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千と千尋の神隠し(2001日)
2002.10.12.Rent.

ほめません。
けなされるのが嫌な人は、読まないでね。

私は「風の谷のナウシカ」が好きです。
あの作品のイマジネーションと、
深い深いテーマ性。
一本しっかりとスジの通った主人公の成長を通して、
描き出された無限の可能性。
希望。
絶望から生まれる再生の奇跡。

一人の作家の持って生まれた才能は、
限られているのかもしれません。
遅れてきた評価。
尻馬に乗って騒ぐ大衆。
時として、時代は、寵児を無責任に産み落としてしまいます。
ローリングしかり、ハヤオしかり。
勿論、一定の水準以上のものを提供しているのは認めます。
でも、
だからこそ、
あえてはっきり言ってしまう。

それほどのもんかい?

化け物の見本市だったのは、スターウォーズによく似ています。
日本にはおあつらえ向きに八百万の神というのがいらっしゃって、
森羅万象、これ神様。
なんでもいいんですね。
飯を食う両親のあたりは、デジアド。
蒸気しゅーしゅーも流行ですね。
ボイラー室への眺めは……ゲーム?
涙の描き方、ディズニーに媚びてますか?
オリエンタルな演出と構図。
世界のキタノの影響は?
ゴダールかな?
自薦で主題歌を歌う僥倖を得た彼女ですが、
このブレスはなんとかなりませんか?
どこかで見た何かを思い出させてしまう場面が、
やたらと多かったのが気になりました。

苦しんだ末、狙って狙って作り出し、
狙った通りに信者(&儲かるヤツら)が
全てをうまく転した作品であろうと推察します。
この世は宣伝と政治力。
売れるものは傑作である必要はないのです。
勿論、深読みをすれば描かれたひとつひとつの事象にテーマがあると
反論をする方もいらっしゃるでしょう。
ないとは言いません。
本来、無駄な思いつきだけを投入する作家などいないと
私も信じたいです。

でも、
これは10歳の女の子が
借金のカタ(ただ食い両親)に
ソープランドに売られてしまった話なんですよね?
それを大前提にして理解した上で語らないと、
自然破壊に関する崇高なテーマらしきものも、
強欲の仮面をかぶった普通の人の象徴であろう「顔なし」の持つ意味も、
全てがうやむやになってしまいます。

お話の焦点は二つに別れていました。
両親を救う、ハクを救う。
主人公を成長させるエピソードはありません。
のりこえるべきハードルが存在しないのです。
ハードルは、彼女がおかれた世界、閉じこめられた世界こそが全てで、
それを越え、鍵を握る銭婆の元へ旅する過程でさえ、
緊張感がありません。
それもそのはず。
銭婆と湯婆は対を為す陰陽の存在であり、
千をいましめている湯婆と対決するのでない限り、
緊張感の生まれようはずもありません。
婆が式神を使うあたりでもそれが暗示されています。
てなぐあいに、お話は終始二分され、
鏡の中の矛盾を描いているような構成です。
すっきりしないのも、いたしかたありません。

そのうえ、
結果も語られてはいません。
神隠しとはよくつけたタイトルです。
忘れてしまったのではない、思い出せないだけだ。
……って、詭弁をテーマにしちゃいけません。
思い出せないなら、今から新たな道を作り出せ、
なテーマが好きな私にとっては、
説得力なかったです。

ああ、そうか。
もともと、異世界に行って、戻ってハッピーエンドという
話が大嫌いなんでした、私(^^;
戻ればおしまいっていう安易さが、嫌なんでしょう。
よそ者がその世界をひっかきまわしてさよーならー
……って書くと、納得?(笑)

私は、これを手放しで評価している人たちに訊きたいです。
面白かったですか?
本当に?
本当の本当に、自分の目で見ましたか?
自分の頭で考えましたか?
自分の心で感じましたか?
世間の風評や作家の評判に踊らされてはいませんか?

もちろん。
自信を持って、自分自身の評価が花丸であると断言できる方は、
それでいいんです。
所詮、感想なんか主観的なものですから。
でも、もし、「うーん?」って思っちゃったのだとしたら、
興行成績がどうのとか、みんなが誉めるからとか、
アカデミー賞がどうしたとか、
そんなことに惑わされないで欲しいな、と思います。

踊っているのでなければ、踊らされているのだろうさ。
これは、某SF作家の作中の言葉。

踊るしかないのなら、振り付けは自分でしてやろう。
これは、私のメッセージです。

あーあ……。よせばいいのに書いちゃったよ……(とほ)