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あ行
安房直子(あわ なおこ) 1943-1993
 夢の果て講談社文庫
 ハンカチの上の花畑講談社文庫
 だれにも見えないベランダ講談社文庫
 銀のくじゃくちくま文庫
 白いおうむの森ちくま文庫
 なくしてしまった魔法の時間 安房直子コレクション1偕成社
 見知らぬ町ふしぎな村 安房直子コレクション2偕成社
 ものいう動物たちのすみか 安房直子コレクション3偕成社
 まよいこんだ異界の話 安房直子コレクション4偕成社
 恋人たちの冒険 安房直子コレクション5偕成社
安野光雅(あんの みつまさ) 
 空想工房 文春文庫
 狩人日記 文春文庫
 手品師の帽子 ちくま文庫
 空想犯 講談社+α文庫


か行
柏葉幸子(かしわば さちこ)
 霧のむこうのふしぎな町 講談社青い鳥文庫
香山彬子(かやま あきこ)
  砂漠のぼうけん (ふかふかウサギトントンシリーズ)理論社


さ行
瀬尾七重(せお ななえ) 1942-
 銀の糸あみもの店講談社文庫


な行
中川李枝子(なかがわ りえこ)
 いやいやえん福音館書店
梨木香歩(なしき かほ) 1959-
 西の魔女が死んだ新潮文庫


ま行
松谷みよ子(まつたに みよこ)
 龍の子太郎・二人のイーダ講談社文庫
 オバケちゃん講談社文庫


「夢の果て」 安房直子 (講談社文庫 1989.4.15)
 児童文学作家、安房直子(1943-1993)の短編集。8編収録。
 収録作品……「夢の果て」、「あるジャム屋の話」、「黄色いスカーフ」、「サリーさんの手」
       「空に浮かんだエレベーター」、「ききょうの娘」

 現実と空想の間で起こる、不思議なファンタジーです(*^^*) 安房直子作品は今までに ほんの少し読んだ事があるだけなのですが、どれもすばらしいものばかりです。残念ながら 絶版の本が多すぎますが、これもそのうちのひとつです(-_-;) いつまでもひたっていたいと思わせる、 素敵な世界ですね(*^^*) 日本語のやさしい語感で描かれる、暖かくて不思議な世界。以下に お気に入りの感想を♪ 私の無味乾燥な言葉では、安房作品の魅力の十分の一も伝えられませんが…(-_-)

「夢の果て」
 「ドリーム化粧品」という会社の作ったアイシャドウを手に入れた娘は、それをつけて寝ると 毎晩不思議な夢を見ることに気付く。どこまでも続くアイリスの花畑の向こうに誰かが待っている ような気がして、どんどん走る続けるという夢だった。毎晩同じ夢を見つづけ、やっとアイリスの花畑の 果てを目にした彼女だったが…。
 美しくも幻想的なお話です。夢の果てに立っているひとりの若者に憧れ続けて、アイリスの畑を ひた走る少女。夢と現実が溶け合って、不思議な雰囲気の作品です(*^^*)

「あるジャム屋の話」
 若い頃から人付き合いの下手だった私は、森の中に自家製ジャム屋を開いた。なかなかジャムは 売れなかったが、彼のもとに一頭の牝鹿がやってきて美しいレッテルを描いて くれるようになってから、ジャムは飛ぶように売れ出す。ある日彼のもとに、牝鹿の 父親がやってきて、牝鹿を人間にするためにつれてゆく…。
 いいですねぇ〜(ToT) なんて素敵なお話なんでしょ(ToT) お父さんちょっとおせっかいかも とか思わないでもないですが(笑) 人間になるためにいくつもおまじないをとなえ、いくつもの 花を食べいくつもの泉の水を飲む牝鹿の様子が目に浮かぶようです。

「グラタンおばあさんと魔法のアヒル」
 グラタンが大好きで毎日グラタンを食べているおばあさんは、黄色いアヒルの絵のついた グラタン皿を持っていた。ある日風邪をひいてしまったおばあさんのためにグラタンの材料を出して あげたアヒルだったが、おばあさんはやがてアヒルを頼りにして不精ものになってしまう。 嫌気の差したアヒルはグラタン皿を抜け出し、別の居場所を探し始める…。
 40ページとこの本の中では長めのお話です。グラタン皿を抜け出しても、行く先々でひどい目に あうアヒル。妙に憎めないとぼけた感じがかわいいです(*^^*) 読み終わると妙にグラタンが 食べたくなりますぅ〜(ToT)

「花のにおう町」
 秋の始め頃、信はオレンジ色の自転車に乗った少女を見つけた。不思議なことにそのあと 同じオレンジ色の自転車に乗った少女たちを町じゅうで見かけるようになった。彼女たちの 正体を突き止めようと、信は自転車に乗って彼女たちを追いかける…。
 オレンジ色の自転車、というところが素敵ですね。誰でも胸の中に一つづつ持っているバイオリン、 それを鳴り響かせる少女たち……。短いけれど、本当に素敵なお話です(*^^*)

「ききょうの娘」
 怠け者だった大工の新吉の元へ、むらさきの着物を着た娘が嫁にやってきた。彼の母親に言われて来た というその娘は彼の故郷の山のご馳走がいつでも出てくる不思議なおわんを持っていた。おわんを 粗末にすると山に帰らなければならないという娘だったが、やがて暮らしが裕福になり、新吉は 贅沢な食べ物を望み始める……。
 娘の正体がいいですね(*^^*) よくあるお話に思えますが、彼を一番心配している人の存在が きちんと見えるのがやっぱりよいです。



「ハンカチの上の花畑」 安房直子 (講談社文庫 S52.7.15)
 児童文学作家、安房直子の短編集。3編収録。
収録作品……「ハンカチの上の花畑」、「空色のゆりいす」、「ライラック通りの帽子屋」


