更新料
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2001.2.18(2005.3.10)
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家を借りると、多くの場合契約更新の際に「更新料」という名目で家賃の1ヶ月分を支払うという契約書になっていたりします。しかし、よくよく考えてみると更新料というのもよく判らないものです。なんで契約を更新すると更新料を払わなければいけないのか? それに、最初から10年は借りようと思っているのに、契約期間は2年単位となっていて3年目には更新するので更新料を払ってくれと言われることもありますが、どうも納得いかないところがあります。そこで今回は、賃貸借に関する更新料について見てみましょう。
| その1 更新料とは | |
賃貸借契約は通常期間の定めがなされています。期間の定めのない賃貸借契約の場合には、理屈の上では「更新」ということは問題にならないのですが、土地の賃貸借の場合には期間の定めのない契約は30年を存続期間とするものとされますし、建物の賃貸借の場合であっても明確に期間は定めてられてはいないものの当事者の合理的意思解釈として一定の期間が定められたと認められる場合もありますので、やはり更新が問題となる場合はあります。 賃貸借契約の期間が満了した場合、契約の更新にあたって賃借人から賃貸人に支払われる金銭を「更新料」といいます。 この更新料というものは法律上決まっているものでも無ければ、全国的にその授受が為されているというものでもありません。歴史的には借地契約において更新手続の費用を支払うということが行われるようになり、東京などの大都市とその近郊においては建物の賃貸借においても更新料を支払うという場合が多く見られるようになってきているものです。しかしながら、法律上の定めもなければ全国的に一般化しているともいえないものだけに、裁判によって更新料の支払いなどが争わる事案もかなりの数に上っています。 |
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<更新料の法的性質>
更新料というものが法律的にどのような性質を持っているのかについても、学説や裁判例などによって様々な見解がでており、未だ統一的な見解はありません。一般によく言われているところとしては
1) 更新料というものそれ自体を否定する見解
2) 異議権放棄の対価とする見解
… 更新するに際して貸主が更新に対する意義を述べない(更新を承諾する)ことの
対価として支払うとする見解
3) 賃料などの補充とする見解
… 賃料の増額がそれほどは簡単に出来ないことから、過去の賃料の不足分の後払い
精算、または将来の賃料について事前に前払いする、あるいはよりよい条件で他の
賃借人に賃貸できるかもしれないところを従前と大差ない賃料で契約を継続させる
分の穴埋めのために支払うとする見解
4) 権利金充填とする見解
… 3)の見解と共通する考え方で、更新することによって敷金・権利金が目減りするのを
填補するために支払うとする見解
5) 更新手数料とする見解
などなど様々な見解が主張されています。
更新料というものが、日本全国で普遍的に支払われている訳でもなく、また、更新料を肯定する見解のどれか一つで合理的に説明できるというものでもないことから、複合的な説明によるほかないと思われる。ただ、裁判例では異議権の放棄または不足賃料の補充として扱っているものが主流と思われます。
借地借家法3条(借地権の存続期間)
借地権の存続期間は、30年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
借地借家法4条(更新後の期間)
当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から10年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、20年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
借地借家法26条(建物賃貸借契約の更新等)
建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
借地借家法第27条(解約による建物賃貸借の終了)
建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する。
借地借家法第29条(建物賃貸借の期間)
期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。
| その2 更新料を支払わなければならない場合とは | |
更新料の法的性質はともかく、そもそも更新料というものは支払わなければならないものであるのかが最初に問題となります。現在、民法や借地法、借家法、借地借家法いずれにおいても更新料を支払うというような規定はありません。そこで、賃貸借契約において更新料を支払うというような特別の合意をしていない限りは更新料を支払う義務はないというのが一般的な考えです。 ここで問題となっていたのが、更新料の支払いが慣習となっているのか否かという点です。借地借家法(借地法、借家法も同じ)は民法の特別法とされています。そうすると、借地借家法には「慣習」についての特別規定はないので、一般法である民法に規定されている「慣習」(民法92条)が適用される可能性もあります。そうすると、「賃貸借契約の更新にあたっては、賃借人が賃貸人に対して一定の更新料を支払うという慣習がある」ということになれば、契約で更新料の支払いを定めていなくても更新料を支払う義務が発生するともいえなくはありません。 しかし、既に述べているように、更新料というものが普遍的に通用しているものではないことや、その意味合いもきわめて曖昧であること、また、期間満了の場合には賃貸人が更新を拒絶しても、法律上は賃貸人が更新を拒絶する正当な事由が無い限り契約は更新されることとなること(借地借家法6条、28条)からも、判例上も学説上も更新料の支払いは慣習ではないとしています。 そうすると、更新料を支払うのは、最低限の条件として当事者間に更新料支払いの合意がある場合に限られることとなります。 |
