■ パリのおいしい散歩道 〜カフェとサロン・ド・テ〜


● ドゥ・マゴ(サンジェルマン・デ・プレ)

 言わずと知れた有名店、レ・カフェ・ドゥ・マゴ。好みもあるだろうが、私はココのコーヒーの味が好きだ。よってパリ滞在中は16区のホテルより毎朝メトロで通う。隣接するフローラより断然ココがいい。ポワラーヌか(日曜日はミュロ等)でパンを買い、パンが冷めないように早足でココに来る。

 いつもカフェ・クレームばかり飲んでいる。カフェ・クレームはピッチャーに入ったカフェとスチームで温めた熱いミルクを自分でカップに注ぐタイプ…早い話がカフェオレのことだ。ミルクの泡はほとんど無いが、カフェの濃さと良く合うと思う。お腹が空いている時は時々タルチーヌ(バゲット縦割りにバターを縫って食べる)を頼むこともある。寒い日にショコラ・ショーを頼んだが、さっぱりし過ぎていて私の好みではなかった。朝の客の顔ぶれはいつも同じで、大体座る位置も決まっている。私は店の奥のドゥ・マゴ(2体の人形)が見えるところに座る。ガラス張りのサンジェルマン・デ・プレ教会が見える席も良いのだが、落ち着いた奥の席で本を読むのが好きなのだ。

 料金は他店に比べるとかなり高い(カフェ・クレーム=26フラン=4.3ユーロ)。クロワッサン等、ヴィエノワズリー(バターたっぷり甘めのパン)を頼むと驚く程高い。どれも決してまずくはないが、パンは他から調達してきた方が賢いと思う。時間にもよるが、食事をとる人も多く、午後は満席状態。静かにのんびりするには空いている朝しかない。
 地下のトイレは綺麗。オバちゃんが番をしているのでチップの用意が必要。


● カフェ・ド・ラ・モスケ(植物園)

 玉村豊男氏のエッセイをこよなく愛する私なので、玉村氏オススメの店はほとんどクリア。その中でも大好き!なのがここだ。イスラム寺院内にあるカフェだが、中庭では食事もできる。マグレブ料理だ。カフェとしてまたレストランとして利用するのでパリ滞在中に数回は来る。たいていの場合は空いている午前中だ。

 入ってすぐのテラス席がカフェとして営業している。白い壁に囲まれ、緑と青のモザイク模様が美しい椅子とテーブルで飲むミントティーはおいしい。昼からはレストランになるサロンもソファに座ってゆっくりできるのでどちらもそれぞれに良い。

 ミントティーは初めて飲んだ時「歯磨きの味だ!」と驚いたが、慣れる程においしいのだ。この衝撃を知って欲しく、友人を何回か誘ったがあまりにも私が詳しく説明し過ぎたため皆初めてなのに驚くどころか「おいしい」等と言うのは少し残念である。ガラスの小さいコップになみなみ注がれた甘くて熱いミントティーは10フラン(今は2ユーロ)。席に着くと直ぐに運ばれてくる。お菓子は建物の中のショーケースで売られている。これはかなり甘い。油と砂糖の味が強いが、ナッツの香ばしさで結構おいしく食べることができる。オレンジ花水の香りもとても良い。

 地元の人々に人気があるので、食事時は予約した方がよい。別にアラブ系の人ではなく、一般のフランス人達である。カフェも午前中なら楽々入れるが、昼には満席だ。内装も素敵。中庭では土産物も販売している。サウナ(ハンマム)があるがこちらはまだ未体験。そろそろ行こうかな…。曜日で男女別になっており、外から見えるモクモクした湯気を見ると興味は掻き立てられるのだ。

 週に4〜5回程通うようになると給仕氏達とも馴染みになる。かといって馴れ馴れしくされる訳ではないが、ミントティーが飲み終わるとさり気なく他の客のオーダーに紛れてソッとお代わりをくれたりする。こういうのってとても嬉しい。タダでいただけるから、ではなく、その気持ちが嬉しいのである。

