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合格体験記
平成8年12月3日
(平成11年12月15日最終補訂)
清水 恵介
T 択一の巻
1
勉強したての頃、まずは、買いあさってきた基本書をノルマを課して一通り読んでみる。
大学の授業と並行させたため、確か1日40頁のノルマを課した(無論、切りのいいところでやめる。)。
精読と粗読の中間くらい。
最初ということで、好奇心にまかせて読み進める。
見知らぬ法律用語のオンパレードに少々疲れるが、ここは辛抱。
これで全体像をつかむ。
憲法:芦部信喜〔新版補訂版〕 360頁
民法:内田貴T〔第2版〕・U・V 1538頁
刑法:前田雅英総論〔第3版〕・各論〔第3版〕 998頁
所要日数: 73日=2896頁÷40頁/日
※ 現在受験上よく用いられている代表的基本書で計算。前田各論3版もフォロー済み。しかし、家族法は含んでいない。
これが読み終われば、商法以下の基本書も少しずつ買い揃えながら同様に読んでいく。
読む前に何日で読み終わるか計算しておく。
ちなみに今年の論文の直前期に再度基本書を読んだときは1日150頁。
2
火曜答練(日大法学部司法科研究室で毎週火曜実施の短答式答練)に合わせて過去問つぶしをする。
問題集は昭和38年度から(当時は平成2年度まで。以後は単年度版を購入。)のものを購入。
練習用紙を自分で作成し、実際に時間を計って解く(ワープロで元を作って大量コピー。1枚20問1時間を1単位とした。)。
答練前までにその範囲分は終わらせる。
練習用紙は自己採点・復習にも利用(火曜答練が基礎とする辰巳の問題集とは問題の分け方が違うため、時々未解答の問題が登場。それと自分の問題集との対応関係を把握する必要があるから。)。
1年で2周できる。
これを2年生の途中、3周するまで行う。
3周目は番号を振っただけの真っ白な紙で行う(時間は計る。)。
以後は火曜答練と直前の総合択一(司法科研究室と辰巳と早稲田セミナーの計6回。但し、2年次と今年は計4回にした。)を受けるだけにする。
もちろん、復習は絶対にかかさない。
知識面以外の解き方の工夫・修正は、この復習と答練での実践を通じて行う。
尻上がりの調子がベスト。
なお、当初は司法書士試験の受験を考えていた関係から書士試験の過去問もつぶした。
細かい条文・判例の知識を備えるに至る。
親族・相続のウェイト25%の試験。
3
六法も読む。
条文の位置・内容を理解し、片仮名文にも慣れておく。
条文の目次をワープロ打ちし、民法総則に関しては条文丸写しをした。
その分、基本書読みのときには逐一条文を参照しない。
特に直前期は細かい条文の知識を暗記。
平成8年度(合格した年)は憲法の条文をテープに吹き込んでおき、直前に聞いて丸暗記に努める。
判例も押さえる。
判例百選を購入。
中心は判旨の部分。
分からなければ事案・解説にも目を通す。
百選を補う目的で、平成元年版より重要判例解説も購入。
また、2年次以降は判例六法も利用。
辰巳の総合択一で配られる最新判例集も便利。
4
基本書を一通り読んだ後はサブノート作りにも着手。
理解が浅く自分が弱点だと思ったところから作り始める。
当初は作っても見返すことがなく、作る意味があまりなかった。
その後、更に理解が深まった段階で、見返しを前提として作ったものは比較的役立ったよう。
しかし、きちんとまとめるのに手間がかかって非効率的。
ただ、作る過程で理解を深められたのが収穫だった。
これは後々の力になる。
なお、平成8年度はこのサブノート(ファイル式)は一切利用していない。
非効率性を悟った後、サブノートはメモ書き方式に変えた。
ファイルを使わず、罫線なしの白紙のノートに思い付いた記憶すべき事柄を書き留めるだけの方式。
この民訴バージョンはある程度まとまった内容で意図的に作ったので平成8年度の論文には役立った。
ワープロにもいろいろと打ち貯めたものがあるが、編集は容易でも作業は書く以上に疲れるので、それほど活躍はしていない。
5
以上、択一・論文・口述を問わず、六法・基本書・判例集・問題集が受験勉強における4種の神器。
これに、サブノートないしはメモが加わる。
これで択一に関しては4戦4勝。本試験を含めた総合択一(60問の模試)は2年次以降で通算25勝1敗の成績(平成7年度の本試験直近の総合択一が推定点割れ)。
U 論文の巻
1 平成7年度まで3年間の無意味なあらまし
平成5年度は論文の準備不足で惨敗。
翌年は予備校のの模擬試験を受けたが、肝心の復習が間に合わずに伸び悩んだ。
3年目は論文過去問全問の答案構成に挑戦したものの、実際の答案では時間切れ続出で自信喪失。
本番で気持ち負けして敗退する。