 やっぱり安房直子さんの作品はいいですね〜(ToT) 読むたびにそう感じます。 淡い色のやさしい水彩画のような、素敵なお話ばかりです。以下に全部の感想を♪

「ハンカチの上の花畑」
 ずっと無人だったはずの"きくや酒店"きくや酒店に郵便を配達した郵便屋は、お礼にと そこのおばあさんから不思議なお酒をご馳走になる。それは古めかしいつぼの中から出てきた 小人たちが作る、おいしい花のお酒だった。つぼを預かることになり、しばらくはおいしいお酒を 楽しんでいた郵便屋だったが、やがて彼もお嫁さんを迎えることになり…。
 女ってものはねぇ〜…(^_^;) つぼの中から出てきて、広げられたハンカチの上で せっせと菊畑を作る小人たち。かわいくて楽しいです(*^^*) やがて欲に捕らわれた 夫婦を待つ運命がちょっと不気味ですね〜。

「空色のゆりいす」
 椅子つくりの職人夫婦に生まれた女の子は、生まれつき目が見えなかった。悲しみに沈む 夫婦だったが、彼女のためにつくったゆりいすを空色に塗ることにした。ある日椅子つくりの 職人は、空の絵を描いている不思議な少年に出会う。その空の色に魅せられてしまった彼は、 絵の具を分けてもらうことにした…。
 何も見る事ができない彼女に教える事ができるなら、たった一つ空の色を教えたい。そんな 椅子つくりの思いに胸をうたれます。空の青から絵の具を作り出す、不思議な少年。空色の いすに座って、空色を見る事ができるようになる少女……。いいですね(ToT) 鮮やかな空の色が 心に残るお話です。

「ライラック通りの帽子屋」
 家族がいるのに売れない帽子ばかりつくり続けていたライラック通りの帽子屋のもとに、 一匹の羊がやってくる。自分の毛で作った帽子をかぶると"いなくなった羊の国"へ行けるのだという。 ある日ふとその帽子をかぶってみた帽子つくりは、自分が花盛りのライラック通りにいることに 気付く。やがて羊の喫茶店で虹のかけらを食べた彼は30歳も若返り、今のことを忘れてしまう…。
 西へ西へと向かい、赤い夕日に飲まれて消えた羊たちの国。 羊の喫茶店のメニューがいいです。若返って、いなくなった羊の国で好きな帽子をいくらでも 作れるようになったけれど、彼の本当の幸せは……。素敵なお話ですね(*^^*)



「だれにも見えないベランダ」 安房直子(講談社文庫 1981.5.15)
 児童文学作家、安房直子の作品集。11編収録。
 収録作品……「だれにも見えないベランダ」、「緑のスキップ」、「海からの贈りもの」、「カスタネット」、
「ほたる」、「夏の夢」、「海からの電話」、「小さい金の針」、「天窓のある家」、「声の森」、
「日暮れの海の物語」


 やっぱりとても美しい、素敵な物語ばかりですね(*^^*) ポケットの中でさくさくと鳴る桜貝、 ほろほろとこぼれる銀色の花びら……五感すべてに訴えかけるこの言葉の美しさは、説明の しようがありません(ToT) もう実際読んでいただくしかないです。とはいえ、悲しいことに今ほとんど 絶版なんですよね、安房直子さんの本て……(-_-)
 短めのが多いのでひとつひとつの感想は書きませんが、私のお気に入りは……
やさしい娘のためにと若い大工が猫に頼まれて作った、見えないベランダのお話「だれにも見えないベランダ」、 海の町のお祭りで、かな子が手に入れた不思議な桜貝のお話「海からの贈りもの」、 木の精の叩くカスタネットの音色に魅入られた男の話「カスタネット」、 さえないとうもろこし売りが、ふと出会った老人の耳鳴りを貸してもらうお話「夏の夢」、 壊れたギターを海のカニたちが一生懸命直す微笑ましいお話(*^^*)「海からの電話」、 友人の別荘で月夜に拾った、銀色の影の花の秘密……「天窓のある家」、 入ってきたものをとりこにして帰れなくしてしまう、古いかしわの森の物語「声の森」…… などです♪ どれも本っ当〜に美しくて幻想的な、心を打たれるお話ばかりです(*^^*)  安房直子作品の微妙な雰囲気は、本当に言葉では言い尽くせませんね(ToT)



「銀のくじゃく」 安房直子 (ちくま文庫 1985.12.4)
 児童文学作家、安房直子の短編集。7編収録。
 収録作品……「銀のくじゃく」、「緑の蝶」、「熊の火」、「秋の風鈴」、「火影の夢」、
          「あざみ野」、「青い糸」


 いいですね。いくら読んでも飽きませんね(*^^*) こんな素敵な世界なら、どれだけ ひたっていてもいいです〜♪ 以下に、お気に入りの感想を。

「銀のくじゃく」
 南の島に住む腕利きのはたおりは、ある時不思議な老人に仕事を頼まれる。ジャングルの中に 建つ高い塔の上で、緑のくじゃくの旗を織リ始めるはたおり。だが、不思議な四人の娘たちに せがまれ、彼は旗の裏側にこっそり銀色のくじゃくを織り込み始めてしまう……。
 滅びてゆく緑のくじゃくの物語。切なくてとても美しいです(T_T) 銀のくじゃくの歌う歌が もの悲しい……。

「熊の火」
 山で遭難してしまった小森さんは、煙草をくわえた熊に出会う。熊に自分の息子になって欲しい といわれ、小森さんは火の中にあるという熊の楽園に連れて行かれた。熊の娘と結婚し、 幸せな日々を送っていたはずの小森さんだったが……。
 炎の中にある楽園がとても素敵です(*^^*) 山を焼きながら小森さんに会いに来る熊の娘の 言葉がとてもいじらしい。人間なんて〜(T_T)

