第四回ヨーロッパ旅行記 第四回欧州旅行記


第一日目(横浜〜大阪)
第ニ日目(大阪〜アムステルダム〜ストックホルム)
第三日目(ストックホルム)
第四日目(ストックホルム〜アムステルダム)
第五日目(アムステルダム〜ハーグ〜アムステルダム)
第六日目(アムステルダム〜ブリュッセル〜ブルージュ〜ブリュッセル)
第七日目(ブリュッセル〜ゲント〜ブリュッセル)
第八日目(ブリュッセル〜アムステルダム〜)
第九日目(〜大阪〜横浜)


 2006年のゴールデンウィーク、私は第5回目の外国旅行(ヨーロッパ旅行としては第4回目)に行ってきました。数ヶ月ほど前から両親が仕事の都合でスウェーデンに住んでおり、今回の旅行の主目的はその両親のところへ遊びに行くことだったのですが、乗り継ぎ地であるオランダ、そしてちょっと足を伸ばしたベルギーで、有名な絵画を鑑賞することも目的だったかな。(*^-^*) というわけで、はじまり、はじまり。

 (※ 写真のUPが遅れております、もう少々お待ちください…。)



第一日目 (横浜〜大阪)

 回の旅行の相棒は、大阪に在住する絵画好きの友達です。ヨーロッパへ行くのは初めてということなので、案内の意味もこめて関西空港から出発することにしました。首都圏在住の私は前日から大阪入りするつもりで、それがこの日であったわけですが、今回は少しだけ変わった交通手段で大阪まで行くことにしました(新幹線はこれまでに何度も利用したことがあるし…)。それは、昼行便の高速バスで、横浜大阪昼特急という名前がついているものです。11時28分に町田のバスターミナルから乗り、バスにゆられること約8時間、大阪の桜橋口に到着。待ち合わせていた友達と、大阪駅近くのしゃぶしゃぶ屋で翌日の打ち合わせを行ったのでありました。そして新大阪のユースホステルにて宿泊。因みに大阪から新大阪まではSuicaをつかって乗車、関西でも使えるのは何とも便利なものです。

 そうそう、話は少し前後しますが、今回の旅に携えていった重要な機器をちょっとだけ紹介しておきます。それは、creative zen visionという、ポータブルメディアプレーヤー兼フォトストレージ。基本的にiPodのようなmp3プレーヤーなのですが、DVDから圧縮した動画が640×480の解像度で見られるし、FMラジオも聴けるし、何よりもハードディスク容量が30GBあります。移動時間中のいい暇潰しにもなるし、フォトストレージにもなるしということで、この旅行の直前に購入したのでありました。というわけで、横浜大阪昼特急の中では早速このcreative zen visionで映画を観たのであります。観た映画? 古典映画の名作、カサブランカです。(*^-^*)



第二日目 (大阪〜アムステルダム〜ストックホルム)

 がな一日、移動の日。まず、御堂筋線で新大阪からなんば駅に移動、その後南海の特急ラピート号で関西国際空港まで行きます。南海なんば駅のエスカレーターで、思いっきり左側に並んでしまい、みんな右側に並んでいるのを見て慌てて右側に並びなおしたのは内緒。(笑) ラピート号は、あっという間に関西空港に到着します。残念ながら、これだけ速い&安いわりに利用者が少ないそうです…がんばれ南海鉄道。

 そして、KLMオランダ航空にてアムステルダム乗り継ぎでストックホルムを目指します。関西国際空港からアムステルダムのスキポール空港までは約12時間。確かに長いのですが、隣に座っていた年配の旅行者がどんどん話し掛けてきたのと、ヨーロッパ路線自体4回目でありだいぶ慣れてきたせいか、あまり長く感じませんでした。

 スキポール空港に到着しましたが…これがとてつもなく大きな空港。端から端まで何キロくらいあるんだろうというようなスケールです。乗り継ぎのためにこの空港を歩き回る必要があるのですが、やっと出発ゲートまで歩きついたと思った矢先に出発ゲート変更のアナウンスがあったりして、ちょっと大変。
 ちなみに、スキポール空港にて、友達がカメラのネックストラップを買っていました。曰く、カメラをベルトに留めておくケースが外れやすいため、首から下げておくことにしたとのこと。のちに、このネックストラップが大活躍することになります。

