漏り  

 昔、農民は家の雨漏り、鍋の穴、女房の病の三つを恐れた。これは雨漏りの話である。

 毎日雨が降り続くと壊れかかった百姓家は大変だ。降ればもちろん、止んでも家の中は雨の雫がポタポタ落ちる。家中の盆、皿、碗をつぎからつぎと出しても間に合わない。
 そんなある日、猿が何か盗んで食べようと、この百姓家の裏に回ると、「アー、天にも地にも恐ろしい物はないが、恐ろしいのはこの雨漏りだ、こう毎晩じゃ寝る場もない」と嘆く人の声がする。猿はこれを聞いて“漏りはそんなに怖いのか、何かされたら大変だ”と急いで逃げた。

 途中で猿は虎に遇った、「猿の兄弟、どうしたんだ」 「どうしたもない、百姓家へ行って何か盗んで食べようとしたら、人が『天にも地にも恐ろしい物はないが、恐ろしいのは漏りだ』と言っていた、あんたは百獣の王だから怖いものなしだろうが、漏りはそんなに怖いものか」と猿は虎に聞いた。
 虎は漏りって何だろうと思い「オイ、わしをそこへ連れて行ってくれ、そんなに恐ろしい物がいるなんて信じられん」と言った、「嫌だよ」 「そう言わず縄を探して来いよ」 「縄なんてない」 「なければ葛の蔓でもいい」  猿が葛の蔓を探して来ると、虎はそっちの端を猿の首に巻いてしばり、こっちの端を自分の腰に巻きつけ「こうして一緒に漏りを見に行こう、もし本当に漏りがいたら、わしがお前を背中に乗せて逃げよう、そいつはわしらに追いつくまい」と言うと、猿は「よし、行こう」と答えた。

 虎が猿を背中に乗せて行くと、途中でこれを見た人が驚き慌てて木に登った。虎と猿がそれを見て虎が「漏りじゃないか、お前、木に登ってあいつを引っぱり下ろせ」と言った。木の上の人は怖くてブルブルふるえ、アッと木の上から下へ落ちた、ところがそこは虎の背中、虎はてっきり恐ろしい漏りが飛びかかってきたのかと思い、猿をひきずったまま猛然と逃げ出した。
 何里も走った虎はすっかり疲れ、猿はひきずられて歯を剥き出して死んでしまった、虎は猿を見て「オイ、猿の兄弟、わしが夢中で逃げてこんなに疲れたのに、何が可笑しくて歯を剥き出して笑ってるんだ」と言ったとさ。

            中国民間文学集成遼寧巻撫順市巻上       1999.2.21  2001.12.5校正

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