鷹と猫

 母猫と四匹の子猫がいました。子猫が魚を食べたいと騒ぎますので母猫は小さな川に魚を捕りに行きました、母猫は三匹の魚を捕ると頭をグシャグシャと噛んで川岸の草地にならべまた魚を捕りに川に行きました、四匹捕まえなければ四匹の子猫に分けてやれないからです。しばらくしてやっと四匹目の魚を捕まえ川岸の草地にくわえて行くと、さっきならべておいた三匹の魚が一匹もありません。母猫はおかしいなと周りを見ましたがやっぱりありません。頭をあげて上を見ると鷹が木の枝で魚を食べています、母猫は鷹が盗んで食べているのだとわかり、「鷹さん、ちょっと話があるから下りて来て」と言いました。

 鷹は魚の骨をくわえて母猫の前に飛び下りて来ると「何の用事だね、早く言ってくれ」と言いました。母猫は怒った声で「あんたが食べた草地の三匹の魚はあたしが家に帰って子猫に食べさせようと捕っておいたのよ、あんたは空を飛べるのにどうして、ひとの捕った魚を盗むの」と言いました、すると鷹は「俺が食べたのは人が食べ残した魚だ、魚の頭だけ好きな人が捨てたんだ」とずる賢く言いました。母猫は鷹がずる賢いのに怒って「この川岸の何処に人がいると言うの、あの魚は逃げないようにあたしが頭をかじっておいたのよ、あんたあたしの魚を盗んでおきながら、盗まないとでも言うの、嘘つきね、あたしの魚を返してよ」と言いました、すると鷹が「お前こそ俺を泥棒扱いして、お日さまに訴えてやる」と屁理屈をおしつけてきたので母猫は「いいわよ、何処へ訴えたってお前さんの盗みは変わらないんだから」と言い返しました。

 そこで母猫と鷹はお日さまのところへ行きました。鷹が先どりして、人間が食べ残した三匹の魚を拾って食べたら猫が魚を盗んだと泥棒呼ばわりしたとお日さまに訴えました。
 猫はお日さまに「わたしは四匹の子猫に魚を食べさせようと、半日も川辺にいてやっと三匹捕まえ頭を噛み潰して草地にならべ四匹目を捕りに行ったすきに、鷹が盗んで行ったのです」と言い、お日さまに正しく、鷹が魚を盗んだことを裁くようにお願いしました。
 お日さまは両方の言い分を聞きおわると「わしはその様子を見ていないからよくわからない、雲さんに裁いてもらってくれ」と言いました、そこで、鷹と猫は雲のところに行き、それぞれの言い分を話しました、すると雲は頭をふって「これはわしには裁けない、牛に聞いてくれ、牛はいちばん公平だからな」と言いました。

 鷹と猫は牛のところへ行き、またそれぞれの言い分を話しました、すると牛は鼻を吹き吹き「俺には判断できない、縄のところへ行ってくれ、縄は俺より強いからな、なにしろあいつは俺を毎日繋いでいるのだから」と言いました。鷹と猫は縄のところへ行き、またそれぞれの言い分を話しました、すると縄は手をふって「鼠のところへ行ってくれ、鼠は俺より力がある、俺は鼠にかじられて幾つにも切られてしまうのだから」と言いました。

 鷹と猫は鼠のところへ行って、またそれぞれの言い分を話しました。ところが鼠は猫が怖くてガタガタふるえながら「猫が正しい、猫が正しい、鷹は魚を捕って猫に返すべきだ」と言うと慌てて穴に入ってしまいました。 鷹は溜め息をついて、とうとう猫の魚を盗んだことを認めました。

            西双版納哈尼族民間故事集成                            1996・11・28

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