残業 〜 超過勤務と三六協定・時間外手当
 
2001.7.9

   会社にしろ個人商店にしろ、従業員を雇い入れて使用する場合には基本労働時間を守る必要があります。しかし、現在のように不況が長引いてくると、少しでも経費を削減するためにリストラ解雇も行い、その反面で従業員一人あたりの就業時間が長引く傾向にあります。労基法上も残業についての規定を設けていますが、会社にとっては非常に頭の痛い問題であります。そこで今回は、会社が従業員に残業(及び休日出勤)をさせる場合の注意点について説明してみます。
その1  労働時間とは

 まず前提として、従業員の労働時間についてみてみましょう。
   会社なり商店なりに就職した従業員にとって、最も関心の高いのは「賃金」と「労働時間」です。高賃金で就業時間が短いほど従業員は喜びますし、大勢の従業員から就職の希望が来るでしょう。しかし、雇い入れる側からすれば、出来るだけ人件費を削減し、極力効率を上げるためには、賃金を安く抑えるとともに労働時間を多くしたいのが本音です。
   労働基準法は、法定労働時間を原則として1週40時間・1日8時間と定めています(労基32条)。これは「法定労働時間」ですから、使用者(会社)は、1週間あたり40時間以上従業員を仕事に従事させることはできないこととなっています。 
<労働時間>
   「労働時間」には、休憩・休日・育児休暇などをも含めて用いる広い意味でのものもありますが、労働基準法などを始めとする労働法における労働時間は、労働者が使用者の拘束の下にある「拘束時間」の中から休憩時間を除き、実際に労働している時間を意味します。いわゆる「実労働時間」をもって労働時間とするのです。但し、例外的に実労働時間の算定が困難な職種(例えば坑内労働や裁量労働)については、いわゆるみなし労働時間制を採用しており、実労働時間の如何に関わらず一定時間労働したものとみなすことになっています。
実労働時間を計算する具体的な目安は?

  企業にとって、労基署などから文句を言われない(当然従業員からも文句を言われない)ためには、きちんと実労働時間を遵守していることが必要になります。実労働時間は、労働者が使用者の指揮監督下にある時間、あるいは使用者の指示の下にその業務に従事する時間をいいますが、具体的にどこからどこまでが指揮監督下にあると言えるのかは実は争いの絶えないところです(待機時間の扱いなど)。
   一般的には、使用者(会社)が従業員の活動を拘束しており、その拘束に何らかの形で強制力があるような場合には実労働時間であるといえるでしょう。
   実作業時間や作業のための準備や片づけ時間は当然に実労働時間に含まれます。従って、工場などで行われている体操や、商店などで良くある一斉後かたづけは当然に実労働時間に入ります。それ以外にも、例えば制服や作業服の着用が義務づけられている職場では、そのための着替えの時間や、(名目上は自主ミーティングであっても、事実上行わざるを得ないようなQCミーティングなどの)参加が義務づけられている会合の出席時間も含まれます。最近いろいろ問題になりつつあるものとして、能力向上のための研修への参加も、それが会社の業務としての性格が強いものであれば(例えば経理の従業員に簿記の講習に行かせるなど)、企業外研修への参加時間も実労働時間となります。また、交通関係の企業で問題となる待機時間についても、使用者の指示があればいつでも作業に従事しなければならなくなるようなものであれば手待時間も実労働時間になります。

タイムレコーダーによると就業時間が9時間を超えているが・・

   会社としての就業開始時刻は午前9時であるが、更衣をすませて各自準備をしなければならないことなどから、遅くとも10分前の8時50分にはタイムレコーダーを押すように、という決まりが就業規則にあることも珍しくありません。このような場合、タイムレコーダーを押した時点から実労働時間が始まっているというべきでしょう。
    そこで、形式上の就業開始時刻ではなく、就業規則などによって実質的に労働時間が始まることとなる時間から実労働時刻を計算することで、その実労働時間が労基法の所定時間内に収まっているのかいなかを判断することとなります。


その2  時間外・休日労働、いわゆる超過勤務時間

  法定労働時間が40時間と言っても、実際に朝9時から夕方6時(お昼の休憩1時間)で仕事が終わる職場というのも珍しいでしょう。残業や休日出勤の中には、災害等による臨時の必要がある場合に例外的に実施される時間外労働等(労基33条)や、トータルすると週40時間になるが1日8時間を超える日がある場合などもあります。これらについても(特に後者は)問題はありますが、一般に問題とされるのは1日8時間を超え、週40時間を超える残業や休日出勤なので、今後はこれを取り扱います。また、休日出勤は残業とは別ものではありますが、ここでは説明を簡単にするためいわゆる残業のみに絞って説明します。