 スキポール空港から、ストックホルムのアーランダ空港までは2時間程度。さきほど来た道をちょうど引き返す形になります。逆にいえば、さっきはストックホルムのほぼ真上をとおったってことね。
 アーランダ空港に到着すると、早速、肌寒い気候が我々を待っていました。5月というのにまだ10度くらい…。というわけですぐに、スーツケースからウィンドブレーカーを取り出して着るのでした。
 アーランダ空港からストックホルム中央駅までは、アーランダ・エクスプレスという特急に乗ります。車窓から見える薄暗い景色は、針葉樹林が多く、どことなく北海道に似た感じ。こうして風景を何気なく見ているうちに、さすがは時速200キロを出すという特急、あっという間にストックホルム中央駅に到着してしまいました。この間約20分。成田エクスプレスも見習って時速200キロくらい出しなさい…って無理かなやっぱし。(笑)

 ストックホルム中央駅で待ち合わせていた父親と合流、スーツケースが重いということもありタクシーで両親宅まで移動。築数十年という古いアパートを間借りしているのですが、ほんとヨーロッパの家ってのは広い&天井が高いです…うらやましい。
 ヨーロッパ一日目は、両親と友達の4人で晩餐です。とはいうものの、日本時間ではもう朝という時間帯なので、最後のほうはもう眠くなってしまったのでありました…。



第三日目 (ストックホルム)

 のストックホルムは…やはり寒かった。日本とはちょっと違う、乾燥した空気の醸しだすひんやり感があります。
 そして、街並みは、今まで訪れたヨーロッパの都市の中では1番といえるほど、整然としていて、落ち着いた感じでした。ごみごみしたところもなく、過度に人工的なところも見受けられず、人も多すぎず少なすぎず、バランスが取れているという言葉が適切なのかな? 私も友達も、ひとめで、この街がおおいに気に入ってしまったのでありました。

 この日はまず、徒歩にて、ストックホルム市の市庁舎へ。毎年12月にノーベル賞受賞者の晩餐会が開かれるという由緒ある建物です。市議会の開かれる間や、ストックホルムを見渡すという大きな女神の壁画などを見、最後には長い階段をひたすらのぼって展望台へ。展望台からも、ストックホルムが実にいい味出している街であることがひしひしと感じられました。唐突な高層ビルもほとんどないし、大小さまざまな島からなる街の鳥瞰図には、色濃い緑と、深い海の青色があふれています。北のヴェネチアと呼ばれたる所以がまさにここにあり。素敵な街です!!

 展望台のあとは、毎日見物客がたくさん集まるという、王宮での衛兵交替式を見に行きます。予定時刻にぎりぎり間に合って王宮にたどりつくと…そこは人、人、人でした。子供たちも多かったですね。
 やがて定刻になり…スウェーデン国旗と同じ鮮やかな青色の服に身を包んだ、筋骨たくましい若者が、銃剣を鋭く振りながら行進してきます。トランペットやクラリネットを奏でる音楽隊も出てきました。中には女性の兵士もいましたね。上官の鋭い声と、兵士たちの機敏な動きはかっちりと続きます。その一挙手一投足を観衆はじっと見続け、ひとつひとつの儀式が一段落するたびに大きな拍手をしていました。私は軍隊に対しては残念ながらあまりいいイメージを持っていないのですが、衛兵としてのこういった儀式はなかなか見ていて気持ちいいなぁと感じました。世界中のあらゆる軍隊が、侵略戦争をするための軍隊ではなく、こういう衛兵としての軍隊になることを祈ってやみません…。

 衛兵交替のあとは、王宮に付属している博物館を駆け足で見て回ってから、昼食。ガイドブックに乗っていた有名なスウェーデン料理屋という店が残念ながらしまっていたので、その近くにあるイタリア料理屋にしましたが、パスタを頼んだところおいしくてしかも量がかなり多く、二人とも大満足でありました。

 午後の観光の目玉は、ヴァーサ号博物館。400年近く前に沈んでしまった巨大戦艦であるヴァーサ号を、多額の費用をかけて引き揚げて復元したという、一大博物館です。シェップスブロン埠頭という埠頭から出ている、市内をめぐる小さな船に乗って出かけます。因みにこの船、尾道でも一度乗ったことがあった、前からも後ろからも人が乗れるようになっている船でした。