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<一般法と特別法>
適用領域が限定されていない法を「一般法」といい、摘要涼気が限定されている法を「特別法」といいます。実際には一般法と特別法は相対的な関係にあり、例えば民法と商法は、民事法規における一般法である民法と、その中で特に会社その他商事行為に関連する部分について適用される特別法である商法となるが、商法と有限会社法の関係では、商法が会社や商事行為に関する一般法であり、有限会社法が特に有限会社に限って特別に適用される特別法という関係にある。結局「特別法」の適用領域も含めた広い領域に適用されるのが「一般法」ということになる。
法律の適用に際する優劣として、「特別法は一般法に優先する」という原則があり、特別法と一般法の双方が適用される分野の規律においては、特別法が優先的に適用されることとなる。例えば、消滅時効については、民法上の一般消滅時効は10年となっているが、商法上の一般滅時効は5年となっている。会社取引においては民法も商法も適用範囲であるから、特別法である商法が優先して適用され、会社取引においては消滅時効は5年となる。<慣習・慣習法>
慣習というのは「習慣」とは違って、人々の間で行われれている慣習が法規範としての性質を有しているものをいいます。世の中の決まり事がすべて法律で規定されていると言うことはおよそ考えられません。取引社会の中で事実上形成されてきている決まり事も多くあります。その中のいくつかについては、事実上「社会における決まり事」というレベルになり、特に当事者間でいちいち確認などしていなくても、当然に合意されているといえるものもあります。そのようなものを「(事実たる)慣習」(民法92条)あるいは「慣習法」(法令2条)といます。
ここでは学問的な詳細は割きますが、民法92条の規定によって、法律上の規定がない事項、あるいは法律によって規定されてはいるがそれが強行規定(当事者の合意によっては排除できない規定)に反しない事項、についての慣習が存在し、法律行為の当事者がこの慣習に従うという意思をもっていたと認められる場合には、法律上の条文よりもその慣習に従って当事者の権利義務が定められることとなります。
例えば、賃料の支払いについては、民法上は後払いとされていますが(民法614条)、現在の賃貸借実務においては、少なくとも企業同士の場合には、翌月分を前月までに前払いするのが事実としての慣習であるといえるかもしれません(これにも異論はありますが)。そうすると、仮に契約書で「賃料の支払いは毎月末日とする」とだけしか書いていなかった場合に、この「末日」というのは「当月の末日(にその月の賃料を支払う)」のではなく「前月の末日(に翌月の賃料を支払う)」という解釈がされることとなるでしょう。
民法614条(借賃の支払時期)
借賃は動産、建物及び宅地に付ては毎月末に其他の土地に付ては毎年末に之を払うことを要する。但し収穫季節あるものについては其季節後遅滞なく之を払うことを要する
| その3 更新料支払いの合意 | |
更新料支払いの合意がない限り、どのようにしても更新料は支払う必要はない、逆に言うと賃貸人は更新料の請求が出来ないこととなります。 それでは、基本に戻って、更新料支払いの合意というものがそもそも有効なものなのでしょうか。借地借家法(借地法、借家法も同じ)は、賃借人の権利保護を立法趣旨としているのですから、賃借人にとって不利となる更新料の支払いが(明文の規定には反しないとしても)借地借家法の律法趣旨からして無効なのではないかという争点があります。 借地借家法では、賃借人を保護する趣旨から、法定更新の規定を設けています(借地借家法5条2項、26条2項)。賃貸人に更新を拒絶するだけの正当な事由が無い限りは、無書で契約は更新されることによって賃借人を保護しようと言うものです。この律法趣旨については、近年の借地借家法改正(「定期借家」 法律知識箱「不動産賃貸借」参照)がなされたことからも伺えますが、必ずしも不動産賃貸借慣行に合致していないのではないかとの疑問もありますが、それはさておいても、規定上法定更新が強行規定として存在する以上、更新料の規定はこの法定更新の制度を骨抜きにしてしまうのではないかという問題が提起されていました。 しかしながら、賃貸借契約において賃料の増額が容易には出来なくなっていることや、いったん賃貸してしまうと事実上賃借人が自主的に出ていくまでは解除も明け渡し請求もなしえないような現在の実務からしても、更新料というものが安すぎる賃料の穴埋め手段として賃貸人からすれば非常に重要な手段となっていることは否定できません。また、賃借人にしても、更新料を支払うことが必ずしも不相当な負担を強いられることになるとも限らないといえます。そこで、具体的な賃貸借の現状に応じて、また、更新料の具体的な取り決めに応じて、総合的に判断して合理的と認められるような更新料の規定は有効であるというのが現在のほぼ確立した実務・裁判例であるといえます。 |
