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<ペルージャ>
イタリアでドライブできるなんて…出発前は海外で自分の運転は全く考えていなかったし、人様の車に乗ることも想像しなかった。 しかし、同じ研修生のサトーさんが誘って下さったお陰で、思いがけない素晴らしいドライブを体験することができたのである。
行き先はペルージャ。サッカーの中田選手のお陰でその名は知られるようになったが、それがどこにあるのか知らない人の方が多いだろう。私もよく知っているわけでは無いが、名物のチョコレートやお菓子食べたさに「イタリアのいきたいところリスト」に加えた場所である。
11月3日(日)。前日まで迷っていたが、研修仲間のサトーさんの運転によるドライブに参加することにした。行き先はサッカーの中田で日本での知名度が上がったペルージャ。迷っていた理由は2つだ。一つは外国でそれも知り合って間も無い人の運転の車に乗るのが恐かったこと。そしてもう一つはペルージャがとても遠いと信じ込んでいたこと。何回か声をかけてもらう内にペルージャが思っていたよりも近いことに気付き、またペルージャ菓子のヘビ型ケーキ:トルチリオーネをもう一度食べたいなあと思うようになって考え直したのだ。レンタカー代は同行者で割るとのこと。もう少しメンバーをそろえるように言われていたが、自分も決断がギリギリだったので誘えなかった。
当日の朝、何気なく若手グループの祝さん&マヤさんに声を掛けてみたらOKの返事。急きょメンバーは5人となった。車はスクールバスの運転手ジャンカルロが手配してきてくれた青く小さい少し古いフィアット。運転席の窓が開かないが、走ることは走るだろう。
5人が乗ったフィアットを守るかのように、ジャンカルロは高速の分岐点までついてきてくれた。学校ではこの日オプショナルツアーで近郊の街巡りをするとのことだった。オバちゃん達が乗るバスと分かれてペルージャへ。地図を確認しながらではあるが、車は快調に進む。途中、トラツィメーノ湖という大きい湖があるのでそこで休憩することにした。
高速を降りてまず探したのはバール。湖の近くだから眺めの良い店があるはずだ、とキョロキョロしながら走った。でもそれらしい店は無い。暫く走ってようやく一軒のバールを発見。し、カッフェを一杯。休憩後、近くにいたおじさんに道を聞き、すぐそこに見える湖に歩いていこうとした。道らしき道は無く、ズブズブと湿めった土に足をとられて足元はドロドロだ。湖を目の前にしながら車に引き返し、暫く湖沿いに走ってみることにした。5分くらい走ると美しく整備されたまるで芦ノ湖か山中湖かといった風景が見えてきた。バールもたくさんあり、遊歩道も整備されている。よく探すこともせず、とりあえずまっ先に目に入ったさびれたバールで休んだ上に靴もドロドロの間抜けな私達…悔しいのでもう一度車を降りて写真だけ撮った。何ごとも焦ってはいけないのである。 湖を後に、車はスムースにペルージャへ。以前、電車で来たことがあるので駅から街に向かう道筋は記憶にある。九十九折りになった坂道を上り、車を降りて街に入った。この日は休日なので駐車料金はタダ。イタリアは良いところである。
街の中心へ向かう階段のすぐ側にサン・ドメニコ教会がある。ちょうどミサが終わったので、中に入ってみて驚いた。素晴らしい!の一言。決して大きくは無いし、現に以前来た時には全然興味も持たず見落としていた。今回も何気なく入っただけだったのだが、本当に美しいのだ。宗教美術にも建物にも詳しく無い私でさえ、このバランスのとれた美しさは感激するものであった。 これを見ることが出来ただけで、サトーさんに命を預けて良かったと思う。
教会を出て街をブラブラ歩く。たくさんの人が広場を散歩している。連休なので人出も多いのだろう。広場近くのサンダリという店に私の目指すヘビのケーキは売られているので、皆を案内して店へ入る。
サンダリ店内は大変な混雑だった。チョコレートも買いたかったけど、ウィンドウが客で見えない程。とりあえずは目当てのトルチリオーネとヘーゼルナッツがボコボコ入ったチョコレートを500g購入。トルチリオーネは学校へのお土産だ。なんとか品物を受け取り、店を出て昼食へ。
