1/15 BRITISH WWI TANK Mk.IV MALE
Verlinden Productions 120mm Kit

製作・文:好きんへっど

大型レジンキット製作における問題点 〜VPマークIV製作記〜

レジンキット製作に関しましては、様々な雑誌等でも、そのノウハウが紹介されており、取り組まれていらっしゃる方も大勢居られる事と思います。雑誌などでは、レジンだからと言って特別な事は無いと紹介されている事も多いようですが、実際取り組まれた皆さんはどのように感じられましたか?

以前からいつかスクラッチしようと思っていたキットがGKとして発売された、で、喜び勇んで通販で取り寄せシュリンクを破き中を調べると、パーツが反ったりしているのは殆ど珍しくも無く、ムクの一体成型大型パーツがゆがんでいたり、あとこれは大型のレジンキットに多いのですが、複雑な形状に箱組みしなければならない大型パーツが、本来あるべき寸法、角度で、出来てない、と言った、事等がしばしば在ります。そのようなキットについては、組み立てに際して多くの場合ある程度の修正、や、ゴマカシが、なされたあとは素性の悪いキットの烙印を押され、最終的にはもう成るようにしか成らないと言うのが現状ではないでしょうか?

古くからのプラバンスクラッチビルダーの間に伝わる言い伝えにこう言うのがあります。「プラバンの切り出しは出来る限り高い精度を守り、パテ埋めや削り込みといったゴマカシは最小限にとどめなければ、いびつな形のものしかできない。」
もし本当にそれが定石ならば、今回のマークIVのように大型レジンパネルの複雑な箱組み(完成してみるとちっとも複雑には見えないが)、尚且つ個々のパーツの寸法がデタラメ(おまけに変形)、そしてそのパーツ達の本来の在るべき寸法(正確な縮尺という意味ではないですよ。模型を完成させるために在るべき寸法と言う意味。)が多くの局面で推測しようもないとしたらもう完全にお手上げですな。

今回のキットは例えば「同じ幅でなければならない数枚のパネルが全て幅が異なる。」、「左右対称になってないといけないパーツが対称になってない。」、「しかもそれらのあるべき寸法がわからない。」そんな状態です。
あ、それとおまけに「パネルの接合部は突合せか、抱き合わせか、抱き合わせならどちらが上か下か、サーッパリ解らん状態」でした。

こいつを組み上げるのに幾多の障害が待ち受けている事は自明です。そこで私はインストに指示されている手順を何度も再検討しトラブルを最小限にとどめる手順は無いものか? と無い知恵を絞っては見たのですが結局結論は得られないまま、見きり発車で製作に着手する事に成りました。ああ、せめて各パーツの本来在るべき寸法さえ解ればなあ。(極稀ですが、キット完成時の図面を添付しているGKメーカーもありますね。大変助かる。)

で、そのあとはどうなったか?
もう御想像どうりです。まるでゴジラに捻られたかのような、ねじれた戦車が、出来あがっていきます。いくら慎重に作業を進めてもそうなります。なぜなら、いくら仮組みすり合わせを行おうとそのパーツの寸法や、角度に問題が在るのが判明するのが、どうしても何工程も先になってしまうからです。

問題が判明する毎にバラシテは再調整、再組み付けしかありませんでした。口で言うのは簡単だけど、一般のモデラーが、こういうことやるのは結構大変だと思います。まさに、三歩進んで二歩下がるでした。問題が起きる毎に主にリューターに取り付けたマルノコで切開する訳です。

さてようやく形には成ってきたという段階で見るも無残な接合部や修正部位をパテなどのマテリアル類で修正しなければなりません。さあそこで、先ほどのスクラッチビルダーの言い伝えじゃないですが、ごまかすのではなくキチンと仕上げることさえ出来れば、もうちゃんと組めないGKなんて存在しないと言いきってもほとんど過言ではないのではないでしょうか?(「確かに組めるけど、やっぱ一からスクラッチの方が早いで。」と、いうのはあるでしょうが。)極論すれば、模型を芯にして、パテで造形する。と云う感じでしょうか?
それにパテを使いこなして“誤魔化す”のでは無く“キチンとしたものを作り上げる”という技術は、プラバン等を高い精度で切り出す技術に通じる所も在り、従来からのプラバンスクラッチにも役立つ部分も在る事と思います。

さてここまで長々と述べてきて私が申し上げたかった事は、「古くからのスクラッチビルダーの定石は覆せる。」という事です。
と言ってもそんなに大上段に構えて言い放つような大層な物では決して無く言わばコロンブスの卵みたいな話です。解ってしまえば何の事は無い、そんな事です。また今日のパテをはじめとする副資材の進歩も一役かっています。決して先人達が積み重ねてこられた物を否定するわけではありません。(念の為に申し上げると、ほんの10数年前までは2液のポリパテのような収縮率3パーセント未満のパテなんてモデラーの間には殆ど出まわってなかった。)

