庫
竹山道雄
 ビルマの竪琴新潮文庫
太宰治
 ヴィヨンの妻 新潮文庫
 人間失格 新潮文庫
立原道造
 立原道造詩集新潮文庫
田中芳樹
 アルスラーン戦記 1〜9角川文庫
谷崎潤一郎 1886-1965
 細雪 (1947)新潮文庫
つかこうへい
 菜の花郵便局角川文庫
津島佑子
 水府河出文庫
筒井康隆
 ベトナム観光公社中公文庫
壷井栄
 二十四の瞳


「ビルマの竪琴」 竹山道雄 (新潮文庫)
 第二次世界大戦中、ビルマ戦線には“うたう部隊”と呼ばれた日本人兵士たちがいた。どんなに 苦しいときも竪琴に合わせて歌い、数々の危機も歌うことで切り抜けてきた…。そんな中、いつも 竪琴をひいていた水島上等兵が、ある任務に向かったまま消息をたってしまう。やがて終戦、部隊は 捕虜になり、行く先々で水島にそっくりな僧侶を見かけることになる…。

 敵であるイギリス兵と一緒に「はにゅうの宿」や「故郷の空」を歌う場面、終戦後なお抵抗を 続ける日本兵とイギリス人兵の銃撃戦の真っ只中で竪琴をかき鳴らす水島、そして、「あおげば とうとし」を弾いて立ち去る水島…。音楽の持つ力のすごさに改めて感動させられます。そういう 趣旨で書かれたものではないですが、音楽を目指す方にはぜひおすすめしたい。子供向けのやさしい (そしてとても美しい)言葉で書かれた作品でありながら、その奥に込められているのは大変意味深い ものです。もちろんこれは戦争の物語でもあります。このお話を読むまで第二次世界大戦中に日本人が ビルマ(現在はミャンマーと呼ばれていますが)で戦っていたことさえ知らなかった私など、それに ついてはまったく言及できないのですが…。この物語を読む上では何の支障にもなりませんが、戦争に ついてちょっとだけ考えてみても。夏になるとどうしても読みたくなる本です。



「細雪」上・中・下 谷崎潤一郎 (新潮文庫 S30.10.30)
 大阪船場の旧家蒔岡家には、4人の姉妹がいた。婿養子をとって本家で暮らす長姉鶴子、 神戸の芦屋に住む分家の幸子、未婚の雪子と妙子。 昭和十年代の上方の上流社会で、彼女たちが織りなす人間模様と風俗を描く長編。1948年。

 一度は読もうと思いつつ、長いんで手が出なかった作品です(^_^;)  上方(この作品では大阪と神戸辺り)の上流社会のお嬢さんたちの生活を、四季折々の行事や 風俗などを折り込みながら描く物語絵巻。さらさらと音もなく知らないうちに降りつもってゆく 細雪のような、静かに流れるような作品ですね。時々大きな事件はあるもののけっこう淡々と 日々の生活を描いているだけなのですが、妙に引きこまれてしまいます。
 厄年(数えで33歳)過ぎてもなかなか縁談がまとまらず、引っ込み思案で純情な雪子の お見合いの顛末(自由に恋愛して結婚なんてまだまだ認められない時代)、 逆に奔放な妹妙子の、駆け落ち事件から始まる恋愛遍歴(といっても現代から見れば 大した事でもない)…の二つがストーリーの中心です。

 落ち目とはいえ旧家の体面やら義理やら、本家や親戚の思惑やらは決して無視できず、 二人の妹の行く末を兢々として思い悩む中姉の幸子。真ん中って大変ですねぇ…。 なんだかんだとつまらないことで失敗続きの雪子のお見合いの顛末は、ここまで来ると 失礼ながら面白くさえなってきますけど(^_^;)  雪子にしても妙子にしても、ほんっとにも〜なにやってんだかとイライラしてきて、 幸子でなくたって活を入れたくなる時があります(笑)
 まぁその反面、悩む幸子にせよおおらかというか事なかれ主義というか、悪いこともなんとなく やんわり包み込み、当り障りなく流れ任せ…。やだやだ、でもまぁ、そんなものだよね〜…と ため息ひとつ。彼女たちを見てると、たぶん大抵の日本人が抱くであろう、 そんなフクザツな心境が終始つきまといます。良くも悪くも純日本的。嫌いではないですけど、 時々もどかしいですね、なんかね。でも、そのもどかしさに引っ張られて読めてしまうというか(^_^;)

