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ボルドバーナー ショート化計画
(ボルドバーナー ソウド・オフ)


 ボルドバーナーはおそらく世界一コンパクトなガソリンストーブである。しかし、そのコンパクトさもパッキングした時に果たして有用かといえば必ずしもそうではない。
 例えば、ストーブを持ち歩くからには対になるコッフェル(調理器具)が必要になる。コッフェルは、パッキングのしやすさから考えてストーブを中に納められるものがいい。しかし、ボルドバーナーはコンパクトとはいえ細長い。丸形のコッフェルでは最低でも本体と同じ長さの直径であることが必要になるが、そんな大きさのコッフェルはストーブの火力に対してあまりにもオーバースペックで巨大だ。
 そこで目をつけたのが以前から愛用していたトランギアのメスティンという弁当箱型のコッフェルだった。容量はせいぜい500ccが限度だが、ボルドバーナーの火力に対してバランスが取れていると直感した。しかし、ボルドバーナーの全長はメスティンのそれよりも約1インチ長い。

 だったら、ボルドバーナーの方を1インチ縮めてしまおう!

 というのが、今回の計画の動機である。我ながら単純な動機だが、
 もし完成したら、これって快挙なんじゃないか!?
 などという妙な見栄も手伝って実行する事にした。
 なにせ、年間生産台数500台という超希少ストーブ。ブッタ切るには勇気も必要だ。しかし、私はスペアをもう一台所有しているので若干のココロのゆとりがあった。失敗しても、もう一台あるし。だが、流石においそれとは踏みきる事ができずに構想から着手までに3年の月日を要した。


 まずは内部構造の再確認。
 ボルドバーナーのタンク先端には蓋となる板と、そこから一本のパイプが2カ所で接続されている。このパイプが中でどうなっているかが問題だったが、穴をライトで照らしてよく観察したところ、蓋になっている鉄板の厚さからほとんどギリギリまでしか入っていなかった。これならばタンク部のどの部分を切っても内部に影響は無いだろう。


 さて、いよいよ切断だが私の家や周りには金属を切断する道具など無い。金ノコを買ってくればそれで済むのだろうが、手作業ではかなりの歪みがでるだろうし、そもそも私は素人なのだ。
 そこで、webで知り合ったお友達の一人であるすーさんを訪ねた。すーさんは実家の仕事の関係上、こういった道具に事欠かない環境におられる。すーさんに電動ノコを貸してもらい、燃料タンク前部から約1インチ(とは言ってもメスティンに入ればOKなのでおおまかな目測)の部分を切断。


 切った中身はこんな感じです。

 不要なパイプはガストーチで熱してロウを溶かして外すつもりだったが、これが一向に溶けない。仕方がないので、グラインダーをお借りして約1mmの幅を残して削りだした。削り痕をお借りした砥石でならし、接合部を整えた。


 いよいよロウ付けである。ロウ付けに関しては近場に簡単な道具があったのでそれを活用させてもらった。さらに、仕事でお世話になっているU氏が銀ロウとフラックス(酸)を提供してくれることになった。ありがたい。
 U氏に作業を手伝ってもらい、まずはタンクの蓋やバーナー部を外して内圧が上がらないようにする。ガストーチ2台で接合部を加熱し、フラックス(酸)を塗ってまず上部をロウで固定。その後、徐々に円周部にロウを流し込む。
 作業は順調に進むかと思われたが、あと1/5で完成というところで本邸がロウをはじくようになった。後日判明したが、どうやら長時間熱したことで酸化皮膜ができてしまっていたようだ。日も暮れてきてあたりが暗くなってきたので、日を改めて酸化皮膜を除去し、再挑戦することにした。
 後かたづけをしているうちに、妙な固まりが落ちているのを発見。何だろうと思って良く見ると、それは溶けて流れ出した後部燃料口にあった鉛パッキンのなれの果てだった。
 …仕方がない。鉛パッキンも自作しよう。