前年より成績が落ちたのがひどくショックだった。
様々な悩みを抱えつつもそれらをとりあえずは傍らに置き、合格枠の狭まる中、ある種開き直りの気分で平成8年度、4度目の受験にのぞんだ。
もう手段は選ばない。
2 平成8年度の決意その1 − 択一まで
平成8年度はほぼ論文だけに標準を絞って勉強をする。
3年連続でG答案を取ってきた民法(大きな声では言えない。)については、A・B2つのグループでゼミに参加してテコ入れ。
あとは、これも昨年G答案だった民訴のゼミに参加する。
また、択一前までは特別講義にも科目を選んで出席。
土曜答練は時間厳守でのぞんだが、結果、19回中時間切れが11回。
このままでは4度目の正直も望めそうにない。
ただ、この時期は答案のフォーム固めにも取り組んだ。
そのため、論文における法的処理の構造などを自分なりに研究してみる。
これが後々の方法論に生きてくる。
択一は好調。
答練の復習に最新判例のチェック、暗記項目の確認、憲法条文の丸暗記といった経験上最低限度やるべきことだけはやる。
合格の自信はある程度あったが、択一本試験直後は今一つ気乗りがしない。
ようやく重い腰を上げ、執念を燃やし始めたのは論文本試験まで2ヶ月を切ったときだった(具体的には5月21日)。
3 平成8年度の決意その2 − 論文直前期
本試験まであと60日。
1科目10日以内で回さなければならない。
遊ぶ間もない。
でも、2ヶ月なら辛抱できないこともない。
直前答練だけ受けることに決めて、あとは特別講義も欠席した。
自宅にこもってやっていたことは以下の通り。
(1) 論点表の丸暗記
以前に受験新報6月号付録の論点表過去4年分をワープロで網羅的に編集。
今回は一覧性を高めるためにB4版で印刷。
6科目分ひたすら丸暗記した。
重大な論点落ちを回避するため。
これが答案構成の段階で役立ったようだ。
(2) 基本書の読み通し
初心に返って再度基本書を通読した。
体系的理解を深めて現場思考に備えるため。
既に幾度か読んでいるのでそれほど苦にはならない。
ただ、手形と民訴の基本書は読めなかった。
しかし、手形については判例暗記、民訴については以前作った定義集と中途半端なサブノート(完成度70%)で補えたのが良かった。
(3) 判例の言い回しの暗記
条文以外に判例の言い回しは覚えておけば便利と思い実行。
民法と商法の判例をワープロとテープレコーダを活用して覚えた。
手形法につき役立った(振出日白地の手形、白地手形による訴え提起と時効中断)。
以上の結果(といってもこの時はまだ4科目の途中だった。)、1月後の直前答練では全答案時間切れなしを達成。
平均点も約48点とまずまず。
あと3科目を終わらせるとともに、返却答案のコメントを参考に弱点を修正すれば、倍率10倍も恐れるに足らず。
最後に本試験用メモを作って試験解除の早稲田大学に持参。
4 本試験用メモ
メモ書き方式に変えた関係から当時メモ癖がついていた。
机の傍らにメモを置いといて、何か思い付いたらすかさず書き込む。
本試験用メモは、本番で特に守るべき注意事項を順番に6つ掲げたもの。
以下、全文を掲げる。
(1) 時間を厳守する。 → 自分の言葉で、集中力
(2) 問いに答える。 → 暗記する程
(3) 流れを作る。 → 問題の背景・規範定立をはっきり、条文と判例への配慮
(4) 気持ちで負けない。 → 競争率と暑さに勝つ、無心・リラックス
(5) 弱点を理解する。 → 定義・列挙・理由付けより主要論点・趣旨を、謙虚な姿勢で
(6) 科目ごとの心の準備 → 頭を切り換える
これらの内、本試験の場で実際に重要だと感じたのは、(1)(2)(6)。
あとは完全燃焼。
試験期間中は試験以外のことは一切考えない。
5
本試験の手応えはないが、過去4年間で一番充実した試験ができた点に満足。
しかし、心は既に来年の論文試験へ。
今年がダメなら論証暗記中心の勉強に切り替えようと論証本を初めて購入。
また、論文強化の意味を込めて友人らと口述合宿(越後湯沢)も実施。
ところが、論証本は不要、口述合宿はそのままの形で役立つこととなる。
原因不明の合格。
顔が青ざめる。
次は口述だ。
V 口述の巻
当然合格発表まで何の対策も練っていない。
合格日に予備校の無料ガイダンスを受けて試験の概要を知り、間に合わぬことを知りながらも試験日まで猛勉強する。
あとは試験官の質問に極力耳を傾けるようにするだけ。
口述試験は論文合格の浮かれ気分をただす特効薬くらいの意味合いである。
もちろん下手すれば足下をすくわれるが、それよりも普段は論文に専念した方が得策である。
そして、最終合格へ…。
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