 …戦争の不穏な空気もかすかに感じつつ、隣家のドイツ人一家との交流や、亡命ロシア人一家、 この時代の上方の習慣や文化や価値観、今でもある有名なお店や食生活なんかも面白いです。 忘れかけられた日本の美しい風俗と、品のある言葉をしみじみと堪能しました。 やっぱ読んでよかったです。



「水府」 津島佑子 (河出文庫 1990.6.25)
 水をテーマにした、津島佑子の連作短編集。
 収録作品……「ボーア」、「多島海」、「番鳥森」、「浦」、「水府」


 太宰治の娘ということくらいしか知らなかった津島佑子なんですが、読むのは初めてですね。 冬にはちょと寒い(心が(爆))短編集だったかな(笑) 男女の心の動きを描きながら、 背後にはいつも水の流れる音が。流れる水、よどむ水、落ちる水、包み込む水…。息をしようと もがくけれど、喉に流れ込んでくるのは大量の水、という感じが……。一編一編はそれぞれに いいのですが、続くとちょとばかり息つぎをしたくなりますね(^_^;) 暗くはないけど、 重いのです。水が……。
 一編一編の感想は書きませんが、私が好きなのは…
…父を飲み込んだ川の流れとそれを忘れることが出来なかった母をを思いながら、一人で育てる 二人の子供をサマー・キャンプへ連れて行く私。私の夢にはいつも津波が…『ボーア』、 悪いことをすると、森からバンドリが来る…バンドリにおびえる子供時代を過ごした私は、ある日突然 妹の死を知らされる。むごい死に方をした妹の姿に、私は学生時代の兄との生活を思い出していた… 『番鳥森』、所帯持ちの男との間に出来た一人娘を抱えて生きる私と、夫を引きずり込んだ水の神と 共に生きる私の母の物語が交錯する『水府』などです。あら、何故か女性が主人公のお話ばかり ですね(^_^;) う〜む、短く言ってしまえば(長く言ってもだけど)全部不倫をしてる男女の 物語なんですが、なんか不倫という言葉がしっくり来ないんですね。不思議ですね。罪悪感と いうものが感じられないからなのかな。感じられないこと自体も、悪いこととは思えないような。 それに、女性の方が強くしたたかに見えるのは何故なんでしょうね。自分が女だからでしょう かね(^_^;) 水の見せるいろんな表情をすべて併せ持つような短編集でした。
 最後になりましたが、この本を下さったSSさん、ありがとうございました(*^^*)



「ベトナム観光公社」 筒井康隆 (中公文庫 S54.2.25)
 筒井康隆の初期短編集。
 収録作品……「火星のツァラトゥストラ」、「トラブル」、「最高級有機肥料」、「マグロマル」、
「時越半四郎」、「カメロイド文部省」、「血と肉の愛情」、「お玉熱演」、「ベトナム観光公社」


 いろんなところでちょこちょこと読んでいるわりに、まとめて読んだことのない筒井作品…。 SFといえばSFですけど、そういう枠だけにおさまってませんよね。『お玉熱演』に「…どんな 番組かは、見る人によって違うのではないかと思います。ある人にとっては、社会教養番組であり、 ある人にとってはスリルとサスペンスに満ちたミステリー、またある人にとっては、スラップ スティック・コメディでもありましょう」というセリフがあります。そんな番組っていったい(笑)と 思うんですけど、これ番組を作品に変えるとそのまま筒井作品の紹介コメントにしてもおかしく ない…と思うのですが、なにしろあまり読んだことがないので断定できません。好きな作品は 「マグロマル」(って結局なんなんだろう…)、「時越半四郎」(半四郎がちょっと好き…)、 「カメロイド文部省」(作家って…)…など。ところで、個人的にちょっと読むに堪えなかったのが 「トラブル」。ダメなんです。手がちぎれたり首が飛んだり目玉が内臓がぁぁ…とか、 そういうの(T_T) 作者の書き方にもよるんですけど、これはもー完全に×。ストーリー自体は 面白いですけど。まだ「最高級有機肥料」のような話のほうが堪えられます。ストーリーを 詳しく書く気にはなりませんが(^_^;)。ホント、すごいです   近年の作品も読んでみたいな〜。



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