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<法定更新>
契約が更新されるのは、通常契約をした当事者が合意によってすることとなります。しかし、賃貸借契約などは、相当期間継続されることが通常の契約であるために、特段の事情がない限りは、当事者の意思にかかわりなく法律の規定によって更新を擬制することがあります。借地借家法では、賃借人の地位を安定・強化させるという律法趣旨にのっとり、賃貸借契約期間が満了した後も賃借人が土地・建物をそのまま使用し、これに対して賃貸人が遅滞なく異議を述べない場合には、従前の契約内容と同一の条件で賃貸借契約が更新されることとされます(借地借家法5条2項、借地借家法26条2項)。これを法定更新といいます。
借地借家法第5条(借地契約の更新請求等)
借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。2借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。
借地借家法6条(借地契約の更新拒絶の要件)
前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。
借地借家法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
借地借家法第26条(建物賃貸借契約の更新等)
建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。2前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
| その4 法定更新と更新料支払いの合意 | |
書店で市販されている賃貸借契約書などをみると、建物賃貸借などでは必ずと言っていいほど更新料支払いの規定が入っています。また、その内容についても一般的には決して不合理といえるようなものではなく、建物賃貸借であれば2年契約期間ごとに1月分の賃料相当額などと、きわめて一般的であり不相当とはいえないものとなっています。では、このような市販の契約書をそのまま使っておけば、賃貸人は更新料を請求できるのかというとそういうわけでも無いです。 契約の更新は原則として当事者の合意によりますが(合意更新)、賃貸借契約の場合には当事者が合意していない(明確に更新するとの合意がされていない)場合であっても法定更新されることがあります。 このような法定更新の場合にまで、契約上更新料の規定があるからといって更新料の支払いを求められるのかについては争いのあるところです。裁判上も肯定する結論を採るもの、否定する結論を採るものとに分かれており、完全には確定していないところといえます。更新料の法的性質が統一されていないということも一つの原因ではありますが、具体的事情を勘案した上でケースバイケースで肯定も否定もあり得るといえます。賃貸人からすれば、法定更新になる場合には、更新料を請求できなくなる場合もあるという認識が必要です。 |
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【法定更新されないためには】
答えは簡単で、更新することをきちんと合意する(合意による更新)か、更新しないことを明確に通知する(更新の拒絶)ことです。少なくとも、賃借人からの更新の請求に対して遅滞なく意義を述べる、建物の賃貸借の場合には期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしておくことです。これによって、最終的には、更新拒絶が認められなかったとしても、単純な法定更新ではなくなります。
| その5 更新料の適正額 | |
それでは、更新料の支払いを契約に盛り込む場合、どの程度であれば更新料の額として適正になるのでしょうか。 借地借家法では、既に述べたように賃貸人側に更新を拒絶する「正当な事由」が無い限りは更新を拒絶できない、つまり、更新されることとなります。こうすることによって賃借人の保護を計っているのです。にも関わらず、極端に高額な更新料の合意を有効とすると、事実上賃借人は更新料を払えずに更新したくても更新できないという事態に陥ります。基本的に、借地借家法は賃借人保護の法律であり、賃借人に不利益となる当事者間の合意については効力を否定するという姿勢を打ち出しています。そこで、更新料についても不当に高額なものについては、その合意の効力が否定されることとなると言わざるを得ません。 更新料の額を巡っても数多くの裁判例がありますが、借地の場合には土地の借地権価格の5%程度、借家の場合には賃料の1〜2ヶ月分というのが一つの妥当領域となっているように思われます。勿論、立地条件や利用状況(住居か店舗か)などによっても大きく変化するところといえます。また、単に更新料の額の問題以前に、更新料を支払うことそれ自体に合理性が認められないような事案もあるでしょう。結局はケースバイケースと言わざるを得ないのですが、上記の基準がひとつの目安にはなるかと思います。 |
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<正当事由>
