人を害すれば己を害す
何時の時代のことか知らないが、これは老人から聞いた話だ。
昔、こんな二人の職人がいたそうだ。一人は大工、もう一人は左官で、ある時、二人は同じように李家の家を建てることになった。この二人の職人がどういうわけで一緒になったのかわからないが、二人とも欲張りな男で、李家の家を建て始める日から、もう幾ら金をだすのだと大きな声で、算盤をはじくしまつだった。
だから二人は一日中、文句ばかり言って、李家の応対が少しでも悪いと、すぐ仕事をやめてしまうのだった。
初めは、李家でもまるで祖先をまつるような応対をした、二人が機嫌よく仕事をしてくれれば、丁寧に家を建ててくれるだろうと考えたからである。だから毎日、旨い物やいい酒を出していたのだが、それでも二人は不満をいうので、李家の主は「わしの家は小さいのに職人の応対にこんなに金がかかって」と頭を悩まし、それから、いままでと同じような応対をしなくなった。そして職人が早く良心的に仕事をやってくれればいいと思った。
しかし、この大工と左官はただ金が欲しいだけで良心なぞ持っていなかった。二人は自分たちの思うように李家がしないと恨みを持ち、二人ともふと、悪事を思いついた、だが、二人はそれぞれ自分の腹に持った悪企みを誰にも言わず、しようとする悪事を相手に知られるのを恐れた。
ある朝、大工は左官のいない時に、こっそりと車を引く小人の木像を彫り、それを門の梁の中にいれ、終わると急いで帰ってしまった。
この日の午後、左官は大工が帰ってしまったのを見て、左官もひそかに門の壁に刀を持った石像をちょうど門の上の梁を指差すように彫り、終わると左官は辺りに人がいないを見て、すました顔で帰った。
大工は車を引く小人を作ると、よしと気が晴れる思いで「李家は没落しろ、お前の家の門の上の小人が毎日毎日、品物を外に運び出して、お前の家には何も残らない」とひそかに李家を罵った。
左官は刀を持った小人を作ると、やはり痛快になり、心の中で「ロバに乗って歌の本を見る……そのうちにわかるさ、いまにこの門を出入りする奴を、門を守るこの刀を持った小人が突き刺す、誰が刺されて死ぬかわからない」と独り言をいった。
やがて、この悪い二人の職人は李家の家をいかげんに作るとそれぞれ外の土地に行ってしまった。三年過ぎても、不思議なことに李家は落ちぶれるどころか日増しに栄えてきた。家の大人も子供もみんな丈夫で死んだ者もいない。よく二つの山は一つにならないと言うが、大工と左官はこのことを知り、しばらくして大工と左官はまた一緒になった、二人はいろいろおしゃべりを始め、しゃべっているうちに大工が「お前さん、俺たちが一緒に家を建てている時のことで、俺はずっと、わからないことがあるんだ、それを今、お前さんに聞きたいんだが、知っているかい」と言うと、左官は大工の言葉が終わらないうちに口をはさんで「そうだ、よくお前さん三年前のことを思い出してくれた。実は俺もいまも謎に思っていることがあるのだ」と言った。
そこで二人の職人は互いにその時にした悪企みを相手に話した。二人はハッと気がついて、大工は左官に「どうりで俺の作った車を引く小人が働かなかったわけだ、李家の品物をすっかり出せなかったのは、お前が置いた刀を下げた小人が門にいたから俺の車を引く小人が驚いて出られなかったんだ」と文句をつけた。左官はこれを聞くと怒った声て「俺の刀を持った小人が力を出せなかったのはお前の車を引く小人が道の真ん中にいて、俺の小人を通さなかったからだ」と言った。
大工と左官は真っ赤になって怒り、まるで二羽の闘鶏のように言い争い昼から日が西に傾くまでどちらも譲らなかった。とうとう二人は殴り合いを始め、手斧で殴ぐれば、金槌で殴り返えすで、二人は頭から血を出して倒れ起きあがれなくなってしまった。
譚振山故事選 1993・4・12