事業主の安全配慮義務
 
2003.9.1

    事業主(雇用主・会社)には、雇い入れている従業員が安全に業務に従事できるようにするべき義務があります。この安全配慮義務を怠ると民事・行政上の責任が発生します。特に今後は従業員の精神衛生面についての配慮も重要になってくると考えられます。他方、安全配慮義務を尽くすよう努力することは、その分従業員の事業遂行の効率化にもつながるものであり、積極的な経営の実現にも資するものです。
その1  安全配慮義務違反

   安全配慮義務とは、「労務の提供にあたって、労働者の生命・健康等を危険から保護するよう配慮すべき使用者の義務」とされています。この義務を怠ったために労働者が損害を被ったときは、事業主は損害を賠償する義務を負うことになります。
.   安全配慮義務を怠ることによって使用者が負う責任の一つは民事上の損害賠償責任です。従業員が怪我をした場合の治療費や休業損害が労災で補填されていれば使用者がそれ以上の責任を負担することはないと誤解されることもあります。しかし、労災と民事賠償とは択一的なものではないことに注意する必要があります。労災が損害の100%を補填し尽くしているとは限られません。また、労災認定は非常に厳しく、また認定までにかなりの時間がかかります。そこで労災認定とは関係なく、あるいは並行して事業主に対して安全配慮義務違反による損害賠償請求がなされてくることも珍しくありません。
    安全配慮義務に関するこれまでの裁判例をみると、賠償額はかなりの高額になることが珍しくありません。電通事件1審は1億2000万円、木工作業工場での事故で1億6000万円(平成6年9月27日横浜地裁小田原支部)という事例もあります。平均額の算出は無意味ですが、賠償金の支払いが相当の負担になることは十分に認識しておく必要があります。損害賠償というのは原則として一括払いを求められますので、キャッシュフローを考えると、財源がないから賠償金を支払えないという事態も起こりかねません。もちろん手元不如意の抗弁(手金がないから払えない)というものは通用しませんので、会社財産に執行をかけられるという不名誉に陥ることは珍しくなくなります。最悪の場合には、億単位の賠償金の支払いができないことが原因となって倒産せざるを得ないという危険すらあります。
    このほかに負う法的責任としては、安全衛生法などの罰則規定が適用されるほかに、事案によっては責任者が業務上過失傷害などの刑事責任が問われることもある(東海村ウラン燃料加工施設被爆事故は記憶に新しいものである)。法的な責任以外にも、事故による事業停止の危険や、事故を発生させたことによる社会的信頼の失墜、訴訟などになった場合の社会的評価の失墜は看過できない問題となります。
<安全配慮義務の発生根拠>
 
   法律的には、安全配慮義務は雇用契約(請負契約においても指揮監督関係が認められる場合には雇用契約と同様であると考えられます)に基づく付随義務ということになると考えられています。労災などの場合には事業主に対する不法行為責任を問題とする場合も少なくありません。このような場合であっても、雇用主の付随的な義務が判断材料(過失の認定要素)に関わってくると考えられます。


その2  安全配慮義務の質的変化

    安全配慮義務というのは伝統的には主に工業(製造業)などで、薬品や重機などの危険物を取り扱う職場で問題となってきたものです。これまでに安全配慮義務が問題となった事案をみてみるとその多くは「裁断機」「クレーン」「有機薬品」などを取り扱った事案です。そのため、いわゆる人相手の商売を中心とするサービス業では安全配慮義務が問題となった事案というのはほとんど見かけません。少なくとも電通事件以前にはサービス業で安全配慮義務を問題とされた裁判例は(公刊されているものは)見あたりません。
    これらの伝統的な安全配慮義務の事例については「特集『事業主の職場安全配慮義務』」で詳細に取り扱っていますのでそちらを見て下さい。今回は、近い将来により大きな問題となっていくことが予測される精神衛生面についての安全配慮義務を中心にみてみます。

