外壁補修工事顛末3

 前ページの続きです。
 このページの物語はフィクションであり「全くのつくりごと」です。
 登場する人物・団体・地名等がどれほど実在するものに酷似していてもそれは気のせいです。
 だから難しく考えたりしてはいけません。……ということでお願いします。


 お店の入り口に行くといずま亭の社長はすでに来ていた。
 お決まりの挨拶を交わしさっそく本題に・・・
 社長:「さっそくですけど、この足場のこの部分、なんとかなりまへんか。」
 社長が指をさしたのは店の入り口の両側にある足場の基礎となる部分だった。
 私 :「なんとかと言うとどういうことでしょうか?」
 社長:「足場はしかたないでしょうけど、この金網とメッシュのシートはずせないですかね。」
 私 :「これをはずしたら非常に危険ですよ。 上からの落下物を防ぐのと侵入者が上がるのを防ぐ物ですから。」
 社長:「それやったら、店の上の部分で落下物を受けるようにすればええんとちゃいますか?」
 私 :「これをはずすとお店の周りのタイルとかの補修ができなくなってしまいますよ。」
 社長:「管理人さんの言うことおかしいで。 それやったら何で店の入り口部分は大きく開けてますの。」
 私 :「はあ? もちろんお客さんが自由に出入りできるようにですよ。」
 社長:「うちとしては店の入り口と同じようにシートとか金網とか無くして欲しいんですわ。」
 私 :「そりゃ無理でしょう。 仕事できなくなりますし、もし通行人に何かあったらたいへんですから。」
 社長:「ちょっとおかしいよ。 さっき言ったように上で受け止めたらええのとちゃうの。」
 私 :「だから〜、上で受け止めていても万一落下物がシートを突き破ったり、泥棒が上がったり・・・・」
 社長:「そんなこと関係ないんですわ! 泥棒って言ってもこの足場からでなくても入るでしょう。
 私はカチン!ときた。(--#
 自分のところさえ良ければ他はどうなってもなっても良いという考えらしい。
 お店の看板が見えたら上の住人に何か被害があろうが、通行人が怪我をしようが関係無いということだ。
 *この社長の口調(ニュアンス)は明らかにそういう言い回しであったことを付け加えておく。
 
 私 :「もし、何か事故が起きてしもたら誰が責任取りますねん。 うちのところは安全第一でやってるんですよ。」
 社長:「責任・責任って言ってもしょうがないでしょう。 とにかく看板がよく見えるようにしてくれたらいいんですよ。」
 おいおい、事故が起きたら最終的に責任取るのはこっちだぞ。
 てめえは関係ないからはぐらかすのかよ。
 と、思って聞いていたら、だんだんとこいつと話をするのがだんだんとイヤになってきた。

 社長:「それとね、こっちの足場。 こっちも何とかして欲しいんですよ。」
 工務店が取り外すのは無理だと言っていた部分である。
 私 :「ここは、安全上絶対無理です。 建物のコーナーで足場の間隔を大きく開けられないんですよ。」
 社長:「いや〜、ここも入り口と同じように大きく開けて欲しいんですよ。 小さい足場で組むとかして欲しいんです。」
 私 :「そしたら、この足場を一から組み直せって言うんですか!?」
 この時点で私は完全に切れた。

 社長:「ま、うちのところは店と看板がよく見えればええんですけどね。 何とかしてよ。」
 私 :「ここはちょっと無理ですね。 何度も言いますけど事故は起こしたくないですから。」
 社長:「管理人さん、話にならんわ。 工務店と直接話をしてええでっか?」
 私 :「(▼、▼メ) どうぞいいですよ。 工務店の担当者から直接連絡させますわ。」


 完全に頭に来ていたが、これも仕事なので工務店に状況を説明して話をつけるようにお願いした。
 さじを投げたという形で、この問題に関しては工務店任せにするつもりだったのだが・・・・
 翌日再度いずま亭の社長から電話がかかってきた。
 午後から工務店と交渉するので立ち会って欲しいとのこと。
 嫌々OKを出したが、すっかり頭にきていた私は交渉事の全てを工務店任せにしてだんまりを決め込むことにした。

 今回はこのいずま亭の社長と店のスポンサーのオヤジ(契約上の保証人)まで来ていた。
 作業現場を見上げながらボーっと立っているとこのこのオヤジが私に近づいてきた。
 オヤジ:「まいど!、えらいおおごとになっとりまんな。」
 私 :「あっ!どうも。 そうですねん緊急とは言えご迷惑をおかけしてスミマセン。」
 オヤジ:「こんだけのモンやったらお金かかりまっしゃろ。」
 私 :「ええ、何とか銀行から工面できましたけど、借金だらけですわ。」
 オヤジ:「何ゆうてまんの。 おたくらやったらこれぐらいの工事はキャッシュでちょいちょいとちゃいまんの。」
 私 :「はあ?(-""-;) この不景気の時に現金なんかあるわけありまへんやん。 借金ですよ。」
 オヤジ:「何を言うやら・・・(^▽^)。 こんな工事に金使うぐらいやったらビル全部建て替えはったらよろしいのに。 おたくやったら簡単なことですがな。」
 私 :「・・・・(▼、▼メ) ・・・(こんなに苦しいのにそれが出来るんやったら苦労はせえへんわい!)」
 あまりにもズケズケと言うオヤジの言葉に私の顔がだんだんと引きつっていくのが自分でわかった。
 その顔を察したのかオヤジは急に話題を変えてきた。
 オヤジ:「しかし・・・、工務店には気を付けや。 あいつら出来る限り手を抜いて利益上げようとしよるからきっちり見張っとかなあかんで」
 私 :「そういうもんらしいですね。 気を付けますよ。」
 オヤジ:「ほら、あれ見てみ。」
 と、オヤジが鳶職の兄ちゃんたちを指さした。
 オヤジ:「あんな安物の職人使っとる。 あれやったらどれだけピンハネしてるかわからんわ。 

 安物、安物、安物、安物、・・・・ 安物の職人って何?

 職人の技術に上手・下手はあるだろうけど、言うことに事欠いて安物って・・・・
 
 私 :「そうでんな〜、まあ気を付けますわ。( ̄▽ ̄;)」
 こんな事を平気で言う人間とまじめな話を交わしていたかと思うと腹立たしさを通り越してアホらしくなってきたので、あとは相づちを打つだけにして聞き流していた。

 そうこうしているうちに、工務店との話し合いが終わった。
 危険ではあるが出来るだけ足場をずらすことになり、いずま亭のお二人の指示に従って看板がよく見えるように工夫することになった。


 さて、翌日は足場の一部組み直し作業、翌々日に再度問題の看板周辺を見ることになったのだが・・・
 ぜんぜん変わってへんやん!!(大笑い)
 わずか数十センチ足場がずれただけで、どう視点を変えて見ても看板の見え方には大差がない。
 指示に従っての組み直しであるから、全く問題は無いはずである。
 午後にいずま亭の社長が来て現場を見に来ていたが、納得したのか何も言ってこなかった。
 たぶんこれで良かったのでしょう。(^▽^)

 そして工事は順調に続いていくのであった。


BACK