山羊と狼と狐
ある日、羊飼いが山羊を放牧していた。すると大きな風が吹いて、風を避けようとした一頭の山羊が群れからはぐれ小さなお堂の中に入った。
夜中になると狼がやって来た。この狼は一日中何も食べず腹を空かしていた。お堂の中に何やら気配がするので見ると、中に何かが座っている、目玉が光り、長い角がある、狼は少し怖くなって、慌てて「あなたは此処へ何しに来たのですか」と聞いた。
山羊も狼を見ると、すっかり慌てて「わしは天界から来た、二頭の狼を捕らえ、帰ってから食べるのだ」 「あなたの頭の上の長いのは何をする物ですか」 「頭の上の二つの長い物は狼を捕らえる宝の剣だ」 「あなたの顔に光る物は何ですか」 「これは夜、狼を捕まえるための二つの灯りだ」 「あなたの口に二つ並んだ白いのは何ですか」 「この二本は狼を食べるための小刀だ」 「あなたの口の下の長く伸びているのは何ですか」 「これは狼を食べた後で口を拭く布だ」これを聞いた狼はびっくりして大急ぎで逃げてしまった。
狼は逃げる途中で狐に遇い「俺は何だか分からない怖い物に出遇った」と今ままでの事を話した。すると狐は「そりゃ山羊じゃないか、俺たちで捕まえてやろう」と言ったが、狼は「お前行ってくれ、俺は此処で待っているよ」と言った、狐は「平気だよ、あんたが怖いなら俺がやってやる、俺たちのしっぽを結んで一緒に行こう」と言った。こうして狼と狐はしっぽをつないで一緒に行き、お堂の中へ入った。
山羊はこれを見て“アッ、狐じゃないか、こいつに悟られると大変だ”と考え「わしはお前に二頭狼を捕まえて来いと言ったじゃないか、もう一頭はどうした」と言った。狼はこれを聞いてびっくり、“しまった、騙された”と狐を引き摺って猛烈に走り出し、とうとう狐は死んでしまった。狼は何も知らずに騙されたことを恨み「俺はお前のために殺されるところだったぞ」と言いながら、狐の口のまわりに土がついているのを見て「俺は何日も何も食べていないのに、お前は口に鍋の滓をつけているのはどういうわけだ」ともっと憎らしそうに言った。
撫順市巻上 1999.3.4