 ヴァーサ号を見ての第一印象は…思ったよりもずっとでかい!!ということ。そして、こんなに壮大な船が処女航海のときにあっというまに沈んでしまったことを思うと、心が痛みます。タイタニックのときは氷河にぶつかって沈んだわけですが、このヴァーサ号は、どうやら人為的な要因が複雑に重なり合って起きたようです(たしか、船の底のおもしをどれくらい積むべきかという見積もりがあまりなされていなかったことや、船の上部に砲台をたくさん乗せたいという意向があったことなどだったと思う)。今も昔も、盤石なはずであっても複合的な要因からそれがいつしか崩れ、事故が起きてしまうというのは残念ながら変わらないようです…。私もメーカーに勤めるエンジニアの端くれ、常に危険予知をし安全確認を怠らないようにしよう!!と、想いを新たにしたのでありました。

 こうして、ひととおりメジャーな観光地はまわったので、最後にざっと市内を見て回ろうという意味合いをこめて、市内クルージングをすることにしました。ヴァーサ号博物館からわりと長い距離を歩いて埠頭にたどり着き、クルージングの船に乗り込みます。船内には丁寧にも日本語の解説があってとても助かりました。(笑) 18時を過ぎてもまだまだ高い太陽は、やんわりとストックホルムの運河と街並みと緑を照らし続けます。実に実にバランスのとれた、いい街です!!

 クルージングを終えると、漸く太陽が西の空に傾き始めました。そろそろ帰ろうということで家路につき始めますが、太陽がまだ沈んでいないとはいえ時間帯的にはもう遅い時間、デパートの類などはほとんどが閉店しています。まだ明るいのに…と一瞬錯覚してしまうものです。(^-^;;)
 そして、そんな中珍しくまだ開店していたデパートに入り、秀逸なデザインで有名なスウェーデンの文房具をおみやげとして購入しました。(NKデパートという名前のデパートでした。)

 両親宅へ帰り、4人で晩餐。サーモンの丸焼きと、アルコール度10%近いという強いビールを楽しむことができました。麦の薫りが濃いせいか、麦焼酎を呑んでいるような錯覚に一瞬とらわれました。(笑) 4人はおみやげ話に花を咲かせ、夜は更けていきます…。



第四日目 (ストックホルム〜アムステルダム)

 の日は、昼過ぎの飛行機でストックホルムを発ち、アムステルダムに行く予定でした。というわけでゆっくり出発してもよかったのですが、私も友達もこのストックホルムという街が非常に気に入ってしまったので、予定を変更、6時に早起きして(もう十分空が明るい!!)、ストックホルムの市内を散策しました。橋を渡り、公園を抜け、海沿いを歩き、丘へ登りゆく…そんな中にも、涼しく心地よい風は吹いてゆきます。もっと歩き回りたかったけど、そろそろ、しばしのお別れということで、地下鉄に乗って両親宅へ帰っていくのでした。因みに地下鉄の治安は非常に良好です。私はローマの地下鉄に乗った経験がありますが、あれは怖すぎです…。(汗) 
 いざ、ストックホルムを発ちます。父親は仕事で不在のため母親が見送りに来てくれました。再び、アーランダ・エクスプレスに乗ります…。

 アーランダ空港からスキポール空港までのあっという間の道のりをいわば引き返し、スキポール空港についたのは14時過ぎ。スキポール空港からはIC(Inter City)に乗って、アムステルダム中央駅に到着します。アムステルダムに着いての第一印象は…「何だかいきなり暖かくなったなぁ」というもの。(笑) 街行く人々(ストックホルムより遥かに多いのですが、のちにこの理由のひとつがわかることになります)は、半袖の人も多く、こざっぱりした感じ。そして、埋め立てによって領土を拡大してきた「平地の国」であるゆえ、自転車人口が非常に多いのです。車道と歩道の間などには、たいていの場合自転車専用道路があり、ひっきりなしに自転車が行き来しています。日本人は自転車の国というとまず中国を思い浮かべるものかもしれませんが(笑)、ここオランダも十分自転車の国なのであります。自転車専用道路も非常によく整備されており、何気なく歩道を歩いているつもりが実はそこが自転車専用道路で、ベルを鳴らされてしまったことが一度ありました。(^-^;) 