     社会経済の中心がサービス業へと主軸を移すと、製造業などで問題となることが多い身体的危害よりも職場環境における精神衛生が全面に出てくるようになります。職員が「やすらぎ」などの精神的余裕へも強い関心を持つようになって久しい現在です。行政側も職場環境における精神面を重視するようになっており、「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」(平成4年7月1日労働省告示第59号)では、「国民の意識は物質的な豊かさから心の豊かさに比重を移してきており」「心身に負担の大きい作業についてはその軽減を求める等職場における働きやすさが重視されるようになってきている」などの現状分析に基づいて「疲労やストレスを感じることが少ない快適な職場環境を形成していくことが、極めて重要」「快適な職場環境の形成を図ることは、労働者の有する能力の有効な発揮や、職場の活性化にも資する」とまとめるようになってきています。このような社会生活の変遷に伴い、労災認定や訴訟の場で争われる安全配慮義務の問題意識も精神衛生面の重要性が認識されるようになってきつつあります。

     歴史的に労働者の安全衛生については生命・身体への直接的危害が中心に取り上げられているのはすでに述べたとおりです。安全配慮義務の内容が、
@   物的・環境的危険防止義務
A   作業内容上の危険防止義務
B   作業行動上の危険防止義務
C   宿泊施設・寮における危険防止義務

などに類型化されることが多いのも、このような歴史的経緯の故であるといえます。集約すると、物的環境の整備を基本として安全教育の実施など幅広く労働者の生命・身体の安全を保護するための措置を講ずる義務として事例が蓄積されてきていたのです。これに対して精神衛生の問題は「職員の個人的問題」として使用者側の責任が問われることが少なかったと思われます。(過労による)自殺などを容易には労災認定しない行政の対応が長く続いていたのも、背景にあるのは「自殺=精神の病によるもの=職員の精神面は使用者が管理する(できる)ものではない」という認識が社会全体で一般的であったからと推測されます。
   しかし上記の社会経済全体の変動に伴って安全配慮義務の内容も大きく変遷しつつあります。特にこの数年はこれまでは顧みられることが少なかった従業員の精神衛生が正面からとりあげられるようになってきました。その大きな事情は「過労による自殺」を労災認定するかどうかをめぐって争われる事案が平成に入ってから目立つようになってきたからです。この数年、自殺者は年3万人を超えていますが、その中の相当数がサラリーマンや自営業者の男性によって占められています。バブル経済崩壊後の空白の10年を経た現在でも続く経済不況が、事業主には倒産などにともなう自殺を、サラリーマンには人員の大幅削減に伴う肉体的・精神的負担の増加による鬱症状による自殺を、それぞれ増加させているのではないかとの指摘もあります。このような社会背景から過労による自殺について事業者の責任を問う事案が登場し始め、「電通事件」(最高裁平成12年3月24日判決)は社会の注目を大きく集めました。この事件を境に、精神的側面での安全配慮義務が真剣に検討されるようになってきました。丁度セクシャルハラスメントに関する課題が、直接の身体接触などが問題となる対価型から、精神的不快感そのものを問題とする問題とする環境型へと移行してきていることとパラレルに考えることができるかと思いますが、社会の変遷が後押しとなって、安全配慮義務の内容がより深化してきているといえるでしょう。
<電通事件後の労災適用の変化>
 
 
電通事件は、会社が労働時間を軽減させる具体的措置をとらなかったことを理由に、自殺による死亡逸失利益等の請求を認めた事案です。過労による自殺が問題となった事案ですた、後述するように過労による自殺と精神衛生は切り離しては把握できない関係にあります。機械や設備といった物質面での安全環境から出発した安全配慮義務が、精神的疲労による自殺についても妥当することを最高裁が認めたものとして把握することができる事案です。なお、電通事件は使用者の不法行為責任が問われたものであり、安全配慮義務を正面から取り扱った事案ではない。しかし、この事案での裁判所の判断は安全配慮義務の事案でもそのまま及ぶものと考えることもできると思います。
    この判決の影響を受けて、厚生労働省は過労による自殺の労災認定基準、次いで過労死の労災認定基準をようやく緩和するに至り、過労死の労災認定も平成14年度では160名(前年比58名増・いずれも厚生労働省発表数値)にまで増加している。また過労死・過労による自殺に関する訴訟が急増するに至っている。企業においても過労死防止のために労務管理の徹底と健康管理への施策を拡充するようになってきています。「過労死」という言葉に隠れてしまう傾向がありますが、これらは職場における精神衛生面での安全配慮義務の拡充を推し進めるものとなっていると考えることが出来るでしょう。