「秋の風鈴」
 「おたくの風鈴がうるさくて夜眠れません……」僕の部屋に届いた、差出人のないはがき。 僕は意地になって風鈴をしまわず、差出人を突き止めようとする…。
 これどこかで読んだ覚えがあります。懐かしい…。不思議なはがきの差出人にはびっくり(*^^*)

「火影の夢」
 港町の骨董屋に一人の若い水夫が訪れ、数日の約束で小さなストーブを置いていった。 その不思議なストーブは、火を入れると小さな娘が現れてスープを作り始めるのだった。すっかり ストーブのとりこになった店主は、手放すのが惜しくなって……。
 ストーブの火影の見せてくれる幻に引き込まれてしまいます(*^^*) でも意外と サスペンスな展開ですね〜(^_^;) 骨董屋さんの思い出話と火影の幻が一体となって、とても 幻想的なお話です。

「青い糸」
 宿屋で働く14歳の千代は、まだ会ったこともない人に恋焦がれて胸をいためていた。窓の外に見える 幻のようなその人にいつかあげるために、千代は青い毛糸でセーターを編もうとするのだが……。
 恋の赤い糸ではなく、あこがれの青い糸に結ばれたふたり。人の憧れの切なさが心にしみいる お話ですね。



「白いおうむの森」 安房直子(ちくま文庫 1986.8.26)
児童文学作家、安房直子(1943-1993)の短編集。7編収録。
収録作品……「雪窓」、「白いおうむの森」、「鶴の家」、「野ばらの帽子」、「てまり」、
      「長い灰色のスカート」、「野の音」


 安房直子さんの作品はどれもちょともの悲しくて、心に残る作品ばかりですね。幻想的で 語られる言葉はほのぼのと心和むのに、描かれているものは死や別れの哀しみ…。この短編集は特に そういうお話が多かったですね。続くとちょと気が滅入っちゃうかなぁ(^_^;)  以下にお気に入りの感想を♪

「雪窓」
 小さな屋台のおでん屋「雪窓」を一人で切り盛りしているおやじさんのもとに、一匹の たぬきが現れる。たぬきを助手に商売を続ける「雪窓」に、おやじさんが昔亡くした娘に そっくりの若い娘がやってくる…。
 おやじさんとたぬきのやり取りがほのぼのしてていいですね(*^^*) 娘さんのことも、 ちょとしんみりしちゃうけど爽やかなお話です。

「鶴の家」
 猟師の長吉さんがお嫁さんを迎えた夜、彼の元に一人の若い女性が訪れ、一枚のお皿を結婚祝だと 置いてゆく。その女性は、長吉が先日間違って殺してしまった丹頂鶴の化身だった。やがて丹頂鶴が くれた皿には、長吉の一族に死人が出るたびに鶴の絵が浮かび出るようになった…。
 何か悪い事が起きるわけじゃないけど、ただ死人の数だけ鶴の浮かび出る皿が不気味です。 でも、なんとなくほのぼのとした余韻が残りますね。

「てまり」
 お屋敷の奥で優雅な暮らしをしていたわがままなお姫様のもとに、貧しいはた織りの娘おせんが 不思議なてまりを持ってやってきた。そのてまりをたもとに入れて覗き込むと、不思議な 美しい菜の花畑の光景が広がるのだったが……。
 お姫さまとおせんの友情がいい感じですね。与えられた友達には心から打ち解けられなかった お姫様だけど、おせんとの束の間のふれあいも切なく終わってゆく…。もの悲しいお話だけど、 お姫様も変わったのかな…。

「野の音」
 野原の音が聞こえてくる不思議なボタン穴を作る洋服店には、たくさんの少女たちが見習いに やってくる。だが、少女たちは決して戻ってはこなかった…。そんな風にして妹が消えてしまった 理由を突き止めようと、一人の若者が店を訪れたが……。
 ちょっと長めのお話です。不思議なボタン穴を作る怪しいおばあさん。その正体は……(-_-;)  幻想的でちょっと怖い物語ですね。



「なくしてしまった魔法の時間」安房直子コレクション1 安房直子(偕成社 2004.3)
安房直子コレクション1  児童文学作家安房直子(1943-1993)主要作品71点とエッセイ40点余を収録した作品集。
 第1巻には11篇収録。 本の詳細
収録作品…「さんしょっ子」、「きつねの窓」、「空色のゆりいす」、「鳥」、
  「夕日の国」、「だれも知らない時間」、「雪窓」、「てまり」、
  「赤いばらの橋」、「小さいやさしい右手」、「北風のわすれたハンカチ」


 ずっと絶版の多かった安房直子さんの本ですが、このたび作品集全7巻が刊行されました〜♪  とはいえ全集まで手にされる方は、それほど多くはないのかな、と…(^_^;) 北見葉胡さん(HPへ)が どれも素敵なイラストを描かれている、一生もののコレクション♪ この本はその第1巻です。
 安房直子さんの本は大人になってから初めて読んだと思い込んでいたのですが、実は小学生の頃 図書館で借りて読んでいたり、あまつさえ国語の教科書に載ってたものがあったことを 読みながら思い出してます(^_^;) いつかどこかで読んだような不思議な既視感もまた、 安房直子作品にはふさわしいかと…。
 それはそれとして(^_^;)既読の作品がけっこうあるので、以下にそれ以外のお気に入りの感想を♪
 第2巻に続きます。

「さんしょっ子」
 さんしょっ子の住んでいるサンショウの木は、貧しいお百姓さんの畑の真ん中に生えていた。 その家のすずなという娘は、木の下で茶店の三太郎とよくままごとをして遊んでいた。さんしょっ子は そんな二人をいつも見ていて時折いたずらをしていたが、やがて二人は大人になって……。
 切なさがじんわり染み入るお話ですね。みんな変わってしまって、残ったのは優しい わらべ歌だけ。でも、あずきのおだんごおいしそう…(^_^;)