 アムステルダム中央駅からタクシーですぐにホテルに向かい、荷物を置いてから、トラム(市電)でゴッホ美術館へ行きます…が、タッチの差で閉館時間に間に合いませんでした。(x_x) そこで予定変更、少々ハードスケジュールになりますがゴッホ美術館は国立美術館といっしょに翌日見ることにし、日本でも知名度が高いあのアンネ・フランクの家へ向かいます。
 アンネ・フランクは、あどけない微笑をもって私たちを迎えてくれました。もう、涙なしにはいられませんでした。もっと生きたかっただろうに、もっと楽しいことをいっぱいしたかっただろうに。そして、同じ人間がこうも陰湿に、排他的に、攻撃的になりうることを考え、背筋が寒くなるのでした。人間は、二度とこんなことを繰り返してはいけない。
 なお、このアンネ・フランクの家のほど近くにアンネ・フランクの像というものもあり、ひっそりと献花がなされています。アンネ・フランクの日記の真偽に文句をつけるネオナチが、この像にナチスの紋章の落書きをしたことがあったそうですが、どうしようもないことですね。(怒) 因みに、今ではアンネ・フランクの日記は紛れもなくアンネ本人が書いたものということが証明されています。

 夜は、ふらっと決めて場末のレストランに入り、コース料理。これが非常に美味で、最後の肉の塊が特に旅の疲れを癒してくれました。さあ、明日はアムステルダムとハーグを駆けめぐるぞ。



第五日目 (アムステルダム〜ハーグ〜アムステルダム)

 起きして、真っ先に国立美術館を目指します。そう、レンブラントを初めとした、オランダ絵画の大家たちが我々を待っています。(*^-^*)
 国立美術館は結構混むだろうと見越して20分くらい前に到着したのですが…既に当日券のカウンター前に50人くらいは並んでいました。(汗) で、開館直前になり、そろそろ列が動き始めようかというところに、横のほうから日本人観光客団体がぞろぞろとやってきて、前売り券のカウンターに並びました。やっぱり日本人観光客ってどこにでもいるものなのね。(笑)
 国立美術館で一番よかったのは、月並みかもしれませんがやはりレンブラントの「夜警」でした。(例のごとく、順路の一番最後にどーんと置いてあります) 吸い込まれるような黒に映えて燦然とたたずむ魂、という感じかな? 人々の表情はいきいきしており、何だか見ているこちらまで元気が湧いてくるというものです。ぐっときます。
 あと、私が思う、この美術館における次点は、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」でしたね。何の変哲もない日々の生活を低い視点でさりげなく描いた絵で有名なフェルメール、その真骨頂がこの作品なのかもしれません。それにしても、このフェルメールの雰囲気、どこかで見たことが、いや、感じたことがあるような気がします。映画か? コマーシャルか? いや、映像作品ではなくて小説か? ちょっと思いつきません…。もしかすると、そんなとらえどころのないフェルメールの魅力に、私も虜になりつつあるのかも??

 国立美術館をこうして駆け足でまわった後は、すぐ近くにある、昨日タッチの差で入れなかったゴッホ美術館に行きます。ゴッホが日本の美術に強く惹かれていたのは知っていましたが(最近某CMでもよく流れていますね)、実際にその影響を強く受けた作品を見る機会はこれが初めてで、非常にいい経験になったと思っています。また、黒くてごつごつした絵を書いていた比較的若い時代の作品、これが特に気になりました。「馬鈴薯を食べる人たち」という、民衆の静かに燃えさかる魂のようなものを描いた作品が特に印象に残っています。ゴヤと通じるものがもしかするとあるかも。(尤も相違点も多いけどね)
 なお、展示されている絵はゴッホのものだけではなく、ゴッホと共同生活を送ったゴーギャンなどの絵も展示されています。ゴーギャンを見るのは非常に久しぶりだったのですが、そう高くない彩度の色をさまざまに組み合わせて結果として鮮やかに見えるところはやはり見事。このへん、まさに鮮やかな色で奔放自在にぽんぽん描くマティスとある意味対象的かもしれません。因みに私はゴーギャンとマティスどちらも大好きです。(*^-^*)

 午前中だけで大きな美術館を二つも回ってしまいました。しかしこれで終わったわけではなく、午後は、この旅のいわばメインともいえる、ハーグのマウリッツハイス美術館へ足を伸ばします。
 ハーグ(正式にはデン・ハーグらしい)は、アムステルダムからほど近い都市で、50分そこそこで行けます。美術館でとる時間を優先するため、この日の昼ご飯は、アムステルダム駅構内で買ったサンドイッチ。たまにはこういうのもいいものです。

