三羽の鶏
昔、ある所に貧乏なお婆さんがいました。お婆さんはなんとかして鶏を飼ってみたいと思っていましたが一銭のお金もありません。そこでお婆さんは少しずつ少しずつお金をためて、やっと二年目の春に鶏の卵を三つ買いました。
お婆さんは卵をオンドルにおき、その上に綿入れの着物をかぶせて卵を温めました。こうして二十日たつと、卵の殼の中から“カサカサ”と音が聞こえ、夜が明けると“コツコツ”と小さな音がしました。お婆さんはお昼前に綿入れの着物をどけてみると、一つの卵が二つに割れて“ピヨピヨ”と白いヒヨコがでてきました。お婆さんは喜んで、むしろで巣を作ってやりました。
お昼になってお婆さんがまた綿入れをひろげてみると、また一つの卵が二つに割れて、黒いヒヨコが“ピヨピヨ”とでてきました、お婆さんは喜んで黒いヒヨコもむしろの巣にいれてやりました。お昼を過ぎるとまた綿入れの下から“ピヨピヨ”声がしてきました、お婆さんは綿入れをひろげると、でてきたのは花模様の綺麗なヒヨコでした、お婆さんは喜んで花模様のヒヨコを抱き上げて「小さな花模様のヒヨコちゃん、お前は綺麗だね」と言ってむしろの巣にいれてやりました。
花模様のヒヨコは二羽の仲間を見ると、まず白いヒヨコに「ヤイヤイ、白いヒヨコ、お前は白い羽だけかい、俺は花模様で、こんなに綺麗だぞ、黄色の羽、赤い羽、灰色の羽、黒い羽、それに褐色の羽もあるぞ」と自慢しました。それから黒いヒヨコにも「ヤイヤイ、黒いヒヨコ、お前は黒い羽だけかい、俺は花模様でこんなに綺麗だぞ、黄色い羽、赤い羽、灰色の羽、白い羽、それに褐色の羽もあるぞ」と言いました。
お婆さんは毎日三羽のヒヨコに餌をやり、花模様のヒヨコは毎日、俺は綺麗だと自慢しました。三羽のヒヨコは日に日に大きくなって小さなむしろの巣では入りきれなくなり、お婆さんは軒下に石で鶏小屋を作り、三羽のヒヨコはそこで白い鶏、黒い鶏、花模様の鶏に育ちました。昼間、白い鶏と黒い鶏が庭で餌を探していると、花模様の鶏は軒下で日向ぼっこをしながら「白い鶏は白い羽だけ、黒い鶏は黒い羽だけ、俺はこんなに綺麗、黄色い羽、赤い羽、灰色の羽、黒い羽、白い羽、それに褐色の羽もあるぞ」と言いました。
こうして何日も過ぎ、白い鶏は尾羽が大きく上に伸びて鳴くことができるようになりました、白い鶏は毎日夜が明けると、東の方に向き首を伸ばして力強く「コケコッコ−、コケコッコ−」といい声で鳴き遠くまで響きました。
女たちはそれを聞くと、急いで起きてご飯の支度をしました。
男たちはそれを聞くと、急いで起きて牛をひき畑へ行きました。
子供たちはそれを聞くと、急いで学校へ行き勉強しました。
娘たちはそれを聞くと、急いで糸を紡ぎ、布を織りました。
お婆さんは喜んで「お前は働き者のおん鶏だねえ」と言いました。
ある日、白い鶏は庭で餌を探しながら、花模様の鶏に「俺は鳴くことができるようになったが、あんたは何ができるんだい」と聞きました、すると花模様の鶏は日向ぼっこをしながら羽をひろげ、めんどくさそうに「白い鶏、お前は白い羽だけ、俺は黄色い羽、赤い羽、灰色の羽、黒い羽、それに褐色の羽もある、だから鳴かなくても、お婆さんは俺に腹一杯の餌をくれるんだ」と言いました。白い鶏はそれを聞くと「フ−ン」と言って行ってしまいました。
また何日も過ぎました。黒い鶏はトサカが鮮やかな赤になり、まるで花のようになると卵を産むようになりました。黒い鶏は毎日朝早く巣の中に大きな卵を産むと走りだして、頭を上げ「コッコッコ−、コッコッコ−」といい声を響かせました。
女たちは卵を食べると力をだしてご飯の支度をしました。
男たちは卵を食べると力をだして牛をひき畑へ行きました。
子供たちは卵を食べると力をだして学校で勉強しました。
娘たちは卵を食べると力をだして糸を紡ぎ布を織りました。
お婆さんは喜んで「お前は働き者のめん鶏だね」と言いました。
ある日、黒い鶏は庭で餌を探しながら、花模様の鶏に「わたしは卵を産めるけどあなたは何ができるの」と聞きました、すると花模様の鶏は日向ぼっこをしながら羽をひろげ、めんどくさそうに「黒い鶏、お前は黒い羽だけ、俺は黄色い羽、赤い羽、灰色の羽、白い羽、それに褐色の羽もある、だから卵を産まなくても、お婆さんは俺に腹一杯餌をくれるんだ」と言いました。黒い鶏はそれを聞くと「フ−ン」と言って行ってしまいました。
また何日も過ぎて、お婆さんの家に遠くからお客さんが来ました。お婆さんはこの人は遠くからわたしを訪ねて来てくれたのだから、鶏を料理して御馳走しようと思い、どの鶏にしようかと考えました。ちょうどこの時「コケコッコ−、コケコッコ−」とおん鶏が鳴き、「コッコッコ−、コッコッコ−」とめん鶏が卵を産みました。
さて、みなさんは、お婆さんがどの鶏を料理してお客さんに御馳走したか、私が言わなくても、おわかりでしょう。
聊斎 * 子 1997.1.8