「鳥」
 とてもいい腕と評判の耳のお医者さんのもとに、耳の中に大変なものが入ってしまったという 少女がやってきた。海からやってきたというその少女は、耳の中に入った秘密を取り出して欲しいと お医者さんに頼むのだが…。
 秘密を取り出してほしいなんて、素敵なお話です(*^^*) しかも、その秘密はまた彼女の…。 お医者さんがふいっと引き込まれる、少女の耳の中の世界がとてもいいですね。

「夕日の国」
 スポーツ用品店の小さいショーウィンドウの飾り付けを任されたぼくは、なわとびのひもと 運動靴をきれいに飾りつけた。しかし裏口に向いたショーウィンドウを見てくれる人もいなかった ある日、女の子が飾り付けをじっと眺めていた。咲子というその子が持っている不思議な薬を塗れば、 なわとびの向こうに夕陽の国が見えるというのだったが…。
 薬を塗ったなわとびで50回飛べば見えてくるという夕陽の国。目を閉じると異国のもの悲しい夕陽の オレンジがしんみり残るようなお話です。

「だれも知らない時間」
 漁師の仕事に追われて時間がない良太に、時間なら有り余るほど持っているというカメが 毎日1時間だけ時間をくれた。その時間で、祭り太鼓の練習をする良太。だがそんなある日、 誰もが寝静まっているはずのその1時間に、少女が一人尋ねてきた…。
 長い長い祭りの夜。太鼓をたたき続け、踊りつづける人々の時間と引き換えに……。 賑やかなはずの祭ばやしがなんだか切ないです。すべてに倦んだようなカメの姿が、とても 淋しい…。



「見知らぬ町ふしぎな村」安房直子コレクション2 安房直子(偕成社 2004.3)
安房直子コレクション2  安房直子主要作品71点とエッセイ40点余を収録した作品集。
 第2巻には15篇収録。 本の詳細

収録作品…「魔法をかけられた舌」、「空に浮かんだエレベーター」、
 「ひぐれのお客」、「ふしぎな文房具屋」、「猫の結婚式」、
 「うさぎ屋のひみつ」、「青い花」、「遠い野ばらの村」、「秘密の発電所」、
 「オリオン写真館」、「海の館のひらめ」、「ふしぎなシャベル」、「海の口笛」、
 「南の島の魔法の話」、「だれにも見えないベランダ」


 1巻に引き続き、どれも素敵なお話ばかり♪ なんだか2巻の収録作品、猫が出てくる話が 多いですね。いいですね(笑) 以下にお気に入りのお話の感想を(^_^) 第3巻に続きます。

「魔法をかけられた舌」
 父が亡くなり、街角のレストランの主人になった洋吉。だが彼には料理の才能が全くなかった。 悩む洋吉の前にふしぎな小人が現れ、父に世話になった恩返しに彼の舌に魔法をかけてくれるという…。
 そんな魔法、かけてほしいですね〜(^_^;) 約束も忘れてよそのお店の味を盗みつづける洋吉。 ホントに大事なものはすぐそばにあるのにね…。小人の寛容さに拍手(T_T)

「ひぐれのお客」
 ある冬の日暮れ時、裏通りの小さな手芸店に黒いマントを着た真っ黒な猫がやってきた。 猫はマントに真っ赤な裏地を付けたいと言い、生地を吟味し始めるのだが…。
 猫の理想は厳しいものです(笑) 薪ストーブがぱちぱち音をたてながら燃えるような赤の裏地。 色の表現がホントに素敵(*^^*) ためつすがめつ生地を選ぶ、ちょっと生意気な猫がかわいいです。

「うさぎ屋のひみつ」
 家事の嫌いな若い奥さんのところへ、白いデニムのエプロンをかけたうさぎがやってきた。うさぎは とびきりおいしい夕食の配達サービスを毎日する代わり、毎月一つアクセサリーを要求してくる。 それが数ヶ月続いたのだが、渡すものがなくなってしまった奥さんは、ついに金の結婚指輪まで手放してしまう…。
 ひどい奥さんだ(^_^;) でもうさぎ屋のご馳走がホントにおいしそうです〜。1ヶ月くらいなら お願いしたいかも(爆)

「遠い野ばらの村」
 小さな雑貨屋を営むおばあさんは、遠い村に住むという息子や孫たちのことを得意げに話していた。 村の人たちはお婆さんに息子などいないことは知っていたのだが、ある日おばあさんのお店に 一人の少女がやってくる…。
 野ばら堂のせっけん、使ってみたいです〜(*^^*) 孤独なおばあちゃんをなぐさめる孫たちの正体(?)も いいですね。ほのぼのとした、いいお話です♪

「海の館のひらめ」
 レストランアカシヤで働くしまおは、もうすぐ22歳なのにいつも下っ端の仕事ばかり。店を辞めようと思い始めた しまおに声をかけたのは、今にも調理されるばかりになっている一匹のひらめだった…。
 努力する者にだけやってくるふしぎな幸運。お嫁さんの世話まではやりすぎじゃないかって 思うんですが(笑)、しまおの作る料理がどれもホントにおいしそう。じんわり心に残る素敵なお話(^_^)



「ものいう動物たちのすみか」 安房直子コレクション3 安房直子 (偕成社 2004.3)
安房直子コレクション3  児童文学作家安房直子(1943-1993)主要作品71点とエッセイ40点余を収録した作品集。第3巻には15篇収録。 本の詳細
 収録作品……「きつねの夕食会」、「すずめのおくりもの」、「ねずみの福引き」、
  「きつね山の赤い花」、「星のこおる夜」、「ひぐれのラッパ」、
  「ねこじゃらしの野原」、「風のローラースケート」、「月夜のテーブルかけ」、
  「小さいつづら」、「ふろふき大根のゆうべ」、「谷間の宿」、「花びらづくし」、
  「よもぎが原の風」、「てんぐのくれためんこ」