  一般に従業員に残業をさせることが出来るのは、労使協定によって時間外労働を締結している場合です。この労使協定を俗に「
三六協定(サブロク協定)」と呼びますが、労基法36条によって認められるものです。三六協定の締結にあたっては
   1)     事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合と
   1-2) 上記の労働組合がない場合には、労働者のヶ反するを代表するものと
   2)    書面によって
   3)    協定を締結し
   4)    この協定の締結を行政官庁(具体的には所轄の労働基準監督署長)に届け出る

ことによって、1日8時間、週40時間の法定労働時間を越えて従業員に労働させることができるのです(休日出勤については、週1日の法定休日にも労働させることができるのです)。
   三六協定による残業などでは、その理由が何であるのか、残業時間、休日出勤の日数などには原則として制限がありません(例外は坑内労働などのその他命令で定める健康上特に有害な業務や、18歳未満の年少者に対する制限のみがあるに過ぎない)。そのため、使用者(企業)側にとっては三六協定は不可欠なものとなっているといえます。
 労働基準法第36条(時間外及び休日の労働)

  使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について2時間を超えてはならない。
2  厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度その他の必要な事項について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる。
3  第1項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の基準に適合したものとなるようにしなければならない。
4  行政官庁は、第2項の基準に関し、第1項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる
 


   

その3  三六協定の締結

   三六協定の記載事項については、労働基準法施行規則によって@時間外労働を必要とする事由、A業務の種類、B労働者数、C時間外・休日労働をさせる時間数・日数の限度、を記載することが求められています(同16条)。
    三六協定作成締結の注意事項としては、以下のものがあります。使用者(会社)としてはこれらの事項をきちんと確認して三六協定を締結することが求められています。

1)   協定は事業所ごとに締結することが必要になりますので、事業所が複数ある場合にはそれぞれの労組あるいは代表者と労使協定を別個に締結することが必要になります。
2)
  延長時間の限度については、「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」(平成10年12月28日・労働省告示第154号)の
別表1(下記参照)によって、次のとおりになっています。但し、特別事情が生じたときに限り労使間で定めた手続きを経て限度時間を超えて延長することを定めても良く、また、新技術や新商品などの研究会発業務などについては適用除外をすることもできます。また、「一定期間の法定越え時間外労働時間」の協定を締結することも出来ます。この限度時間については、平成11年施行の改正によって、厚生労働大臣が労働時間の延長の限度などについての基準を定めることが出来ると規定されるようになり、上記の「時間外労働基準」に法的な効力が与えられるようになっています

別表第1

〔A〕期   間 〔B〕限度時間
1週間 15時間
2週間 27時間
4週間 43時間
1ヶ月 45時間
2ヶ月 81時間
3ヶ月 120時間
1年間 360時間

備考 一定期間が次のいずれかに該当する場合は、限度時間は、当該一定期間の区分に応じ、それぞれに定める時間(その時間に一時間未満の端数があるときは、これを一時間に切り上げる。)とする。
 
一 1日を超え1週間未満の日数を単位とする期間 15時間に当該日数を7で除して得た数を乗じて得た時間
二 1週間を超え2週間未満の日数を単位とする期間 27時間に当該日数を14で除して得た数を乗じて得た時間
三 2週間を超え4週間未満の日数を単位とする期間  43時間に当該日数を28で除して得た数を乗じて得た時間
 (その時間が27時間を下回るときは、27時間)
四 1箇月を超え2箇月未満の日数を単位とする期間 81時間に当該日数を60で除して得た数を乗じて得た時間
(その時間が45時間を下回るときは、45時間)
五 2箇月を超え3箇月未満の日数を単位とする期間  120時間に当該日数を90で除して得た数を乗じて得た時間
(その時間が81時間を下回るときは、81時間)

3)

   三六協定につては、労基法上の労使協定が法令などの周知義務の内容に加えられていますので(労基106条)、下記のとおりに三六協定の内容を従業員に周知徹底させることが必要になります(労基則52条の2)。

1  常時各作業場の見やすいところへ掲示し、または備え付ける
2  書面を労働者に交付する
3  磁気テープ、磁気ディスクなどに準ずるものに記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する

4)

 三六協定を締結する場合には、平成11年から施行された男女雇用機会均等法を遵守し、妊婦や要育児の女性を除いては、女性であるからという理由だけで残業の扱いに区別を設けることは許されなくなっています。

5)