 ハーグは、アムステルダムより小ぢんまりとした、そしてアムステルダムよりあわただしくない、のどかなところでした。アムステルダムのたくさんの人と忙しい交通事情でいささか疲れ気味だった私と友達は、駅から出た瞬間にふっ…と、温度が変わったような錯覚にとらわれたのであります。
 マウリッツハイス美術館へは市電でわりとすぐ。すぐ前まで行ってみての印象は…国立美術館のような巨大な面構えではないが、しっかりとたたずんでいる、という感じ。因みに日本人はいませんでしたが、日本語のパンフレットはあったと記憶しています。
 フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」。やはり、実物を見ると本当に輝いて見えるものです。不思議な透明感はまさに圧巻。ほのかに光る夜露のような、神秘の絵ですね。
 そして、この真珠の耳飾りの少女もさることながら、「デルフト眺望」には驚かされました。フェルメールの絵というと大抵は小さくふんわりとしているのですが、このデルフト眺望は、まず大きく、そしてきりっとした心地よさがあります。まっすぐな生命感に満ち溢れています。これは!!と思わせるものがあります。(このあとポスターを買ったのでした)

 何だかフェルメールのことばかり書いてしまいましたが、ここマウリッツハイスはフェルメールだけではありません。レンブラントももちろん頑張っています。たとえば、テュルプ教授の解剖学講義。教授によって切り開かれ持ち上げられた腱(けん)と、それに見入る学生たちの精緻な描写から、人体に対するレンブラントの深い洞察が感じ取れます。高い志をもった芸術家たちを、我々は簡単に「昔の人」と言いますが、こういった人類の叡智ともいうべき作品に触れていると、何も昔とは感じなくなり、まるでつい最近の人のように思えてくるから不思議。

 こうして、マウリッツハイスにはかなり長居。実を言うと、もし余裕があったら見ようと思っていた美術館が一件あったのですが、こうした経緯により今回は行かないことにしました。どんな美術館かというと、騙し絵で有名なエッシャーの美術館です。そう、滝がどんどん下に落ちてきているように見えるけどいつのまにか水が上流に戻っているとかで有名なあの人。因みに私は、5年ほど前に長崎のハウステンボスでいくつか見たことがありました。

 夜は…といってもまだまだ明るいけど、ハーグ市内のインドネシア料理屋に入ります。インドネシアはその昔オランダの植民地だったということで、オランダの都市にはインドネシア料理の店が結構多いようですが、これもそのひとつです。注文したところ、韓国料理のように小皿がたくさん(10個以上)出てきて、しかもその小皿をまとめて置いておくプレートが常に熱されていて(電気式かガス式かは失念)、いろいろな料理を常に温かい状態で食べられるという方式でした。しかも量がかなり多く、一つ一つが美味しい。(*^-^*) ハイネケンのジョッキも進むというものです。(笑)

 アムステルダムに帰ったころに、漸く薄暗くなってきました。アムステルダムにいられるのも明日の早朝までということで、軽く市内を散歩しよう、そしてもし可能ならばクルージングをしようということで、駅からトラムに乗って街へ繰り出します。
 まず、今日見たレンブラントの「夜警」をそのまま銅像群にしたという広場に行きます。原画では闇の中に輝く人々でしたが、こちらは薄暮の街に映える人々ですね。わりとたくさんの人が写真を撮っていまして、私たちもその仲間入りをしたのでありました。
 広場を切り上げたのち、クルージングができるかどうかを探るために川沿いを歩いて行ったのですが…何だか異様なほど人の数が多くなってきます。そして、遥か向こうから音楽と歓声が聴こえてきます。何だろうと思いつつ、人の波をかき分けつつ歩いていってみると…川の上で野外ライブをやっていまして、あたり一面満員電車のごとき大混雑。橋の上にも、川沿いの歩道にも、そして川の上に浮かんだ船にも、すべて人、人、人。そしてみんなお祭り騒ぎの陽気です。どんなお祭りなのか非常に興味があったのですが、とりあえずはということでこの人の波をかき分けて、クルージングの乗り場へ長時間かかって到着。係員の人に聞いてみると…「残念ながら、今日は解放記念日というお祭りの日。クルージングは無理。」 
 そういうことだったのか〜。オランダの人にとって、第二次世界大戦での支配からの解放は一大イベントなのです。アムステルダムの都市自体が昨日今日といくらなんでも人が多すぎる雰囲気だったのは、このためだった。ちょい調査不足でありました。

 そんなわけで、クルージングはできませんでしたが、解放記念日の祭典を見ることができたのでした。そろそろ帰ろうということで、ホテルに帰り就寝。ある意味山場の明日に備え…。



第六日目(アムステルダム〜ブリュッセル〜ブルージュ〜ブリュッセル)