 ほぼ全部動物たちが主役のお話の巻です。人間のまねをしている動物たちがおかしくもかわいいです。 おとうふ屋さんが多いのも面白いですね♪ 以下に好きな お話の感想を。第4巻に続きます。

「すずめのおくりもの」
 月に一度の定休日のとうふ屋に、何人ものお客がやってきて声をかける。不審に思った 主人が出てみると、そこにはたくさんのすずめがずらりと並んで待っていた。すずめたちは、 自分たちの子供のためにとうふを作ってほしいと申し出る…。
 何もかも小さくて、とてもかわいいすずめたち♪ 妙に礼儀正しくて笑えます。小さいおとうふだけでも かわいいんですが、すずめたちが作りたかったのは…。

「ねずみの福引き」
 ある日とうふ屋の店先にやってきた一匹のねずみに豆腐を注文され、おまけにねずみたちの福引にも誘われた主人。 すすきが原出かけた主人を出迎えたのは、小さな出店がいくつも並んだねずみたちのお祭り広場だった。
 小さな小さなねずみたちのお祭りがいいですね〜。ちょっとだけケチな(笑)ねずみの福引ですけど、 最後の花火が素敵です(*^^*)

「ねこじゃらしの野原」
 いつの頃からか、吉村とうふ店には間違い電話が多くかかるようになってきた。 電話の注文など受け付けていない主人は困惑し、近くに他にもとうふ屋があるらしいと思い始め、 探しに出かけることに。一度も来たことのないねこじゃらしが一面に生えた野原に迷い込んだ主人は、 猫が自転車に乗ってラッパを吹きながらとうふを売り歩いているのを発見する…。
 小さな猫のとうふ屋、いいですね〜。猫の作るとうふ料理がおいしそうです♪ 

「花びらづくし」
 山の人間しかお客になることができないという店“さくら屋”。山に6年住んでようやく招待状をもらった わたしは、年に一度しか開かないさくら屋へ出かけた。さくらの花びらでできた首飾りや帽子に浮かれる わたしだったが…。
 桜の淡いピンクが印象に残る素敵な(でもちょっと怖い)お話ですね。桜林の中って、 確かになんだか怖いくらいの美しさ。さくら屋に行ってみたいです。



「まよいこんだ異界の話」 安房直子コレクション4 安房直子 (偕成社 2004.3)
安房直子コレクション4  児童文学作家安房直子(1943-1993)主要作品71点とエッセイ40点余を収録した作品集。第4巻には中編4篇収録。 本の詳細
 収録作品……「ハンカチの上の花畑」、「ライラック通りの帽子屋」、「丘の上の小さな家」、「三日月村の黒猫」

 普通に生きている人間は憧れてはいけないものに憧れて、違う世界へ足を踏み入れてしまった人たち。 何かを作りだす代わりに何かを失ってしまうというような、そういうちょっと切ないお話を集めた巻です。 全部中編です。「ハンカチの上の花畑」「ライラック通りの帽子屋」は 以前の感想をどうぞ。他2編の感想を以下に♪ 第5巻に続きます。

「丘の上の小さな家」
 レース編みの好きな少女かなちゃんは、ある日クモの巣の美しさに心を奪われる。 クモに教えてもらったレース学院へ行ってみたくてたまらなくなったかなちゃんは、 お母さんと二人で暮らしていた小さな家を飛び出した…。
 美しいレース編みを憶える代わりに、かなちゃんが失ってしまった長い歳月。静かな悲しみに満ちた、 美しくも切ないお話です。かなちゃんを支える猫がいじらしいですね。

「三日月村の黒猫」
 さちおのお父さんがやっていた山本洋服店が倒産し、お父さんはさちおを残しどこかへ行ってしまう。 困っているさちおのもとへ、三日月村に住むお婆さんの使いでやってきたという黒猫がきて、店の仕事を手伝い始めた。 なんとか暮らしていけるようになったが、足りなくなってきたボタンをもらうために、 さちおは遠い三日月村のお婆さんの家へ行くことにする…。
 不思議な三日月村の秘密…。ほの暗く神秘的な雰囲気の漂う村がなんともいえません。。ミシンをかける黒猫や ボタンを作るリスたちがかわいいです。



「恋人たちの冒険」 安房直子コレクション5 安房直子 (偕成社 2004.3)
安房直子コレクション5  児童文学作家安房直子(1943-1993)主要作品71点とエッセイ40点余を収録した作品集。第5巻には中編5篇収録。 本の詳細
 収録作品……「天の鹿」、「熊の火」、「あるジャム屋の話」、「鳥にさらわれた娘」、
          「べにばらホテルのお客」

 恋人たちといっても、普通なら決して結ばれることのないものたちのお話ばかり。 どのお話もどこかさびしさや切なさ、どうしようもない憧れの悲しさがつきまといます。 一番好きなのは「あるジャム屋の話」です。逆にちょっと微妙だったのが「べにばらホテルのお客」。 主人公の焦燥感みたいのがなんか心地悪く、その他色々もうちょいなんとかしようが あったんじゃないかと思うのですが…まぁ好みの問題ですな(^_^;)
 「熊の火」「あるジャム屋の話」は 以前の感想をどうぞ。以下にその他一つだけお気に入りの感想を。第6巻に続きます。そのうちに。

