559 出稼ぎの夫からの便り

 昔、夫は出稼ぎ、妻は家事という夫婦がいた。夫は出稼ぎに出たが四、五年家へ帰る暇がない、字が書けないから手紙も出せない。どうしようといろいろ考えたが、良い方法が見つからないし、手紙を代筆してくれる人も見つからない。仕方がないと自分で筆を持って、先ず七羽の鴨、五枚の皿の画を描き、それから五匹の王八(亀)とひっくり返して水が流れ出た水桶の画を描いて飛脚に頼んだ。

 さて、飛脚からこの画の便りを受け取った妻は飛脚に送り賃の銀貨五枚を渡すと、飛脚に「あたしの夫が寄越した銀貨四十枚は?」と聞いた。飛脚は不思議そうな顔をして「エッ!手紙には何羽かの鴨、何枚かのお皿、幾つかに亀、一つの水桶しか描いてありませんよ、銀貨は描いてありません。銀貨はありません、手紙だけです」と答えたが妻は「いや、銀貨四十枚がある筈です」と譲らない。妻はあると飛脚はないと争い二人は県庁に訴えた。

 県知事は手紙を見たが、意味が分からない、県知事も銀貨が描いてないから妻に「これ妻女、出鱈目ではないか、何処に銀貨が描いてあるのだ?」と言うと妻は「県知事さま、あたしの夫の手紙の七只[qizhi](七羽の鴨)は妻子[qizi](妻)、五枚の皿は五個の銀、五つの王八は五八四十両、ひっくり返した水桶から流れ出た水はあたしに送ったこと、これは明らかに夫があたしに銀貨四十両を送ったという手紙です、それなのにどうして銀貨がないのですか?」と訴えた。それを聞いて県知事はハッと気がつき「ア、ア、その通り、その通り、これ飛脚、早く銀貨四十両出せ、出さねばひっ捕らえるぞ」と飛脚を質した。飛脚は慌てて銀貨を出して、罪を認めた。      (撫順市巻下)