業務区分を明確に細分化し、特定の業務ごとに時間外労働をさせる内容を別々に規定して協定を締結することが必要になります。事業内容ごとに労働時間を独立して管理しているのであれば、その事業内容ごと(例えば、同じ製造工程においても、部品製造部門と製品加工部門などで労働時間の扱いを別々にしているのであれば、両者をひとくくりにして「製造加工部門」とすることは出来なくなっています)。

6)

そして忘れてはならいのが、三六協定の有効期間です。
     三六協定の有効期間についてはこれまでは期間の長さについては特に制限がありませんでしたが、平成11年施行改正法からは短期1年と有効期間は原則として最短でも1年以上とされています。

そして、その上で三六協定を行政官庁(所轄の労働基準監督長)に届け出ることとなります。
特別事情に基づく時間延長

   あらかじめ三六協定で時間外労働時間の協定を締結していても、会社の経営上突発的に時間外労働をしてもらいたい場合が出てくることはあります。上記の別表では1年間あたり360時間の時間外労働が三六協定によって認められることとなりますが、それを越える業務上の必要が発生した場合には、その必要性に合わせて労働時間を延長できる旨の協定を締結することが出来、それを特別事情に基づく「特別条項付き協定」と言います。
   問題は、この特別条項にうちては「限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情が生じたときに限り」という限定があるものの、細かな規制がないところにあります。そこで、労使の間で自主的に具体的な内容を協議し、可能な限り具体的に特約を規定することが求められていると言えます。もともとこの特別条項による時間外労働は例外中の例外ですので、通常は予測できないような突発的な事情によるもの(例えば最近では雪印乳業の信頼回復業務もそうでしょう)などで、臨時に一時的に行う必要があるものに限られると言うべきです。
   また、特別条項に従って時間外労働を行う場合にも、そのための具体的な手続きを定めておくことは必要であり、例えば事前に使用者(会社)が労組に対して書面で時間外労働の時期・内容・期間を提示するなどは必要最低限の手続きといえるでしょう

一定期間の法定越え時間外労働時間

   所定労働時間が法定労働時間よりも短い事業所において、所定外時間を含めた一定期間、あるいは法定休日を上回る法定外休日についての休日出勤などを協定する場合には、単純に三六協定によって定まった時間外労働時間が法定労働時間を超過する労働時間となるのかについては明確にならないことがあります。そこで、このような場合には一定期間の所定労働時間を超過した時間外労働時間から、一定期間における法定労働時間以下の所定労働外時間(休日労働の場合には、休日労働時間を1日8時間として計算する)を差し引くことで、法定労働時間からどの程度超過しているのかを計算し、上記の別表1の限度時間内に収まっているのかを計算することになります。
平成11年施行改正法以前の三六協定が現在も使われているのですが?

   労働法関係諸法規は改正が頻繁に行われているために、法律の改正に会社内の書類の改訂が追いついていないこともままあるかと思います。しかし、三六協定のような基本的な協定については即時に対応を取るべきであったと言えます。基本的には、労使間の合意があれば有効期限内であっても新しい三六協定の締結は可能です。
   改正後の法規に従って新しい協定を締結することとなりますが、注意するのは従前の三六協定の有効期限が残っている場合の取り扱いです。例えば、従前の三六協定で規定していた1年間360時間の時間外労働時間をめい一杯使ってしまっている場合に、有効期間が後3ヶ月ある旧協定を解約して新しい協定を締結するなどを行うと、実質的に1年間に360時間以上の時間外労働を行わせることとなってしまいます。気を付けないと、労基法の規定の脱法行為として扱われるおそれがあります。
 


その4  三六協定の届出 

三六協定は、これを締結しただけでは効力を生じません。所轄の労働基準監督長への届出を行って初めて有効に効力を生じます。この届出は時間外労働の実施要件ですから、三六協定を締結しても労基監督署長宛に届出をしない限り、労基法違反の残業となります。また、この届出においては、労基署などに所定の様式の届出書がありますので、これに記載して提出することとなります。逆に言うと、三六協定の協定書そのものを届出に際して提出することまでは求められていないこととなります。
  三六協定届出書式などは労働基準監督庁に行けば入手できますし、市販されているビジネス本でも巻末の付録に掲載されたりしています。最近の書式は従前の届出と違って、「事業の種類」の他に「業務の種類」や「時間外労働をさせる必要のある具体的事由」などをきちんと記載するようになっています。逆に男女別の限度時間などについての記載欄は削除され、男女雇用機会均等法の趣旨に従った書式になっています。