「天の鹿」
 猟師の清十は、ある日山でものをしゃべる不思議な鹿に出会った。自分を助けてくれたら 素晴らしい宝物をくれるという鹿が彼を連れて行ったのは、鹿たちの市だった…。
 鹿の心も知らず、美しい品物に惹かれる人間たち。とはいえ人間を責めるような言葉は一言もなく、 それがかえってこのお話を切ないものにしてますね。誰が悪いわけではないけれど…。 自分を生かしてくれているものに思いを馳せたくなる、悲しいけれど心に染み入る素敵なお話です。



「手品師の帽子」 安野光雅 (ちくま文庫)
 気ままな旅を続ける吟遊詩人クライツ。ひょんなことで出会った手品師から、何でも出てくる 不思議な帽子をもらうことに。ところが、この帽子の中はどうなっているのだろう? なんて、 妙な好奇心を起こして帽子の中へ入ったばっかりに、大変な目にあうことに。画家・安野光雅氏の、 唯一の童話。

 挿絵ももちろん、安野氏ご自身で描かれています。中学生の頃に初めて読んだのですが、何でも 出てくる帽子の中に「じゃあ、オブラートはあったかい?」と尋ねたという、詩人T氏 (誰なんだろう…)のすごさに脱帽しました。オブラートは普通すぐ出てきませんよねぇ。 一番好きなのは、帽子の中のちいさなアトリエに閉じ込められて絵を描きつづける画家のシーン。 画家に代わって閉じ込められてしまったクライツ。帽子の中から脱出しようと、描いたものが本物に なる魔法の粉を使い、必死になって描いたこともない気球の絵を描きます。魔法の粉もあんまり 下手な絵に困って、最初は網に入ったミカンやうちわが出てきたり…。絵が描けずに四苦八苦する クライツを、画家である安野氏が書いてるのが面白いです。やっと気球は描けたけれど、中に入れる ガスは描けるわけもなく、クライツは帽子の中をどこまでも落ちて、ついに地獄まで…。



「空想犯」 安野光雅 (講談社+α文庫 2001.3.20)
 画家安野光雅の、空想にまつわるエッセイ。

 これ、79年に平凡社から(86年に文春文庫から)でてる『空想工房』(絶版)を加筆修正した ものです。なので、私はほとんど読んでるのですが、これで安野さんのエッセイを読まれたことの ない方にお勧めもできるというもの(^_^;) 絵も大好きなのですが、軽い調子で書かれてて実は 奥の深い文章も大好きなんです。
 この本で一番心に残ってるのは、安野さんが、寄せ書きなんかに「ちょっと絵を描いてくれ」などと いわれて困る、というお話。安野さんほどの方でも、絵を描いてるなんてことは他人から見ると その程度のことなんだろーか。でもそりゃ失礼すぎるぞ〜(-_-;) どう失礼なのか、自分では…… 確かにうまく言えないかもしれないけど(^_^;)。
 ともかく、空想すること、想像力ってほんとにとても大事なことだと私は思ってます…。想像力が ある、と自覚または自負(笑)されてる方には、とても面白く読める本だと思います♪



「霧のむこうのふしぎな町」 柏葉幸子 (講談社青い鳥文庫 1980.11.10)
 お父さんにすすめられ、今年の夏休みは“霧の谷”へ一人で遊びに行くことに決めたリナ。 深い霧を抜けたその先には、洋館の立ち並ぶ、外国のようなちいさな街がありました。しかし そこに住む人々は、もっと風変わりで…。

 これは小学校高学年の頃、いとこの本棚にあったのをタイトルにひかれて勝手に引っ張り出して 読みました(笑)。おもちゃ箱のような霧の谷の町がとても魅力的です。昔は気づかなかったけれど、 このお話を読んだ後は、鮮やかな色彩がはっきり心に焼き付けられます。でてくるものが みんないろんな色できらきら光っているような印象を受けます。好きなのは当然(?)ナータの 本屋さんのシーン。ほこりがたまるとふてくされて本棚から床に散らばってしまう本の整理を 手伝うリナ。…ウチの本もそうなりそう(笑)



「砂漠のぼうけん」ふかふかウサギのぼうけんシリーズ 香山彬子  (理論社 1977)
ふかふかうさぎ  世界宇宙協力員ふかふかウサギのトントンは、パラシェム砂漠のウムウム国に、望遠鏡の調整の ため招かれた。そこのラムネ王子とすっかり仲良くなったトントン。ラムネ王子の持つきれいな 文鎮に書かれた星文字を解読し、サブラーナと呼ばれるジプシーたちの「星のウルパ」というお祭りに 出かけることに…。1977年。

 ふかふかウサギのトントン・シリーズ(…何作目かは分かりません(^_^;))。現在では絶版のため、 オンデマンド出版に頼りました。20年も前に、大好きで何度も何度も読んだ本。内容はあらかた 忘れていましたが、読んでいるとどんどん思い出してきました(*^^*) 世界宇宙協力員というすごい 肩書きを持つ子ウサギのトントン。今回は王子さまとその側仕えのサホスと一緒に、砂漠の真ん中で 行われる星のお祭りへ。おしのびの旅行のため、いろんな不便があったり、トントンは誘拐されたり…。 砂漠の国の戦争についてみんなが悩んだりという、ちょっと難しい部分もあります。もともとは 一つの国が、4つに分かれて争っているパラシェム砂漠。その4つの国境の交わる地点に埋まっている という宝物。今にして思えば象徴的な意味があるんでしょう。何気なく読み過ごしてきた、トントンの 繰り返す「この美しい地球は素晴らしい星」という言葉にも。
 でも、子供だった私は、ただみんなが飲んでるラムネがおいしそうで、星文字の書いてある薄紫色の 文鎮や、文字盤に星座に針を合わせると12の違った曲の流れる懐中時計などに、とてもあこがれて いました。これは香山さんご自身が挿絵も描かれてるんですが、それがホントに優しくて暖かくて 素敵なんです。読み返して分かったんですが、ほとんど私の原点みたいな本です(^_^;) 外国のお話、 不思議な出来事、ミステリっぽい展開、トントンのちょっと理屈っぽいボケ(?)まで……好みが 変わってない(T_T)
 やっぱり大人でなくて、子供(…小学校低学年くらいかなぁ(^_^;))に読んでもらいたい本 ですね(*^^*)



