光明草

 昔、何大という気立てのいい若者がいた。早く実の父を失い、母は何大を連れて再婚したが、その新しい父が何大をよく叩いたり罵ったりするので、何大は十五歳の時にとうとう我慢しきれず家を出て、自分で荒れ地を耕して暮らすようになった。
 ある日、何大が畑を耕していると、一人の盲目の老婆が来て食べ物を求めるので、とうもろこしの種を分けてやった、老婆はそれを受け取ると「あんたは優しい人のようだから、わたしの目も助けてくれないかね」と言った、何大は困って「わたしにできますか」と尋ねると老婆は「聞いた話だが、一万里離れた光明山に生えている光明草という草を食べると、またわたしは日が拝めるようになると言うのだよ」と言った。そこで何大はその老婆のために一万里離れた光明山にその草を探しに行ってやることにした。

 何大は急ぎに急ぎ、ある日、大きな河に行き当った。何大は河を渡れず困っていると大きな魚が泳いで来て「若者よ、何処へ行くのだ」と聞いた、「光明山に光明草をとりに行くのです」と答えると、「若者よ、光明山には妖怪がいて、あそこへ行けば九死に一生の目に遇うぞ」と教えてくれた、何大が「光明草があれば目の見えないお婆さんの目が治るのです」と言うと、大きな魚は「よろしい。勇敢なお前を助けてやろう、わしの背中に乗るがいい」と言った、何大が大きな魚の背にまたがると、大きな魚は何大を乗せて河を渡してくれた。

 何大はまた何日か歩いて大きな山に行き当り、どうやって山を越えようと考えていると鷹が飛んで来て「若者よ、何処へ行くのだ」と聞いた、何大が光明山に光明草を探しに行くと答えると、鷹は「若者よ、光明山は多くの妖怪に守られている、お前は命が惜しくないのか、わしは行かないほうがいいと思う」と言った、「一人の目の見えないお婆さんに光明草で光を取り戻してやりたいのです」と何大が言うと、鷹が「よろしい、わしの背に乗れ」と言ったので何大が鷹の背に乗ると、鷹は「この山を越すには三日三晩かかるが、何も食べずにいられるか」と聞いた、何大は「わたしはもともと農民です、飢えは恐ろしくありません」と答えた。

 ところが、三日目になると鷹が何大に「若者よ、もう少しで山を越えるが、わしに力がなくなった、肉を食べれば力がでるが肉がない」と言った、何大はこれを聞くとすぐ刀をだし、自分の両腿から二つ肉の塊を抉り出すと鷹の嘴にいれてやった、すると鷹は再び力をだして、いつそう早く飛んだ。その日の夕方とうとう高い山を越え、何大が腿の肉を抉った足でさらに光明山へ向かって進もうとすると、鷹が「若者よ、お前はその大きな傷のままで光明草を探しに行くのか」と言った、「わたしはあのお婆さんを悲しませたくないのです、きっと光明草を取って来ます」と答えると鷹は感動して小さな草をくわえて来ると「これを食べると傷はよくなる」と言った、何大がその草を食べると傷が治り、鷹に別れを告げ光明山に向かった。

 そしてとうとう光明山に着くと頂上に光輝く光明草が見えた、何大が喜んで頂上に向かうと、何十もの蛇の大群が何大を幾重にも取り囲み、その蛇の頭の一匹が「若者よ、光明草は天女が植えたのだ、誰も抜くことはできないが、お前が人助けをするのなら助けてやろう、だが光明草を取ってから十日目にきっと重い罰を受けるぞ」と言った、「あのお婆さんが再び目が見えるようになるなら、わたしは死んでもいいのです」と何大が答えると、蛇の大群は囲みを解いて道を開けた。何大が山の中腹まで行くと、周りからまたさまざまな妖怪が飛び出して来て何大を取り囲んでしまった、何大は刀を抜いてその妖怪たちに向かうと、天女が現れ、妖怪たちはみんな傍らに身をひいた。
 天女は何大の前に立ち「あなたはいい人なのに、一人の盲目の老婆のために自分を顧みないのですか」と聞いた、「貧しい者の苦しみは貧しい者にしかわかりません、生きているからには少しでも良いことをしたいのです」 「あなたはいい人です、わたしの夫となってここにいてください」 「有難うございます、でもわたしは光明草を探し、あのお婆さんの目を治してやりたいのです、ここに残ることはできません」と言うと、天女は「仕方ありません、光明草を取りなさい」と言った。
 何大は頂上に登り光明草を摘むと急いで家に帰り、光明草を老婆に渡した、老婆は喜んで光明草を捧げ持つと、突然身を震わせ天女の姿に変わった。何大は驚いて、「あなたはいったいどなたですか」と聞くと、天女は「わたしは天女です、盲目の老婆になってあなたの心を試したのです。あなたが本当にいい人だとわかりました、わたしはあなたの妻になります」と言った。

 それから何大と天女は光明山に行き、光を失った人に幸せをもたらし、二人もまた幸せに暮らした。  

             沈陽市巻中                                   1997.8.22

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