その5  三六協定の効果

 三六協定によって、法定労働時間外の時間外労働について労基法違反として使用者(会社)が処罰されることはなくなります(三六協定の免罰的効力)。なお、三六協定違反そのものが違反行為として罰せられるのではなく、三六協定を締結していないにもかかわらず時間外労働をさせ、あるいは三六協定における限度時間を更に超過して時間外労働をさせた場合に、法定労働時間を越える労働をさせたとして労基法32条違反になります。この場合、使用者(会社)には6ヶ月以下の懲役か30万円以下の罰金が課せられます。

    ところで、三六協定がある場合としても、労組が三六協定を使用者(会社)と締結したからと言って、すべての従業員がこれに賛同しているとも限りません。そこで、三六協定による時間外労働に反対する個々の従業員に対しても使用者(会社)が時間外労働を強制できるのかが問題とされています。
    上述のように、三六協定があること(届出がされていること)によって、使用者(会社)は時間外労働をさせても処罰されることはありませんが、これは単純に使用者が処罰されないということにとどまります。そこで使用者(会社)は時間外労働をさせることを強制できるのか、は三六協定の免罰的効力とは別に検討する必要があるのです。
    結論から言うと、就業規則または労使協定は使用者(会社)と労働者(従業員)の間の労働事項を拘束するものであるから、個々の労働者(従業員)は三六協定に従って時間外労働時間が定められており、それについて就業規則などによって「業務上必要があるときには従業員は残業若くは休日出勤しなければならない」と規定されている以上、これに包括的に同意しており、就業する義務があると考えられています。但し、全く無限定にこのような包括的な同意がされているとされるのではなく、就業規則などの規定が合理的なものである場合に限られるとされています。
【時間外労働時間の申告と実際の労働時間が違っている】

    いわゆる「サービス残業」などがまかり通っているためか、実際に残業したのは連日5時間なのに、申告は1ヶ月10時間とか15時間(多くの会社では1ヶ月あたり10時間以内の残業であれば部長決裁の必要もなく経理が残業手当を支給できるようです。15時間は厚生労働省の決めた限界時間)となっていることは良くある話のようです。証券会社や商社、広告代理店に勤務して過労で自殺した従業員の遺族が労災認定やら会社への損害賠償を行う場合には、必ずと言うほどサービス残業の話が持ち上がります。
   残業時間については、タイムカードを使用したり、出勤退社簿に記載したり、といろいろな方法で管理されていますが、いずれにおいても個々の従業員の自己申告を基礎としているといえます。7時にはタイムカードを押して退社したことにして、それから本格的な残業をしているとか、担当者が一律に出勤簿に名目上の退社時間を記載しているなども珍しくありません。
   会社としては、サービス残業は人件費削減の最大の手段として考えていることが多いようです。確かに、無給で労働させているのですから経費削減にはもってこいでしょう。しかし、そのような扱いは明らかに違法です。また、そのようなサービス残業が原因で事故が起こった場合の会社のイメージダウンは著しいといえます。従業員が過労死したり過労による自殺をした場合、その従業員の遺族とはまともな対応が出来ないでしょう。また、いったんタイムカードを押して退社扱いになった人が社内で事故にあった場合に、会社の規定でその従業員には何らの補償もできない(会社の施設内における就業時間内の事故にのみ社内補償が出るという就業規則を設けている会社が多いはずです)、そのことに合理的な解決方法が見つけだせるのかも疑問があります。
   従って、建前だけでなく、実体においても限度内の残業にとどめさせるべきでしょう


その6  割増賃金 

会社が従業員に残業や休日出勤をさせる場合に忘れてはならないのが、割増賃金です。
   法定労働時間外における労働であるから、それに見合っただけの特別手当を支給しなければ従業員(労働者)の生活と人権が守られないのであり、当然の話です。どれくらいの手当を支給するのかについては労基法上は25%〜50%の範囲内で厚生労働大臣が決めるとされており、現在のところ残業代及び深夜労働は25%、休日出勤では35%以上の割増賃金を支払うと定められています。
 労働基準法第37条(時間外・休日及び深夜の割増賃金)

使用者が、第33条又は前条第1項の規定(※三六協定のこと)により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
2  前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。
3  使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
4  第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。
 


 

その7  最後に

現在の社会経済をみても、会社がリストラを積極的に行い、特に人件費の削減に必死になっているのは仕方のない話ともいえます。しかし、それによって従業員にたいして労基法に反する残業をさせることは単に法律上の問題があるというだけでなく、会社のイメージ戦略としても、また景気が回復した以降の新規従業員の獲得においても明らかに不利益な結果を生ずることとなるでしょう。
    会社が存続しているからこそ、そこに勤務している従業員も生活できているという側面はありますが、やはり労基法の範囲内で、労基法の定める手続きに従って時間外労働を「お願いする」という姿勢は維持することが重要だと思います。