 の日は、全日程の中でおそらく最もハードスケジュールな日。
 まず、朝一番のInterCity(6:23アムステルダム発)で一路ブリュッセルへ向かいます。第一の目的地は、そう、ベルギー王立美術館。荷物をブリュッセルのホテルに置いてから出かけるのですが…このホテルがすごかった。メトロポールという名の老舗ホテル(100年以上の歴史を誇るそう)を奮発していたのですが、想像以上の優雅さです。高い天井、昔ながらの手動扉式(!)エレベーター、壮麗なシャンデリアのなごやかな光、シックな石造りの壁。1911年にこのホテルで学会?が開かれたときに撮影されたという、アインシュタインやラザフォードといった偉大な学者の写真も飾られていました。いやはや、何から何まですんごいホテルであります。あまりの居心地のよさに、暫くベッドに横たわり深呼吸してしまったのでありました。(笑)

 荷物を置いたのち、ベルギー王立美術館へ。プチ・ルーヴルと呼ばれているだけあって、広大で、展示物も多種多様ですね。本当なら一日、いや一週間くらいずっといたいのところなのですが、この日は午後にブルージュを目指すということもあり、やはり駆け足で見て回ることにします。特別展示でそのときやっていたアール・ヌーヴォー展も残念ながらあきらめることに…残念。
 ベルギーだけあって、ルーベンス、ブリューゲルが特に多く、特にブリューゲルの、人間に対する洞察力のようなものに改めて惹きつけられました。プラド美術館で「死の勝利」を見たときも思ったのですが、人間を、ひいては大衆をつとめて客観的に捉え、探り、映し出す、そんな感覚が彼の絵からは伝わってきます。ルーベンスもよかったですね。「黒人の習作」など、華やかで、温かさを持った絵が多く、このへんはさすがという感じです。あと、私の大好きなヒエロニムス・ボスも少しだけあってちょっと嬉しかった。(笑)
 こうして初期フランドル絵画を中心とした棟を見終わり、現代美術の棟に移ります。クールベやコロー、シャガールにダリといった現代モノは、何だかずいぶん久しぶりに見るような感覚であります。マグリットを初めてまともに見たのですが、結構私の趣味に合うものを感じることができて新発見。

 王立美術館には2時間半くらい滞在しました。午後からはブルージュを目指すということで、この日の昼食はブリュッセル駅構内で買ったサンドイッチとポテトチップスと…そう、ベルギービール。(笑) アルコール度10%近いという強いものを試してみましたが、濃いなかにも嫌な渋さがなく、どっしりと呑みごたえがあります。(*^-^*)
 説明が遅れましたが、ブルージュは、ベルギーの中でも海に近いほうにある、運河の多い小さな街です。ブリュッセルからはInterCityで1時間ほどなので、わりとすぐに到着。これが想像以上の素敵な街でした!! まず、赤レンガの街並みが美しい。そして駅前にある花畑から始まる石畳のストリートや、運河とそれにかかる橋。行き交う人々もとても賑やかで活気に満ちています。かといって、ごみごみした感じがしない。何というか、いるだけで心が落ち着く街だなぁと感じました。

 ブルージュの街並みを楽しみつつ歩き続け、中心地に到着。まずはブルージュの目玉のひとつである、メムリンク美術館に行きます。メムリンクとは13世紀の画家で、戦争で負傷してブルージュの聖ヨハネ病院というところで治療を受け、その感謝のしるしとして病院に絵を寄贈したそうです。その聖ヨハネ病院の一部が、今のメムリンク美術館とのこと。キリスト教を題材にしたものが多く、静けさ・薄暗さとあいまって神秘的な感情が浮かび上がってきます…。私は特にキリスト教ということはないのですが、そんな私でも敬虔な想いになれるから不思議です。
 美術館の次は、運河をめぐる船に乗りました。船から見るブルージュの赤レンガの街並みはこれまた格別で、水面に映える新緑の美しさと、頬をなでていく5月のそよ風、そこここにある鮮やかな花をたたえた花壇、まさに最高のひとときであります。(*^-^*) ストックホルムもいい街でしたが、ここブルージュも負けず劣らずいい街です!!
 運河めぐりを終えた時点でまだまだ太陽は高かったのですが、時刻としてはもうあらゆる美術館が閉まるころになったので、最後にひとつだけ駆け足で見ようということで、ブランギン美術館というところに入ります。18世紀の貴族の館を美術館にしたものだそうで、絵画だけでなくカーペットや家具などもあり、駆け足ではありましたがなかなか楽しめました。