昼食は「デル・ソーレ」というリストランテを選んだ。駐車場から街に入ってすぐの場所にある。通りかかった時に予約しておいたので窓際の眺めの良い席に通された。料理は全員が前菜盛り合わせ、パスタはそれぞれ好きなものを頼んだ。
前菜は「当店風」と名の付く盛り合わせ。10分待って運ばれてきたのは熱々料理の盛り合わせであった。野菜の肉詰めや、揚げ物、スフォルマート、揚げサンドウィッチ、クロスティーニ、とまあすごいボリューム。それぞれがおいしいけれどあまりの量に皆目を白黒させる程だった。何とか食べ終え、パスタを待つ。
私が選んだのはウンブリア名物「ウンブリチェッリ」というパスタ。これは粉と水と塩を捏ねてのした生地を包丁で切ったモノ。見た目も味も「ウドン」である。その日のオススメメニューである白トリュフ風味にしてもらう。15ユーロという値段は数あるパスタの中でも最も高価なのだが、せっかくなのでコレ。
トリュフのパスタは女主人に高々と持ち上げられ、運ばれてきた。店内に良い香りが漂う。しかしウンブリチェッリの姿はどう見ても焼きウドン。知らない人が見たらたっぷりかかった白トリュフはおそらくかつお節と思うだろう。でも香りは素晴らしかった。食べてみるとパスタのコシは強力で、茹で足りない讃岐うどん風。もう少しキチンと茹でてあれば最高なのに…トリュフの香りとバターの風味はとても良いだけにちょっと残念。他の皆はこのウンブリチェッリのアッラッビアータと、自家製トルテリーニのクリームあえ。ウンブリッチェリはやはり茹で加減が浅く、トルテリーニはおいしいがコッテリと重すぎるのが問題か。 前菜のボリュームのせいでパスタを食べるのは大変であったが、それなりに楽しめ、満足するのであった。料理を無理して頼まなくて良かった…。
お腹いっぱいと言いつつ、やはりドルチェも気になるのでティラミスとクレマ・カタラナを注文。皆でつついて食べた。ティラミスは振り掛けたココアが多めではあるが、基本を外れない仕上がりでフワフワおいしかった。クレマは普通のプリンの表面に砂糖をかけて焦がしただけと言うナゾの仕上がり。 プリンの底にはキチンとキャラメルソースが敷いてあるのに、表面に更にキャラメリゼなんて!もしや残り物プリンの再生法か?
ともあれ、眺めを楽しみながらゆっくり出来てよい昼食だった。車に戻り、帰路につく。初めてのドライブなので無理はせず、早めに学校に戻ることにした。帰り道も順調。シエナの街に入った時は一同ホッ。サトーさんの運転は慎重でとてもお上手なのであるが、初の左ハンドル右側通行とこともあり、サトーさん含め全員がずっと緊張の1日だった。後部座席の私達は運転中ずっと「右右右右…サトーさん、右ですよ、右!」と声をかけ続けていた。シエナから学校のあるチェンニーナに入る道は分りにくいのだが、キチンと帰ることが出来た。
夕食にはヘビケーキとオハギに似たパンペパートを切って皆に配る。パンペパートは同行のヒロさんが購入したものだ。サトーさんも魚の形の可愛いお菓子を皆に買って下さった。味はどれも大変おいしい。ヘビと魚は全く同じで、アーモンドと砂糖と卵白を練り合わせた一種のマジパン。パンペパートはシエナの街で見るようなタイプとは違って、巨大ななドロ団子といった風情だ。ヒロさんがオハギと名付けていたが、本当によく似ている。ドライフルーツやナッツ類がスパイスの効いたマジパンでギッチリと練り合わせてあって重そうな仕上がり(持つと重い)なのだが、味わいはとてもおいしくて「もっと食べたい!」と思う味。決して甘過ぎないのだ。
これらはジャンルーカにも食べてもらったが、ヘビケーキもパンペパートも大好きな味と喜んでくれた。でも、彼の知っているお菓子とは違うそうである。きっと他の地域でも似たような菓子はたくさんあるのだろう。イタリア菓子にはまだまだ全然知られていないものがあるのだ。
サトーさん、お疲れ様でした。
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