四つの笑い話
1 死んだ兎が生きかえった
野兎を打つ猟師がいました。いつも鉄砲をかついで野原を歩き回り野兎を打つのですが、少しも当たりません。仲間から「お前はのろまだ」と笑われて癪にさわり、市場に行って一わの死んだ野兎を買って来て、そっと自分のうちの畑に置いておき、それから家へ鉄砲をとりに戻りましたが、畑に置いた兎は人に見つけられ、持っていかれてしまったとは気がついていませんでした。鉄砲をとってきた猟師は、まわりで働いている人から自分がよく見えるように、ろくに畑の方を狙いもしないで一発打ちました。ところが偶然かくれていた兎が鉄砲の音に驚いて、“パッ”と跳びだして一目散に逃げてしまいました。猟師も驚いて「しまった、死んでいる兎が俺の一発で生きかえってしまった」と叫びました。
2 聴 衆
むかし、田舎の村ではよく夜に、すきな人が講談を語っていました。講談のすきな趙さんも講談の師匠に半年ならってから、舞台に上がって一人で語ってみようと思いました。ある晩、趙さんは机と腰掛けをならべて太鼓をたたきながら語りはじめましたが、聞きにきた人は面白くないので一人、二人と帰ってみんないなくなってしまいました。趙さんは近目で村人のみんなが聞いているものだと思っていました、語りに熱が入ってきたところで、趙さんは机がぐらぐら動いているのに気がついて、いそいで下にむかって、「おさないで、おさないで、お前たち子供はうしろへいって」と叫びました。ところが机は相変わらずガタガタしていて、いまにも行燈がひっくりかえりそうです。趙さんはもう我慢できなくて、舞台から下りて足で蹴飛ばしました、すると「ブウ」と声がしました、なんとそれは発情した大きな母豚でした。
3 可愛いい赤ちゃん
独り者の陳さんは弟夫婦と一緒に住んでいました。やがて弟夫婦に可愛いい男の赤ちゃんが生まれました。弟は毎日仕事から帰るとすぐ赤ちゃんを抱き上げて「可愛いい子、可愛いい子」とあやしたあとで、ほっぺに「チュウ」と唇をつけるのでした。陳さんはそれが羨ましくて、布のお人形をつくり弟が赤ちゃんを抱いて「チュウ」をする時に陳さんもお人形を抱き上げて「可愛いい子、可愛いい子」と言うのでした。 弟はそれを見てなんだか嫌な気がして、やめさせようと陳さんが外に出た時にお人形に縫い針を刺しておきました。 翌日、陳さんは何も知らないで、お人形を抱き上げ「可愛いい子」と「チュウ」をすると、「チクリ」と唇を縫い針で刺されてしまいました、陳さんはとたんにお人形をほうりだして「バカ、お父さんを噛んだりして」と怒りました。
4 不吉な話
むかし、田舎では子供が亡くなると、棺桶を独り者の男に背負って貰ってお墓に行き埋めるのが習慣でした。ある時、子供を亡くした親にたのまれた独り者の男が、その家に行って死んでいる子供をみて「おや、一人か、二人だったら天秤でかついでいけるのに」と言いました。それを聞いた死んだ子の親は「あんた………」と言ったきり何も言えませんでした。するとそばにいた人が「あいつは、わからない奴だ、とがめてもしょうがないよ」と言い「こんどまた子供が死んだら、あいつにたのまないで、ほかの人を捜せばいい」と言いました。
<注>
この「四つの笑い話」は石家荘の袁学俊さんが送ってくれた雑誌“郷鎮企業科技”(1992年10月号)に掲載されていたもの、袁学俊さんは同誌の編集長である。
1993年1月27日
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