なぜ客を喜ぶか
ずっと昔のある晩、哈尼山の村に着物はボロボロ、髪はバサバサで青白い顔をしたおかしな老人が来て「泊まらしてくれ」と家々に頼んで回った、だがどこの家でもかまってくれず、老人は仕方なく村を出て行こうとした。
すると、小さい時に両親を亡くし身寄りのない若者が老人を見て、もう暗くなっているのにこの老人はどこで夜を過ごすのだろう、ほってはおけないと思い、老人のあとを追って自分の家に案内し、お茶をだして慰め、ご飯の支度をした、若者は家に残ったたった一羽の雌鶏をつぶして料理を作り、老人にご馳走してから、一つしかない布団で一緒に寝た。
翌朝、若者は早く起きて湯を沸かし老人に顔を洗ってもらおうと寝床を見ると老人がいない、慌てて布団をめくってみると老人の寝ていたところにピカピカと金貨が光っている、驚いていると老人の声がした「驚くことはない、わしはこの世にこんな優しい若者がいたとわかり嬉しい、わしの心ばかりの礼だ、受け取ってくれ、何かのたしになるだろう」
若者は急いで老人を捜したがどこにも姿は見えなかった。若者はこのお金で田畑や牛馬を買い、家を建て美しく賢い妻を娶った。夫になった若者は田畑を耕し、妻は機を織って、二人は幸せに暮らした。
村人はこの若者を見て、あの老人は神様が乞食を装って人の心を探りに来たのだと思い、それから村に客が来ると争って迎えるようになり、やがてそれが客を大切にする哈尼人の習慣となった。
西双版納哈尼族民間故事集成 1996・11・10