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学校の先生には「試験監督」という恐ろしいシゴトがあり、その実態は概ね以下の通りである。
- 試験開始前に教室にいないといけない。鐘が鳴ってから職員室を出たりしたら大変な事になる。私は試験開始5分前に教室に行くように心掛けている。これ以上早く行くと「英語が難しかったから数学の試験は易しくないと困る」といった意味不明なお願いが、勉強していない生徒から出やすい。そんな生徒の相手をしていると鐘が鳴る事があるので注意が必要だ。
- 試験開始前に問題・解答用紙を配布し、諸注意を伝達しないといけない。これに遅れると生徒からブーイングである。逆にあまり早く配布すると「もっと勉強できたのに」という視線を浴びる事になるが、直前にやっても無駄である。「試験は最後まで粘りなさい」という言葉を曲解した行動だが、この手の生徒には試験直前まで粘るものの、試験中にあきらめがついて睡眠をとって体力回復に努める不思議な傾向がある。
- 試験開始の合図をするのだが、たまに鐘が鳴らない時があるので平静を装って多いに焦ることになる。1分経過しても鐘が鳴らない時は、1分延長する事を約束して試験を開始してしまう。受験会場での受験者と監督者は、時間に関しては運命共同体である。
- 印刷の不具合や体調不良者が出た時に対応するのだが、印刷の不具合には出会った事がない。ただし出題ミスはよく見かける。具体例は「neither
A or B の意味を書け」とか「5人が円卓に等間隔に座る時、特定の2人が向かい合う確率を求めよ」とか「下線部Aの意味を書け」という設問で下線部Aが3つあったりなどである。
- 体調不良者であるが、風邪を引いているのに無理して受験して保健室送りになるのがほとんどである。まれに興奮して(何に?)鼻血を出す生徒もいるが、ティッシュを鼻につめて受験してもらっている。特に女子生徒だとあまり見られたくないだろうし、私も同情して見ないようにしたいのだが、何しろこちらは試験監督である。笑いをこらえて、職務遂行である。
- 試験終了の合図の後の解答用紙を回収は、各列の最後尾の生徒にしてもらう。このとき生徒達は気になる問題をネタに、にわかに盛り上がる。答えが同じだと安心し違うと焦るようだ。数人が同じ誤答をして「よかったみんな同じだ」と安心していたり、何人かの答えがバラバラで正解の人を探しているが全員不正解だったり、と教員大変を不安がらせてくれる。
基本的には、生徒達が不利にならないように、不公平にならないように配慮するのが目的である。実際には、落とした鉛筆や消しゴムを拾ったり、シャープペンの芯が切れた生徒に対応する事ぐらいで、大したシゴトは経験した事がない。何回も鉛筆などを落とす生徒に対して、「そんなに興奮しなくても大丈夫だよ。」と、周りの数人の生徒にわざと聞こえるように注意して、リラックスさせる事も大切なシゴトである。
不正行為の予防も大切な仕事である。教壇から生徒達を見るのが普通の方法だが、私はいろいろな角度から生徒達を見るように心がけている。これは私自身の居眠り防止となり、一石二鳥である。数学の試験の時は、生徒達の解く所を観察して授業に生かそうという大義名分の元に、生徒の誤答を見つけて楽しんでいる。
教師は生徒とコミュニケーションを取るのが商売なので、黙って見ているだけというのが何より苦痛である。誤答を見つけて「間違いがあるよ」と言ったり、正解を指差して「正解の自信ある?」と言ったりする誘惑と戦わなくてはならない。天気のいい日は昼寝をしたいという誘惑に抵抗している。試験は教師にとっても大変な戦いだ。
高等学校の場合、定期試験の結果と推薦入試は深く関係しているので生徒達は真剣なはずであるが、中には5分で熟睡を始める生徒もいる。「頼むからヨダレは垂らさないでくれよ。」という気持ちで涙が出そうになるが、ぐっと我慢である。ヨダレで少し変形した解答用紙を採点する身にもなって欲しい。
試験監督をする教員も真剣に監督を行いたいが、こんな生徒がいるとヤル気が少し失せてしまう。こんな時も「何を寝てるんだ」注意すると不公平になる。ただし、イビキをかいたり寝言を言い出したら周りに迷惑なので、注意しないといけない。私は高校生の時に、試験中にイビキをかいて注意された事がある。歴史がめぐる可能性は高い。
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