   

その3  裁判例などから考えられる適切な安全配慮義務履行のための施策

     安全配慮義務に関する有名な川義事件(最高裁昭和59年4月10日)においては「労働者の職種、労務内容、労務提供場所等安全配慮義務が問題となる当該具体的状況等によって異なるべき」として、事案ごとに個別具体的に安全配慮義務を判断するとしています。安全配慮義務を尽くしていると認められるのかどうかには一定の定型、つまりこれを遵守していれば大丈夫という明確な基準があるわけではなく、ケースバイケースで判断されます。この点をきちんとすれば足りるという基準が作成しずらいため、事業主としては非常にやっかいな問題であるともいえます。
    それでも工場などにおける安全配慮義務は、従業員の身体への危険を回避することが中心となるために、過去の事例の集積を参考にある程度の指針を打ち立てることは容易です。すでにかなりの事業所では安全管理マニュアルや必要な安全教育などを徹底しているでしょう。また、製造業そのものが機械化がかなり進み、かつてのような危険を伴う作業に従業員が従事すること自体が少なくなってきているといえます。大企業・中企業であれば、かなりの作業が機械化されているために、機械・薬品などで従業員の生命身体に危害を生ずるような作業というものがほとんどないというところも珍しくないでしょう。しかし精神衛生面での安全配慮義務を尽くすための施策はまだ十分な事例の蓄積もないのが実体です。身体的危害と比較して事案毎の特殊性に幅が大きいことから確立した指針を打ち立てることができるのはしばらく先になると思われます。しかしそれではここでこのテーマを扱う意味がないので、幾つかの具体的な事案を通じて何らかの手がかりをつかむことが可能かどうかを検討してみましょう。


