1/16 The Steam Traction Engine in Arms
Bandai Pendle Princess Convertion

製作:吉岡 久

かつてバンダイがリリースしていた1/16スケールのクラシックカーシリーズは、今見ても大変魅力的なキットが多く、ファンだという方も多いのではないでしょうか。その全容は私も存じませんが、シリーズ中でもひときわ大きく、かつ異色のキットが、この「ペンデルプリンセス号」と呼ばれる蒸気トラクターのキットであると思います。
キット化された車体は実車が日本に輸入され、現在は軽井沢のワールド・トイ・ミュージアムに所蔵されていますが、いわゆるショーマンズエンジンと言われるもので、実務用のトラクターではありません。しかし、その基本的な構造やルックスは、19世紀半ばから20世紀初頭まで、農地や戦場で使われたものと同じですので、私は以前から、このキットを使ってヨーロッパの各国で使われていた砲牽引車を作れないかと妄想していました。特に、有名なモーターブーフシリーズの牽引車両の巻頭に載っている、ドイツ軍の数枚の写真を見てからは、フィギュアと合わせてぜひこのイメージで模型を作りたいという思いが強くなっておりました。
そんな訳で製作を始めましたが、なにぶんキットはイギリスのギャレット社製の車両を再現してますので、そのままではドイツ兵とのコンビネーションは不可です。しかし本気で車両を改造すると大変になりますし、また適当な資料も無かったため、ここは思いきって車両もフィギュアもイメージモデルとして製作することとしました(あかんやろ)。
ですからこの作品は、例えれば西部戦線にT34が出てくるような設定でありまして、実に識者から見れば噴飯物なのであります。しかし、ここはこの素晴らしいキットをまずは完成させるのもオツであろうと思った次第で、厳格なスケールモデラーの皆様には、どうぞお見逃し頂ければと願います。
なお、製作に当たっては、個人的な好みからホイルベースを短くしたほか、細部に細々と手を加えましたが、基本的にはキットのまま作った処が大部分です。部品の擦りあわせなど、なかなか組立には苦戦したものの、その工程ごとに心からわくわくさせてくれたこのキット、勝手に我が国のプラモデル史上に残る名作の一つとして挙げたいと思います。

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