 とりあえず形になったボルドバーナーをオリジナルと比較。

 御覧のとおり、オリジナルよりも若干小さい。
 そして、下のがメスティンに収納した画像。

 見事に収納可能! 多少見てくれは悪くなってしまったがまあ仕方がない。
 あとは微調整をして耐久性を良くしよう。


 DIYショップで1mm厚の鉛板(400円)を購入し、どうやって円形にくり抜いたものかと思案していたところでU氏から提案。
 「皮用のポンチを使っては?」
 なるほど、鉛はかなり柔らかい金属なので、それならばきれいにくり抜けそうだ。
 パッキンをはめるべき場所の内径は12mm(実際はもっと大きいのだが、漏れ防止のためにギリギリまで内径を小さく設定した)。外径は17mm。しかし、ポンチの切断面がどうなるか不安だったので内径は1mm小さい11mmのものを使用し、外径は逆に1mm大きい18mmのものを使用した。試したところ、円の内側の部分はきれいにほぼ垂直に切断されるが、外側の部分は押しつぶされるような感じになる。内径を11mmにしたのは正解だった。これで外径が17mmのものがあれば、内径を少しヤスリで整えるだけでパッキンができあがるのだが、12mm以上のポンチは2mm刻みでサイズが大きくなっているようで、17mmというサイズは発見できなかった。仕方がないので外径をヤスリで少しずつ削りながら調整。なんとかうまくはまる大きさに仕上げた。
 その後、17mmの皮用ポンチが入手できたので外径はぴったりしたものが作れるようになったのですが、中の穴をうまく空ける方法を色々試しながら現在試作中です。

左が自作パッキン装着状態。右がオリジナル。オリジナルの方がパッキンの内径が広い。


 とりあえずだいたい完成したところでテストしてみました。
 燃焼時間は約20分。内、実用燃焼時間は約15分で、メスティンに入れた500ccの水を湧かすのに要した時間は約5分。ラーメンやフリーズドライ食品ならば充分調理可能である。

 だが、自作した鉛パッキンも効く、効かないは五分五分の確率でまだ充分とは言えないし、まだロウ付け部分の耐久性に不安があったので後日再度補強をすることにする。


 タンク部の再ロウ付け中、熱しすぎてチューブが抜けてしまいました。同時に、ニードルを固定するボルトまでも。
 一瞬頭が真っ白になったが、また付ければ良いだけの話。気をとりなおして、ボルトとチューブをロウ付け。

 恐らく実際にこのストーブを組み立てる際にはまずタンク部を作り、それとは別にバーナー部(チューブ)を作り、最後にチューブとタンクを合体させているのでしょう。
 今回は改造ということでタンクとチューブの接続部分という、本来ならばありえない順序で作業したための失敗でした。本来ならば、完全にメッキを落とした後にまずチューブとタンクを分離させ、じっくり作業すべきだと思います。ですが、私は再メッキする技術もアテも無いので単純に切って繋げるだけで済まそうとしたのが失敗でした。

 無事に組み立て終わって即テスト燃焼してみました。とりあえず、テストは無事に完了。
 しかし、完了後が問題だった。燃焼が終わってニードルを抜こうと回すそのネジがだんだん固くなっていき、そのまま固着してしまい、ついにはねじ切ってしまいました。
 本日、頭が真っ白になる事二度目。
 余計なコトするんじゃなかった!(泣)
 などと言っても後の祭り。
 だがしかし
 俺はあきらめない!
 気化したロウがネジの隙間に入り込み、点火している時はよかったが冷えてくるにしたがって固着してしまったのではないかと推測される。
 U氏と今後の再生について話し合う。
 どうやら、ネジは市販の4mmのもので代用がききそうなので固着した部分はドリルで削り取り、再度ネジ穴を堀なおす。
 ニードルは先の部分が無事なので、途中で切り離して4mmネジを加工して溶接。傘の部分もネジに溶接してもらうことにした。
 作業は、U氏の実家に機材があるという事なのでU氏におまかせした。

 数日後、U氏の技術力のおかげでニードルは無事再生された!
 ありがとうございます!(半泣き)

 その後、アルミ板と蝶番を加工してゴトクを作り、完成したのが以下の写真です。

 もちろん、ゴトクもメスティン中に入るサイズに設定してあります。
 燃焼テストも完了。あとは、試作鉛パッキンをより完成度の高いモノに仕上げたいと思っています。


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