   職場の精神衛生環境問題が取り上げられるようになって間もないことから、精神衛生にかかわる安全配慮義務の事案は、これまでのところ過労による自殺がそのほとんどであると思われます。いずれは端的に職場環境そのものを問題とするなど幅広い事例がでてくると予測されるのですが、現時点では数少ないこれら過労自殺の事案を通じてのみの検討にならざるを得なそうです。
(1) 電通事件
概要 長時間にわたる残業を恒常的に伴う業務に従事していた労働者がうつ病にり患し自殺した事案
問題点 @ 担当上司は、従業員が徹夜までする勤務状態で、健康状態が悪化していることも気付いていた
A にもかかわらず、業務遂行につき期限を遵守するべきことを強調し
B 帰宅してきちんと睡眠を取り、それで業務が終わらないのであれば翌朝早く出勤して行うようになどと指導したのみで
C 業務の量等を適切に調整するための措置を採らなかった
考察 この事案では使用者の義務違反(本件では過失)として、労働安全衛生法上の作業管理・健康状態の管理(65条の3)にとどまらず業務の量などについても適切に調整するための適切な措置を講じなかったという事実関係を問題としている。割り当てた業務の量を減らす、期限を延長させる、補完要員を割り当てるなどの措置を講ずるべきであった事案と考えられる。
(2) 長時間労働等を原因とするうつ病罹患による自殺について、うつ病に関して裁判経過の中でも詳細な主張立証がなされた事案(広島地裁平成12年5月18日)
問題点 @ 当該従業員が国際疾病分類第一〇版(ICD10)基準による中等症うつ病エピソードの診断基準を満たし
A 反応性うつ病の状態にあった(社会的、職業的あるいは家族的な活動を続けていくことがかなり困難)のに
B 労働環境の改善・配慮もなく過密かつ長時間の労働を行わせ
C より重い責任あるポストに配置するなどした
考察 この事案では、配置転換に伴い応援要員もつけているが、これが逆に当該従業員の負担増加をきたす可能性もあるという指摘がなされている点も注目するべきである。使用者に対しては、心身の負担の大きい職場から外し、医師の治療を受けさせるなどの措置をとることの方が求められていたとも考えられる事案である。
(3)  職員の精神的過労による自殺の一事案(浦和地裁平成13年2月2日)
問題点 @ 直属上司は、職員が過去にも自殺未遂を引き起こしたことを聞いており
A 自律神経失調症により一ケ月の休養を必要とする旨の診断書も提示されたが
B この診断書で休むと気違いと思われる旨伝えるなどして休養を与えず、これらの経過を会社に報告していなかった
考察 この事案で注目したいのは、上司は従業員に対する悪意はなく、むしろ部下として大いに期待をしていた結果として上記Bの行為をしているという事実である。上司の励ましや期待が職員の精神面には逆影響を与えており、使用者側はうつ病などの正確な理解が求められていると考えられる。
(4)  従業員の精神的過労による自殺の一事案(和歌山地裁平成14年2月19日判決)
問題点 @ 当該従業員は約4ヶ月の欠勤の上に辞表を提出している
A 初診日の症状として、「抑うつ状態が中心であり、合併症として糖尿病が存在した」との診断が出され
B 数か月間にわたって通院し抗うつ剤及び糖尿病治療薬の各投与を受けていた
考察 うつ病などの診断がでている場合には、使用者は通常時以上に、健康状態、精神状態等に留意し、過度な負担をかけ心身に変調を来して自殺をすることがないように注意すべきであるといえる。(3)の事案もそうであるが、「抑うつ」の診断がなされていることが全くその後の措置に活かされていないことが問題である。

    これらの事案から共通するポイントを抜き出してみると、(1)従業員の精神状況の変化に気づいていたのに(気づくべきであったのにその認識がないか不十分であったために)、(2))適切な措置を講じなかった、というものがあります。使用者側は常時職員の精神状況を適切に把握することが求められ、何か不安や懸念が生じたときには適切な措置を講ずることが求めれているといえますが、これらの基本的な事項を遵守していなかったために従業員が過労による自殺に至ってしまったものだといえます。
    なお、従業員が復職後直ちに従前の業務に復帰できない場合でも、比較的短期間で復帰することが可能である場合には、休業に至る事情、使用者の規模、労働者の配置等の実情からみて、短期間の復帰準備時間を提供したりするなどが信義則上求めらる(大阪地裁平成11年10月18日)ので、うつ病に罹患したなどの理由だけで解雇するのは許されないのは当然のことと認識する必要があります。


