563 盲目の占い師
盲目の占いの先生がいた。ある冬の寒い日、旅をして夜になり、ある家に一夜の宿を求めた。その家の人は盲目の人の願いを聞かないのは格好悪いと思い泊めることにした。この家は南北に部屋があって、占いの先生は北の部屋に泊められた。盲目の先生は北の部屋のオンドルに触ってみると何日も火を焚いた事がないのか冷たい、先生は真冬の冷たい夜に火のないオンドルを床にして寝るのかと思い何かいい方法はないものかと考えた。
南の部屋のオンドルの上で目をこすっていたこの家の老婆がゴホンゴホンと咳込んだ。それを聞いた先生は「お婆さんどうしました?」と聞いた、老婆は「目がゴロゴロしてこすったら痛たくなったんです」と答えた。冷たいオンドルの上で冷えていた先生はあちこち触り、北の窓の台に石でできたニンニクすり鉢があることが分かったが何も言わずにいるとまた老婆が咳き込んだ。盲目の先生は「お婆さん、ゴロゴロする目を誰かに見て貰いましたか」「いいえ、見て貰いません、ここには目を診る人がいないんですよ」「わたしが占って上げましょうか、生年月日は?」
それを聞いて老婆は喜び、占って貰うのが一番と生年月日を先生に告げた。盲目の先生は指を折りながら生年月日の数を占い「分かりました、お婆さんのは目やに症でも病気でもありません、何かの精が目の中に居るのです」「それは何ですか?」「北の方に何か石の入れ物がありますか、たぶんニンニクすり鉢でしょう」老婆は確かそんな小物があると思い出し「あります、あります」と言った。「そうです、その精が目の中に入ったのです」「そいつを目から出すんですか?」「いや、北の部屋の鍋に湯を沸かしてニンニクすり鉢を茹でて取り出し冷ませば、お婆さんの目はよくなります」「分かりました!すぐします」
老婆は急いで北の部屋のオンドルの焚き口に行き、窓の前に置いてあるニンニクすり鉢と水を鍋に入れ、オンドルに火をつけた。こうして何度もオンドルの火を焚き、鍋の湯を沸かすと北の部屋のオンドルは熱くなって、盲目の占い師は暖かいオンドルの床で寝ることが出来た。 (撫順市巻下)