 ブリュッセルへ帰る前に、ブルージュで最後のひとときを楽しもうと、ベルギーの名物であるワッフルを食べていくことにします。マルクト広場という広場に行き、そこのカフェテラスでワッフルとビール(日本でも知っている人の多いヒューガルデン)を頼んだところ、ビールのサイズが予想以上に大きかったことと、ワッフルの形が想像していたのと違うことにちょっと驚きました。ここで食べたワッフルは形が直方体で、粉砂糖がまぶしてあって全体的に白く、ナイフとフォークで食べるというものです。もしかするとこれのほうが一般的なのかもしれませんが、まだ確認していません。どうなんでしょうね??
 漸く太陽が西に傾き始めました。そろそろブルージュとお別れし、ブリュッセルに帰ろうということにあいなります。美しき小都市ブルージュ、さらば。再びInterCityに乗ります…。
 そして大都市ブリュッセルに到着、薄暮の市街に繰り出しました。まずは中心地のひとつであるグラン・プラスなる大きな広場に行き、賑やかな群衆の中で壮観なブリュッセル市庁舎を見上げます。そして、おみやげタイムということで、広場に面して立ち並ぶチョコレートの店で買いあさりました。(笑) 因みに、店の中に一人日本人がおりまして、話が弾み、ブリュッセルでおすすめというレストランを紹介してくださいました。
 というわけで、晩ご飯はそこへ行こうということになります。場所は、グラン・プラスから少し歩いたところ。どういうレストランかというと…、ムール貝で有名な老舗レストランで、大量かつおいしいとのことです。頼んだところ、確かに大量で(100個くらいあるかな?)、歯ごたえはよく、スープもだしが効いていて、まさに絶品!! もう、何百個でも食べられそうなくらいのおいしさです!! 来てよかったと思うとともに、旅先での出会いと友情に感謝、ですね☆

 大満足の晩ご飯を終え、ホテルに帰ろうかなとも思ったのですが、もう少しだけ観光することにします。そう、かの小便小僧を見に行きました。この小便小僧、世界3大がっかり名所という不名誉な名前をつけられてしまっているそうですが、そんなことはないんじゃなかなというのが私の感想。路地裏の小さなスペースに直立?し、小さいけれどなかなか立派な面構えをしております。観光客もかなりたくさんおりました。
 そして更に我々は、知る人ぞ知るという、この小便小僧の女の子版も見に行くことにしました。よく作ったなぁという感じの代物ですね(汗)。因みに名前はジャンネケ・ピスというそうです。ガイドブックを頼りにたどり着いたジャンネケ・ピスは、非常に狭い路地の袋小路にひっそりと飾られており、しかも鉄格子に囲まれて鍵がかけられていて(やはりいたずら防止のためか?)、周囲には観光客もおらず、小便小僧とは随分扱いが違うなぁと思ってしまいました…。

 夜も遅くなり、メトロポールホテルに帰還。いやはや、極上のホテルで味わう極上の休息、心からの幸福を感じ、奮発してよかったなぁとも思ったのでした…。(笑) いつしかぐっすり就寝。



第七日目(ブリュッセル〜ゲント〜ブリュッセル)

 リュッセルとブルージュの間にある小都市ゲントを訪れ、その後アントウェルペンに行きブリュッセルに戻ってくる予定…だったのですが、ゲントだけでもかなり見所があり長居が予想されるため、遺憾ながらアントウェルペンは今回はあきらめることにしました。かの「フランダースの犬」でも登場したノートルダム大聖堂のルーベンスを切ってしまうのは何とも惜しいのですが、またの機会に訪れよう、と決意を固めたのであります。

 メトロポールの大きなレストランでゆっくりと朝食を楽しんだのち、InterCityに乗りゲントを目指します。ブリュッセルから40分ほど、すぐに到着。ブルージュのような華やかさはそれほどないものの、少し古風な、味わいのある街並みです。因みに、この日は残念ながら僅かに霧雨が降っておりましたが、傘はなくても何とか我慢できるかなといったところ。
 タクシーで中心部へ行き、まず向かった先は鐘楼(ベルフォート)。ゲント市を一望できる高さをもった建物です。視界はあまりよいとはいえず、遠くまでの景色は見渡せませんでしたが、霧に浮かぶ色とりどりの屋根や尖塔もまた一興、幽玄な趣きをたたえています。そして、ここはまさに「鐘」楼、定刻になると鳴り響く高らかな鐘の音、これもまさしく旅人の心を洗うのです。ヨーロッパだなぁ。(笑)

