たくさんの「ありがとうございます」 


 これまで私は、旅先ではなるべく人のお世話にならないで済むよう、少なくとも心がけてきたつもりでした (故意の場合−例えば、目的地まで同乗させてもらうなど−以外は)。しかし、先月末に生後4ヶ月の 子供を抱いて大阪の実家へ帰ってみて、図らずもその道中で色々な人の手を借りるはめになりました。

 まず、羽田へ向かう途中、京急横浜駅のホームで並んでいたら、隣に立っていたおばさんに 「何ヶ月?」と尋ねられ、会話が始まりました。お孫さんの話をひとしきり聞いたあと、 羽田へ行くことを告げると、「空港行きの車輌は蒲田で切り離しになるから、 もっと後ろよ!」と言われ、入線してくる電車を前に急いで移動。 なんとか無事に乗ることができました。車内で吊革につかまっていたら、別のおばさんに 「こっちのほうが楽よ」と背もたれを譲ってもらいました。

 そして、羽田空港。多目的トイレ(手すりやベビーベッドがついている)に入ろうと、 小さな取っ手を引いてみたがドアが開きません。使用中かな?と通常のトイレへ行こうとした時、 後ろから「奥さん!」と声をかけられました。振り向くと、空港の作業員風の人が 「そっちのボタンを押すんだよ!」。確かに「開」「閉」の文字が書いた大きなボタンが壁面にありました。 おかげで広いトイレで子供のおむつを替え、自分も用を済ますことができました(この両方が 一度に解決できるトイレは意外に少ないのです)。

 その後、機内にて。手荷物を棚に上げようとしていたら、後ろの席のビジネスマンが入れてくれました。 着陸後は、私より先に立ち上がって荷物を下ろしてくれました。 隣の席の若者は、私が立ち上がったときに落としたJALのおもちゃを拾ってくれました。

 伊丹空港には両親に迎えにきてもらったので、この日はこれ以降、他人様のお世話にならずに済みました。

 数日後、地元の友人宅に電車で出かけた際には、阪神マークが大きく入った紙袋を持ったおばさんに 席を譲ってもらいました(日本シリーズ最終戦の翌日だった)。

 そして、復路の機内では、定番の「何ヶ月?」から隣の席のおばさんとの会話が始まり、 これも定番であるお孫さんの話がはずみ、その勢いであれこれと(例えば、私のドリンクを 自分のテーブルに置いてくれたり、自分の毛布を子供の足にかけてくれたり)世話を焼いてもらいました。

 こんな具合に、行く先々で手をさしのべてもらい、ペコペコしながら 「ありがとうございます」を連発していた旅でした。 たいていのことは自分で出来る一人旅を続けてきましたが、弱者に徹して面倒を見てもらうのも案外悪くないな、 と思いました。

 ちなみに、往路はJAL機でしたが、乗務員はドリンクを置くために乱暴にテーブルを開け、 眠っていた子供の頭に当てて少し泣かせました。フライトも中盤にさしかかってうとうとしていたら、 希望のおもちゃを選ぶよう起こされました。『お出かけサポートガイド』という冊子が手渡されると ホームページに書いてあったのに、最後までくれませんでした。一方、復路のJAS機では、 搭乗後すぐにガイドブックとおもちゃをくれ、子供を横抱きにしていたら肘の下に毛布を挟んでくれ、 着陸後も子供をあやしてくれました。JASはいいです。

現在、『子連れで海外旅行』という本を読んでいます。
行きませんが、参考までに。


トップページへ