次の キリ番 は「44444」です。
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「…あ」 思わず声を出した翡翠を孔雀が振り返った。何事か、と言わんばかりに片眉を吊り上げている。 「月が出てるよ、ほら」 翡翠が指差したのは、中天に高く上がった、白い月だった。 雲一つない、真っ暗な空にくっきりと浮いている半月。都会の空はほとんど星が見えないだけに、なおさら遠い、しかし鮮やかに浮かび上がっている月が初冬の冷たい空気を澄んだものにしているようだった。 「へぇ…頑張ったなぁ」 「何が?」 「月が」 「…何で?」 「だって、あんなに高く上がんの、かなり気合いが要って大変そうじゃね?じゃあ代わりにお前が上がってみろって言われても困ると思うけど」 いや、月が上がるのに気合いとか頑張りは必要ないと思うんだけど。 いやいや、そもそも、月の代わりに空に上がれと言われるケースを想定している人間なんて居ないと思うんだけど。… 「…まあ、大分頑張ったのかもね」 「うん」 なぜ孔雀が我が事のようにエラそうに胸を張るのかがよくわからないが、翡翠は黙ってもう一度、月を見上げた。 頑張ってるんだ、月って。 そうか、そういう考え方もあるんだ。 「君、もし今日は代わりに上がってくれないかって頼まれたらどうする?」 「考えとく、って答えとく」 「なにそれ」 「だって無碍に断るのも悪いじゃん」 「…いや、そこはちゃんとその場で断った方が相手の為になるんじゃないかなあ」 「そうかなぁ?」 真剣に考えている孔雀が少し可笑しくて、でも、そんな会話も悪くない気もして、翡翠は微かに微笑んでいた。 |
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