「銀の糸あみもの店」 瀬尾七重(講談社文庫 S58.12.15)
 児童文学作家、瀬尾七重の短篇集。11編収録。
 収録作品…「西明かりのときに」、「電話」、「うす黄色のかさ」、「となりの家」、
 「銀の糸あみもの店」、「かしわ森山の少女たち」、「手紙をくれたのは?」、
 「遠見めがね」、「みどりのこだま」、「朱色の茶碗」、「クリスマス・イヴの贈りもの」


 過去に読んだことは…たぶん、ないと思うのですが、名前にひかれてふと手にした童話集。 都会で暮らす人たちのちょっとだけぎすぎすした心に、しっとり染み入るような 素敵なお話(*^^*) 私はどちらかといえば、ただほのぼのだけでなく、ふと立ち止まって 考えさせられるお話(結末に救いはなくても…(^_^;))が好きです。この本は、残念ながら 現在絶版ですが…(-_-) 以下にお気に入りを♪ なんだか怖い話ばっかり挙げてしまいましたが (個人的な趣味で(爆))、他のはほのぼのしたあったかいお話です(^_^;)

「西明かりのときに」
 編集長に「春を撮って来い」といわれた記者のたいすけさんは、コンクリートとアスファルトで 固められた町へ出て行く。地下の公園でアネモネの花にカメラを向けたたいすけさんは、ふっと目の前に 大きなにれの木のある野原が広がっているのに気付く…。
 西明かりのとき、黄昏時……。すべてがうす赤く染まる時間に起こる、不思議な出来事。 こんな野原に行ってみたいです(*^^*)

「となりの家」
 店の経営で忙しい両親とほとんど顔を合わすこともないとおこは、一人で寝ていたある夜、 隣の壁から時計の音がするのを聞く。パーティでも開いているようなざわめきに、寂しさに 堪えられなくなったとおこ。ふと気がつくと、とおこは壁をすり抜けて優しそうな男の人に 抱き上げられていた…。
 マンションの隣の部屋に誰が住んでいるかわからないという怖さより、自分の家族の孤独の 叫びさえ聞こえない怖さ……。せつなくて、怖いお話です。

「銀の糸あみもの店」
 「銀の糸あみもの店」に勤める親友の葉子から、さほこは金の色で編まれたショールを受け取った。 小さく編みこまれた"サホコ タスケテ"の文字に、さほこは「銀の糸あみもの店」に向うが……。
 くもの巣じるしの「銀の糸あみもの店」の、素敵なセーターやドレスを想像して嬉しく なってしまうのですが、こんな怖い話とは〜(ToT) 美しい糸に知らず知らず絡めとられるような 恐怖です(T_T)

「遠見めがね」
 お祭りににぎわう境内で、ロクさんは一人酔っ払って不機嫌に歩いていた。 そんな彼に、一人の老人が話しかける。差し出された"遠見めがね"を手にしたロクさんは、 見たい風景が見えるという老人の言葉に半信半疑だったのだが……。
 すさんだ心に吹く、心地よい海風。潮のにおい、波の音まで聞こえそう。短いけれど素敵なお話♪

「朱色の茶碗」
 注文通りの色が出せずに悩んでいたデザイナーの木野さんは、裏道のお茶道具屋で 朱色の茶碗を見つける。思い通りの色に喜ぶ木野さんだったが、店主のおばあさんは この茶碗の秘密を語り始める……。
 なんて恐ろしい秘密。人間がいる限り、褪せることがないというその朱色…。 とろりとろりと揺れる鮮やかな朱色の炎が忘れられないお話です。



「いやいやえん」 中川李枝子 作/大村百合子 絵 (福音館書店 1962.12.25)
いやいやえん  しげるはお父さんのお土産の赤い自動車が気に入らなくて、ちゅーりっぷ保育園へ行くのが嫌だと 駄々をこねます。どうしても嫌だと言い張るしげるに、お母さんははるの先生に教えられた “いやいやえん”へと向かいます。そこは嫌なことは何一つしなくてもいい、夢のような保育園 だったのですが…。(表題作)

 子供のころから何度も読んでいるんですが、今読んでもすごい本だと思います。やってみたいことが いっぱいつまっていて、子供にとっては夢のような本だった…ような記憶が(笑) 絵もほのぼのして いて素敵で、このコンビ(実は姉妹でいらっしゃるのです)で書かれた、野ねずみの『ぐりとぐら』 シリーズや教科書にも載った『そらいろのたね』も有名ですよね。小さいころは絵本の作者のこと なんて気にしないですけど、後になってみると私の好きだった絵本は、だいたい中川李枝子さんの 書かれたものでした。『ももいろのきりん』とか…。



