西暦2002年。
革命の反動を恐れた野球政府が、野球以外のスポーツの徹底的な取り締まりを敢行したのは、周知の事実である。
しかし、以下のような事件が裏で起こっていたことは、知られていない。今でも、それは最高軍事機密なのである。
スポーツを取り締まる治安維持法に反発する相撲協会が、デモ行進をしたのだ!!
力士たちが、ふんどし姿で、一歩一歩進むとともに「どすこい、どすこい」と張り手のポーズを決めて、国会議事堂めがけて進んでくる!! 彼ら曰く、自分達の誇りたる相撲のデモンストレーションだという。
―――どすこい!!
―――どすこい!!
まるで地震のような騒ぎである。先頭に立っているのは貴乃花関だ。
時の野球政府首相は、すぐさま臨時国会を開いてこの問題を協議した。何しろ、問題の種はすぐそばまで迫って来ているのである。
―――首相、ここは軍隊の出動しかないでしょう。
―――それしかないな。
力士たちの迫力があまりにすごかったので、このように二つ返事で軍の出動が決定されてしまう。
市ヶ谷の野球帝国軍基地から、戦車部隊が出動した。
―――撃て!!
―――撃て!!
帝国軍戦車部隊は、一糸乱れず「どすこい」と張り手をする力士隊に向かい、容赦なく発砲する。
撃たれる力士も多いが、彼らの様子がどこかおかしい。あまりにも手ごたえがなさすぎるのだ。
その理由はこうである。
彼らは、長年の経験により、足の裏以外の一部分が地につくとすぐに戦闘意欲をなくしてしまうのだ。だから、たとえ銃弾にあたって倒れるのでなくても、爆風によってしりもちをついたり手を地面についたりしただけで、彼らは意気消沈し、中にはその場で引退を決意し「断髪式をしてくれ」と言い出す者まで現れる始末。
反乱軍首領貴乃花関もそうだった。貴乃花関は、爆風によってしりもちをついてしまい、「体力の限界を感じ」、銃弾飛び交う中で断髪式をすませてしまった。
こうして、力士協会の反乱軍は潰滅、暴動はすぐに鎮圧されたのである。
国会議事堂の野球議員たちは、安堵した。
―――よかったですなぁ。
―――これで帝国も安泰だ。
しかし、わずかその三十分後のことだった。
伝令が突如国会議事堂に入って来て、こう叫んだのだ。
―――首相、大変です!! 相撲協会の次は、Jリーグのサッカー選手達が反乱を起こしました!!
―――ぬわにぃっ?!
―――国会議事堂に向かって、デモ行進してきます!! み〜んな、サッカーボールをドリブルしながら、鬼気迫る勢いで近づいてきます!!
おしまい
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