更新を拒絶する場合や、解約の申入をする場合に必要な「正当事由」については、厳密な定義というものの、これ、という基準があるわけでもありません。法律上は「建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して」決めるとされております(借地借家法28条)。しかし、これでは明確なようで明確ではありません。要するに、賃借人と賃貸人が、賃貸借している建物をどの程度必要としているのかを天秤に掛けて、より必要性が高い方を優先させるということで判断されています。
正当事由の有無は個別具体的な事情によって変わってくるものであり、過去の裁判で認められたのと同じ状況であるからといって必ず正当事由ありと認められるとは限りません。まさにケースバイケースとしかいいようのないものと思います。
【家賃の6ヶ月分という更新料の合意をしているが大丈夫か】
具体的事案によってこの6ヶ月というものが適正とも不適正ともなるのですが、仮に通常のマンションを居住用に2年契約で賃貸しており、周囲の同等のマンションは1ヶ月程度の更新料しか取っていないような場合だとします。そうすると、2年契約で6ヶ月の更新料は全契約期間の4分の1となりかなり高額です。また、周囲の賃貸状況と比較しても著しく高額といえます。このような場合だと、この6ヶ月という合意は無効となることが考えられます。
但し、無効となるからといって、まるまるすべてが無効ということはありません。更新料を支払うということそれ自体は合理的な理由が認められるが、単に額が不適当に高額であるという場合には、適正な更新料の範囲で有効となります。この場合ですと、例えば1ヶ月分のみ更新料を請求できる、という結果になることが考えられます。
| その6 更新料の不払いと解除 | |
更新料の支払い合意があり、更新料を請求することについての合理的な理由も認められ、また更新料の額についても適正と認められる場合に、賃借人が更新料を支払わないことを理由に解除できるでしょうか。 賃借人の最大にしてほぼ唯一の義務は、賃料の支払いです。従って、賃料の不払いは当然ながら賃貸借契約の解除事由となります(実際には、信頼関係を破壊すると認められる程度の不払い、例えば5ヶ月の不払いとか、であることが必要となります)。そうすると、更新料の支払いを怠ったことは賃料の不払いと同様に解除事由になるのではないかが問題となります。 この点については、裁判例・学説とも見解に争いがあるところでしたが、判例上は解除事由になるということで結論が出ています(最判s59.4.20)。多少長くなりますが、その判決文の要旨を抜粋すると |
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「土地の賃貸借契約の存続期間の満了にあたり賃借人が賃貸人に対し更新料を支払う例が少なくないが、その更新料がいかなる性格のものであるか及びその不払が当該賃貸借契約の解除原因となりうるかどうかは、単にその更新料の支払がなくても法定更新がされたかどうかという事情のみならず、当該賃貸借成立後の当事者双方の事情、当該更新料の支払の合意が成立するに至つた経緯その他諸般の事情を総合考量したうえ、具体的事実関係に即して判断されるべきものと解するのが相当であるところ、原審の確定した前記事実関係によれば、本件更新料の支払は、賃料の支払と同様、更新後の本件賃貸借契約の重要な要素として組み込まれ、その賃貸借契約の当事者の信頼関係を維持する基盤をなしているものというべきであるから、その不払は、右基盤を失わせる著しい背信行為として本件賃貸借契約それ自体の解除原因となりうるものと解するのが相当である。 |
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とされています。更新料の支払い合意が有効に成立している場合には、その不払いによって当事者間の信頼関係を破壊する場合もあり、そのようなときには賃貸借契約それ自体を解除することも認められるということと思われます。 |
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| その7 最後に | |
更新料というものは、最近の大都市における賃貸借契約においてはほとんど必ず契約書に盛り込まれてきているものです。しかし、その意味合いや内容については必ずしも明確にされていません。そのためか、更新料の合意は賃借人の側から不平不満の声があがる条項といえます。しかし他方では、一度貸したら最後、金を積まなければ出ていってもらえなくなるという賃貸人の考え出した利害調整の手段という機能もあります。 賃貸人と賃借人の相互の利害関係を適切に調整する一つの手段が更新料であることは否定できないと思われますので、互いに相手方と良く話し合って、後日の紛争という煩いをなくすようにするのが賃貸借の上手なあり方といえます。 |
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| その8 追補 〜 更新料支払いの慣習 | |
更新料の支払いについては、その物件の所在する地域にそのような慣習があるのかどうかも大きな問題となってきます。契約書に更新料の規定をいれておいても、近隣には更新料などとるところがどこにもない、となると更新料支払い“特約”の有効性に問題を生じます。日本全国を調査したわけではないですが、首都圏(南関東)、名古屋、京都、神戸地区は比較的更新料支払いの慣習が確立しているといえそうですが、それ以外の地域ではそもそも「更新料って何だ」というところすら珍しくありません。貸主としては、なんでもいいから取ってしまえ、という発想はやめた方が無難です。 |
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