「西の魔女が死んだ」 梨木香歩 (新潮文庫 2001.8.1)
 児童文学作家、梨木香歩の短編集。2編収録。
収録作品……「西の魔女が死んだ」、「渡りの日」


 梨木香歩さんの作品を読むのは初めてですが、とても温かくて、ちょと不思議な雰囲気のある お話でした(*^^*) 短いので、以下に2編の感想を♪

「西の魔女が死んだ」
 魔女が死んだ……中学生になったまいの元に、そんな知らせが届いた。彼女の胸によみがえったのは、 2年前、イギリス人の祖母の元で暮らした思い出だった。自分は魔女だというおばあちゃんから、 まいは魔女になるための手ほどきを受けたのだった。
 クラスに溶け込めなくて、しばらくおばあちゃんの元で暮らすことになったまい。イギリス人の 魔女のおばあちゃん、いいですね〜(*^^*) 魔女修行といっても、「なんでも自分で決める」という ことだけ。超能力とかそういうのじゃなくて、よりよく生きるため(あるいは死ぬため)の修行というか。 まいはどこにでもいそうな女の子で、女の子だったらきっと一度は感じる悩みを抱えてます。 自分というものを意識し始める頃……。ちょとほろ苦いけど、すべてが妙に懐かしい世界の中で 展開する、本当に素敵なお話です。おばあちゃんの家が、本当に素敵なところにあるんですよね(*^^*)  ちょと日本離れしていて、イギリスっぽい空気があって。まいもきっと素敵な魔女に なるんでしょうね♪

「渡りの日」
 ショウコとサシバの渡りを見に行く約束をしていたまい。だがショウコが寝坊したおかげで 計画変更、二人で美術館に行くことになった。いつもショウコに引きずりまわされっぱなしの まいだったが……。
 これは短めですね。前のお話の、その後のお話。まいがおぼろげながらも自分の行く先を 定めるお話なのかな。それは人間そんなにいっぺんに成長できないから、他人に振り回されながらも もう方向だけは見失わない、という感じのまい。爽やかなお話です(*^^*)



「龍の子太郎・ふたりのイーダ」 松谷みよ子 (講談社文庫)
龍の子太郎は有名なお話ですよね。身重のお母さんがつい他人の岩魚を食べてしまったばかりに 竜になってしまい、その子供として生まれた龍の子太郎が、母親を探して旅をする…。子供の頃から 大好きで何度も読みました。知っている方も多いと思いますので、二番目の「二人のイーダ」について ちょっとだけ。

「二人のイーダ」
 直樹とゆう子の兄弟は、お母さんの仕事の都合で広島のおじいさんの家で数日過ごすことに。 そこで直樹は、不思議な椅子と出会う。「イナイ、イナイ…ドコニモイナイ…」とつぶやきながら、 椅子は古びた家の中へと消えてゆく。住む人もなく長い間放置されていたその家で、やがてゆう子は 椅子と昔からの友達のように遊ぶようになる。そして椅子の方も、ゆう子こそ長い間帰りを待ちわびた “イーダ”だと言うのだ。そんなはずがないと、直樹は近所に住むりつ子お姉さんとその家や椅子に ついて調べ始める。その家には、2605年8月6日で止まった、奇妙な日めくりカレンダーが かけてあったが…。
 単なる童話として片付けられない、重いお話です。原爆を題材として扱っているのですが、 やさしい言葉の中に、深い意味と現実の重みと…たくさんの思いが込められています。最後に すべてが明らかになったとき、涙が出そうになりました。初めて読んだのは小学生の頃だったの ですが、そのときはただ怖かったような気がします。時折挿入されるたんたんとした原爆の描写が、 読む人を否応なしにどうしようもない現実と向き合わせるからかもしれません。次々に現れる謎が きれいに解かれてゆく過程で、同時に原爆の悲惨さが浮き彫りになってくる、なんといっていいのか、 本当にすごい作品です。



「オバケちゃん」 松谷みよ子 (講談社文庫 S55.4.15)
オバケちゃん  森の奥のけやきの木のほらあなに住むオバケちゃんとパパとママ。一家はだれにも知られることなく、 ひっそりと暮らしていました。でもある日、オバケちゃんは友達がほしくなり、森を抜け出します…。 表題作。続編「ねこによろしく」収録。
 収録作品……「オバケちゃん」、「ねこによろしく」

 小学生の頃、大好きだった児童文学です。小学校低学年向けくらいでしょうか。このたび20年ぶりくらいに再読(^_^;) この本自体は絶版ですが、同じ作品は 挿絵が変わっていますが現在も書店で買えます。個人的には慣れ親しんだ昔の挿絵(小蘭江圭子さん)の 方が好きで、作品の雰囲気にあっていると思うのですが(-_-;) とにかく、以下に感想を♪

「オバケちゃん」
 友達がほしくて家を飛び出したオバケちゃんは、空家でこうもりのチータと出会う。 住人に連れ去られてしまった両親を探しているという話を聞いたオバケちゃんは、かつてこの家に住んでいた パパという名の絵描きさんとノンちゃんという女の子を探すことに…。
 「こんにちは、怪獣じゃありません。ぼく、オバケちゃんです。ねこによろしく」という礼儀正しい挨拶が かわいい、全然怖くないオバケちゃん。ほんわかとした空気の漂う素敵なお話です。 うちゅうおばけセンターのあたりがちょっと唐突な気もするんですが、 住んでいる森を守るために四苦八苦のオバケ一家が泣けてきますね。しかしやっぱり何がいいって、 オバケちゃんのママが作ったくもの糸のコップで飲む、飲むたびに味の変わる七色の おばけジュースがとてもおいしそうです♪

「ねこによろしく」
 オバケちゃんは森で出会った白猫のホワイに、なぜ挨拶に最後に「ねこによろしく」と付けるのか聞かれ、 答えられずに困ってしまう。そこで「もう一人の自分に出会う」ための旅に出るという絵描きのベレさんの リュックにホワイと一緒にもぐりこみ、答えを探す旅に出る…。
 こちらは初めて読みます。何故何故と尋ねる白猫のホワイ(Whyですね)にうんざりしながらも、 いろいろ考え始めるオバケちゃん。猫にまつわるちょっと不気味な話も出てきます。そして 前の話にもちらっと書かれていた、オバケちゃんの出生(?)に関わるお話も。ちょっと深刻な話もあるけど、 やっぱりいいお話です。「ねこによろしく」の意味も分かってスッキリしました。



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