■ パリのおいしい散歩道 〜クレープ/グラス〜


◎クレープリー・プティ・ジョスラン(モンパルナス)

 モンパルナスはブルターニュとパリを結ぶ列車の発着駅。駅周辺にはブルターニュ名物のクレープ専門店(クレ−プリ−)が並ぶ通りがある。クレープ(ガレット)を食べる時はたいていモンパルナスまで行き、プティ・ジョスランに入ることにしている。理由はいつもフランス人で混んでいるから。

 クレープは日本でもようやくフランスと同様のスタイルを見かけるようになったが、まだまだ珍しい存在である。頼り無い薄焼きに不味いホイップクリームやチョコレート、マヨネーズやツナ等を包んで街角で食べるものは決して本来の姿ではない。しかしこちらの方が定着しているというのは非常に残念だ。クレープは女子供の「オシャレな食べ物」ではないのである!

 初めてクレープリーでガレット(蕎麦粉のクレープ)を食べたことを今でも良く憶えている。まず薄暗い店内には男性や年輩の夫婦が多く、まるでどこかの居酒屋かバーなのだ。そして運ばれてきたガレットは濃い茶色に良く焦げており、ナイフを入れるとガリッと音をたてた。この香ばしさというかバリバリ感はどうだろう!大きく四角にたたまれたガレットはみるみる内にお腹に消えて行ったのだった。

 正しいクレープリーの利用法はこうだ。時間は食事時を選ぶ。そう、おやつではなく、食事なのだ。そしてまずガレット(蕎麦粉)を1〜2枚食事として食べる。2枚の時は前菜用に軽めを1枚、そしてメインに卵やチーズ、最近ではラタトゥイユやサーモン等も定番になっているがボリュームのあるタイプを1枚。デザートにはクレープ(小麦粉)を選ぶ。飲み物はもちろんシードル。店にもよるが、小さいドンブリのような器で出てくると嬉しい。不味いビストロよりよっぽど充実した食事となること請け合いだ。

 私の好みはハムとグリュイエールチーズのガレットと砂糖とバターのクレープ。どちらもシンプルで定番中の定番。値段も一番安いのだが、何度食べても飽きないのだ。

 日本で見かけるようになったクレープリーも何度か試しているが、なかなかこのバリバリ感に出会えないのは残念なことである。


◎ベルティヨン(サン・ルイ島)

 パリのベルティヨンといえば最高のアイスクリームの店として有名。この店のアイスクリーム(グラス類)を置くことはカフェや菓子屋のステイタスである。店頭でコーンに盛り付けてくれるが、私は店内で座って食べるのが好きだ。濃厚な味と滑らかな口溶け。決して脂肪の重さではない重厚さはサスガ!である。バニラはもちろん、様々なフレーバーがあり、迷うのも楽しい。キャラメルやノワゼット、ショコラ、ミエル(ハチミツ)、季節の果物のソルベ等、たくさんある。数種類組合わせることができ、その数で値段は決まる。また、ホイップクリームを添えることもできる。(私は添えない)また、香ばしい大きなチュイルが添えられるのも嬉しい。実は店内で食べる理由はこのチュイルを食べたいからである。

 冬に出掛けた時は店内でマンダリン(ミカン)の皮を剥いていた。大きな段ボール数箱分を皆でおしゃべりしながらセッセと剥く。きっと果汁を絞って明日のソルベを作るのだろう。狭い店はいつも混んでいる。


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