亀は千年万年
昔、ひとりの長者がいた。長者の二人の娘はそれぞれ嫁いで家を出ていた。姉の婿は学があったが、妹の婿は真面目で頭のいい農民であった。
ある年の中秋の節句に姉妹は夫とともに里帰りした。長者の屋敷の庭に一本の果樹があって、みずみずしい実が沢山なっていた、長者は二人の婿に「この木の実はどうして片方が赤く、片方が青いのだろう」と聞くと、姉の婿は「日の当る方が赤く、陰になる方が青いのです」と答え、妹の婿は「それは自然ですよ、猿のお尻はみんな赤い」と答えた。
ちょうどこの時、ガチョウが庭で“ガアガア”と鳴き叫んだので、長者はまた「ガチョウはどうしてあんなに大騒ぎするのかね」と聞くと、姉の婿は「首が長いと声が高いのです」と答えるが、妹の婿は「それも自然ですよ、がま蛙は首が短くても“グゥアグゥア”と叫びます」と答えた、長者はしばらく考えて“う−んそれもそうだな”と思った。
夕食になると長者は酒を飲み、いい機嫌になって、自分の眉を撫でながらまた「わしの眉はどうして長いのかな」と聞くと、姉の婿は「眉が長いのは長寿です」と答えた、そばにいた妹の婿は我慢できず「違います、それは自然ですよ、亀は眉がなくても千年万年です」と言った。
撫順市巻下 1997.12.3