さて、いよいよ本題のパテ成型ですが、今回のマークIVを例に途中写真を使って解説を進めていきたい所なのですが、残念ながら今回着手時点でこのような形で発表することになるとは全く考えてませんでしたので、今回はサフ入れ前段階の写真のみしか紹介出来ません。
それでも大体どんな感じで、修正がなされているかと言ったあたりはお分かりいただけるのでは無いでしょうか? 今後また運良く?素性の悪いレジンキットに出くわしましたら次こそ途中写真と図で詳しく紹介させて頂きたいと思ってます。今回は前後編2部構成の前編と解釈して下さい。そんな訳で後編の発表時期未定です。(オイオイ)

今回は修正に使用している副資材について、簡単にご紹介だけさせて頂くのみにとどめておかせて頂きます。悪しからず。といっても特別な物は何も無いのですが。

●ラッカーパテ
写真の緑の部分。私の使用しているものはリムコ社のAOK(6ポンド缶)というあまり一般的なものでは無いのですが、最高に粒子が細かいです。最近リニューアルされた田宮どんのラッカーパテが割とこれに近いと思われます。肉痩せが激しいですが仕上げ面の微細なスアナ、又は数十ミクロン単位のひずみを埋めるには威力を発揮します。

●ポリパテ
主材と硬化剤を混合して化学反応で硬化させるタイプのパテ。田宮どんのポリパテは硬化が遅く、粒子も粗く、締りも悪く密着も悪いので、ツインメリットコーティングには向いているが、大型レジンキットの修正には不向き。私は日本ペイントの自動車補修用の物を使っている。(と言っても、モデラーの間に出まわっているマテリアルの多くは中身は自動車補修用である。)

●エポキシパテ
と言ってもおなじみの粘土パテではない。これも自動車のウレタンバンパー等柔軟性や、伸縮性のある樹脂素材を修理する為に開発されたパテ。これも2液。住友3Mの製品が、メジャー。模型ではあまり使ったことは無いが接着効果もあるようで、何が起きるか解らないややこしいキットの製作、モデリングをなさる方は常備しといて損はない。これは必ず必要と云う物ではない。割と長期保存可。

●ファイバーパテ
名前のごとく、グラスファイバー等を混合した、ポリエステル系の2液パテ。グラスファイバー以外にもアルミファイバー、カーボンファイバー等いろいろあるが、用途は似たり寄ったり。カー用品店で見かける、錆アナ修理パテなどが、それ。強度が高く、硬化後はちょっとやそっとでは割れない。私は通勤用チャリンコの腐食して折れかかったフレームをこれだけで固定しているが、1年たった今もびくともしない。買えよ。チャリンコぐらい。
そもそもある程度の大きさ以上の部品の接合部位などは接合方法にもよるが、基本的にパテの使用がご法度だが、これは、おきて破りの使用を前提に開発された物。と言っても接合部位の加工成型等にもノウハウが必要なのだが。ビッグスケール好きは1キログラム缶以上の物を一つ置いとくといい。テロソン社のアルミパテがオススメ。ただし高価。何年もの長期保存は無理。

●マスキングテープ各種
実はパテ修正のテーマにおいてこれが一番重要だったりする。5、15、24、50ミリぐらいは揃えておきたい。私は素材の研磨や切り出しを行うにあたって所定の位置に線を引く為に罫書き針や鉛筆などはめったに使わない。線に“太さ”が在っては困るのだ。テープが大変重宝する。あと、薄手の両面テープも必要。

その他これだけはどうしても........

●モーターツール各種
大きな湯口やバリを手早く取り除くには各種そろえておかなければ、しんどいばかりか場合によっては完成はおぼつかない。またそれに伴って音やホコリ、パテの研ぎ汁、切粉等を遠慮無く撒き散らせる作業環境が必要。ここらが最大のハードルか?

●接着剤各種
瞬間接着剤、一般型、ゼリー状、あと硬化促進用スプレー。エポキシ接着剤。マークIV一つで10,000円近くも接着剤に使った。なんとかならんか?

●アングル材
反りが著しいパネル状パーツの補強に使用。裏にこいつを貼り付けるだけで反りは一発解決。ただしインテリアの再現は諦めてね。1辺が1.5センチから3センチぐらいのアルミの物が軽くて頑丈。

●C型クランプ
つる首の長さ、深さ共にいろいろ揃えておきたい。主に補強用アングルの一時固定に使った。

●気にせず汚せる作業服

あとは普通のモデラーが、持っておられる物でおおむね事足りると思います。次の私の老眼倶楽部ネタはVP1/15シュトゥルムティーガーを準備中です。さて、どうなります事やら。そのまえに菱形に色塗らんといかんのだけどね。

記:Mr.SkinHead

完成写真/After Painted

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