その4  従業員の適切な健康管理

    従業員の精神状況の適切な把握のためには、担当上司から常時適切な報告をさせ、義務づけられている職員に対する健康診断を実施し、しかもこれらの結果をきちんと活かすことが重要です。多くの事例では、使用者(上司)が従業員の精神状況を正確に把握認識できていないことに問題が認められるといえるでしょう。上記の事案の中にも、担当上司が「この程度の症状で仕事に差し支えがあるはずない」という誤った判断をしているものがあります。まして医師の診断書が提出されているのに、鬱病というものをきちんと理解していないために症状を悪化させているものまでありまますが、これはかなりの問題だといえます。
    法律上も「医師の意見を尊重」することが求められており(労働安全衛生法66条の5)、メンタルケアの能力も知識も乏しい社内担当者だけでの判断は避けなければなりません。大企業であればカウンセラーが常勤しているとか、あるいは定期的にカウンセラーによる診断などを行うなどの施策がすでに行われているところもあるかと思いますが、企業の規模に関係なく今後は適切なカウンセリングが不可欠になってくるといえるでしょう(なお、「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」平成8年10月1日指針第1号も参照)。
     次に、従業員の精神状況に応じて講ずる適切な措置については「就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備その他の適切な措置」(安全衛生法66条の5)と規定されているものの、具体的にどうするのかはケースバイケースです。この規定からも「具体的に何をするのか」はとても読み取れません。上記の(2)の事案がその例ですが、職場内の人的関係が根本的な問題である場合には、職務量緩和を企図して補充要員をつけても、逆効果にしかならない危険もあります。この際も、職員の精神面の負担除去が肝心なのであるから、カウンセラーや医師の意見を十分に反映させることが極めて重要で、担当上司が「こうすればよい」と判断してもそれが適切でないばかりが逆効果になる危険もあるのです。
    また、うつ病などについての正確な認識も必要です。一説には全労働者の過半数が(程度の差はあれ)罹患しているともいわれており、特殊な病症ではないことを理解することが必要であす。うつ病にかかりやすいのは「まじめで責任感が強く、几帳面な性格」を有しているとされている。有能な従業員であるほどうつ病に掛かりやすいのです。うつ病の初期状況の場合には、適切な診察と治療によって容易に治癒されるものです。特に、環境に左右されることが多いといわれているため、職場環境の改善によって簡単に治る可能性もあります。使用者としては、医師・カウンセラーの指導も真摯に受け止め、就業時間の短縮や、労務内容の変更などの対策を初期の段階で積極的に講ずるべきです。従業員がうつ病になったのは使用者側に責任があるのであり、これを改善するのは安全配慮義務の基本というべきという認識が必要です。

   結局、従業員の精神衛生面については、外部カウンセラーに依存しなければならない場面が多くなってしまうと考えられます。特定の従業員に対して「精神科に行ってこい」と言っても抵抗が強いばかりか、あまりに配慮の欠ける扱いになってしまいます。定期検診が事業主には義務づけられていますが、これと同時にメンタルケアについてのカウンセリングもおこなうなどで事前の対処が重要になってくるでしょう。


その5  職場安全配慮義務と業務の充実・効率化

    安全施策実施に不必要な経費・時間と手間を取られると考えて職場の安全配慮対策を怠るということが現実問題として少なくありません。安全配慮義務に関する講演などの際には必ず指摘しているのですが、安全配慮環境を整備することは、従業員にとっては職務をより行いやすい環境を整備することに他ならず、職務遂行の充実・効率化を導くものです。サラブレッドをサラブレッドとして使うか、駄馬にしてしまうのかは使う側(事業主)の配慮次第になっているのです。有能な従業員が常にベストな状況で業務遂行できるようにするためには、精神的にも負担をなくす職場環境を構築することが極めて有用なのです。有能な従業員の能力が存分に発揮できるためには(特に精神衛生面ので)環境整備が不可欠なのです。不況で就職難の昨今であっても、真に実力・能力を備えた従業員はどの企業でも引く手あまたです。職場環境が悪いがゆえに真面目で勤勉な有能な従業員が流出することは、そのまま企業としての能力減退に直結することの認識をもっと深刻に受け止める必要があります。
    安全配慮義務は労働者の人権を保護するという法律その他の要請という建前や、相次ぐ訴訟に対する防衛手段という消極的効果が強調される傾向があります。それはそのとおりなのですが、事業主としては常にプラス面を意識したいものです。職場環境の整備により事務処理の合理化・効率化を図るという積極的効果が得られるという点を忘れてはならないでしょう。適切な安全配慮義務の履行は結果として企業自体の利益にもつながるものとして、今一度把握しなおして頂くことがこれからは益々重要になってくるでしょう。


その6  最後に 

    職場安全配慮義務については、そのメンタルヘルス面からの検討がこれから極めて重要になってくると想像されます。精神的に働きやすい職場は、個々の従業員の持つ能力をよりよく発揮させることができる職場です。メンタルヘルスに要する経費というのは、実際にはそれほどの負担にならないものです。費用対効果で考えれば導入することのメリットが極めて大きいものでしょう。