 この店とドゥ・マゴ、そして京都のイノダコーヒ本店の朝は私の中での3大カフェ。今のところこれらに並ぶ店はない。この3つのカフェで過ごす時間は大切な財産である。


● オー・プティ・スイス(リュクサンブール公園)

 リュクサンブ−ル公園のすぐそば。小さくクラシックな雰囲気の店。公園の散歩の後、ここでカフェ・クレームとカトルカール(店ではガレットと呼んでいるパウンドケーキ)で2度目の朝食。ガレットは卵の味が濃くてモロモロした食感が素朴でおいしい。カフェは普通、値段も標準的。

 2階があり、そこではいつも中年男性が集まって賑やかに話している。カウンターも常連が入れ代わり立ち代わり。タバコを買う人も多いので店主は忙しそうだ。たいていは店主1人か奥さんと2人で間に合っている。それでもなぜか静かに過ごせるのがいい。日曜以外も時々休んでいるのがちょっと困る。

 が、2002年に久々に行ってみたところ、なんだか感じが変わっていた。エンジ色のポロシャツを着た男性が店の中心になっている。ガレットは見当たらず、少し淋しい気がするが…店内そのものは今まで通り。


● シェ・レ・フィーユ(ボン・マルシェ近く)

 この店も玉村氏の本により知る。ショコラ・ショーは名高いジャン・ポール・エヴァンのチョコレート使用というのにひかれ、利用するようになった。ショコラ・ショーは16:00から。香ばしく程よい苦味がおいしい。砂糖は自分の好みで入れて甘味をつける。ポットサービスでたっぷりいただけるのもよい。冬は必ず寄ることにしている。

 暑い日には冷たい紅茶もあるが、熱々のミントティーもおいしい。大きめの銀のポットにたっぷりと入った生のミントと中国緑茶。甘いが香りも良くてとてもおいしい。

 店内はマグレブの雰囲気たっぷり。壁の絵はあまり好きではないが、店主の女性も客もごく普通の感じがいい。食事時はスパイスを効かせたメニューが並び、手ごろな料金で食べられる。この時間帯は茶のみの利用は出来ず、少し残念だ。カフェやサロン・ド・テが食事に力を入れるのは良いのだが、時々本業を忘れているようなところもある。また、ある時、友人と夕方待ち合わせたら、午後6時ちょっと過ぎだというのにもう帰り支度。すっかり冷めた湯(水?)でいれたミントティーは悲しかった…当たりと外れが激しいのである。


● ア・プリオリ・テ(ギャルリー・ヴィヴィエンヌ)

 紅茶の店。ずっと前に「暮らしの手帳」でその存在を知り、以来憧れていた。その写真に写っていた茶漉しは竹製。私の料理教室で出す茶漉しも同じ。というよりプリオリ・テを真似して買いに行ったものだ。午後にこの店の前を通りかかるといつも溢れる程に客が入っている。人気店なのだ。

 茶漉しの確認も兼ねて紅茶を頼もうかな…と思ったが、寒かったのでショコラ・ショー・ア・ランシエンヌにする。私はアンシエンヌ(昔風)という言葉に弱いのだ。浅黒い肌と真っ黒の髪が印象的な小太りのマダムが応対からショコラ・ショー作りまでこなしていたが、意外な感じであった。フランス人にとって紅茶やショコラはマグレブやアラブの雰囲気を感じる異国的なものなのかもしれない。

 ショコラはトロッとしたタイプ。決してシャブシャブではなく程よい甘さと苦味がなかなかよい。25フラン。マダムは苦味が強かったらクレームシャンティをあげるから言ってね、とウインク。そして多分その必要はないけどね、と言いながら厨房戻っていった。言葉通りクリームは不要。これだけで充分美味しかった。

 壁際には大きなケーキやタルトが置かれ、どれもおいしそうである。大振りに切って香りのよい紅茶と食べたら…次は午後にお腹を空かせて来ることにしよう。
 店内にトイレがあるがとても狭い!清潔度は普通。


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