 霧雨はだんだんやんできたので、鐘楼を切り上げ、今度はまた船に乗り街並みを見て回ろうということに。ブルージュのような狭い運河というよりは、レイエ川という普通の川なのですが、小さな観光船が運行しています。で、この船の添乗員さんがまたなかなかすごい人(若い女性)でして、片手で船のハンドルを握って運転しつつ、もう一方の手でマイクを持ち、「右手に見えますのが…」というような解説をオランダ語と英語の2ヶ国語でこなしちゃう。いやはやすごいです。(@_@) 
 観光船からの眺めは、どんよりとした曇り空、そして川面の深い緑色に映えて、ひっそりとした趣きを醸し出していました。派手さはないけど、落ち着いた気品のある心地よい街です。(*^-^*)

 昼ご飯は、川沿いのテラスでビールとランチ。Westmalleという銘柄のビールを頼んだのですが、ランクがアルコール度別に3つあるらしく、最も度数が高いという「トリプル」なるビールを頼んでみました。アルコール度は9.5%、確かに強いのですが、それでもやはり呑みやすく、すいすいいけてしまいます。日本のビールにはちょっとないこの味、こちらの人は毎日呑めると思うとうらやましい限り…。(笑)

 昼ご飯を終え、いよいよ、本日の目玉である聖バーフ大聖堂へ。神聖ローマ皇帝カール5世が洗礼を受けたといわれるこの聖堂には、度重なる戦禍に耐えて今もなお輝き続ける祭壇画「神秘の子羊」があります。それは、天井の高い薄暗い部屋で我々を待っていました。黙示録に沿ったストーリー性のある題材ひとつひとつが、実に精緻に描かれており、静かに語りかけてくるようです。周囲は結構がやがやと混雑していたのですが、そんなこともいつしか忘れ、暫くの間、この壮大な絵の語りかける言葉に耳を傾けた。そんなひとときでした…。
 聖バーフ大聖堂にはこうして結構長居。祭壇画としては一枚だけど、表裏あわせて24枚の絵から構成され、しかもそのひとつひとつが深い意味と「語るもの」を持つ。いやはや、すごい世界としか言いようがありません。

 聖バーフ大聖堂で結構おなかいっぱいモードになったので、あとは軽く流そうということになり、教会に入ってその中の絵やステンドグラスを見たり、おみやげタイムでチョコレートの店に行きチョコレートとクリームリキュールを買ったり。あと、装飾美術館という、現代風の装飾品や家具や骨董品を集めた美術館があり、ここがなかなかよかったですね。

 さて、説明が遅れましたがこの日は観光に関しての最終日。明日は朝早く特急に乗り、スキポール空港を目指さねばなりません。というわけで、最後の夜はブリュッセルで盛大にやろうということになっていました。というわけで、まだまだ太陽は高いのですが、ゲントを後にします。
 ブリュッセル到着、昨日のグラン・プラスのそばにあるベルギーの郷土料理屋のようなところに行きます。ウサギ肉の料理や、巨大ソーセージ、そして濃厚芳醇なベルギービール。二人は最後の夜を大量飲酒で締めくくった、かと思いきや…!!
 このあと二人は、メトロポールホテルのバーに行って二次会をやったのでした(笑)。シャンデリアの放つ温かい光と柔らかいソファーに包まれて、かけがえなき友と呑むアイリッシュウイスキーはまさに格別。極上の休日、であります☆



 第八日目 (ブリュッセル〜アムステルダム〜)

   いに、ここヨーロッパを離れる日がやってきました。
 朝すぐにブリュッセルをInterCityで出発、スキポール空港へ。スキポール空港では、アムステルダムの国立美術館の一部が出張展示されているという数点の絵を見たり、おみやげを買いこんだり。やがてすぐに、飛行機の出発時間が来てしまいます。さらばヨーロッパ、また今度…。
 帰りの飛行機では死んだように眠りこけます。



 第九日目 (〜大阪〜横浜〜埼玉)

 りこけていて目が覚めると、もうロシア極東部の上空。やがて関西国際空港に帰着、今度はラピートではなくはるかを使い新大阪まで、そこから新幹線ですぱっと帰宅。さあ明日から仕事だ!!(笑)
 スウェーデン・オランダ・ベルギー、美術とグルメの旅。とてもいい想い出ができました!! ありがとう、また行くよ!!(*^-^*) ということで、この旅行記の締めくくりとさせていただきます。

 えっ、第五回ヨーロッパ旅行記?? そのうち、そのうち…。


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